フィールドセールス(SaaS)の志望動機の書き方|転職で押さえるべきポイント

SaaS営業(フィールドセールス) 志望動機の書き方 更新日 2026/8/10

「無形商材に挑戦したい」では差がつかない

SaaSのフィールドセールスの志望動機で目にするのが、「無形商材の営業に挑戦したい」「プロダクトの成長に関わりたい」という書き方です。方向としては自然ですが、選考では差がつきません。

理由は、応募者の多くが同じことを書くからです。読み手が知りたいのは、この製品を、どんな顧客に、どう売るつもりかという点です。加えて、売った後の定着まで含めて考えているかも見られます。継続して使われて初めて採算が合う構造だからです。

この記事では、志望動機を3つの要素に分解し、数字をどう書くか、弱いパターンをどう直すかを整理します。本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項は各社公式サイトをご確認ください。

志望動機に入れる3つの要素

書き始める前に、答えるべきことを分けます。

要素書く内容材料の出どころ
何を売ってきたか商材の単価、検討期間、意思決定の構造自分の実務
なぜこの製品か誰のどんな課題を解くものだと理解しているか公式サイト、導入事例
どう売るつもりか自分の経験が接続する顧客層と、進め方上記2つの接続

多くの方が厚く書けるのは1つ目です。2つ目が浅くなり、3つ目が抜けます。3つ目まで書いてある応募者は多くないため、あるだけで印象が変わります。

書き方の順序としては、扱ってきた商材の性質を先に置き、それが応募先の商材とどう近いかを示す形が読まれやすくなります。意欲から入ると、誰にでも書ける文章になります。

数字をどう書くか

営業職の書類では、数字の扱いで差がつきます。押さえておく点は3つです。

達成率だけを書かない

「目標達成率120%」という記述は、情報量が多くありません。目標がどう設定されていたかが分からないためです。次の4点を添えると、読み手が自社と比較できます。

良くない期間も書く

未達の期間を隠すと、経歴の説明がつながらなくなります。市場環境や担当変更などの事情を短く添え、その期間に何を変えたかを書くほうが読まれます。

社外秘に触れない

具体的な取引先名や、公開されていない売上額は書きません。単価は「数十万円規模」「年間数千万円規模」といった粒度で足ります。構造が伝われば十分です。

製品への理解をどう示すか

「なぜこの製品か」に答えるには、調べる順序があります。

  1. 公式サイトの製品ページ — 誰の何を解決すると書いてあるか
  2. 導入事例 — どんな規模、どんな業種の顧客が使っているか
  3. 料金ページ — 価格帯が分かる場合、商談の性格が推測できる
  4. 採用情報の他職種 — インサイドセールスやカスタマーサクセスの募集内容から、組織の分業がどうなっているかが読める
  5. 可能なら製品に触れる — 無料で試せる場合は使ってみる

3つ目と4つ目は、この職種でとくに有効です。価格帯が分かれば、担当者決裁で進む商材か、稟議が要る商材かが推測できます。他職種の募集を見れば、フィールドセールスがどこからどこまでを担う設計かが読み取れます。

そのうえで、「この価格帯なら情報システム部門の関与が入るはずで、自分は前職で同様の合意形成を担ってきた」といった形で接続します。外れていても構いません。仮説であることを示し、確認したい点を添える形が適しています。

よくある弱い志望動機と、その直し方

「成長市場で挑戦したい」

市場を選んだ理由であって、この会社を選んだ理由になっていません。直すには、その市場のなかでこの製品がどの位置にいると見ているかを書きます。

「プロダクトが素晴らしいと感じました」

感想で止まっています。直すには、どの機能が、どんな顧客のどの課題に効くと考えたかまで具体化します。

「裁量を持って働きたい」

多くの応募者が書きます。直すには、前職で自分の判断で進めた場面を1つ添えます。

「顧客の課題解決がしたい」

営業職の志望動機としては一般的すぎます。直すには、解決した課題の種類を具体的に書きます。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、IT分野のコンサルティング営業の仕事内容として、顧客の方針と課題を確認し、その解決策として情報システムや情報サービスを提案し販売することが挙げられています。課題の確認から入る仕事である以上、その経験を具体で示せるかが問われます。

前職の商材を否定して書く

「売りにくい商材だった」といった書き方は避けたほうが無難です。同じことをこの製品でも言うだろうと推測されます。売りにくさをどう工夫したかを書くほうが評価されます。

エージェントベストの見解

書類で通過率が変わるのは、売った後に何が起きたかを書けているかどうかです。多くの方は受注までを書いて終わります。SaaSは継続して使われて初めて採算が合う構造のため、読み手は「この人が売った顧客は定着したのか」を気にしています。導入後に利用が広がった事例、あるいは解約に至った事例とその理由。どちらも材料になります。とくに後者を書ける方は多くありません。解約の理由を分析し、次の商談での提案を変えたという流れがあると、それだけで印象が変わります。前職が売り切り型の商材だった場合でも、納品後にどう関わったかを書けば接続します。売った後を追いかける習慣があるかどうかは、書類の書き方に表れます。

転職理由と志望動機を分けて書く

この2つを混ぜて書いてしまう方が多くいます。読み手にとっては別の情報なので、分けたほうが伝わります。

転職理由 は、現職を離れる理由です。ここで環境への不満を並べると、同じ状況になれば辞めると読まれます。事実として書いてよいのは、担える範囲が構造的に決まっていること、扱う商材の性質が変わったこと、組織再編で役割が変わったことなど、自分の意思では動かせない事情です。

志望動機 は、この会社を選ぶ理由です。転職理由が解消されるだけでは足りません。この製品でなければならない理由が要ります。

書き分けの目安としては、転職理由を2文程度に抑え、志望動機に分量を割く形が読まれやすくなります。転職理由が長い書類は、それだけで後ろ向きな印象を与えます。

なお、在籍期間が短い経歴がある場合は、理由を書かずに置くと選考が止まりやすくなります。短く事実を添えておくほうが、余計な推測を招きません。

骨子の組み立て方

完成した文章をそのまま使うことはおすすめしません。面接で、書いた本人の考えかどうかが確かめられるためです。ここでは骨子だけを示します。

構成の順序

  1. これまで扱ってきた商材の性質(単価、検討期間、関わる部門)(2文)
  2. そのなかで自分が担った合意形成の事例(2文)
  3. 応募先の製品について、公開情報から読み取れること(1〜2文)
  4. 自分の経験が接続しそうな顧客層と、進め方の仮説(2文)
  5. なぜ今動くのか(1文)

分量の目安

400〜600字程度が読まれやすい範囲です。営業職の書類では、簡潔さそのものが評価の対象になります。

注意点

面接で掘られる点

書類の内容は、面接で分解されます。よく聞かれるのは次のような点です。

4つ目は事前に考えておく価値があります。公開情報の範囲で構いません。導入事例に載っている業種を手がかりに、自分の経験が近い領域を挙げると、話が具体的になります。

5つ目は、分業されている組織で働けるかを確認する質問です。単独で完結する営業経験しかない場合、連携をどう設計するつもりかを述べられると印象が変わります。

参考になる隣接職種の書き方SaaS営業(フィールドセールス)の志望動機SaaS営業の職務経歴書エンタープライズセールスの志望動機インサイドセールスの志望動機カスタマーサクセスの志望動機をご覧ください。

選考の流れと条件面は、フィールドセールス(SaaS)の選考フロー・面接対策フィールドセールス(SaaS)の年収相場をご確認ください。

エージェントベストの見解

面接の後半で問われるのは、売れなかったときにどうするかです。営業職の選考では成功事例を聞かれる場面が多いのですが、判断が分かれるのは失注の扱い方です。「価格で負けました」で終わってしまう方が一定数います。聞かれているのはその先で、価格以外に打てる手はなかったのか、どの段階で負けが決まっていたのかという分析です。準備としては、失注した案件を1つ選び、商談の各段階に戻って、どこで相手の優先順位を読み違えたかを言語化しておくことです。競合に負けた理由を構造で説明できる方は、入社後の立ち上がりも想像しやすくなります。営業は負けるほうが多い仕事です。負け方を語れることは、弱みではなく実力の証明になります。

まとめ

フィールドセールス(SaaS)の志望動機について、押さえるべき点を整理します。

本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。選考で重視される点は会社によって異なりますので、詳細は各社公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q. 具体的な売上数字が社外秘で書けません。

A. 単価は「数十万円規模」「年間数千万円規模」といった粒度で足ります。金額そのものより、意思決定の構造と検討期間が伝わることが重要です。

Q. 未達の期間があると不利ですか。

A. 書き方によります。隠すと経歴の説明がつながらなくなります。事情を短く添え、その期間に何を変えたかを書くほうが読まれます。

Q. SaaS の利用経験がなくても志望動機は書けますか。

A. 書けます。公開されている導入事例と料金体系から、どんな顧客が使う製品かは読み取れます。可能なら無料で試せる範囲で触れておくと、記述が具体的になります。

出典

本記事は 2026/8/10 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)