経営企画の働き方のリアル|激務度・残業・リモート事情

職種:経営企画 |更新日 2026/7/4

経営企画は「社内コンサル」とも称される職種であり、激務か否か・リモートワークの実態はどうかといった点が、転職前後を問わず多くの関心を集めます。結論から言えば、働き方は企業規模・経営フェーズ・個人の役割範囲によって大きく異なり、一概に「激務」とも「楽」とも言い切れません。本記事では制度・構造・実務の観点から、経営企画の働き方の実態を整理します。


経営企画の業務構造と負荷の発生源

経営企画の業務は大きく三つの軸に分類されます。①経営管理(予算策定・実績管理・KPI設計)、②戦略立案・推進(中期経営計画、新規事業、M&A検討)、③経営層サポート(取締役会資料・IR対応・社内横断プロジェクト)です。

業務負荷が高まりやすいのは、期初・期末・四半期末など経営サイクルの節目です。この時期は予算策定や月次・四半期報告のとりまとめが重なり、残業時間が集中しやすい傾向があります。一方、事業環境が比較的安定している企業では、年間を通じてならすと月20〜30時間程度の残業にとどまるケースも珍しくありません。

負荷の大きさを左右する要因は主に以下の三点です。


企業タイプ別の働き方比較

経営企画の働き方は、企業の規模・業態・成長フェーズによって特性が異なります。以下はあくまで傾向値です。

企業タイプ残業時間の目安リモート比率業務の特徴
大手事業会社(成熟期)月20〜40時間週2〜3日程度制度化された経営管理。業務が分業化されており専門性は深まりやすい
大手事業会社(変革期・再編中)月40〜60時間制限されやすいPMI・構造改革など高強度プロジェクトが発生しやすい
メガベンチャー・成長期SaaS月30〜50時間週3〜フルリモートも経営速度が速く守備範囲が広い。制度構築フェーズも多い
スタートアップ(シリーズB以前)月40〜70時間以上柔軟だが出社多め専任担当が少なく兼務が常態。経営への直接貢献度は高い
外資系事業会社月20〜35時間比較的高め本社レポートラインあり。深夜会議が発生しやすい時期も
大手コンサル出身者が多い企業月30〜50時間職種・ポジション次第プロジェクト型業務が多く、成果物の質への要求水準が高い

リモートワークの実態

経営企画はリモートワーク導入率の高い職種の一つです。ただし、完全フルリモートが定着しているかどうかは、職種特性よりも企業のカルチャーと経営層の意向に依存する部分が大きいのが実情です。

リモートになじみやすい業務

これらは個人作業の比重が高く、場所を問わずアウトプットが出せます。

出社が求められやすい業務

経営企画が担うコア業務には「重要な意思決定の場に物理的に同席すること」が求められるケースが多く、完全リモートでも週1〜2回の出社が実態として発生しやすい傾向があります。

特にIPO準備フェーズにある企業では、監査法人・証券会社との対面折衝が増加し、一時的に出社比率が高まるケースがあります。


ケーススタディ:SaaS企業の経営企画(在籍3年・マネージャー職)

ある従業員数300名規模のSaaS企業で経営企画マネージャーとして在籍した人物の例を型として示します。

入社当初(〜1年目) 四半期ごとの予算策定・KPIダッシュボード管理がメイン業務。月残業は30〜40時間程度。リモート比率は週3〜4日。経営会議の前後1週間は出社が増える周期があった。

2〜3年目(中期経営計画策定・新規事業検討が加わる) 中計策定サイクルが加わり、残業が月40〜55時間程度に増加。ただし在宅でも深夜まで稼働できる環境は整っており、「長時間労働ではあるが場所の柔軟性は高い」という状態。取締役とのやり取りはSlackと週次の対面MTで使い分け。

マネージャー昇格後 IR対応や外部開示資料の責任範囲が増加。決算発表前後の繁忙期(年4回)は残業が月60時間を超える時期も。それ以外の月は落ち着く波型のスケジュール感。

この事例が示すように、経営企画の働き方は通年でフラットな負荷がかかるというより、繁忙期と閑散期の波があるという特性が強いと言えます。


「激務」と感じるかどうかを左右する要素

働き方の満足度は、残業時間の絶対値だけでなく、以下の要素との組み合わせによって変わりやすいです。

コンサルティングファーム出身者が経営企画に転職した場合、「プロジェクトが終わっても仕事が終わらない」という感覚を持つケースがある一方、「決裁者が社内にいる分、実行速度が出る」という点に満足感を覚えるケースも多く見られます。


よくある質問

Q. 経営企画は残業が多い職種と考えておいたほうがよいですか?

一概にそうとは言えません。月残業20時間台のケースも存在します。ただし、期末・四半期末・決算発表前後・中計策定時期は多くの企業で業務負荷が集中する構造にあります。入社前の段階で「繁忙期はいつ頃か」「アドホック案件の頻度」を具体的に確認しておくことが有効です。

Q. 子育て中の方や時短勤務でも経営企画は続けられますか?

企業によって対応は異なります。大手事業会社では時短制度が整備されているケースが多い一方、経営層との即応性が求められる役割では運用上の難しさが生じることもあります。担当業務の内容・ポジション・チーム構成を確認したうえで判断するのが現実的です。

Q. リモートワーク希望で経営企画を探す場合、何を確認すればよいですか?

「週何日のリモートが標準か」に加えて、「取締役会・経営会議の運営に関与するか」「決算対応の頻度と体制はどうか」を確認することを勧めます。職種としてのリモート適性は高い一方、個々の業務の性質によって出社が必要な局面は残ります。

Q. コンサルから経営企画に転職すると、働き方はどう変わりますか?

プロジェクト単位で完結していた業務が、ランニングオペレーション(予算管理・月次報告・社内調整)と組み合わさる形に変わります。深夜・土日対応の頻度は企業にもよりますが、コンサル時代と比べると平準化される傾向が見られます。一方で、社内政治や承認プロセスの複雑さに慣れるまでに時間がかかるケースもあります。


まとめ

経営企画の働き方は、残業時間・リモート比率ともに企業規模・フェーズ・役割範囲によって大きく異なります。「激務職種」という一般的なイメージは、特定の条件下では当てはまりますが、構造的に常態化しているわけではありません。働き方の実態を評価する際は、月次の残業時間だけでなく、繁忙期の集中具合・裁量の大きさ・リモートの運用実態をセットで確認することが重要です。また、担当領域(経営管理寄りか戦略寄りか)によっても業務負荷の質と量は変わりやすいという点を押さえておくとよいでしょう。経営企画への転職を具体的に検討している段階であれば、現在の市場での自分のポジショニングをキャリアの専門家に確認してみることも、選択肢の精度を上げる上で有効です。

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)