サステナビリティコンサルタントの転職難易度|転職で押さえるべきポイント

サステナビリティコンサルタント 転職難易度 更新日 2026/8/11

「関心がある」だけでは届かない

サステナビリティコンサルタントの求人に応募する方の多くが、環境や社会の課題への関心を志望の理由に挙げます。動機としては真っ当ですが、選考では材料になりません。

この職種で採用側が確かめたいのは、もっと具体的なことです。数字を集めて作れるか。そして、それを事業の言葉で説明できるか

理由は、この職種の仕事の中身にあります。案件の多くは開示や報告に紐づいており、期日が決まっています。求められるのは理念ではなく、期日までに証跡の揃った数字を出すことです。

一方で、この領域は制度の広がりとともに需要が増える局面にあります。この記事では、何が難易度を決めているのかを分解します。本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項は各社公式サイトをご確認ください。

何が評価されるか

見られる点通りやすい状態説明が要る状態
データの扱い散在するデータを集めて整えた経験がある整ったデータを分析していた
部門横断の調整事業部門から情報を引き出した経験がある自部門で完結していた
期日管理決算や監査など、動かない期日を守ってきた期日が柔軟な業務だった
開示・報告有価証券報告書や統合報告書に関わった社内資料が中心だった
領域知識排出量算定、基準の読解、環境法令関心のみ

1つ目が起点になります。この職種の実務は、整ったデータを分析する仕事ではありません。工場、営業所、子会社が別々の形式で持っている数字を集め、単位と期間と範囲を揃える作業から始まります。

3つ目は、意外に重く見られます。開示は有価証券報告書の一部になりました。期日が動かない世界です。経理や監査対応の経験がある方は、この点で有利になります。

5つ目は、あると強い材料ですが、なくても入口が閉じるわけではありません。1つ目から4つ目が揃っていれば、領域知識は入社後に積める前提で採る会社があります。

大学院卒が3分の1を占める区分

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の「経営コンサルタント」の区分を見ると、学歴の分布に特徴があります。

大卒66.0%、修士課程卒28.3%、博士課程卒5.7%。修士と博士を合わせると34%で、3分の1を超えます。

この数字の読み方

大学院卒でないと入れない、という意味ではありません。大卒が3分の2を占めています。ただし、専門的なバックグラウンドを持つ人が一定割合いる領域だということは押さえておく価値があります。

サステナビリティ領域では、環境科学、化学、エネルギー工学、統計といった素地が実務で効く場面があります。排出係数の妥当性、推計手法の選択、シナリオ分析。理系の訓練を受けた人が入りやすい構造があります。

文系出身の場合に補うもの

3つ目は、法務や経理の経験がある方には馴染みやすい部分です。基準の要求事項を特定し、自社の実態と突き合わせる作業は、規程を読む作業と構造が似ています。

その他の統計 — 同じ区分では、平均年収 1,134.6万円、平均年齢 39.4歳、有効求人倍率 0.57(令和6年度)、求人賃金は月額 28.3万円(令和6年度)、労働時間は月 162時間、就業者数 82,920人。入職後訓練は 2年超〜3年以下が最も多い(20.8%) とされています。

出身別に、どこを補うことになるか

監査法人・会計事務所から

期日管理、証跡の残し方、基準の読解。この3つがそのまま接続します。補うのは、事業の理解と排出量算定の技術です。この領域では最も入りやすい出身のひとつです。

事業会社の環境・CSR部門から

算定の実務と社内調整の経験は直接評価されます。補うのは、複数社を短期間で回す速度です。1社を数年かけて見る仕事と、案件を並行させる仕事では、進め方が変わります。

メーカーの技術・生産部門から

エネルギー使用の実態と、工程の理解が強みになります。補うのは、開示文書の作成と、経営への説明です。現場の数字を、投資家が読む文書に変換する工程が新しくなります。

ITコンサルティングから

データを集めて整える技術は直接使えます。補うのは、領域の知識です。排出量の算定は、システム構築とは別の前提知識を要します。

金融機関から

投資家の関心を理解している点が評価されます。補うのは、事業側の実務です。数字を読む側から作る側に回ります。

戦略コンサルティングから

論点設定と経営への提案力が評価されます。補うのは、算定の細部です。この領域では、方針だけでは案件が完結しません。

制度が広がる局面で、採用側が見ていること

義務づけの現在地

令和8年2月20日に公布・施行された内閣府令により、平均時価総額が1兆円以上の上場会社に対し、有価証券報告書等でのサステナビリティ情報の記載が義務づけられました。適用は 3兆円以上が2027年3月期から、3兆円未満1兆円以上が2028年3月期から です。

金融審議会のワーキング・グループのロードマップでは、3兆円以上が68社(54.1%)、1兆円以上が171社(72.5%)、5,000億円以上が284社(80.8%) と、時価総額に応じた社数とカバレッジが示されています。

採用への影響

対象社数は68社から段階的に増えます。コンサルティングの需要は時価総額ではなく社数で増えるため、案件が増える局面がこれから数年続く構造です。

ただし、採用側が見ているのは制度に詳しいかではありません。制度が確定していないことを理解しているかです。5,000億円以上への適用は「国内外の動向等を注視しつつ、引き続き検討していく」とされ、5,000億円未満は「今後検討」とされています。

「2029年から284社が対象になるので需要が伸びます」と断言する応募者より、「1兆円以上までは決まっており、その先は検討中と理解しています」と言える応募者のほうが、この領域では信頼されます。

通らない応募に共通していること

2つ目が最も多い落ち方です。データ分析の経験を書く方は多いのですが、この職種で必要なのは、そもそも存在しないデータを社内から集めて形にする作業です。前職でその経験があるなら、分析より先にそちらを書きます。

今から準備できること

  1. 散在データを集めた経験を切り出す — 誰から、どう引き出したかまで書きます
  2. 算定の基本の型を押さえる — 活動量×排出係数という考え方
  3. Scope1・2・3の違いを説明できるようにする — 難度が違う理由まで
  4. 開示制度の現在地を整理する — 1兆円以上まで確定、その先は検討中
  5. 期日の厳しい業務経験を前に出す — 決算、監査、報告書の提出
  6. 応募先の案件傾向を見る — 開示支援中心か、戦略支援中心か

3つ目は、面接で確かめられることが多い部分です。Scope1と2は自社データで算定できる一方、Scope3は他社の排出であり推計に頼ることになります。この違いを説明できると、実務の解像度があると受け取られます。

隣接領域は事業再生コンサルタントの転職難易度DX推進担当の転職難易度経営企画の転職難易度もあわせてご覧ください。

エージェントベストの見解

書類でよく見かけるのが、資格や研修の受講歴を並べた書き方です。この領域は制度が新しく、認定や講座が次々に生まれています。しかし採用側が見ているのは、受講したかどうかではありません。集めにくいデータを集めた経験があるかです。たとえば「国内18拠点と海外3社から、形式の異なるエネルギー使用データを収集し、単位と期間を統一して集計した」という一文があれば、この職種の実務ができると伝わります。資格の一覧より、この1行のほうが効きます。もう一点、断られた経験を書ける方は強くなります。事業部門は本業で忙しく、データ提供の依頼は後回しにされます。どう優先順位を上げてもらったかを語れる人は、入社後の立ち上がりが速いと判断されます。

応募先の型で、求められる経験が違う

総合系コンサルティングファーム — 開示支援の案件が多く、体制も整っています。採用の枠が比較的大きい一方、応募も集中します。

監査法人系のアドバイザリー — 基準の解釈と保証への対応が中心です。会計・監査の出身者が評価されやすくなります。

環境専門のコンサルティング会社 — 算定や環境法令の知識が求められます。専門性が付きやすい一方、経営の議論からは距離があることがあります。

戦略系ファームのサステナビリティ部門 — 事業ポートフォリオや投資判断に踏み込みます。戦略案件の経験が問われます。

事業会社のサステナビリティ部門 — コンサルティングではありませんが、選択肢に入ります。支援する側ではなく、社内を動かす立場です。

エージェントベストの見解

この領域への転職で、入社後に想定と違ったと感じる方が一定数います。理由はほぼ共通していて、環境への貢献を期待して入ったが、実際は資料作成と数字の突き合わせだったというものです。これは能力の問題ではなく、案件の構成を知らずに入ったために起きます。応募先を選ぶときに確認していただきたいのは、直近1年の案件のうち、開示支援と削減施策の支援がそれぞれ何割かという点です。多くのファームでは前者に寄ります。制度対応に予算がつくためです。削減施策や事業変革に関わりたい場合、その比率が高いファームを選ぶ必要があります。あわせて、1人あたりの担当クライアント数も聞いておくと、1社にどれだけ深く入れるかが見えます。

まとめ

サステナビリティコンサルタントの転職難易度について、押さえるべき点を整理します。

本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。統計の数値は調査区分全体のものであり、特定の企業の実態を示すものではありません。制度の解釈や個別の判断は事情により変わりますので、専門家にご確認ください。

よくある質問

Q. 環境系の資格は転職に有利ですか。

A. 入口を広げる材料にはなりますが、それだけで通るわけではありません。採用側が見ているのは、集めにくいデータを集めた経験と、期日を守った実績です。資格の一覧より、実務の1行のほうが効きます。

Q. 未経験からでも入れますか。

A. 領域未経験からの参入は現に起きています。監査法人、事業会社の環境部門、メーカーの生産部門、ITコンサルティングなど、隣接領域からの転職が中心です。まったく異なる職種からの場合は、データ収集と部門横断の調整の経験を軸に組み立てます。

Q. 需要は今後も伸びますか。

A. 1兆円以上の会社への適用までは決まっています。その先の5,000億円以上については引き続き検討とされ、5,000億円未満は今後検討です。確定していない部分があることを踏まえて判断する必要があります。

Q. Scope3を扱った経験がないと不利ですか。

A. あると強い材料ですが、必須とする募集ばかりではありません。Scope1・2の算定を一通り回せることを示したうえで、Scope3が推計に頼る理由を説明できれば、理解度は伝わります。

出典

本記事は 2026/8/11 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)