物流DXの選考フロー・面接対策|転職で押さえるべきポイント

物流DX・物流テック 選考フロー・面接対策 更新日 2026/8/11

拠点を見せる工程が入る

物流DXの選考には、IT業界の選考と違う特徴があります。倉庫や配送拠点を見る工程が組み込まれることです。

拠点見学、配送への同乗、荷役作業の立ち会い。形式は会社によりますが、実際の現場を見せる機会を設ける会社が少なくありません。

理由は、この業界の課題が物理的だからです。温度帯、荷姿、動線、フォークリフトの旋回半径。画面の上では見えない制約が、実務を規定します。

もう一つの特徴は、社外との交渉への理解が確かめられることです。荷待ち時間の短縮は自社だけでは完結しません。荷主に受け入れ体制を変えてもらう交渉が要ります。この構造を踏まえているかが問われます。

この記事では、選考の流れと、何が確かめられているのかを整理します。本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。選考の内容は会社と時期によって変わりますので、最新の情報は各社公式サイトをご確認ください。

選考の段階と、確認される内容

段階会う相手主な確認内容
書類選考採用担当扱った物量、時間の実測値、社外交渉の経験
一次面接現場のメンバー前職での役割、業界への理解
拠点見学・同乗拠点の担当者環境への適性、観察の視点
技術面接/実務課題エンジニア・PdM職種に応じた技術の確認
二次面接部門の責任者業務の設計力、顧客への説明のしかた
最終面接役員クラス長期の適性、業界への向き合い方
条件面談採用担当等級、出張・常駐の頻度、手当

3段階目が、この業界に固有の工程です。倉庫は早朝や深夜に動くことが多く、見学の時間帯が通常と異なる場合があります。

見学がない場合 — 荷主企業の物流部門や、コンサルティングの選考では省略されることがあります。その場合、面接での質問で理解度が確かめられます。

拠点見学で見られていること

時間に目が行くか

この業界の課題は時間です。トラックが何台待っているか、1台の荷降ろしに何分かかっているか、待機場所に何時間分の列ができているか。ここに目が行く人は、実務が分かっていると受け取られます。

制約に気づくか

天井の高さ、通路の幅、フォークリフトの動線、温度帯の区分。これらは変えられない制約です。システムの設計は、この制約の内側で行われます。

質問の中身

「このトラックは何時に着きましたか」「予約は取れる仕組みですか」「この書類は誰が誰に渡すものですか」。こうした質問が出ると、業務の流れを追えていると判断されます。

安全への意識

フォークリフトが動く場所では、歩行者の動線が決まっています。指示に従う姿勢が確認されます。ここを軽く扱う人は、拠点に出せないと判断されます。

面接で繰り返される質問

「時間を測ったことはありますか」

この業界で最も重い質問です。実測の数字を持っている人は多くありません。

「社外の相手に、行動を変えてもらった経験はありますか」

荷待ちの短縮は相手がいる交渉です。物流の経験でなくても構いません。

「荷主が受け入れ時間を広げてくれない場合、どうしますか」

正論で押す答えは評価が分かれます。荷主側の事情を聞く順序を示すほうが噛み合います。

「倉庫と配送、どちらに関心がありますか」

課題の性質が違います。倉庫は庫内の動線と人の配置、配送は車両と経路と時間です。

「なぜ物流を選ぶのですか」

「デジタル化が遅れているから」という答えは避けます。労働力が減る前提と、自分が担う部分を話します。

「早朝や深夜の稼働は問題ありませんか」

拠点は通常の勤務時間外に動きます。導入支援の職種では実際に発生します。

制度について問われること

改正物流効率化法

2024年5月に改正された物流効率化法(「物資の流通の効率化に関する法律」)により、規模を問わずすべての対象事業者に、積載効率の向上、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮、実効性の確保 が努力義務として課されました。この部分は2025年度から施行されています。

特定事業者への義務

指定基準以上の事業者は特定事業者として指定され、中長期計画の作成毎年度の定期報告 が義務づけられます。特定荷主および特定連鎖化事業者には、物流統括管理者(CLO)の選任 も義務づけられます。この部分は2026年度から施行される予定です。

指定基準は、特定第一種荷主・特定第二種荷主・特定連鎖化事業者が 取扱貨物重量9万トン以上、特定貨物自動車運送事業者等が 保有車両150台以上、特定倉庫業者が 貨物保管量70万トン以上 とされています。

実効性の担保

措置が著しく不十分な場合、国が勧告を行います。従わない場合は公表され、さらに命令が出される可能性があります。命令に違反した場合は 百万円以下の罰金 とされています。

答え方の要点

数値をすべて覚えている必要はありません。荷主の側に義務が課されたという構造を説明できることが重要です。荷待ちは物流事業者だけでは減らせない、だから荷主に義務を課した。この読み方ができていると、制度の意味を理解していると受け取られます。制度の解釈や個別の判断は事情により変わりますので、国土交通省の公表資料や専門家にご確認ください。

評価が下がる受け答え

3つ目が、この業界に固有の落ち方です。庫内作業の改善は自社で完結しますが、荷待ちは荷主が相手です。改正法が荷主に義務を課したのは、この構造があるためです。社内の改善だけを語ると、中心的な難しさに触れていないと読まれます。

会社のタイプで、選考の重心が変わる

物流テックのスタートアップ — 速度と、製品を作り切る力が見られます。拠点見学が早い段階で入ります。

大手物流事業者のDX部門 — 社内調整の力が中心です。選考の段階数が多くなることがあります。

荷主企業の物流部門 — 制度の理解と部門横断の調整力が問われます。拠点見学より、社内の動かし方への質問が増えます。

ITベンダー・SIerの物流向け部門 — 技術面接の比重が高くなります。複数社の事情を扱う力が見られます。

倉庫自動化のメーカー・インテグレーター — 設備と制御の知識が中心です。機械系の質問が増えます。

近い領域の選考は物流テック業界の企業建設・不動産DXの選考フロー・面接対策もあわせてご覧ください。

エージェントベストの見解

拠点見学で最も差がつくのは、待っているトラックに目が行くかどうかです。多くの方は、庫内のマテハン機器やシステムの画面に関心を向けます。それも自然な反応ですが、この業界の中心的な課題は建物の外にあります。準備としてお勧めしたいのは、見学のあいだに待機中のトラックの台数と、そのうち何台が動いたかを数えておくことです。60分の見学で3台しか動かなければ、1台あたり20分かかっている計算になります。この数字を面接で口にすると、印象が変わります。「見学中に待機が5台、動いたのが3台でした。1台あたり20分前後という理解で合っていますか」と聞ける人は、ほとんどいません。数えるだけで、観察していることが伝わります。

選考中に確認しておきたいこと

  1. 顧客の内訳(荷主か、物流事業者か、倉庫事業者か)
  2. 拠点への出張・常駐の頻度と、時間帯
  3. 導入後の定着まで担当するのか、納品までか
  4. 荷主との交渉に関わる機会があるか
  5. 給与テーブルが物流業界の水準か、IT業界の水準か
  6. 物流出身者が社内に何人いて、どの等級にいるか

1つ目が、扱う課題を決めます。荷主向けの製品と物流事業者向けの製品では、解く問題が違います。

4つ目は、積める経験を左右します。荷主と交渉した経験は、この業界で最も希少な材料になります。

5つ目と6つ目は年収に直結します。詳しくは物流DXの年収相場で整理しています。

エージェントベストの見解

「荷主が受け入れ時間を広げてくれない場合、どうしますか」という質問への答え方で、経験の有無が分かれます。多くの方は、法律を根拠に説得すると答えます。改正法で努力義務が課された、罰則もある、と。しかし現場で効くのは別の順序です。まず、なぜ広げられないのかを聞く。倉庫の人員が朝しか確保できない、検品を担当する人が兼務している、後工程の生産計画が動かせない。理由が分かれば、たいてい別の解き方が見えます。予約枠を分散する、検品を後回しにする、事前に書類を送っておく。制度は交渉のきっかけであって、押し切る道具ではありません。この答え方ができる方は、荷主と向き合えると判断されます。法律を振りかざす答えは、まだ現場を知らないと受け取られます。

まとめ

物流DXの選考について、押さえるべき点を整理します。

選考の進み方や評価の観点は会社と時期によって変わります。詳細は各社公式サイトでご確認ください。制度の内容は国土交通省の公表資料をご確認ください。

よくある質問

Q. 拠点見学は、何時ごろに実施されますか。

A. 倉庫は早朝や深夜に動くことが多く、通常の勤務時間外になる場合があります。案内された時間帯そのものが、その拠点の稼働の実態を示しています。訪問時に何が動いているかを見ておく価値があります。

Q. 物流の専門用語が分からない場合、どうすればよいですか。

A. その場で聞いて構いません。ただし、荷待ち、荷役、積載効率といった改正法の用語は事前に押さえておくと、会話が進みます。用語の意味だけでなく、それが誰の時間かまで理解しておくと差がつきます。

Q. 改正物流効率化法は、どこまで答えられれば足りますか。

A. 努力義務の4項目と、荷主の側に義務が課されたという構造。この2点を説明できれば十分です。指定基準の数値まで言えると、調べたうえで応募していると伝わります。

Q. 早朝や深夜の稼働が難しい場合、応募は避けたほうがよいですか。

A. 職種によります。導入支援では発生しやすく、プロダクト開発では頻度が下がります。選考の早い段階で頻度と時間帯を確認しておくと、入社後のずれを防げます。

出典

本記事は 2026/8/11 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)