SaaSスタートアップの選考フロー・面接対策|転職で押さえるべきポイント

SaaS・SaaSスタートアップ 選考フロー・面接対策 更新日 2026/8/11

製品を触ったかどうかが、最初に分かる

SaaSスタートアップの選考には、他の業界と違う特徴があります。応募者が製品を使えるという点です。

多くのSaaSは無料プランやトライアルを用意しています。つまり、選考の前に実際に触ることができます。そして、触った人と触っていない人は、面接ですぐに分かります。

サービスサイトの記述を要約して話す応募者と、管理画面の操作で詰まった箇所を話す応募者。後者のほうが、事業への関心が本物だと受け取られます。

もう一つの特徴は、選考が速いことです。カジュアル面談から内定まで2〜3週間で進むことがあります。応募者の側の反応速度も見られています。

この記事では、選考の流れと、何が確かめられているのかを整理します。本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。選考の内容は会社と時期によって変わりますので、最新の情報は各社公式サイトをご確認ください。

選考の段階と、確認される内容

段階会う相手主な確認内容
カジュアル面談採用担当・現場のメンバー志向の確認、事業の説明。相互の見極め
書類選考採用担当負った数字、継続に関わる指標、職種の適合
一次面接配属予定の現場実務の再現性、速度への適応
実務課題/ロールプレイ現場・責任者職種に応じた実技の確認
二次面接部門責任者・役員数字への責任、事業への理解
最終面接代表・役員価値観の合致、長期の適性
条件面談採用担当等級、インセンティブ、ストックオプション

カジュアル面談は実質的な選考です。 選考ではないと案内されますが、後の段階に影響します。準備なしで臨むのは避けます。

規模が小さいほど代表が出てくる — 20人程度までの会社では、一次面接から代表が同席することがあります。

職種ごとに、実技の形式が違う

セールス

ロールプレイが実施されることがあります。製品を知らない相手に説明する、あるいは想定顧客への初回商談を模した形式です。

見られているのは、話す量と聞く量の比率、製品の理解、そして相手の課題を引き出す順序です。

カスタマーサクセス

既存顧客への対応を模した課題が出ます。解約の兆候がある顧客への打ち手を問われることがあります。

エンジニア

コーディングの課題や、設計についての議論が入ります。自社製品の開発であるため、技術選定の理由を問われることがあります。

プロダクトマネージャー

機能の優先順位づけの課題が出ます。何を作らないと決めるかが見られます。

共通する観点

情報が足りない状態で、前提を置いて進められるか。スタートアップでは、完全な情報が揃うことはありません。

面接で繰り返される質問

「弊社のプロダクトは使ってみましたか」

この業界に固有の質問です。触っていれば具体的に話せます。

「その数字は、あなたが負っていましたか」

「関わった」と「負っていた」の区別が確かめられます。

「解約を止めた経験はありますか」

SaaSの収益は継続で成り立ちます。獲得の話だけでは足りません。

「役割が決まっていない仕事も回ってきますが、大丈夫ですか」

職務の範囲が固定されない環境です。job tagのコンサルティング営業(IT)の区分で 他者とのかかわり4.7 が最上位に来ているのは、この性質を反映しています。

「なぜ大手ではなくスタートアップですか」

環境への憧れではなく、自分が出せる成果で答えます。

「方針が変わったとき、どうしましたか」

変化は日常です。後退と受け止めるか、通常運転として動けるかが見られます。

「いつから来られますか」

選考が速いため、実務的な確認として聞かれます。

カジュアル面談で見られていること

製品への理解

「どんなサービスですか」と聞く応募者と、「管理画面の権限設定が3画面に分かれていましたが、意図的な設計でしょうか」と聞く応募者では、印象がまったく違います。

志向が定まっているか

職種と、会社の段階。どちらも定まっていないと、志向がないと判断されます。

質問の質

事業の構造に触れる質問が出るかが見られます。顧客の単価、解約率、獲得の経路。これらは公開されていないことも多いのですが、聞こうとする姿勢が評価されます。

その場で反応できるか

面談の最後に「他に興味のある職種はありますか」と聞かれることがあります。速度の確認です。

準備の方法

製品に登録して30分触る。これだけで質問が3つは作れます。実行している応募者は多くありません。

評価が下がる受け答え

4つ目は、意外に多い落ち方です。ストックオプションの条件を確認すること自体は必要ですが、事業の話より先に出ると、報酬目当てと受け取られます。条件面談の段階で聞くのが順序です。

ストックオプションは、条件面談で確認する

内定後、条件面談でストックオプションの提示を受けることがあります。ここで確認すべき事項があります。

制度の枠組み

租税特別措置法第29条の2は、一定の要件を満たす新株予約権の行使による経済的利益について非課税の扱いを定めています。同条は権利行使について、付与決議の日後2年を経過した日から、当該付与決議の日後10年を経過する日まで としており、当該株式会社がその設立の日以後の期間が5年未満である場合には、付与決議の日後15年を経過する日まで に延長されます。

また、その年における権利行使価額の合計額が 1,200万円 を超えることとなる場合について規定が置かれています。

株式の管理については、金融商品取引業者等への保管の委託等のほか、株式会社が帳簿を備え、権利者の別に、当該株式の取得その他の異動状況に関する事項を記載し、又は記録することによって管理する方法 も定められています。

確認すべき4点

  1. 発行済株式総数に対する割合(株数だけでは判断できません)
  2. 権利行使価額
  3. 税制適格の要件を満たす設計か
  4. 退職した場合の扱い

答えが揃わない場合

制度設計が固まっていない可能性があります。現金部分を下げてまで受ける判断は、この4つが分かってからにします。制度の要件や税務上の取扱いは改正されることがあり、個別の判断は事情により変わりますので、国税庁の公表資料や税理士等の専門家にご確認ください。

会社の段階で、選考の重心が変わる

シード〜アーリー(〜20人程度) — 代表との相性が結果を左右します。何もない状態から作れるかが問われます。選考の段階数は少なく、進行も速くなります。

ミドル(20〜100人程度) — 実務課題が入ります。個人の成果を仕組みに変えられるかが見られます。最も採用が活発な段階です。

レイター(100人〜) — 選考のプロセスが整備されます。専門性が問われ、段階数も増えます。

上場前後 — 管理の仕組みが整い、選考も体系化されます。大手企業に近い進め方になります。

近い領域の選考はSaaS業界の企業メガベンチャーの選考フロー・面接対策もあわせてご覧ください。

エージェントベストの見解

カジュアル面談で最も差がつくのは、製品に触れているかどうかです。多くの応募者は、サービスサイトを読んで臨みます。それでは「調べた」のではなく「読んだ」だけです。無料プランに登録して30分操作するだけで、話せる内容が変わります。「請求データの取り込みを試したところ、CSVの列名が固定でした。既存システムから出力する側で加工が要るように見えましたが、導入時のつまずきになりませんか」。この質問は、実際に触った人にしか作れません。しかも相手にとって答えやすく、会話が具体的になります。志望動機を語るより、この一つの質問のほうが印象に残ります。準備に必要なのは30分です。実行している応募者は、体感で1割もいません。

選考中に確認しておきたいこと

  1. 配属される職種と、その職種の現在の人数
  2. 会社の段階と、直近の採用の状況
  3. 固定給、インセンティブ、ストックオプションの内訳
  4. 職種を移る制度があるか、直近3年で移った人が何人いるか
  5. 解約率や更新率について、どの程度共有されるか
  6. 意思決定の進め方(誰が、どの範囲を決めるか)

1つ目が、入社後の役割を左右します。人数が少ない職種では、幅広く担うことになります。

4つ目は、この業界の利点が使えるかを確認する質問です。有効求人倍率4.02のセールスから入り、社内で移るという経路があります。詳しくはSaaSスタートアップの転職難易度で整理しています。

5つ目は、事業の透明性を測る質問にもなります。数字が共有される会社では、自分の仕事の意味が見えやすくなります。

エージェントベストの見解

「なぜ大手ではなくスタートアップですか」という質問への答え方で、準備の深さが分かれます。多くの方は、スピード感、裁量、成長環境を挙げます。これらはすべて、会社から与えられるものとして語られています。効くのは、自分が出せる成果で答えることです。「前職では既に仕組みが整っており、それを回す仕事が中心でした。仕組みを作る側の経験を積みたいと考えています。前職でも、属人的だった与信の確認手順を標準化して、承認までの日数を平均5日から2日に短縮した経験があります」。こう答えれば、環境への憧れではなく、自分の適性に基づく選択だと伝わります。job tagのプログラマーの区分が有効求人倍率0.94であるように、この業界でも職種によっては競争があります。憧れだけでは通りません。

まとめ

SaaSスタートアップの選考について、押さえるべき点を整理します。

選考の進み方や評価の観点は会社と時期によって変わります。詳細は各社公式サイトでご確認ください。制度の要件や税務上の取扱いは改正されることがありますので、国税庁の公表資料や税理士等の専門家にご確認ください。

よくある質問

Q. カジュアル面談は、どこまで準備すべきですか。

A. 最低限、製品に登録して30分触ってください。それだけで質問が3つは作れます。選考ではないと案内されますが、実質的には見られています。

Q. 製品が有料で試せない場合はどうしますか。

A. サービスサイトの機能一覧、料金体系、導入事例を読み込みます。そのうえで「この価格帯で、想定している顧客規模はどのくらいですか」といった事業の構造に触れる質問を用意します。

Q. 選考が速くて、他社と比較する時間がありません。

A. その旨を伝えて構いません。「他社の選考が来週まであるため、判断を待っていただけますか」と伝えるのは、この業界では通常の会話です。黙って遅らせるより印象がよくなります。

Q. ストックオプションの条件は、いつ聞けばよいですか。

A. 条件面談の段階です。選考の早い段階で聞くと、報酬目当てと受け取られます。ただし、内定を受ける前には必ずしも詳細が示されるとは限らないため、こちらから4点を確認する必要があります。

出典

本記事は 2026/8/11 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)