プリセールスの年収相場|転職で押さえるべきポイント

セールスエンジニア/プリセールス 年収相場 更新日 2026/8/10

技術側と営業側で230万円違う

プリセールスの報酬は、その会社がこの職種を技術職と営業職のどちらに寄せているかで決まります。対応する公的な職業区分がないため、近い2つの区分を並べると幅が見えてきます。

項目システムエンジニア(基盤システム)コンサルティング営業(IT)
年収889万円659.4万円
求人賃金(月額)34.4万円29.8万円
平均年齢38.3歳42.2歳
月間労働時間173時間162時間
有効求人倍率2.284.02

年収・平均年齢・労働時間は令和7年賃金構造基本統計調査、求人賃金と有効求人倍率は令和6年度の数値です。

年収で約230万円、求人賃金の月額でも約4.6万円の差があります。 技術側のほうが高い水準です。

プリセールスはこの2つの間に位置しますが、どちらに寄るかは会社の設計で決まります。開発組織の等級表に含まれる会社と、営業組織の等級表に含まれる会社があり、後者では営業側の水準に近づきます。

この記事では、その構造と、条件を確認するときの観点を整理します。本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項は各社公式サイトをご確認ください。

どちらの組織に属するかで決まる

この職種の所属は、会社によって分かれます。

開発組織に属する場合

技術職の等級表が適用されます。エンジニアと同じ基準で評価されるため、技術的な深さが報酬に反映されます。一方、受注への貢献は評価されにくくなります。

営業組織に属する場合

営業職の等級表が適用されます。チームの受注に連動した賞与が設定されることがあります。技術の深さより、案件を進めた貢献が評価されます。

独立した組織の場合

規模の大きい会社に見られます。専門職としての等級が用意され、技術と顧客対応の両方が評価対象になります。

確認しておきたいこと — オファーの段階で、どの組織に属するのか、どの職種の評価シートを使うのかを聞いておくと、1年後の評価が想像できます。この質問は制度を理解している方だと受け取られます。

インセンティブがある場合の注意点

営業組織に属する場合、受注に連動した報奨が設定されることがあります。ただし、営業職とは事情が違います。

貢献を切り分けにくい

受注は営業とプリセールスの共同作業です。どちらの働きがどれだけ効いたかを分けられません。そのため、営業と同じ率のインセンティブが設定されることは多くありません。

関与した案件の定義が曖昧になりやすい

同行しただけの案件と、要件定義から関わった案件を同じに扱うか。ここが決まっていないと、後で認識が食い違います。

確認しておきたい項目

確認項目なぜ重要か
対象となる案件の定義同行のみか、一定の関与があった案件か
支払いの起点受注時か、検収後か
営業との配分案件を分け合う設計か
複数人が関与した場合どう分けるか

営業と同じ指標で評価されると、自分の関与が薄い案件の受注にも助けられる一方、深く関わった案件が失注すると評価が下がります。この振れ幅を許容できるかは、確認しておく価値があります。

商材と会社のタイプで、水準が変わる

タイプ報酬の傾向特徴
外資系のIT企業高め営業組織に属し、インセンティブが設定されることが多い
国内のSIer技術職の等級に準じる案件単価と職位で決まる
SaaS企業会社の段階による成長期は営業組織に近い設計が多い
製品ベンダー製品の単価に連動しやすい大型製品ほど水準が上がる

単価の高い製品を扱う会社ほど、一人あたりが生む金額が大きくなり、報酬の水準も上がる傾向があります。逆に、単価の低いSaaSでは商談数が多く、一件あたりの関与は浅くなります。

年収が伸びる要因

5つ目が、報酬を大きく変える経路です。技術職としての等級に移ると、営業組織にいるより上限が上がることがあります。

伸び悩む要因

1つ目が最も多い停滞の形です。商談数をこなす動きは評価されますが、その先の役割につながりません。

働き方と負荷も、条件の一部として見る

年収を比べるときは、労働時間と移動の負荷もあわせて確認する必要があります。

job tag に掲載されている月間労働時間は、システムエンジニア(基盤システム)で173時間、コンサルティング営業(IT)で162時間とされています(いずれも令和7年賃金構造基本統計調査)。区分全体の平均であり、時期による偏りは表れません。

この職種には、時間が読みにくくなる要因がいくつかあります。

商談の予定に左右される — 顧客の都合で日程が決まるため、自分で組み立てにくくなります。複数の営業から同時に依頼が入ると、調整が難しくなります。

準備が見えにくい — デモの準備、検証環境の構築、提案書の作成は、商談の前後に発生します。この工数が業務量として計上されない会社では、負荷が実態より軽く見積もられます。

移動が発生する — 顧客先に出向く商談が多い会社では、移動時間が加わります。オンライン中心の会社と比べて、一日に対応できる件数が変わります。

PoCの期間 — 検証を担当する場合、通常の商談と並行して進めることになります。

確認しておきたいこと — 月あたりの商談件数の目安、オンラインと訪問の比率、検証環境の構築を誰が担うか。同じ提示額でも、これらによって時間あたりの条件は大きく変わります。

提示条件を確認するときの観点

  1. 所属する組織 — 開発か営業か、独立した組織か
  2. 評価シート — どの職種のものを使うか
  3. インセンティブの有無と対象案件の定義
  4. 担当する商談数の目安 — 月に何件か。PoCの頻度は
  5. 要件定義への関与 — 説明までか、設計まで担うか
  6. 昇格の道筋 — アーキテクトなど技術職への転換が制度としてあるか

6つ目は、数年後の水準を左右します。技術職への道が制度として用意されている会社と、営業組織のなかで昇進する会社では、伸び方が違います。

隣接職種との比較

キャリアの進み方と選考は、プリセールスのキャリアパスプリセールスの選考フロー・面接対策をご確認ください。

エージェントベストの見解

公開されている2区分の年収差は約230万円ですが、この差をそのまま「技術側に行けば上がる」と読むのは早計です。技術側の889万円は、設計に責任を持ち、稼働後の問題も引き受ける立場を含んだ水準です。プリセールスとして提案までを担う役割のままでは、この水準には届きません。実務で報酬が変わるのは、要件定義に踏み込み、実現方式の設計に責任を持つようになったときです。つまり、所属を技術側に変えるだけでは足りず、担う範囲が変わる必要があります。オファーの段階で確認していただきたいのは、要件定義にどこまで関与するかという点です。説明とデモで終わる設計なら、数年後の水準は営業側に近いところで頭打ちになります。

エージェントベストの見解

報酬で行き違いが起きやすいのは、インセンティブの対象案件が定義されていないケースです。営業組織に属して受注連動の賞与が設定されたものの、どの案件が自分の担当に入るのかが決まっていない。同行しただけの案件は入るのか、要件定義まで関わった案件だけか。複数のプリセールスが関わった場合はどう分けるのか。ここが曖昧なまま入社すると、評価の時期に調整が必要になり、営業側との関係にも影響します。オファーの段階で、対象案件の定義を確認しておくことをおすすめします。制度が整っていない会社では、そもそも定義がないこともあります。その場合は、固定給の水準で判断するほうが安全です。

まとめ

プリセールスの年収相場について、押さえるべき点を整理します。

本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。統計の数値は調査区分全体のものであり、この職種そのものを示すものではありません。詳細は各社公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q. プリセールスの平均年収はいくらですか。

A. この職種に対応する公的な職業区分がないため、単一の数字は示せません。近い2区分では889万円と659.4万円で、約230万円の差があります。所属する組織と担う範囲によって、どちらに寄るかが変わります。

Q. インセンティブはつきますか。

A. 営業組織に属する場合は設定されることがあります。ただし受注は営業との共同作業のため、営業と同率になることは多くありません。対象案件の定義を確認する必要があります。

Q. 技術職に移ると年収は上がりますか。

A. 上がる可能性はありますが、所属を変えるだけでは足りません。要件定義に踏み込み、実現方式の設計に責任を持つ範囲まで広がって初めて、技術職の水準に近づきます。

出典

本記事は 2026/8/10 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)