JTPの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
連結財務諸表を作らない会社という前提
JTPについて、第39期(2026年3月期)の有価証券報告書から確認できる事実を整理します。
この会社を読むうえで最初に押さえるべきは、連結財務諸表を作成していないことです。有価証券報告書には、解散・清算手続き中の海外子会社Japan Third Party of Americas, Inc.の重要性が乏しくなったため連結の範囲から除外し、第37期より連結財務諸表を作成していないと記載されています。関係会社の状況の欄も「該当事項はありません」です。
なぜこれが転職の話につながるか
同じ規模のIT企業では、「開示されている平均年間給与は親会社のものだけで、子会社の給与は分からない」という状態が普通です。この会社にはその分岐がありません。開示されている数値が、そのまま会社全体の数値になります。
会社の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | JTP株式会社(設立時の商号は日本サードパーティ株式会社) |
| 上場区分 | 東証スタンダード(証券コード 2488) |
| 本社所在地 | 東京都品川区北品川 |
| 設立 | 1987年10月 |
| 資本金 | 795,475千円 |
| 従業員数 | 459人(臨時46人は外数、2026年3月31日現在) |
| 上場 | 2006年6月(ジャスダック証券取引所) |
本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項や選考プロセスは、公式サイトでご確認ください。
4セグメントで1人あたり売上が1.6倍開く
有価証券報告書のセグメントは、デジタルイノベーション事業/ICT事業/ライフサイエンス事業/その他の4つです。
セグメント別の従業員数と売上高
| セグメント | 従業員数 | 売上高 | 前期比 | セグメント利益 |
|---|---|---|---|---|
| デジタルイノベーション事業 | 81人(8) | 2,666,089千円 | 19.1%増 | 310,636千円(72.8%増) |
| ICT事業 | 257人(21) | 5,225,088千円 | 4.1%増 | 1,147,549千円(7.0%減) |
| ライフサイエンス事業 | 69人(12) | 1,947,714千円 | 1.3%増 | 355,231千円(27.1%増) |
| その他 | 7人(-) | 58,138千円 | 71.6%増 | 141千円の損失 |
| 全社(共通) | 45人(5) | - | - | - |
| 合計 | 459人(46) | 9,897,031千円 | 7.4%増 | - |
( )内は平均臨時雇用者数で外数、全社(共通)は管理部門等に所属する人員です。
人員配分と売上の重心がずれている
従業員数ではICT事業が257人と過半を占めますが、1人あたり売上で見ると景色が変わります。
| セグメント | 従業員1人あたり売上高(概算) |
|---|---|
| デジタルイノベーション事業 | 約3,292万円 |
| ライフサイエンス事業 | 約2,823万円 |
| ICT事業 | 約2,033万円 |
最も人数の多いICT事業が、1人あたりでは最も低いという構造です。デジタルイノベーション事業とは約1.6倍の差があります。
会社の方針とも整合している
第2次中期経営計画の基本方針は「“知恵集約型”のビジネス形態への完全な転換」と明記されています。2030年に目指す姿は「これまでの技術集団から”事業変革とユーザー企業の自走”を促す業界随一のイネイブラーとなる」。注力分野はDX・セキュリティ・ライフサイエンス・次世代システム運用の4つです。
ICT事業の記載は率直
有価証券報告書には、ICT事業についてガバメントクラウド関連をはじめとするスポット案件の受注で増収となったものの、利益率の高い案件の失注が影響して減益、システム運用サービスではクラウド運用サービス「Kyrios」とテクニカルヘルプデスクが伸長したものの、従来型の顧客企業への常駐運用サービスの減少が影響して減収減益と書かれています。
転職の観点でどう読むか
常駐型の運用から自社サービス型へ、という移行の途中であることが読み取れます。応募する職種がどちら側かで、数年後の仕事の姿が変わります。
平均年間給与6,183,090円に含まれるもの
提出会社の従業員の状況(2026年3月31日現在)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数 | 459人(臨時46人は外数) |
| 平均年齢 | 36.3歳 |
| 平均勤続年数 | 10.9年 |
| 平均年間給与 | 6,183,090円 |
| 平均年間給与の対前事業年度増減率 | 1.9% |
注記に目を通す価値があります
有価証券報告書には、平均年間給与は賞与、基準外賃金および確定拠出年金の掛金を含むと明記されています。賞与と基準外賃金を含む会社は多いのですが、確定拠出年金の掛金まで含めていると書く会社は多くありません。
なぜ気にする必要があるか
確定拠出年金の掛金は、その年に手取りとして受け取るお金ではありません。したがって同じ618万円でも、掛金を含めていない会社の618万円とは中身が違います。 他社と横に並べるときは、この注記の有無を見てください。
平均年齢36.3歳・平均勤続10.9年
差し引くと平均的な社員は25.4歳前後で入社している計算になります。新卒採用と若手の中途採用がともに機能している規模感です。
エージェントベストの見解
有価証券報告書の平均年間給与を他社と比べるとき、多くの方が金額だけを並べます。ところがこの会社の注記には、賞与と基準外賃金に加えて確定拠出年金の掛金を含む、と書かれています。掛金は将来の受給に回るお金で、毎月の口座に入るわけではありません。つまり同じ618万円という表示でも、掛金を含まない会社の618万円より、当面の可処分所得は小さくなり得ます。逆に言えば、退職後の原資が制度として積まれているということでもあります。どちらが良いという話ではなく、比較のときに揃えるべき前提が違うという話です。面談では「オファー年収に確定拠出年金の会社掛金は含まれますか」「賞与の想定は何か月分ですか」の2問を必ず聞いてください。この2つを揃えないまま複数社を比べると、判断が狂います。
ROE15%以上という目標と、その達成状況
5期の推移(単位:千円)
| 回次 | 第35期 | 第36期 | 第37期 | 第38期 | 第39期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 決算年月 | 2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | 2025年3月 | 2026年3月 |
| 売上高 | 7,040,137 | 7,381,520 | 8,119,506 | 9,211,357 | 9,897,031 |
| 経常利益 | 471,678 | 466,896 | 665,884 | 828,649 | 980,046 |
| 当期純利益 | 254,082 | 305,741 | 482,764 | 562,703 | 686,294 |
| 自己資本比率 | 60.9% | 61.2% | 61.6% | 61.8% | 61.7% |
| 自己資本利益率 | 9.4% | 10.7% | 15.5% | 16.2% | 17.8% |
| 配当性向 | 46.1% | 56.8% | 42.0% | 41.3% | 40.6% |
| 従業員数 | 400人 | 410人 | 446人 | 462人 | 459人 |
売上は5期で約1.41倍、経常利益は約2.08倍
売上高が7,040,137千円から9,897,031千円へ増えるあいだに、経常利益は471,678千円から980,046千円へ。利益の伸びが売上の伸びを上回っています。 直近期の経常利益率は約9.9%です。
従業員数はほぼ横ばい
400人から459人へ増えてはいますが、直近は462人から459人へわずかに減っています。人を増やさずに売上と利益を伸ばした期ということになります。1人あたり売上高は第38期の約1,994万円から第39期は約2,156万円へ。
ROEは目標を3期連続で上回っている
有価証券報告書には、ROEを営業利益に並ぶ重要な経営指標と位置づけ、中長期的に15%以上の水準を維持することを目標とすると明記され、直近3期の実績が15.5%/16.2%/17.8%と示されています。目標を掲げるだけでなく、達成状況を並べて開示している点は評価できます。
第2次中期経営計画の定量目標
2027年3月期に売上高92〜100億円、営業利益7.1〜10億円。第39期の売上高は約99億円で、すでに目標レンジに入っています。
財務は現金が厚い
総資産6,565,219千円に対し、現金及び預金は3,548,160千円。総資産の約54%が現金です。営業活動によるキャッシュ・フローは733,102千円、投資活動は△100,966千円、財務活動は△325,543千円(自己株式の取得98,762千円と配当金の支払226,780千円)でした。
許認可の積み上げが参入障壁になっている
沿革を読むと、この会社の性格がよく分かります。1987年に海外ハイテク機器メーカーの日本市場参入を技術サービスで支援する目的で設立され、そこから領域を広げてきました。
取得してきた許認可・登録
| 年 | 内容 |
|---|---|
| 2003年 | 医療用具専業修理業許可 |
| 2004年 | 建設業(電気工事・電気通信工事)免許 |
| 2005年 | 医療用具輸入販売業許可 |
| 2007年 | 医療機器販売業・医療機器賃貸業許可 |
| 2013年 | 第一種貨物利用運送事業許可 |
| 2017年 | 第1種医療機器製造販売業許可を取得、医療機器製造業を登録 |
| 2018年 | 労働者派遣事業許可 |
| 2018年 | 倉庫業許可 |
| 2019年 | 有料職業紹介事業を事業目的に追加 |
ライフサイエンス事業の背景
医療機器の保守・販売・製造販売にはそれぞれ別の許認可が要ります。20年以上かけて積み上げてきた許認可の束が、ライフサイエンス事業の土台になっています。69人という人数の少なさに対し、1人あたり売上が約2,823万円と高いのは、この構造と無関係ではありません。
教育事業のルーツ
1992年に本社へUNIXトレーニングセンタを設置して教育事業に進出し、2000年にはITトレーニングセンタ、2010年にはクラウドコンピューティング教育センタを開設。2012年には**ITスキルアセスメントテスト「GAIT」**の提供を開始しています。現在のデジタルイノベーション事業にある人財育成ソリューションサービスは、この流れの延長線上にあります。
労働組合と多様性の指標
労働組合は結成されておらず、労使関係は円満に推移していると記載されています。多様性の3指標は次のとおりです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 16.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女の賃金の差異(全労働者) | 91.9% |
| 男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 94.6% |
| 男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 83.1% |
賃金差異91.9%という水準
これまで見てきたIT企業では、全労働者ベースの賃金差異が70%台にとどまる会社が少なくありません。正規雇用労働者で94.6%というのは、差が小さい側に入ります。
選考で確認しておきたいこと
- 配属されるセグメント(デジタルイノベーション/ICT/ライフサイエンス)
- 常駐型の運用業務か、自社サービス側か
- オファー年収に確定拠出年金の会社掛金が含まれるか
- 賞与の想定月数と、業績連動の比率
- 人的資本投資2.5億円がどの施策に向いているか
- 医療機器領域の場合、必要となる知識と教育の仕組み
1つ目と2つ目は最も効きます。ICT事業では従来型の常駐運用サービスが減少していると有価証券報告書に明記されており、同じ社内でも増えている仕事と減っている仕事が分かれています。
3つ目は、平均年間給与に確定拠出年金の掛金を含むという注記を踏まえた確認です。
5つ目は、第2次中期経営計画期間における人的資本への投資(採用と育成)総額2.5億円という記載を踏まえた質問です。採用に寄っているのか育成に寄っているのかで、入社後の環境が変わります。
選考フローや面接内容は、職種や時期によって変わるとされています。最新の募集要項は公式サイトで必ずご確認ください。
近い規模の会社の見方はSIerの年収相場、キャリアの広がりはSIerのキャリアパスもあわせてご覧ください。
エージェントベストの見解
この会社を検討する方に多いのは、「技術で食べていける会社に行きたい」という動機です。方向は合っているのですが、社内で伸びている領域と縮んでいる領域が明確に分かれている点は見落とされがちです。有価証券報告書には、従来型の常駐運用サービスが減少していると書かれています。一方でデジタルイノベーション事業は売上19.1%増、セグメント利益72.8%増です。同じ会社に入っても、どちらに配属されるかで数年後の市場価値が変わります。面接では「この求人は増員ですか、欠員補充ですか」「配属予定の部署は直近3年で人員が増えていますか」と聞いてください。答えにくい質問ではありません。そして、答えが曖昧なときほど確認を重ねる価値があります。求人票のタイトルではなく、事業の増減で判断してください。
まとめ
JTPについて、有価証券報告書から確認できる点を整理します。
- 第37期より連結財務諸表を作成していない。開示されている数値がそのまま会社全体の数値になる
- 従業員459人(臨時46人は外数)、平均年齢36.3歳、平均勤続10.9年、平均年間給与6,183,090円(対前事業年度増減率1.9%)
- 平均年間給与には賞与、基準外賃金に加えて確定拠出年金の掛金を含む
- セグメントは4つ。人数はICT事業257人が最多だが、1人あたり売上はデジタルイノベーション事業が最も高い
- ICT事業は従来型の常駐運用サービスが減少、デジタルイノベーション事業は売上19.1%増・利益72.8%増
- 売上高は5期で7,040,137千円から9,897,031千円へ。経常利益は約2.08倍
- ROEを営業利益に並ぶ重要指標と位置づけ、15%以上を目標。実績は15.5%/16.2%/17.8%
- 労働組合は結成されていない。男女の賃金の差異は全労働者91.9%、正規雇用労働者94.6%
本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。詳細は有価証券報告書および公式サイトでご確認ください。
よくある質問
Q. 平均年間給与6,183,090円は他社と単純に比べられますか。
A. 注記を揃える必要があります。この会社は賞与・基準外賃金に加えて確定拠出年金の掛金を含めて算定しています。掛金を含めない会社の数値と並べると、当面の可処分所得の比較としてはずれます。
Q. どのセグメントが伸びていますか。
A. 第39期はデジタルイノベーション事業が売上19.1%増・セグメント利益72.8%増、ライフサイエンス事業が売上1.3%増・利益27.1%増でした。ICT事業は売上4.1%増ながら利益は7.0%減で、利益率の高い案件の失注と常駐運用サービスの減少が理由として記載されています。
Q. 医療機器の知識がなくても応募できますか。
A. 募集要件は公開されていません。ただしライフサイエンス事業は医療用具修理業から第1種医療機器製造販売業まで複数の許認可の上に成り立っており、規制の理解が求められる領域です。入社後の教育の仕組みを面接で確認する価値があります。
Q. 会社の規模はこれから大きくなりますか。
A. 第2次中期経営計画では2027年3月期に売上高92〜100億円、営業利益7.1〜10億円という定量目標が掲げられています。一方で従業員数は5期で400人から459人と緩やかな増加にとどまっており、人員よりも1人あたりの生産性を上げる方向が読み取れます。
本記事は 2026/8/12 時点の公開情報にもとづいて作成しています。