プロジェクトマネージャ試験は働きながら受かるか|合格率と学習の組み立て
合格率14.3%をどう読むか
プロジェクトマネージャ試験は、情報処理技術者試験の高度区分のひとつです。IPAの発表によれば、令和7年度は次の結果でした。
- 応募者数:13,540名
- 受験者数:8,511名
- 合格者数:1,219名
- 合格率:14.3%
- 合格者の平均年齢:37.7歳
同じ年度の高度区分と並べると、位置づけが見えてきます。
| 試験区分 | 合格率 | 合格者平均年齢 |
|---|---|---|
| プロジェクトマネージャ(令和7年度) | 14.3% | 37.7歳 |
| ITサービスマネージャ(令和7年度春期) | 14.7% | 40.0歳 |
| ITストラテジスト(令和7年度春期) | 15.0% | 40.4歳 |
| システムアーキテクト(令和7年度春期) | 15.5% | 36.8歳 |
| ネットワークスペシャリスト(令和7年度春期) | 17.8% | 34.1歳 |
| 応用情報技術者(令和7年度春期) | 22.1% | 29.0歳 |
高度区分のなかでも合格率が低い側にあります。ただ、この数字をそのまま「難しい」と読むと判断を誤ります。本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の試験情報はIPA公式サイトをご確認ください。
数字の実態は「受けない人が多い試験」
まず見るべきは、応募者13,540名に対して受験者が8,511名という差です。応募したうち約37%が当日来ていません。
高度区分は年1回で、社会人が仕事の合間に準備します。準備が間に合わず見送る人が一定数出ます。つまり合格率14.3%の母数は、準備を終えて当日来た人です。「申し込んだ人の14%しか受からない」とは意味が違います。
もうひとつは平均年齢37.7歳という数字です。応用情報技術者の29.0歳と比べて8歳以上高い。これは論述式が中心にある試験だからです。書く材料、つまり実務経験がないと解答が作れません。
この2つを合わせると、試験の性格が見えてきます。知識の詰め込み勝負ではなく、経験がある人が、それを制限時間内に書き切れるかを問う試験です。
4科目のどこで落ちるか
IPAの試験区分の案内によれば、試験は次の構成です。
| 科目 | 時間 | 形式 | 出題数 |
|---|---|---|---|
| A-1 | 50分 | 多肢選択式(四肢択一) | 30問 |
| A-2 | 40分 | 多肢選択式(四肢択一) | 25問 |
| B-1 | 90分 | 記述式 | 3問中2問解答 |
| B-2 | 120分 | 論述式 | 2問中1問解答 |
働きながら受ける人がつまずく箇所は、科目ごとにはっきり分かれます。
**A-1・A-2(選択式)**は、対策の量で解決する範囲です。応用情報技術者試験に合格している人なら地続きの内容で、免除制度の対象になる場合もあります。ここは時間を確保できるかどうかの問題です。
**B-1(記述式)**は、問題文のプロジェクト状況を読み取り、設問に沿って短く答える形式です。読解の速度が要ります。
**B-2(論述式)**が最大の壁です。120分で、自分が携わったプロジェクトについて設問の観点に沿った文章を書き上げます。ここで落ちる人には共通点があります。書く材料が整理されていないことです。
論述式で問われているのは、経験の解像度
論述式は文章力の試験ではありません。求められているのは、次の3点を具体的に書けることです。
- どういう状況で、何が問題だったか
- そこで自分が何を判断し、何を実行したか
- 結果どうなり、何が課題として残ったか
この3点は、転職面接で聞かれることとほぼ同じです。論述が書けない箇所は、面接で答えられない箇所でもあります。
逆に言えば、対策は「文章の練習」ではなく「経験の棚卸し」から始まります。直近数年で担当したプロジェクトを2〜3件選び、規模、体制、困難だった点、自分が下した判断、その結果を書き出す。ここが埋まっていれば、あとは設問に合わせて素材を組み替える作業になります。
エージェントベストの見解
論述の準備をしていて手が止まる方には、共通するパターンがあります。「自分が決めたこと」が出てこないのです。担当したプロジェクトは複数あるのに、書けるのは進捗の管理と報告の話ばかりになる。この状態は、試験だけの問題ではありません。職務経歴書でも同じことが起きていて、書類が通らない原因になっていることが多くあります。手が止まったときは、「上司に承認をもらった案件」ではなく「自分が提案して通した案件」を探してみてください。規模が小さくても構いません。そこが書ける人は、論述でも面接でも説明が通ります。
材料の書き出し方
棚卸しは、プロジェクト1件につき次の項目を埋める形にすると進みます。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 案件の概要 | 対象システム、目的、期間 |
| 規模 | 要員数、自分が直接見ていた人数、社外ベンダーの有無 |
| 契約形態 | 請負か準委任か。発注側か受注側か |
| 直面した問題 | 遅延、要件の追加、要員の離脱など、具体的に1つ |
| 自分の判断 | その問題に対して何を提案し、誰の合意を取って決めたか |
| 結果 | 納期・コスト・品質のどれがどう動いたか |
| 残った課題 | うまくいかなかった点と、次にどうしたか |
「残った課題」を書けるかどうかが、論述の出来を左右します。設問は成功談だけを求めていません。評価と改善まで書けている解答のほうが、実務を担った人の文章として読まれます。
うまくいかなかった話を書くことに抵抗を感じる方がいますが、経緯と対処が説明できていれば減点材料にはなりません。むしろ、すべて順調だったという記述のほうが、実務の手触りが薄く見えます。
働きながら受けるときの組み立て方
年1回の試験なので、逆算が要ります。現実的な進め方は次のとおりです。
1. まず論述の材料を作る(学習開始時) 参考書を読む前に、自分の経験を書き出します。ここが空だと、あとで詰みます。材料づくりは通勤中でも進められます。
2. 選択式は隙間時間に消化する 過去問題を繰り返す作業なので、まとまった時間を要しません。移動時間や昼休みに割り当てます。
3. 論述は「時間を計って書く」を繰り返す 120分で書き切る訓練が要ります。頭の中で組み立てられても、手が追いつかないことがあります。まとまった時間が取れる休日に、本番と同じ時間で書きます。
4. 記述式は直前期に集中させる 読解と要約の訓練なので、感覚が鈍りやすい領域です。試験前の1〜2か月に寄せます。
まとまった時間が必要なのは論述だけです。ここを休日に確保できるかが、働きながら受かるかどうかの分かれ目になります。
2026年度の試験制度に注意する
IPAは情報処理技術者試験の見直しを進めており、2027年度から新試験制度へ移行する予定であることを公表しています。2026年度の応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験はCBT方式で実施され、プロジェクトマネージャ試験は後期の実施区分に置かれています。
年1回の試験なので、実施時期と申込期間を取り違えると1年待つことになります。受験を決めたら、まずIPAの試験情報ページで日程を確認するところから始めてください。
受からない年が続くときに見直す3点
複数回受けて論述で止まっている場合、学習量を増やすより、次の3点を疑ったほうが早く進みます。
1. 素材を毎回選び直している 設問ごとに違うプロジェクトを持ち出そうとすると、その場で構成を組み立てることになり、時間が足りなくなります。軸にする案件を2件に絞り、どの設問でもそこから引くと決めておくと、書き出しまでの時間が短くなります。
2. 状況説明に紙幅を使いすぎている プロジェクトの背景を丁寧に書くうちに、肝心の判断と結果が薄くなるパターンです。配分としては、状況の説明より、自分が何を決めたかに厚みを置いた構成のほうが設問の要求に合います。
3. 手書きの速度を計算に入れていない 頭の中で組み立てられていても、書き切れなければ評価されません。本番と同じ時間・同じ分量で書く練習を、最低でも数回は通しでやる必要があります。ここを省くと、当日に時間切れになります。
3回受けても届かない場合は、素材そのものが薄い可能性があります。その場合は試験対策ではなく、担当する案件の幅を広げるほうが結果的に近道になります。
転職活動と並行させるかどうか
年1回で、論述に休日を割く必要がある試験です。転職活動と完全に並行させるのは負荷が高くなります。
判断の目安は、応募先が資格を換算する仕組みを持っているかどうかです。国内SIerや官公庁案件を扱う企業では等級制度や資格手当に組み込まれていることが多く、取得の効果が出やすい領域です。一方、事業会社の内製開発組織やスタートアップでは比重が下がります。詳しくはPMPとプロジェクトマネージャ試験、転職で効くのはどちらかで整理しています。
エージェントベストの見解
「資格を取ってから動きます」と言って、翌年また同じことを言う方がいます。年1回の試験なので、1回見送るたびに1年が過ぎます。その1年で、市場の求人構成は変わります。 準備自体は無駄になりませんが、資格の取得を転職の前提条件に置くと、動き出しが遅れます。おすすめしているのは、論述の材料づくりだけ先にやって、その材料で職務経歴書を書き直し、市場の反応を見ることです。書類が通るなら資格を待つ必要はありませんし、通らないなら何が足りないかが分かります。試験は、その結果を見てから決めても遅くありません。
まとめ
- 令和7年度の合格率は14.3%、合格者の平均年齢は37.7歳
- 応募者の約37%が受験していないため、数字ほど極端な難関ではない
- 落ちる箇所は論述式(B-2)に集中し、原因は文章力ではなく経験の整理不足
- まとまった時間が必要なのは論述だけ。選択式は隙間時間で消化できる
- 2026年度はCBT方式・後期実施。2027年度から新制度に移行予定
よくある質問
Q. 未経験でも受かりますか。 A. 受験資格に実務経験の要件はありません。ただし論述式で自分の経験を書く必要があるため、材料がない状態では厳しくなります。合格者の平均年齢が37.7歳という数字も、実務経験を持つ層が中心であることを示しています。
Q. 応用情報技術者試験に合格していると有利ですか。 A. 選択式の内容が地続きなので、学習の負荷は下がります。免除制度の対象になる場合もあるため、条件をIPA公式サイトで確認してください。
Q. 落ちた場合、次はいつ受けられますか。 A. 年1回の実施なので、次年度まで待つことになります。実施時期は年度によって変わるため、IPAの試験情報ページで確認してください。
Q. 2027年度からの新制度を待ったほうがよいですか。 A. 新制度の詳細は順次公表されている段階です。現行制度で合格していれば、その事実が消えるわけではありません。受験の準備が整っているなら、制度の切り替わりを待つ理由は大きくないという判断になります。最新の情報はIPAの制度見直しのページでご確認ください。
- IPA「令和7年度秋期情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の合格発表について」(応募者数・受験者数・合格者数・合格率・平均年齢)
- IPA「令和7年度春期情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の合格発表について」(応用情報・高度区分の統計)
- IPA「プロジェクトマネージャ試験」試験区分(試験時間区分・出題形式)
- IPA「情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直し」
本記事は 2026/8/14 時点の公開情報にもとづいて作成しています。