DX推進担当の年収相場|転職で押さえるべきポイント

DXコンサルタント・DX推進 年収相場 更新日 2026/8/10

年収は同じ、募集の状況だけが違う

DX推進担当の年収を調べるとき、参考になるのが厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)のDXプロデューサーという区分です。ここで興味深い構造が見えます。

項目DXプロデューサープロジェクトマネージャ(IT)
年収889万円889万円
平均年齢38.3歳38.3歳
月間労働時間173時間173時間
就業者数656,770人656,770人
求人賃金(月額)35.4万円39万円
有効求人倍率0.892.1

年収・平均年齢・労働時間は令和7年賃金構造基本統計調査、求人賃金と有効求人倍率は令和6年度、就業者数は令和2年国勢調査の数値です。

年収、年齢、労働時間、就業者数は完全に同じ数値です。 賃金統計の上では同じ区分として扱われていると考えられます。違うのは求人賃金(35.4万円と39万円)と、有効求人倍率(0.89と2.1)だけです。

つまり、在職者の報酬水準は変わらないのに、募集時の提示額と募集の多さが違う ということになります。この記事では、この構造の読み方と、実際に報酬を決めている要素を整理します。本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項は各社公式サイトをご確認ください。

889万円という数字の扱い方

この数字をそのまま自分の相場と考えるのは適切ではありません。理由は2つあります。

区分が広い — 就業者数656,770人という規模は、システムエンジニアやプロジェクトマネージャを含む大きな区分であることを示しています。DX推進担当だけを取り出した数字ではありません。

在職者と募集の差 — 求人賃金は月額35.4万円で、12倍すると424.8万円です。年収との差は約464万円あります。在職者に上位層が含まれ、募集は担当者層が中心という構造がここに表れています。

参考にするなら、求人賃金の月額35.4万円のほうが、募集されているポジションの水準に近いと考えられます。ただしこれも賞与を含まない数字である可能性があります。

エージェントベストの見解

同じ賃金統計区分で年収が889万円と示されている一方、求人賃金は35.4万円と39万円で差がついています。この3.6万円の差は、年収に換算すると約43万円です。募集の段階でDX推進の枠のほうが低く提示されやすい、という傾向が読み取れます。実務でも同じ印象があります。プロジェクトマネージャは納期と予算に責任を持つ立場として評価軸がはっきりしているのに対し、DX推進は成果が見えるまで時間がかかり、貢献も切り分けにくい。そのぶん、入口の提示が慎重になります。これを踏まえると、この職種で条件を上げる現実的な方法は、DX全般ができると示すことではなく、専門領域を1つ持つことです。データ整備、セキュリティ、基幹システムの刷新。どれか1つで「この人でないと困る」状態を作れると、提示は変わります。

年収を決めている要素

1. 権限の範囲

提案するだけの立場か、予算を持ち決められる立場か。ここが最も水準を左右します。決裁権のない推進担当は、成果が他部署の判断に依存します。

2. 専門領域の有無

デジタルスキル標準では、DXを推進する人材が6つの類型に整理されています。データやセキュリティといった専門性を持つ場合、その領域の相場が反映されます。全般を見る役割だけだと、比較の基準がなくなります。

3. 対象範囲

全社を見るか、特定の事業や部門を担当するか。範囲が広いほど提示は上がる傾向があります。

4. 会社の段階

推進部門を新設する段階か、既に成熟しているか。新設段階では経験者が社内におらず、外部から採る必要があるため、条件面で相談しやすくなります。

5. 事業会社か支援側か

社内で推進するか、社外を支援するか。支援側は単価と稼働に連動し、上限は高くなりますが安定性は下がります。

事業会社と支援側で、構造が違う

事業会社支援・コンサルティング
決まり方社内の等級表コンサルタントの等級と単価
評価の軸業務がどう変わったか顧客の満足と契約の継続
上限等級の枠内職位が上がれば伸びる
安定性高い稼働率に左右される

事業会社では、この職種が独立した等級を持たないことがあります。その場合、情報システム部門の等級か、企画部門の等級に当てはめられます。どちらになるかで水準が変わるため、確認しておく価値があります。

支援側についてはDXコンサルタントの年収ITコンサルタントの年収が参考になります。

年収が伸びる要因、伸び悩む要因

伸びる要因

伸び悩む要因

4つ目が、この職種で最も多い停滞の形です。幅広く関わることは経験になりますが、外から見たときに何ができる人かが分かりません。

3つ目も重要です。DXの投資は効果が見えるまで時間がかかります。途中経過を数字で説明できないと、評価の場で位置づけが弱くなります。

所属部署で、適用される等級が変わる

この職種は、会社のなかでどこに置かれるかが定まっていません。所属によって適用される等級表が変わるため、同じ役割でも水準に差が出ます。

情報システム部門に置かれる場合

技術職の等級が適用されます。システムの安定運用を担う社内SEと同じ枠で評価されることが多く、業務を変えた成果より、システムを回した実績が測られやすくなります。

経営企画・事業企画に置かれる場合

企画職の等級が適用されます。全社への影響で評価されるため、推進側の役割と相性が良くなります。一方、技術的な深さは評価に反映されにくくなります。

独立した部署の場合

規模の大きい会社に見られます。専門職としての等級が用意されていれば、この職種固有の評価軸が設定されます。ただし新設の場合、等級そのものがこれから作られる段階のことがあります。

事業部門に置かれる場合

その事業の数字に近いところで評価されます。成果が見えやすい一方、全社の視点を持ちにくくなります。

確認しておきたいこと — オファーの段階で、どの部署に所属し、どの職種の評価シートを使うのかを聞いておくと、1年後の評価が想像できます。新設部署で等級が未整備の場合、何をもって評価するかを書面で確認しておくほうが安全です。

提示条件を確認するときの観点

  1. 等級の当てはめ — 情報システム部門か、企画部門か、独立した枠か
  2. 予算と決裁の範囲 — いくらまで自分で決められるか
  3. 評価の基準 — 施策の実施件数か、業務の変化か、コスト削減額か
  4. 対象範囲 — 全社か、特定部門か
  5. 部署の設立時期と人数 — 新設なら条件面で相談の余地があります
  6. 経営層への報告の有無 — 直接説明する立場かどうか

3つ目は、この職種でとくに確認しておく価値があります。実施件数で評価される設計だと、効果の薄い施策を数多く回す動きになりがちです。

隣接職種との比較

キャリアの進み方と選考は、DX推進担当のキャリアパスDX推進担当の選考フロー・面接対策をご確認ください。

エージェントベストの見解

報酬で行き違いが起きやすいのは、評価基準が施策の実施件数になっているケースです。年間で何件の改善を実施したか、何部門にツールを展開したか。数えやすい指標ですが、これで評価されると、効果の薄い施策を数多く回すほうが有利になります。本当に難しいテーマは時間がかかり、件数には表れません。防ぐには、オファーの段階で「何が達成されたら評価が上がるか」を具体的に聞くことです。件数で答えが返ってきた場合、その前提で働くことになります。あわせて、施策が失敗した場合の扱いも確認する価値があります。DXの取り組みは、やってみないと効果が分からないものが多い。失敗が減点になる設計だと、挑戦的なテーマを避ける動きになります。

まとめ

DX推進担当の年収相場について、押さえるべき点を整理します。

本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。統計の数値は調査区分全体のものであり、特定の企業や業界の実態を示すものではありません。詳細は各社公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q. DX推進担当の平均年収はいくらですか。

A. job tag のDXプロデューサーの平均年収は889万円ですが、システムエンジニアなどを含む広い区分の数字です。募集の水準としては、求人賃金の月額35.4万円のほうが実態に近いと考えられます。

Q. コンサルティング側に移ると年収は上がりますか。

A. 上限は上がりやすくなりますが、稼働率と契約の継続に左右されます。事業会社は等級の枠内で安定します。安定性と上限のどちらを取るかの選択になります。

Q. 専門領域を持つべきですか。

A. この職種では、持っているほうが条件が上がりやすくなります。データ整備、セキュリティ、基幹システムの刷新など、1つで「この人でないと困る」状態を作れると、提示が変わります。

出典

本記事は 2026/8/10 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)