DevOpsエンジニアの働き方のリアル|激務度・残業・リモート事情

職種:DevOpsエンジニア |更新日 2026/7/4

DevOpsエンジニアの働き方は、「自由度が高い反面、オンコール対応や障害対応が突発的に発生する」という構造的な特徴を持ちます。リモートワークの普及率が高い職種である一方、深夜帯の対応や精神的な負荷を伴う場面も少なくありません。本記事では、勤務形態・残業実態・リモート環境・インシデント対応の頻度といった切り口から、DevOpsエンジニアの働き方の実態を整理します。


DevOpsエンジニアの業務構造と働き方の多様性

DevOpsエンジニアは、開発(Development)と運用(Operations)の橋渡しを担う職種です。CI/CDパイプラインの構築・維持、インフラのコード化(IaC)、監視・アラートの設計、デプロイ自動化などが主な業務範囲となります。

この業務範囲の広さが、働き方の多様性を生む主因です。同じDevOpsエンジニアでも、以下のように環境によって実態は大きく異なります。

「DevOpsエンジニアは激務か」という問いに単純な答えがない理由は、この構造的多様性にあります。


勤務形態・残業実態の傾向

平均的な残業時間の目安

一般的な目安として、月間残業時間は以下のような傾向があります。組織の成熟度や本番環境の規模感に大きく依存します。

環境の類型残業時間の目安(月)オンコール有無主な負荷要因
スタートアップ(成長期)40〜60時間程度あり(輪番制が多い)インフラ整備と機能開発の並走
スタートアップ(安定期)20〜35時間程度あり監視・改善業務が中心
メガベンチャー・上場企業20〜30時間程度輪番制で週1〜2回程度リリース集中時の対応
大企業・SI系15〜30時間程度少なめプロジェクト工程によって波がある
コンサル・SIベンダー30〜50時間程度案件依存納期・クライアント要件への対応

あくまで相場観・目安であり、同一類型内でも組織文化や体制によって差異があります。

深夜・休日対応の実態

DevOpsエンジニアの業務負荷を考える上で見落とされやすいのが、定時外の対応頻度です。CI/CDパイプラインの障害や本番環境のインシデントは、業務時間外に発生することも多く、オンコール体制に組み込まれているエンジニアは「残業時間の数値には表れにくい心理的負荷」を抱えやすい傾向があります。

成熟した組織では、以下のような対策が整備されています。

逆に言えば、これらの仕組みが整っていない組織では、負荷が特定のメンバーに集中しやすい構造になります。転職先を検討する際は、オンコール体制の設計と補償の有無を確認することが重要です。


リモートワーク・フルリモート事情

DevOpsエンジニアのリモート親和性

DevOpsエンジニアは、IT職種の中でも特にリモートワーク比率が高い傾向があります。その主な理由は以下の通りです。

実態として、Web系プロダクト企業やSaaSスタートアップではフルリモート勤務を採用しているケースが多く見られます。一方、SI・受託系の企業や、金融・公共領域のクライアント案件を抱える環境では、出社や客先常駐が必要になるケースも残っています。

リモート環境が機能する条件

フルリモート環境であっても、以下の要素が整っていなければ実態として機能しにくい側面があります。

特にDevOpsエンジニアは、既存のインフラ構成や暗黙知を引き継ぐ業務が多く、ドキュメントが整備されていない組織では、リモートであっても(あるいはリモートだからこそ)立ち上がりに時間がかかることがあります。


ケーススタディ:SaaS系企業におけるDevOpsエンジニアの1週間

以下は、従業員数100〜300名規模のSaaSプロダクト企業に在籍するDevOpsエンジニアの、標準的な週次業務の型です(フルリモート・月残業20〜30時間程度のケース)。

曜日主な業務補足
スプリント計画MTG参加、CI改善タスクの着手開発チームとの連携が多い
IaCコードのPRレビュー、Staging環境の整備非同期で完結することが多い
モニタリング設定の改善、アラートルールの見直し障害対応の予防的業務
デプロイ自動化のリファクタリング、ドキュメント更新中長期改善タスク
レトロスペクティブ参加、週次の振り返りとタスク整理来週への積み残し確認

加えて、この週に1回程度オンコール当番が回ってくることがあります。深夜帯のアラートが発生した場合でも、即時対応が必要かどうかをSlack上でトリアージし、翌日代休を取得する体制が整備されているケースでは、慢性的な疲弊につながりにくい傾向があります。

この型はあくまで一例であり、リリース直前週や大規模インフラ移行のフェーズでは業務密度が上がることがあります。


激務になりやすい局面と、その見極め方

DevOpsエンジニアが特に負荷の高い状態になりやすい局面は、次の通りです。

転職先や現職の環境を評価する際は、「SLO(サービスレベル目標)やError Budgetが設計されているか」「インシデントのポストモーテム文化があるか」といった指標を確認することで、組織のDevOps成熟度を間接的に把握できます。


よくある質問

Q1. DevOpsエンジニアはSREと同じ働き方ですか?

職種定義は組織によって異なりますが、SRE(Site Reliability Engineer)は信頼性指標に基づいた運用改善に特化しているのに対し、DevOpsエンジニアはCI/CD構築やデプロイ自動化など、開発プロセス全体の効率化に重きを置くことが多い傾向です。ただし、実態として両者の業務が重なる組織も多く、タイトルよりもJDの業務内容で判断することが適切です。

Q2. フルリモートのDevOpsポジションは実際にありますか?

Web系・SaaS系の企業を中心に、フルリモートでの採用事例は一定数あります。ただし、入社後のオンボーディング期間のみ出社を求めるケースや、四半期に一度のオフサイトMTGを設けているケースなど、完全な非出社とは異なる運用をしている組織も少なくありません。募集要項の「フルリモート」の定義を選考の場で確認することを推奨します。

Q3. オンコールが精神的につらい場合、どう対処すべきですか?

まず組織内での改善余地を探ることが現実的です。アラートのチューニング(ノイズを減らす)、ローテーション人数の増員提案、補償制度の整備などについて、上長やチームと対話できる環境かどうかが重要な判断軸になります。構造的な改善が難しい環境であれば、SRE文化が成熟している組織への転職を視野に入れることも選択肢の一つです。

Q4. 年収とリモート・残業の関係はどうなっていますか?

一般的な傾向として、年収水準が高いポジションほどオンコール責任を伴うケースが多く見られます。ただし、オンコール体制が整備されている成熟した組織では、補償や代休制度も手厚い傾向があります。残業時間のみを基準とした評価ではなく、オンコールの頻度・補償設計・体制人数を含めた総合的な労働環境として捉えることが適切です。


まとめ

DevOpsエンジニアの働き方は、組織の成熟度・業種・役割の定義によって大きく異なり、「激務かどうか」は職種そのものより在籍環境で決まる部分が大きい職種です。リモートワーク親和性は高い一方、オンコール対応や本番環境への責任という形で、定時外の負荷が発生しやすい構造的特性があります。転職の際は、CI/CDやSLO設計の成熟度、オンコール体制の設計、ドキュメント文化の有無といった指標を通じて組織の実態を見極めることが、入社後のミスマッチを防ぐ上で有効です。自分のスキルセットや希望する働き方が現在の市場においてどのように評価されるか、専門のキャリアアドバイザーに確認してみることも有益な選択肢といえます。

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)