総合コンサルティングファーム(Big4)の年収相場|転職で押さえるべきポイント
「Big4の年収」という数字は存在しない
Big4の年収を調べると、さまざまな数字が出てきます。しかし、Big4という括りでの公的統計はありません。
理由は2つあります。ひとつは、Big4が単一の法人ではなくグループであること。監査法人、税理士法人、コンサルティング法人、FASなど、複数の法人で構成されています。
もうひとつは、領域によって水準が違うことです。戦略領域とIT領域では、同じファームでも報酬の設計が異なります。
参照できる区分
| 区分 | 平均年収 | 平均年齢 | 労働時間 | 時間当たり賃金 | 有効求人倍率 | 就業者数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 公認会計士 | 810.8万円 | 42.2歳 | 月150時間 | 4,304円 | 0.32 | 21,850人 |
| 経営コンサルタント | 1,134.6万円 | 39.4歳 | 月162時間 | 5,497円 | 0.57 | 82,920人 |
| ITコンサルタント | 889万円 | 38.3歳 | 月173時間 | 4,026円 | 0.89 | 656,770人 |
いずれも厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の数値です(平均年収は令和7年賃金構造基本統計調査、有効求人倍率は令和6年度、就業者数は令和2年国勢調査)。
この記事では、これらをどう使って自分の年収を見積もるかを整理します。本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の条件は各社公式サイトをご確認ください。
公認会計士の810.8万円を、どう読むか
3つの区分のなかで、公認会計士の平均年収が最も低くなっています。この数字は誤解を生みやすい部分です。
労働時間が短い
月 150時間 は、経営コンサルタントの162時間、ITコンサルタントの173時間より短くなっています。時間当たり賃金で見ると 4,304円 で、ITコンサルタントの4,026円を上回ります。
求人賃金は高い
求人賃金は月額 40.9万円 とされており、経営コンサルタントの28.3万円、ITコンサルタントの35.4万円より高くなっています。入口の水準は最も高いという構造です。
有効求人倍率0.32という数字
3つのなかで最も低い数字です。就業者数も21,850人と少なくなっています。募集が少なく、資格保有者が限られる市場です。
読み取れること
平均年収が低く見えるのは、労働時間の短さと、独立開業を含む多様な働き方が含まれることが影響していると考えられます。Big4のコンサルティング部門の水準を推し量る材料としては、経営コンサルタントやITコンサルタントの区分のほうが近くなります。
領域で、乗る水準が変わる
| 領域 | 水準の傾向 | 補足 |
|---|---|---|
| 戦略・事業計画 | 高め | 戦略ファームと競合するため、水準を合わせる必要があります |
| M&A・財務アドバイザリー | 高め | 案件の単価が高く、成果の反映もあります |
| リスク・内部統制 | 中〜高 | 資格保有者への加算がある場合があります |
| 業務改革・オペレーション | 中程度 | 工数に紐づく設計になりやすい領域です |
| IT・システム導入 | 中程度 | 人数が多く、単価は抑えられます |
| 人事・組織 | 中程度 | 案件の規模が比較的小さくなります |
| サステナビリティ | 中程度 | 制度対応が中心で、工数型になりやすい領域です |
同じ職位でも差が出る
ファーム共通の職位体系があっても、領域ごとに実際の支給額が調整されることがあります。とくに戦略領域は、外部の市場水準を意識した設計になりやすくなります。
確認すべき点 — 応募先の領域が、ファーム共通の給与テーブルに乗っているのか、領域固有の設計があるのか。ここが年収を最も左右します。
職位体系が明確であることの、利点と制約
Big4の特徴は、職位体系が整備されていることです。監査法人と同じグループにあり、人事の仕組みが確立しています。
利点
- 次の職位までの目安年数が示されている
- 職位ごとのレンジが明確
- 評価の基準が文書化されている
制約
- 同じ職位に留まる限り、大きくは動かない
- 成果を出しても、職位を飛ばして上がることは少ない
- レンジの上限が決まっている
転職時に最も効くこと
提示された金額ではなく、どの職位で入るかです。一段違うと、その後数年の水準が変わります。
交渉の材料
- 前職での役割(担当か、主導か、責任者か)
- チームの規模(何人を動かしたか)
- 案件を完了まで見届けた経験
- 領域の専門性
確認すべき3点
- 入社時の職位と、その職位のレンジ
- 次の職位までの目安年数
- 直近3年で、その職位から上がった人の割合
3つ目が、制度と運用の差を示します。
独立性の制約が、報酬に効いてくる経路
Big4に固有の事情です。年収の見通しに間接的に影響します。
構造
グループの監査クライアントには提供できない業務があります。その結果、特定の業界や企業群での案件が限られることがあります。
報酬への影響
案件の量は、部門の収益に直結します。制約により案件が限られる領域では、増員が抑えられ、昇進の機会も少なくなります。
確認のしかた
具体的な社名は答えてもらえませんが、その領域の直近の人員推移は聞けます。増えている領域は、案件があり、昇進の機会もあります。
逆に有利になる場合
グループの監査クライアントでない企業群を主戦場にしている領域では、この制約が効きません。IT領域や業務改革領域には、そうした案件が数多くあります。
エージェントベストの見解
オファーを比較するとき、稼働時間を織り込んでいない方が多くいます。job tagの区分では、公認会計士が月150時間、経営コンサルタントが月162時間、ITコンサルタントが月173時間とされています。23時間の差があります。Big4のコンサルティング部門では、案件の局面によって稼働が大きく変動します。システム導入の稼働直前や、決算期に重なる案件では、平常時を大きく上回ることがあります。確認していただきたいのは、みなし残業代の時間数と、それを超えた分の扱いです。年収1,000万円でも、月200時間を超える稼働が常態であれば、時給換算では前職と変わらないことがあります。提示された年収を、想定される稼働時間で割ってみる。この一手間で判断が変わることがあります。
グループ内の法人によって、体系が違う
Big4はグループであり、複数の法人で構成されています。年収を考えるとき、自分がどの法人に所属するかが前提になります。
主な法人
- 監査法人
- コンサルティング法人
- FAS(財務アドバイザリー)
- 税理士法人
それぞれで体系が違う
同じグループでも、法人が違えば給与テーブルも就業規則も別に定められていることがあります。職位の名称が似ていても、対応する水準が同じとは限りません。
グループ内の移動
法人をまたぐ移動が制度として用意されていることがあります。ただし、移動時に職位がそのまま持ち運べるかは会社によります。
確認すべき点
- 内定通知に記載される雇用契約の相手方はどの法人か
- その法人の職位体系は、他の法人と共通か
- 法人をまたぐ移動の際、職位はどう扱われるか
3つ目は聞きにくい質問ですが、数年後を考えると重要です。監査法人からコンサルティング法人へ、あるいはFASへ。この移動が現実的な選択肢になる業界だからです。
判断のしかた — 提示された年収が同じでも、所属する法人によってその後の上がり方が変わります。法人名まで確認したうえで比較する必要があります。
オファーで確認すること
- 入社時の職位と、その職位のレンジ
- 次の職位までの目安年数と、上がる条件
- 応募する領域が、ファーム共通の給与テーブルに乗っているか
- みなし残業代の有無と時間数、超過分の扱い
- 賞与の算定根拠(個人の成果か、部門の業績か、法人全体か)
- 資産運用の制限があるか
5つ目が、実際の受取額を左右します。法人全体の業績に連動する設計では、自分の部門が好調でも支給が伸びないことがあります。
6つ目は、この業界に固有の確認事項です。独立性の観点から、個人の株式保有に制限がかかる会社があります。入社前に確認しておく価値があります。
近い領域の水準は戦略コンサルティングファームの年収相場、ITコンサルタントの年収相場、業務改革コンサルタントの年収相場もあわせてご覧ください。
エージェントベストの見解
Big4を検討される方に、資格手当の扱いを確認することをお勧めしています。公認会計士、税理士、中小企業診断士、情報処理技術者試験の高度区分。これらに対して手当がある会社と、ない会社があります。ある場合も、月額の固定なのか、職位に組み込まれているのかで意味が変わります。job tagの公認会計士の区分では、入職前訓練が3年超〜5年以下が最多(29.8%)、入職後訓練も3年超〜5年以下が最多(36.2%)とされています。取得と一人前になるまでに、それぞれ数年かかる資格です。その投資に対して、入社後どう報われるかは会社によって差があります。取得を検討している方は、応募先の扱いを先に確認しておくと、学習の優先順位が決まります。
まとめ
総合コンサルティングファーム(Big4)の年収相場について、押さえるべき点を整理します。
- Big4という括りでの公的統計はない。複数の法人と複数の領域の集合体
- 公認会計士810.8万円は労働時間150時間と短く、時給4,304円ではITコンサルを上回る
- 公認会計士の求人賃金は月額40.9万円で最も高い。入口の水準は高い
- 領域によって水準が違う。戦略・M&Aは高め、ITは人数が多く抑えられる
- 職位体系が明確なため、転職で最も効くのはどの職位で入るか
- 独立性の制約により案件が限られる領域では、増員と昇進の機会も少なくなる
本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。統計の数値は調査区分全体のものであり、特定の企業の実態を示すものではありません。詳細は各社公式サイトでご確認ください。
よくある質問
Q. 公認会計士の平均年収が低いのは、なぜですか。
A. 労働時間が月150時間と短いことが影響していると考えられます。時間当たり賃金は4,304円で、ITコンサルタントの4,026円を上回ります。また、独立開業を含む多様な働き方が区分に含まれます。
Q. 領域によって、どのくらい差がありますか。
A. 公開情報から具体的な差を示すことはできません。ただし、戦略領域は戦略ファームと競合するため水準を合わせる必要があり、IT領域は人数が多く単価が抑えられる構造です。応募先の給与テーブルの設計を確認する必要があります。
Q. 職位を交渉することはできますか。
A. 選考の過程で、前職の経験がどの職位に相当するかが評価されます。その評価に対して材料を出すことはできます。担当したチームの規模、案件を完了まで見届けた経験、領域の専門性が交渉の材料になります。
Q. 資産運用の制限は、実際にありますか。
A. 会社によって運用が異なります。独立性の観点から、個人の株式保有に制限がかかることがあります。コンサルティング部門の社員も対象になる場合があるため、入社前の確認をお勧めします。
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)/公認会計士
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)/経営コンサルタント
- 厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)/ITコンサルタント
本記事は 2026/8/11 時点の公開情報にもとづいて作成しています。