フィンテックの選考フロー・面接対策|転職で押さえるべきポイント

フィンテック・金融IT 選考フロー・面接対策 更新日 2026/8/11

フィンテックの選考は、IT企業の選考とも金融機関の選考とも少しずつ違います。プロダクトを作る力を見られる一方で、規制業種としての制約を理解しているかどうかも問われるためです。この記事では、事業会社が公表している選考プロセスと、金融庁が公開している登録制度の資料をもとに、選考の流れと各段階で見られている観点を整理します。2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項は各社公式サイトをご確認ください。

選考の前提として押さえたい登録業種の枠組み

フィンテックと呼ばれる領域の多くは、業として行うために金融庁への登録が要る業種です。金融庁は業種ごとに登録業者の一覧を公表しており、令和8年6月30日現在の資料では以下の規模が確認できます。

業種全業者数基準日
資金移動業者84令和8年6月30日現在
電子決済等代行業者125令和8年6月30日現在
暗号資産交換業者26令和8年6月30日現在
電子決済手段等取引業者1令和8年6月24日現在

資金移動業者の一覧では、第一種・第二種・第三種の区分が設けられています。取り扱う金額の上限などによって求められる体制が変わる設計です。

この枠組みを知っているかどうかで、面接での会話の深さが変わります。志望先がどの登録を持ち、どの制約の下でプロダクトを作っているのかを踏まえた質問ができると、業界理解の解像度が伝わります。逆に、規制の存在に触れずに機能の話だけを続けると、金融領域を選んだ理由が伝わりにくくなります。

なお登録の一覧には、登録番号と登録年月日も記載されています。たとえば電子決済等代行業者の関東財務局長(電代)第1号はfreee株式会社で登録年月日は平成30年9月26日、第3号は株式会社マネーフォワードで平成30年10月1日と記載されています。制度の立ち上がりと同時期に参入した会社がどこかは、この資料から確認できます。

公表されている選考プロセスの実例

選考の流れは会社ごとに設計されますが、自社サイトで公表している例があります。freee株式会社はキャリア採用の選考プロセスとして、以下の流れを公開しています。

段階公表されている内容
カジュアル面談キャリア採用向けの1on1カジュアル面談を随時開催。応募の前段として任意
エントリー募集職種一覧から希望職種を選び、応募書類を添付して応募。合否に関わらず1週間以内に連絡
選考面接回数は3回程度を想定。基本的にオンラインで、現場のメンバーやマネージャーが対応。担当リクルーターが伴走
内定オファー面談を実施

あわせて、選考過程でリファレンスチェックやコードテスト(エンジニア職のみ)を実施する場合がある旨も記載されています。

ここで注目したいのは、カジュアル面談が選考の前段として制度化されている点です。この段階は評価の場ではないとされることが多い一方、志望動機を作る材料を集める機会になります。後述するとおり、この材料の有無が最終盤の面接で効いてきます。

面接回数が3回程度という設計も、この業界では一般的な水準です。ただし職種や時期によって変動するため、応募先の募集要項で確認してください。

各ステップで見られている観点

公開情報から読み取れる範囲で、段階ごとの評価の力点を整理します。以下は業界一般の傾向であり、個社の運用を断定するものではありません。

書類選考では、担当した職務の範囲と、そこで何を判断したかが読み取れるかが見られます。フィンテックの多くの職務は、既存の金融サービスの一部を作り替える性質を持ちます。そのため、既存業務のどこに非効率があり、それをどう変えたのかという記述が効きます。

現場メンバーとの面接では、実務の擦り合わせが中心になります。エンジニア職であれば設計判断の理由、ビジネス職であれば担当領域の数値の作り方が問われる傾向があります。コードテストが課される場合は、この前後に位置づけられることが一般的です。

マネージャーとの面接では、チームでの役割の取り方や、意思決定の関与度が確認されます。組織が拡大している会社では、入社後すぐに一定の裁量を持つ前提で見られることがあります。

最終段階では、この業界を選ぶ理由と、その会社を選ぶ理由の一貫性が確認されます。ここが最も準備の差が出る場所です。

頻出質問と、回答の組み立て方

面接で問われやすい論点は、いくつかの型に整理できます。

「なぜ金融領域なのか」という質問は、ほぼどの会社でも形を変えて出てきます。答えの骨格としては、自分が解きたい課題を先に置き、その課題が金融の仕組みの中にあることを説明する順序が組み立てやすくなります。技術への関心から入ると、他業界でもよいのではという追加質問に接続しがちです。

「規制のある環境で開発することをどう捉えるか」という質問も見られます。ここでは、制約を否定的に扱わず、制約があるからこそ設計に規律が要るという理解を示せるかどうかが分かれ目になります。前掲の登録業種の枠組みを踏まえて話せると、抽象論になりません。

「前職の経験がどう活きるか」という質問には、業務知識の側から答える道があります。金融機関の出身であれば実務の勘所、事業会社の出身であれば利用者側の課題認識が接点になります。

エージェントベストの見解

面接の終盤で詰められるのは、「なぜ金融の仕組みそのものを触りたいのか」という一点です。プロダクト志向の方ほどここで止まります。使いやすい決済体験を作りたい、という説明までは全員が到達します。その先で聞かれるのは、なぜそれを規制の中でやる必要があるのか、既存の金融機関の中からでは実現できないと考える理由は何か、という問いです。準備としては、志望先が持つ登録業種を調べ、その登録があることで何が可能になっているかを一文で言えるようにしておくことです。ここを詰めた方は、最終面接の質疑が明らかに短く終わります。

落ちる人に共通する準備不足

見送りになる理由は個別に異なりますが、準備の面では共通点が見られます。

第一に、業界の構造を調べずにプロダクトの使用感だけで志望している場合です。利用者としての感想は出発点にはなりますが、それだけでは事業側の視点が伴いません。

第二に、志望先の事業構成を把握していない場合です。フィンテックと呼ばれる会社の中でも、法人向けと個人向けでは事業の性質が異なります。株式会社マネーフォワードの有価証券報告書では、セグメント別の従業員数としてBusinessが1,754名、Homeが74名、Xが106名、Financeが10名、全社(共通)が895名と記載されています(括弧内の臨時雇用者数を除く連結の数値)。人員の重心がどこにあるかは、こうした開示資料から確認できます。

第三に、カジュアル面談を使わずに応募している場合です。前掲のとおり制度として用意されている会社があり、ここで得た情報は志望動機の具体性に直結します。

カジュアル面談の使い方

カジュアル面談は、評価されない場だと理解したうえで、聞く内容を設計しておくと価値が出ます。

聞いておきたいのは、配属予定チームが直近1年で何に時間を使ったか、プロダクトの意思決定にどの職種が関与しているか、規制対応の負荷がどの工程に出るか、といった点です。いずれも求人票には書かれにくく、しかし入社後の実感に直結します。

この場で得た具体的な情報は、後の面接で志望動機の裏づけとして使えます。一般に公開されている情報だけで組み立てた志望動機と、面談で得た情報を織り込んだ志望動機では、説得力が変わります。

業界全体の構造についてはフィンテック業界への転職ガイド、キャリアの積み方についてはフィンテック業界でのキャリアの築き方でも整理しています。

選考期間と併願の組み立て

選考にかかる期間は会社によって異なります。前掲のfreeeの例では、応募後の連絡が合否に関わらず1週間以内とされ、面接が3回程度と公表されています。この設計であれば、書類提出から内定まで1か月前後で進む場合があります。

一方で、複数社を併願する場合は、選考スピードの差が悩ましくなります。先に内定が出た会社の回答期限と、本命の選考進度が合わないという相談は珍しくありません。応募のタイミングを揃える、あるいは選考の開始時期を意図的にずらすといった調整が要る場面があります。

エージェントベストの見解

書類の段階で通過率が変わるのは、担当業務の説明ではなく、判断の記述があるかどうかです。この業界の書類でよく見るのは、担当したプロダクトと使用技術、あるいは担当した顧客数と売上が並んでいるだけのものです。読み手が知りたいのは、その中で何を選び、何を捨てたかです。決済の実装であれば、どの失敗ケースを許容してどこを厳密にしたのか。営業であれば、どの顧客層を狙わないと決めたのか。この一行を数値とセットで書けている方は、面接の初回から議論が実務レベルで始まります。書類を出す前に、職務ごとに「捨てた選択肢」を一つずつ書き出してみることをおすすめします。

まとめ

フィンテックの選考は、プロダクトを作る力と、規制業種としての枠組みへの理解の両方を見られます。金融庁が公表している登録業者の一覧を見れば、資金移動業者84、電子決済等代行業者125、暗号資産交換業者26といった業種ごとの規模が確認でき、志望先がどの制度の下にあるかも特定できます。

選考プロセスを公表している会社もあり、カジュアル面談から内定までの流れは事前に把握できます。面接回数は3回程度という設計が見られますが、職種や時期により変動します。

最終盤で問われるのは、なぜ規制のある領域でその課題を解くのかという一点です。ここに答えを用意できているかどうかで、結果が分かれます。

よくある質問

Q. 金融機関での勤務経験は必要ですか。

職務によります。募集要項では、金融実務の経験が必須要件ではなく歓迎要件として記載される例が見られます。一方で、規制対応やリスク管理に近い職務では実務経験が求められる傾向があります。応募先の必須要件と歓迎要件の書き分けを確認してください。

Q. 面接は何回くらいありますか。

会社と職種によって異なります。公表されている例としてfreee株式会社は面接回数を3回程度と想定している旨を自社サイトに記載しています。ただし時期や職種により変動するとされているため、選考開始時に担当者へ確認するのが確実です。

Q. コードテストやリファレンスチェックはありますか。

実施する会社があります。freee株式会社は、選考過程でリファレンスチェックやコードテスト(エンジニア職のみ)を実施する場合がある旨を公表しています。実施の有無と内容は会社ごとに異なるため、応募時に確認してください。

出典

本記事は 2026/8/11 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)