20代でゲームエンジニアに転職する|ポテンシャル採用の実態と狙い目企業

職種:ゲームエンジニア |更新日 2026/7/4

ゲームエンジニアへの20代転職は、他の技術職と比較して「ポテンシャル採用」の間口が広い職種のひとつです。ゲーム業界のエンジニア需要は継続的に高まっており、未経験・異業種からの転職者を育成前提で採用する企業が一定数存在します。ただし、ポテンシャル採用とはいえ「何も問われない」わけではなく、選考で重視されるポイントは明確です。本記事では、業界構造・企業の採用姿勢・選考で見られる要素・年収レンジを整理したうえで、転職成功に近づくための実践的な視点を提供します。


ゲームエンジニアという職種の構造を理解する

ゲームエンジニアは、一括りに語られることが多い職種ですが、実際には担当領域によって求められるスキルセットが大きく異なります。転職活動の精度を上げるためにも、まず職種の内部構造を把握しておくことが重要です。

主な専門領域

クライアントエンジニア(クライアントサイド) スマートフォンやPC・コンシューマー向けのゲームクライアントを開発します。UnityやUnreal Engineといったゲームエンジンの扱いが中心となり、グラフィクス処理・物理演算・UI実装などを担当します。

サーバーサイドエンジニア オンラインゲームのバックエンドを担当します。Go・Java・PHP・Node.jsなどを用いたAPI開発、データベース設計、リアルタイム通信基盤の構築が主な業務です。Web系のサーバーサイドエンジニアからの転職との親和性が高い領域です。

インフラ・SREエンジニア クラウドインフラの設計・運用、リリース管理、パフォーマンスモニタリングを担います。AWS・GCPなどのクラウド知識が求められます。

ゲームエンジニア(ジェネラリスト型) 中小規模のゲーム会社やインディースタジオでは、クライアント・サーバーの両方をカバーするフルスタック気質のエンジニアが求められるケースもあります。


20代転職においてポテンシャル採用が成立する理由

ゲーム業界でポテンシャル採用が成立しやすい背景には、業界固有の構造的な事情があります。

第一に、ゲームエンジニアのキャリアは他業種との行き来が少なく、業界内での人材循環が中心になりやすい傾向があります。そのため、外部からの供給を取り込まなければエンジニアの総数が不足しやすいという実態があります。

第二に、ゲームエンジン(特にUnity・Unreal Engine)がオープンに学習できる環境が整っており、独学でのポートフォリオ制作が現実的です。採用側もその点を理解しているため、「実務経験はないが、自作ゲームやOSSへの貢献がある」という候補者を評価する文化が根付いています。

第三に、Web系・業務系のエンジニア経験は「サーバーサイド」「インフラ」「QA・自動化」などの文脈でゲーム開発にも直接転用可能であり、技術の接続性が高い点も採用しやすさにつながっています。


転職市場における年収レンジの目安

下記は、20代のゲームエンジニア転職時における年収レンジの一般的な目安です。企業規模・職種・スキルセットによって幅があるため、あくまでも相場感の参考として捉えてください。

経験・スキルの段階年収目安(目安)主な企業規模・業態
未経験・独学ポートフォリオあり350万〜450万円程度中小・成長期スタジオ
Web系エンジニア経験1〜3年(異業種転職)450万〜600万円程度中規模〜大手パブリッシャー
Unity/UE経験あり・実務経験2〜4年550万〜750万円程度大手・IPタイトル保有企業
サーバー・インフラ専門 経験3年以上600万〜800万円程度大手・グローバル展開企業

なお、近年はグローバル展開やIPライセンス事業を手がける企業を中心に、上位レンジの引き上げが続いている傾向があります。一方で、中小スタジオはゲーム開発への関与度が高い分、年収レンジは抑え気味になるケースも少なくありません。


選考で重視される3つの要素

1. ポートフォリオの質と文脈

選考において最も影響を与えやすいのが、ポートフォリオの内容です。ただし「何かを作ってあること」ではなく、なぜその機能を実装したか・どんな技術的判断をしたかを説明できる状態にあることが求められます。

採用担当者が確認したいのは、「ゲームエンジンの使い方を知っているか」よりも「問題を発見し、技術で解決しようとするプロセスがあるか」という点です。GitHubのリポジトリにREADMEを整備し、実装の意図や工夫を明文化しておくことが有効です。

2. 既存スキルとゲーム開発の接続性

Web系エンジニアとしての経験がある場合、そのスキルをゲーム開発のどの文脈で活かせるかを自分の言葉で語れるかどうかが鍵になります。たとえば「Reactでのコンポーネント設計の経験がUnity UIとデータバインディングの設計に応用できる」といった具体的な接続の言語化が評価につながりやすいです。

3. ゲームプロダクトへの解像度

エンジニアであっても、プロダクトとしてのゲームへの理解度は問われます。面接では「最近プレイしたゲームで、エンジニア視点から気になった実装・仕組み」を問う企業も一定数存在します。ゲームをユーザーとしてだけでなく、構造・技術的挑戦の観点から語れる準備があると、選考での印象が安定しやすくなります。


ケーススタディ:Web系サーバーサイドエンジニアからの転職パターン

背景 SaaS系スタートアップで2年間、GoとAWSを用いたAPI開発・インフラ構築に従事。25歳時点で「長く関わっていきたいプロダクトがゲームである」という志向が明確になり転職を検討。

準備フェーズ(3〜4か月) 業務外でUnityの学習を開始し、既存のサーバーサイドスキルと組み合わせる形でシンプルなマルチプレイヤーゲームのバックエンドをGo + WebSocketで自作。GitHubにアーキテクチャ設計の意図・負荷想定・トレードオフを記載したREADMEを整備。

転職活動の結果 サーバーサイドエンジニアのポジションで、中規模のモバイルゲーム会社に転職。前職比で年収は若干の増加。入社後は既存サーバーサイドスキルがそのまま活用できる環境に配置され、ゲーム固有の知識(ゲームループ設計・課金処理・ランキングシステムなど)を実務で習得するルートとなった。

このパターンが示すのは、「全部ゼロから学んでから転職する」ではなく、既存スキルの接点を明確にしてから動くという順序の有効性です。


狙い目となりやすい企業の特徴

特定の企業名を挙げることは本記事の趣旨に合わないため、企業タイプとしての特徴を整理します。

中規模モバイルゲーム会社(運営タイトルあり) 新規開発よりも運営が中心のフェーズにある企業は、育成余力のある体制を持ちやすい傾向があります。未経験・転職者を迎え入れるためのオンボーディングが整っているケースが多く、20代のポテンシャル採用に積極的な企業が一定数含まれます。

IPを保有するインディー〜小規模スタジオ 少数精鋭の環境でゲーム開発の全工程に関わりたい場合に向いています。年収レンジは控えめになることが多いですが、技術的な裁量と経験の幅が広がりやすいメリットがあります。

ゲーム領域に進出しているIT・Web系企業 既存のITサービス会社がゲーム事業に参入しているケースでは、エンジニア組織の文化や評価制度がWeb業界に近い形で整備されている場合があります。Web系エンジニアとしての経験が活かしやすく、処遇面でも交渉しやすい環境になりやすいです。


よくある質問

Q. ゲームが好きというだけでは選考に不利になりますか?

「ゲームへの情熱」は動機として理解されますが、それ単体では採用判断には直結しません。ゲームへの関心をベースにしながら、技術的な準備や問題解決の姿勢が伴っているかどうかが評価軸です。「ゲームが好き」という文脈は補強材料として機能しますが、選考の中心はエンジニアリングの実力と学習姿勢にあります。

Q. Unityの経験がないと応募できない企業が多いですか?

クライアントサイドの職種ではUnity経験を必須とする企業が多い傾向にあります。一方、サーバーサイドやインフラ寄りの職種では、ゲームエンジン経験を必須としない求人も相当数あります。転職の軸を明確にしたうえで、求人要件を丁寧に精査することが重要です。

Q. 26〜29歳の場合、ポテンシャル採用の対象になりますか?

年齢よりも「転職後に成長できる素地があるか」が判断軸になりやすい傾向があります。26〜29歳でも、技術的な下地とポートフォリオが整っていれば、ポテンシャル採用の対象として選考が進むケースは多くあります。ただし、年齢が上がるほど「即戦力性」への期待が加わる傾向はあるため、学習の進捗と実力の可視化はより重要になります。

Q. 転職エージェントを使うメリットはありますか?

ゲーム業界の求人は一般公開されていないものが一定数あるため、業界に精通したエージェント経由でのアクセスが有効な場合があります。また、ポートフォリオや職務経歴書のフィードバックを受ける観点でも活用価値があります。エージェントを利用する際は、ゲーム・IT領域への知見があるかどうかを選ぶ基準のひとつにすると精度が上がりやすいです。


まとめ

20代でのゲームエンジニア転職は、ポテンシャル採用の間口が広い一方で、「技術的な準備の可視化」と「既存スキルの接続性の言語化」が選考結果を左右しやすい職種です。年収レンジや企業タイプは多様であり、自分のスキルポジションと目指すキャリアの方向性を照合したうえで求人を絞り込む姿勢が重要です。ポートフォリオと職務経歴書の質は、準備期間の長さよりも内容の解像度に依存します。ゲームエンジニアへの転職を検討している場合は、現在の市場における自身の評価感度を確認するところから始めることを推奨します。現在のスキルセットがゲーム業界でどのように評価されうるかを把握したい場合は、業界に詳しいキャリアアドバイザーへの相談が判断を具体化しやすくなる選択肢のひとつです。

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)