ゲームエンジニアの職務経歴書の書き方|書類通過率を上げる実例テンプレート

職種:ゲームエンジニア |更新日 2026/7/4

ゲームエンジニアの職務経歴書は、一般的なWebエンジニア向けのフォーマットをそのまま流用すると、採用担当者・技術責任者の目に留まりにくい。ゲーム開発特有の役割分担・技術スタック・制作規模の表現方法を理解したうえで書かなければ、実力があっても書類選考を通過しにくい構造になっている。

本記事では、ゲームエンジニアが職務経歴書を作成する際に押さえるべき構成・記述の粒度・よく失敗する表現について、実務の観点から整理する。


ゲームエンジニアの職務経歴書が難しい理由

担当領域が多岐にわたり「何の専門家か」が伝わりにくい

ゲーム開発エンジニアの職域は幅広い。クライアントサイド(Unity・Unreal Engineなど)、サーバーサイド(APIサーバー・マッチメイキング・ゲームロジック)、基盤・インフラ、ツール・エディタ拡張、グラフィクス最適化、物理演算、AI行動制御など、一つのタイトルの中でも複数の職種が分化している。

同じ「Unityエンジニア」でも、UI実装を主軸にしている人と、描画パイプラインのパフォーマンス改善を担当していた人とでは、求められるポジションがまったく異なる。職務経歴書においてこの区別が曖昧なまま書かれているケースは多く、採用側から見ると「どのポジションの人材か判断できない」という状態になりやすい。

タイトル数・チーム規模・リリース有無が評価の前提情報になる

Web系のエンジニアであれば「〇〇サービスの機能開発」という記述でも文脈が伝わりやすいが、ゲーム開発においては以下の情報がないと経験の重みが判断しにくい。

これらが抜け落ちていると、採用側は「プロとして完成品を出した経験があるのか」「規模感のある組織で連携した経験はあるか」を読み取れない。


職務経歴書の基本構成と各項目の書き方

ゲームエンジニアの職務経歴書は、以下の順序で構成するとよい。

  1. 職務要約(サマリ)
  2. スキルセット
  3. 職務経歴(タイトル・プロジェクト単位)
  4. その他(個人開発・OSS・登壇・資格等)

職務要約:「何ができる人か」を3〜5文で示す

冒頭のサマリは採用担当者が最初に読む部分であり、ここで「この人はどういうエンジニアか」を判断する。経験年数・主な担当領域・強みの技術的観点・希望との接続、この4点を簡潔に記述する。

記述例(NG版)
「Unityを使ったゲーム開発に5年携わり、様々な機能の開発を担当してきました」

記述例(改善版)
「モバイルゲームのクライアントサイドエンジニアとして5年の経験を持ちます。主な専門はUnityを用いたゲームプレイシステムの設計・実装で、キャラクター行動制御・スキルシステム・戦闘ループの実装を複数タイトルにわたって担当してきました。直近ではチームリードとして4名のエンジニアのタスク管理・コードレビュー・技術選定にも関与しています」

改善版はポジション・技術・規模・直近の役割という情報が1段落に収まっており、採用側がどのポジションに合うかを即座に判断しやすい。

スキルセット:「使える・使ったことがある・業務水準で使える」を分ける

スキルをただ列挙するだけでは、採用側に実力が伝わらない。以下のように習熟度の軸を設けると有効である。

区分記述の目安
業務レベル(主担当)設計・実装・レビューを主体的に行えるもの
業務レベル(サポート)チームで使用しており、実装経験はあるが主担当ではないもの
学習・個人開発レベル業務では未使用だが自己学習・個人プロジェクトで使用したもの

スキルをこの3区分に整理すると、企業側が「このエンジニアに何を任せられるか」を考えやすくなる。なお、スキルシートでよく見られる「C#・Unity・Git・Jira…」という羅列型の記述は、企業の採用担当者が最も読みにくいと感じる形式の一つである。

職務経歴:タイトル単位で構造化して記述する

プロジェクト単位の記述は、以下の情報を一定フォーマットで揃えることが望ましい。

【タイトル名 or プロジェクト概要】
ジャンル・プラットフォーム・リリース状況:
開発規模:エンジニア〇名 / 全体〇名 / 開発期間〇か月
使用技術・エンジン:
担当領域:
主な実装・設計内容:
成果・改善指標(あれば):

リリース済みタイトルであれば名称を記載できるが、NDA(秘密保持契約)等の制約がある場合は「モバイル向けRPGタイトル(社名・タイトル名は非開示)」という表記で問題ない。採用側もこの種の制約には慣れている。


「成果の記述」で差がつくポイント

ゲームエンジニアの職務経歴書で最も書き方に差が出るのが、成果・貢献の記述である。

成果を数値化できる領域と、難しい領域がある。

記述しやすい数値例記述例
パフォーマンス改善描画処理の最適化によりフレームレートを〇fps → 〇fpsに改善
ビルド・CI改善ビルド時間を〇分から〇分に短縮
バグ・クラッシュ率リリース後のクラッシュレートを〇%から〇%に低減
担当範囲スキルシステム全体の設計・実装を単独で担当(コード規模〇KLOC程度)

数値化が難しい場合は「技術的に難易度が高かった点・工夫した点」を記述することで、同等の情報量を補える。「〇〇という課題に対して〇〇というアプローチを採用した。当初〇〇という問題があったが、〇〇を調査・検証した結果〇〇という実装に落ち着いた」という形式は、技術責任者が読んだときに判断材料として機能する。


ケーススタディ:モバイルゲームのクライアントエンジニア・経験5年の例

以下は、モバイルゲームのクライアントサイドを主担当とするエンジニアの職務経歴書改善例(実際の案件を参考にした模式的な例)である。

Before(よく見られる記述)
「Unityを使ったモバイルゲームの開発に従事。UIや戦闘システムなどを実装しました。チームメンバーと協力しながら開発を進めました」

After(改善版)
「モバイル向けターン制RPGタイトル(iOS/Android、リリース済み)のクライアント開発に従事。エンジニア7名のチームにおいて、戦闘システム全体のゲームプレイプログラミングを主担当として担当。スキル発動ロジック・バフ/デバフ管理・敵AIの行動ルーティングをゼロから設計・実装した。開発中盤以降はリードエンジニア補佐として、新規メンバー2名のオンボーディングとコードレビューを担当。リリース後の定常負荷テストにより特定した描画ボトルネックを最適化し、ミドルレンジ端末における安定フレームレートを確保した」

情報量は増えているが、採用側が「この人に何を任せられるか」「技術的にどの水準か」「チームの中でどういう役割を担える人か」を判断できる記述になっている。


よくある質問

Q. 個人開発のゲームは職務経歴書に記載してよいですか?

記載することは有効であり、むしろ積極的に書くべきである。特に転職市場での経験年数が浅い時期や、新しいエンジン・プラットフォームへの挑戦を示したい場合に効果的である。ただし「何を作ったか」だけでなく「どういう技術的観点で実装したか」「公開しているか(ストア・GitHubなど)」も合わせて記述すると情報として機能しやすい。

Q. NDAがあってタイトル名を書けない場合はどう対処しますか?

「タイトル名は非開示(NDA)」「モバイル向けアクションRPG」のようにジャンル・プラットフォームなどの概要情報を記述するだけで、採用側に経験の文脈は伝わる。タイトル名の有無そのものより、担当内容・技術・規模感の記述の精度のほうが評価に与える影響が大きい。

Q. ゲームエンジン(UnityやUnreal Engine)のバージョンも書くべきですか?

大まかなバージョン世代を記述しておくことは有効である。特にUnreal Engineはバージョン間で仕様が大きく異なる場合があり、「UE4とUE5の両方を経験している」という情報は採用側にとって判断材料になりやすい。細かいマイナーバージョンまでは不要だが、「Unity 2020〜2022系」「UE5(5.1以降)」程度の粒度は書いておくとよい。

Q. グラフィクスエンジニアやシェーダーエンジニアといった専門職の場合、一般的な職務経歴書の書き方と何か違いはありますか?

専門職であるほど、技術的な記述の粒度を上げることが重要になる。「シェーダーを書いた」という記述では不十分で、「どのレンダリングパイプラインにおいて」「どの表現課題に対して」「どの手法(PBR・SSS・TAA等)を採用したか」を記述することで、判断できる採用担当者・技術責任者には明確に響く。ポートフォリオ(映像・スクリーンショット・GitHubリポジトリ)と職務経歴書をセットで提示できるとより効果的である。


まとめ

ゲームエンジニアの職務経歴書において最も重要なのは、「担当領域の特定」「タイトルの規模感と自分の関与度の明示」「成果の具体化」という3点の記述精度である。一般的なエンジニア向けのフォーマットをそのまま転用すると、実力が伝わりにくい構造になりやすい。スキルの列挙よりも、プロジェクト単位で構造化された経験の記述のほうが、ゲーム業界の採用担当者・技術責任者の目には情報として機能する傾向にある。個人差はあるが、経験年数よりも「何を・どの規模で・どう解決したか」の記述の解像度が、書類通過率に影響しやすい。自分の経験を言語化しきれているか不安な場合は、ゲーム業界のポジション知識を持つキャリアアドバイザーへの相談を検討する価値がある。

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)