CRO(最高収益責任者・RVO)のキャリアパス|どこから来て、その先に何があるか

CRO(最高収益責任者) キャリアパス 更新日 2026/8/29

CRO(最高収益責任者、RVOとも表記)は、公開求人としてはほとんど出てこない役職です。実績をもとに指名される形が中心であるため、どういう道筋でここに到達するのかが見えにくくなっています。本記事では、CROに至る5つの入口、CRO経験後に開ける出口、そして任期が短く終わってしまうパターンを整理します。


CROに至る5つの入口

1. 営業責任者・営業本部長から

最も多いルートです。数字への責任と組織マネジメントの経験があるため、素地は満たしています。分岐点は、営業部門の外側に責任範囲を広げた実績があるかどうかです。

これらがないまま昇格すると、肩書きはCROでも実態は営業本部長のままになります。

2. マーケティング責任者・CMOから

需要創出とデータ分析の力は強く、収益構造の分解にも慣れています。課題は、受注の結果責任を負った経験です。マーケティング指標の達成と、売上目標の達成では、負っているリスクの質が異なります。営業組織を一度預かる経験を挟むルートが一般的です。

3. カスタマーサクセス責任者から

サブスクリプション型のビジネスでは、継続と拡大の設計を担ってきた人がCROになる例が増えています。既存収益の作り方を最も理解している立場だからです。埋めるべきは新規獲得の数字を持った経験で、ここが薄いと採用側から「守りには強いが攻めは未知数」と見られます。

4. 事業責任者・事業部長から

損益に責任を持ってきた経験があり、経営との対話にも慣れています。CROとの違いは、製造・開発・管理まで含む範囲を見てきた点で、収益機能に特化した深さが問われます。COOへ進むルートと分岐する位置にいます。

5. 経営企画・コンサルティングファームから

構造分解と経営との対話は強い一方、自分で数字を持ち結果責任を負った経験が問われます。直接CROになる例は少なく、事業会社の営業責任者や事業責任者を経由するのが現実的です。ポストコンサルのキャリアの設計と重なる論点が多くあります。


CROの先にある出口

1. COO(最高執行責任者)

最も多い進路です。収益機能で全体最適を実現した経験は、そのまま業務執行全体の統括に接続します。AXIS Insightsが整理しているキャリア事例でも、IT業界での新規事業立ち上げ、セールス/カスタマーサクセス部門の立ち上げと拡大を経て、CROからCOOやCEOへ進むパターンが共通して見られます。

2. CEO・事業のトップ

自社での昇格に加え、他社の代表として招かれる例もあります。特にプロダクトは強いが売り方が確立していない企業では、収益の作り方を知っている人がトップに立つ意味が大きくなります。

3. 他社のCRO(横移動)

一度CROとして収益機能を作り上げた経験は、同じフェーズの他社で強く求められます。「シリーズBからCへの拡大期を経験した」という実績は、そのフェーズにいる企業にとって最も欲しい経験です。

4. 投資家サイド・複数社の支援

VCやPEファンドの投資先支援ポジション、あるいは複数社の社外役員・アドバイザーという形です。1社に深く入るのではなく、収益機能の型を横展開する立場になります。

5. 独立・自ら創業

営業とマーケティングとCSの全体を設計できる人材は、創業チームとして高い価値を持ちます。プロダクトを作れる共同創業者と組む形での起業例があります。


到達までの現実的な進み方

段階到達したい状態次に向けて作るべきもの
メンバー〜マネージャー数字を安定して作れる。チームを持つ自分の手法を他人に移植した実績
部長・営業責任者組織の数字に責任を持つ隣接部門と共通指標を作った経験
収益機能の統括営業・マーケ・CSを横断して見る価格設計、予算配分の決定経験
CRO経営会議・取締役会で収益を説明する悪い数字を早期に出し、計画を立て直した実績

見落とされやすいのは3段目です。営業責任者から一気にCROへ飛ぶより、マーケティングやCSを兼任する期間を挟んだ方が、実質的な権限を持つCROになれます。


任期が短く終わる3つのパターン

1. 権限がないまま責任だけを負う

肩書きはCROでも、マーケティング予算やCS体制の決定権が他の役員にあると、数字の責任だけを負う構造になります。入社前に「何に対して決定権を持つか」を文書で確認していないと起きやすい事故です。

2. 期待されている時間軸が合っていない

収益機能の再設計は半年から1年かかります。一方で採用側が「入社3か月で数字を戻してほしい」と考えている場合、着任直後から評価が乖離します。選考時に、いつまでに何を期待しているかを具体的に確認しておく必要があります。

3. 前任者が退任した理由を確認していない

CROが交代する背景には、権限設計の問題、CEOとの方針不一致、そもそも事業モデルに無理がある、といった構造的な原因があることが少なくありません。前任者がなぜ辞めたかを、複数の関係者から確認してください。同じ理由で自分も辞めることになります。


よくある質問

Q1. CROになるには何歳くらいが一般的ですか?

30代後半から40代が中心ですが、スタートアップでは30代前半での就任例もあります。年齢より、営業・マーケティング・カスタマーサクセスのうち2領域以上で責任を持った経験があるかどうかが実質的な条件です。

Q2. CROを経験した後、また現場に戻ることはできますか?

可能です。事業責任者や営業責任者として、より大きな組織に移る例があります。ただし、一度経営層として意思決定した経験があると、権限が狭い環境に戻ったときの不満が生じやすい点は考慮が必要です。

Q3. 業務委託でCROを務めるキャリアはありますか?

複数社の収益機能を支援する形は成立します。ただし、意思決定権を持たない立場になることが多く、提案は通っても実行が進まないという状況に陥りがちです。契約時に、どの会議に出席し、何を決められるのかを明確にしておく必要があります。

Q4. CROとCOOはどちらを目指すべきですか?

収益の作り方を極めたいならCRO、事業全体の執行を見たいならCOOです。ただし実務上は、CROとして収益機能を作り上げた人がCOOに進む流れが多いため、順序の問題として捉える方が現実的です。CROを経ずにCOOになると、収益機能の細部を判断できず、営業組織から信頼を得にくい場面があります。


まとめ

CROは、営業責任者だけでなく、マーケティング責任者・カスタマーサクセス責任者・事業責任者・経営企画のいずれからも到達できる役職です。共通して問われるのは、自分の担当領域の外側まで責任範囲を広げた経験があるかどうかです。そしてCROの先には、COO・CEO・他社CRO・投資家サイド・創業という複数の出口が開けています。任期を全うできるかどうかは、着任前に「何に対して決定権を持つか」「いつまでに何を期待されているか」「前任者はなぜ辞めたか」の3点を確認できているかで決まります。

出典

本記事は 2026/8/29 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)