事業企画の志望動機の書き方|転職で押さえるべきポイント

事業企画 志望動機の書き方 更新日 2026/8/10

「事業の上流に関わりたい」では通らない

事業企画の志望動機で最も多いのが、「事業の上流に関わりたい」「経営に近い立場で仕事がしたい」という書き方です。方向としては自然ですが、選考では材料になりません。

理由は2つあります。応募者の多くが同じことを書くこと。そしてもう一つ、この職種は上流だけを担う仕事ではないことです。実際には、数字を集め、関係部署を説得し、決まった後の進捗を追いかける工程が大半を占めます。上流という言葉から想像される仕事とは、時間の使い方が違います。

この記事では、志望動機を3つの要素に分解し、何を書けば実務を分かっていると伝わるかを整理します。本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項は各社公式サイトをご確認ください。

志望動機に入れる3つの要素

要素書く内容材料の出どころ
何を動かしたか自分が立てた案が、実行されて何が変わったか自分の実務
なぜこの事業か収益構造をどう理解し、どこに論点があると見るか公開情報、サービスの実物
何をするつもりか入社後に着手したい領域と、確認したい点上記2つの接続

1つ目が要になります。企画を立てた経験は多くの応募者が書きます。差がつくのは、その企画が決裁を通り、実行され、結果がどうなったかまで書けているかどうかです。

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、この職業に必要なスキルとして文章力が最上位に挙げられ、傾聴力、他者とのかかわり、読解力が続きます。発想力ではなく、読み書きと折衝の力が評価される職種であることが読み取れます。志望動機の文章そのものも、その能力を示す材料になります。

企画ではなく、実行の話を書く

書類で最も効くのは、権限がない状態で人を動かした場面です。この職種は、決裁権を持たずに他部署に協力を求める場面が多いためです。

書くとよい要素

  1. 何を提案したか(1文で言える形に絞る)
  2. 誰を巻き込んだか(部署と立場。氏名は書かない)
  3. どこで止まったか(反対、優先順位、予算など)
  4. どう動かしたか(伝え方を変えた、順序を変えた、条件を変えた)
  5. 結果として何が変わったか(数字があれば添える)

3つ目を書く方は多くありません。すんなり通った話ばかりが並ぶと、難易度の低いテーマを扱っていたのではないかと読まれます。詰まった箇所とその解き方があると、実務の解像度が伝わります。

通らなかった企画も材料になる

決裁が下りなかった案件でも構いません。なぜ通らなかったか、その後どう修正したかが書いてあれば、判断の過程が伝わります。むしろ、通った話だけを並べるより誠実に映ります。

数字をどう書くか

社内固有の指標名をそのまま書かない

自社でしか通じない指標名を使うと、読み手が理解できません。何を測るための数字だったかを添えます。「稼働率」「消化率」といった言葉は、会社ごとに定義が違います。

規模より変化を書く

扱った事業の売上規模を書く方は多いのですが、読み手が知りたいのは自分が関与した部分です。担当前と担当後で何が変わったかを書くほうが伝わります。

計画と実績の差を書く

予実の差異をどう説明し、どう修正したかは、この職種で評価される記述です。計画どおりに進んだ話より、ずれたときの対応のほうが実力が表れます。

機密に触れない

具体的な売上額や利益率が社外秘の場合、「前年比で二桁の改善」といった粒度で足ります。構造が伝われば十分です。

応募先の事業をどう調べるか

「なぜこの事業か」に厚みを持たせるには、収益構造から入ります。

  1. 誰から、何に対して対価を得ているか — 課金の単位が何かを特定する
  2. 料金体系 — 従量か定額か、初期費用があるか。単価の水準
  3. 顧客の規模と業種 — 導入事例から読み取れます
  4. 直近1年のプレスリリース — 何に投資しているかが分かります
  5. 採用中の他職種 — 組織のどこを厚くしようとしているか

そのうえで、「この収益構造なら、単価より継続期間のほうが効くはずで、そこに論点があるのではないか」といった形で見立てを書きます。外れていても構いません。仮説であることを示し、確認したい点を添える形にします。

内部情報を知らないのに断定すると、かえって警戒されます。

よくある弱い志望動機と、その直し方

「幅広い業務に挑戦したい」

何でもやりたいと読まれ、専門性が見えません。直すには、自分が最も貢献できる型を1つ選んで示します。

「経営視点を身につけたい」

学びたいという表明であって、提供できるものが書かれていません。直すには、既に持っている視点を先に置きます。

「データを活用した意思決定に関心があります」

抽象的です。直すには、実際に自分がデータを根拠に判断を変えた場面を書きます。

「成長中の企業で裁量を持って働きたい」

多くの応募者が書きます。直すには、前職で裁量がない状態でも動かした事例を添えます。

前職の意思決定の遅さを批判している

事実であっても避けたほうが無難です。同じことをこの会社でも言うだろうと推測されます。遅い環境のなかで何を工夫したかを書くほうが評価されます。

エージェントベストの見解

書類で通過率が変わるのは、社内の誰を巻き込んだかが具体的に書かれているかどうかです。この職種は権限のない状態で人を動かす仕事なので、そこが実務能力の中心にあります。多くの方は「関係部署と連携し」という一文で済ませます。読み手が知りたいのは、どの部署の、どういう立場の人に、どの順で話を通したかです。営業部門の現場から先に賛同を得て、その声を持って部門長に上げた。あるいは、開発の工数見積もりを先に取ってから経営会議に出した。こうした段取りが書いてあると、入社後の動き方が想像できます。役職名だけでは伝わりません。順序と理由まで書くと、同じ経験でも読まれ方が変わります。

骨子の組み立て方

完成した文章をそのまま使うことはおすすめしません。面接で、書いた本人の考えかどうかが確かめられるためです。ここでは骨子だけを示します。

構成の順序

  1. これまで担当した事業の性質と、自分の役割(1〜2文)
  2. 自分が提案し、実行され、結果が出た事例(2〜3文)
  3. 応募先の収益構造について、公開情報から読み取れること(1〜2文)
  4. そこに立てられそうな論点と、確認したい点(2文)
  5. なぜ今動くのか(1文)

分量の目安

400〜600字程度が読まれやすい範囲です。この職種では、文章の構成そのものが評価の対象になります。長く書くより、要点を絞れているかが見られます。

注意点

面接で使う一枚を用意しておく

この職種の選考では、口頭の説明だけでは伝わりにくい場面があります。担当した企画の構造を説明するとき、図や表があれば早いのに、言葉だけで説明することになるためです。

そこで、自分の代表的な企画を1枚にまとめておくと役に立ちます。提出を求められなくても、面接で説明する際の頭の整理になります。

入れる内容

機密に触れる部分は伏せ、構造だけを残します。この整理をしておくと、面接でどの角度から質問されても答えられるようになります。

多くの方は、経歴を時系列で説明する準備はしますが、1件を深く語る準備をしていません。この職種の面接は1件を掘り下げる形になることが多いため、時系列の説明より効果があります。

面接で掘られる点

2つ目と3つ目が、この職種の選考で重視されます。計画どおりに進んだ話だけを用意していると、ここで詰まります。

参考になる書き方事業企画の志望動機事業企画の職務経歴書経営企画の志望動機事業開発(BizDev)の志望動機をご覧ください。

選考の流れと条件面は、事業企画の選考フロー・面接対策事業企画の年収相場をご確認ください。

エージェントベストの見解

面接の終盤で問われるのは、うまくいかなかった企画をどう畳んだかです。事業企画の選考では成功事例を聞かれる場面が多いのですが、判断が分かれるのは撤退や縮小の扱い方です。「他部署の協力が得られませんでした」で終わってしまう方が一定数います。聞かれているのはその先で、いつ、何を根拠に、やめるべきだと判断したのかという点です。準備としては、途中で止まった企画を1つ選び、続けるか止めるかを判断した時点と、その根拠を言語化しておくことです。実務では、始めることより畳むことのほうが難しい。畳んだ経験を語れる方は、入社後に無理のある企画を抱え込まないと判断されます。成功事例だけを並べる方より、印象に残ります。

まとめ

事業企画の志望動機について、押さえるべき点を整理します。

本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。選考で重視される点は会社によって異なりますので、詳細は各社公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q. 企画が実行されなかった場合、書かないほうがよいですか。

A. 書いて差し支えありません。なぜ通らなかったか、その後どう修正したかが伴っていれば、判断の過程が伝わります。通った話だけが並ぶより誠実に映ります。

Q. 売上規模の大きい事業を担当していたことは、アピールになりますか。

A. 規模そのものより、自分が関与した部分と、その結果の変化が見られます。大きい事業の一部を担当していた場合、担当範囲を明確に書くほうが伝わります。

Q. 未経験から事業企画に応募する場合、何を書けばよいですか。

A. 現職で自部門の数字を分析し、改善を提案して実行された場面を探します。職種名が違っても、動かした経験があれば材料になります。規模は問われません。

出典

本記事は 2026/8/10 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)