KADOKAWAの評判|年収・働き方・選考対策まで解説

KADOKAWA 評判・年収・選考対策 更新日 2026/8/12

6つの事業を持つグループとしてのKADOKAWA

KADOKAWAについて、第12期(2026年3月期)の有価証券報告書から確認できる事実を整理します。

出版社という印象で語られることが多い会社ですが、有価証券報告書の事業区分は出版・IP創出/アニメ・実写映像/ゲーム/Webサービス/教育・EdTech/その他の6つです。連結子会社は57社、持分法適用会社は11社あります。

会社の基本情報

項目内容
会社名株式会社KADOKAWA
上場区分東証プライム(証券コード 9468)
資本金65,613百万円
従業員数連結7,332人(臨時3,145人は外数)/提出会社2,471人(同1,104人)
グループ連結子会社57社・持分法適用会社11社

主な事業会社

事業区分主な会社
出版・IP創出事業㈱KADOKAWA、㈱アークライト、㈱角川アスキー総合研究所、台湾角川、YEN PRESS, LLC ほか
アニメ・実写映像事業㈱KADOKAWA、㈱角川大映スタジオ、グロービジョン㈱、㈱動画工房、㈱ENGI
ゲーム事業㈱フロム・ソフトウェア、㈱スパイク・チュンソフト、㈱アクワイア
Webサービス事業㈱ドワンゴ
教育・EdTech事業㈱ドワンゴ、㈱バンタン

本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項や選考プロセスは、公式サイトでご確認ください。

売上の重心と利益の重心がずれている

第12期のセグメント別の実績は次のとおりです。

セグメント売上高前期比セグメント利益(営業利益)従業員数(連結)
出版・IP創出事業1,556億34百万円2.8%増40億54百万円(51.6%減)3,053人(1,419)
アニメ・実写映像事業482億56百万円5.6%減4億65百万円の損失796人(320)
ゲーム事業297億81百万円11.4%減75億41百万円(20.9%減)877人(106)
Webサービス事業205億15百万円13.7%増21億17百万円(前期は9億98百万円の損失)639人(60)
教育・EdTech事業171億66百万円13.5%増28億44百万円(19.4%増)464人(313)
その他事業170億31百万円4.7%減39億66百万円の損失578人(425)

売上では出版が過半、利益ではゲームが最大

出版・IP創出事業の売上高は1,556億円で、連結売上高2,829億円の約55%を占めます。一方でセグメント利益は40億54百万円。ゲーム事業は売上297億円ながら、セグメント利益は75億41百万円です。

従業員1人あたりのセグメント利益で並べる

セグメントセグメント利益 ÷ 連結従業員数(概算)
ゲーム事業約860万円
教育・EdTech事業約613万円
Webサービス事業約331万円
出版・IP創出事業約133万円

同じ会社のなかで6倍以上の開きがあります。 これは待遇の差を意味するものではありませんが、どの事業がグループの利益を支えているかは把握しておく価値があります。

各セグメントの状況も具体的に書かれている

出版・IP創出事業では、年間6,000タイトルを超える新規IPを創出しており、当期の新規IP数は対前年同期で9.3%増加したと記載されています。海外は米国とアジアで堅調に成長。一方で国内は1タイトル当たりの売上が小規模化し、電子書籍はヒット作品が少なく減収。人件費の増加もあってセグメント全体では減益と説明されています。

ゲーム事業は㈱フロム・ソフトウェアの新作の販売が好調だったものの、前年同期の大型タイトルの反動で減収。Webサービス事業は前年同期に大きく発生したサイバー攻撃の影響からの回復で増収増益。教育・EdTech事業は㈱バンタンの新スクール開設と、㈱ドワンゴのN高等学校・S高等学校・R高等学校の通学コース新キャンパス、ZEN大学の新規設立により生徒数が増加しています。

提出会社は当期純損失、連結は黒字

連結の5期推移(単位:百万円)

回次第8期第9期第10期第11期第12期
決算年月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月2026年3月
売上高221,208255,429258,109277,915282,908
経常利益20,21326,66920,23617,74211,701
親会社株主に帰属する当期純利益14,07812,67911,3847,3921,278
自己資本比率52.8%52.9%56.0%60.9%62.0%
自己資本利益率9.4%6.8%5.8%3.4%0.5%
従業員数5,349人5,856人6,269人6,967人7,332人

売上は伸びているが、利益は4期連続で減っている

売上高は221,208百万円から282,908百万円へ。一方で経常利益は26,669百万円(第9期)を頂点に11,701百万円まで減り、当期純利益は14,078百万円から1,278百万円へ。自己資本利益率は9.4%から0.5%になりました。

提出会社(単体)はさらに厳しい

項目第11期第12期
売上高139,543百万円132,304百万円
売上総利益44,206百万円36,500百万円
販売費及び一般管理費42,975百万円46,065百万円
営業利益(損失)1,230百万円△9,565百万円
経常利益(損失)4,014百万円△6,403百万円
当期純利益(損失)3,873百万円△9,376百万円

売上総利益が7,706百万円減る一方で販売費及び一般管理費が3,090百万円増え、営業損失に転じています。特別損失には関係会社株式評価損3,566百万円が計上されています。

財務そのものは安定している

自己資本比率は連結62.0%で5期を通じて上昇しており、現金及び預金は116,001百万円あります。利益の水準と財務の健全性は別の話として読む必要があります。

エージェントベストの見解

コンテンツ企業を検討する方は、作品や事業への関心から入ることがほとんどです。それ自体は自然なことですが、面接の後半で問われるのはたいてい別の話になります。この会社の直近期は、連結で当期純利益1,278百万円、提出会社では当期純損失9,376百万円という数字です。売上は伸びているのに利益が4期続けて減っている局面で、採用側が知りたいのは「あなたが入って何の数字を動かせるか」です。作品への熱量だけで語ると、そこで止まります。準備としては、志望するセグメントの直近の増減と、その理由として有価証券報告書に書かれている要因を1つ押さえたうえで、自分の経験がその要因のどこに効くかを一文で言えるようにしておくことです。出版・IP創出事業なら人件費の増加と1タイトル当たり売上の小規模化、Webサービス事業ならITインフラ費用の削減。事実に紐づいた志望動機は、それだけで通過率が変わります。

平均勤続4.8年の起算日は2019年7月1日

提出会社の従業員の状況(2026年3月31日現在)

項目数値
従業員数2,471人(臨時1,104人は外数)
平均年齢41.6歳
平均勤続年数4.8年
平均年間給与8,715千円
平均年間給与の対前事業年度増減率△1.5%

この4.8年をそのまま読んではいけません

有価証券報告書の注記に、平均勤続年数は2019年7月1日を起算日としていると明記されています。つまり実際の在籍年数ではなく、その日以降の年数です。平均年齢41.6歳と平均勤続4.8年を差し引いて「36.8歳で入社」と読むと、実態から離れます。

他社の平均勤続と横に並べない

これまで見てきたIT・情報サービス各社では、平均勤続15年から20年という数字が並びます。起算日の注記がある会社を、注記のない会社と同じ物差しで比べると誤読します。 この会社の定着状況を知りたい場合は、勤続年数ではなく別の指標を見る必要があります。

もうひとつの注記

平均年間給与は当社、または出向元である子会社での給与額であり、賞与および基準外賃金を含むと記載されています。また従業員数は、グループ内外への出向者を除き、受入出向者と執行役員を含む就業人員です。

給与の決め方は役割等級制

有価証券報告書には、従業員の給与その他の給付について役割等級制を基本とする決定方針を採用し、各等級は職務・役割・責任の大きさ・期待成果を踏まえて設定しており、年齢や勤続年数を一律の基準として決定するものではないと明記されています。基本給は等級に基づき、改定と賞与には人事評価の結果と成果を反映するとされています。

提出会社のセグメント別内訳

出版・IP創出事業1,222人(485)、アニメ・実写映像事業215人(55)、ゲーム事業23人(3)、その他144人(71)、全社(共通)867人(490)。ゲーム事業の23人という数字が示すとおり、ゲームの人員はほぼ子会社側にいます。

人的資本の指標を3期分そろえて開示している

この会社の有価証券報告書で目を引くのは、人的資本の指標を3期分の実績と目標を並べて開示している点です。

指標2023年度2024年度2025年度目標
在宅勤務率72.5%70.8%70.2%現水準維持
男性育児休業取得率55.4%47.7%67.3%現水準維持
女性管理職比率21.6%20.7%22.9%2030年度 30%
中途採用におけるリファラル経由での採用比率31.4%38.2%33.1%現水準維持
新卒採用における早期選考比率(インターン経由)56.1%37.9%現水準維持
FA制度利用率50.4%2030年度 70%
資格取得制度利用率(言語資格以外)10.0%10.2%2030年度 15%
部下上司サーベイ結果(満点5点)3.994.004.06現水準維持
語学資格保有率7.1%7.6%2033年度 10%

在宅勤務率70.2%

就業場所を自由に選択できるワークプレイスチョイス制度を推進していると記載されています。3期を通じて70%台を維持し、目標も現水準維持です。

中途採用の3人に1人がリファラル

リファラル経由での採用比率が33.1%というのは、応募を考える人にとって実務的な情報です。社内に知り合いがいるかどうかで、入口の数が変わる可能性があるということでもあります。

FA制度利用率50.4%

従業員が希望するポジションに応募してマッチングを図るフリーエージェント型異動制度が導入されており、利用率を2030年度に70%まで引き上げる目標が置かれています。

エンゲージメントスコアも開示

「従業員のモチベーションを上げる努力をしているか」69.1→70.0→75.1%、「テクノロジーの活用を十分にしているか」78.4→80.2→83.2%、「クリエイティブに仕事ができているか」83.0→84.7→83.9%。いずれも「満足・どちらかというと満足」等と回答した従業員の比率です。

産育休・介護休フォロー手当

2025年4月1日から、産前産後休暇・育児休業・介護休業を取得した社員の業務をフォローする社員に月2万円の手当を支給する制度が導入され、支給率は96.7%と記載されています。休む側ではなく支える側に手当を出す制度は、まだ多くありません。

労働組合と、法人ごとに分かれる多様性の指標

労働組合は3つ

労働組合名組合員数上部団体
角川グループ労働組合578名千代田区労働組合協議会
映演労連角川映画労働組合151名映画演劇労働組合連合会
SSCユニオン25名日本出版労働組合連合会

いずれも2026年3月31日現在。労使関係は安定的に推移していると記載されています。

提出会社の多様性指標

指標数値
管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合28.7%
男性労働者の育児休業取得率56.8%
男女の賃金の差異(全労働者)74.3%
男女の賃金の差異(正規雇用労働者)81.4%
男女の賃金の差異(パート・有期労働者)62.2%

管理職に占める女性28.7%は、これまで見てきた企業のなかでは高い側に入ります。

子会社13社が個別に開示されている

管理職に占める女性の割合は、㈱動画工房50.0%、㈱角川アスキー総合研究所41.7%、グロービジョン㈱38.1%と高い会社がある一方、㈱フロム・ソフトウェア3.8%、㈱ENGI 6.3%、㈱アークライト9.1%という会社もあります。同じグループでも法人によって10倍以上の差があります。

選考で確認しておきたいこと

  1. 雇用契約の相手方(提出会社か、グループ会社か)
  2. 配属されるセグメント
  3. 役割等級のどこに位置づけられるか
  4. ワークプレイスチョイス制度が配属先で適用されるか
  5. FA制度を使えるようになる条件
  6. 志望セグメントの直近の増減と、その理由

1つ目は、この会社では特に効きます。提出会社のゲーム事業の従業員は23人で、ゲームの人員は子会社側にいます。多様性の指標も法人ごとに大きく違います。

3つ目は、給与が役割等級制で決まり、年齢や勤続年数を一律の基準としないと明記されているためです。中途入社時にどの等級から始まるかで、その後の見え方が変わります。

6つ目は、面接で聞くというより自分で調べて臨む項目です。セグメントごとに増減の理由が有価証券報告書に書かれています。

選考フローや面接内容は、職種や時期によって変わるとされています。最新の募集要項は公式サイトで必ずご確認ください。

職種の観点はプロダクトマネージャーのキャリアパスもあわせてご覧ください。

エージェントベストの見解

有価証券報告書に「平均勤続年数4.8年」と書いてあるのを見て、離職が多い会社だと判断する方がいます。この会社ではそれが誤りになります。注記に起算日が2019年7月1日と明記されているためで、実際にはそれ以前から在籍している人が相当数います。数字だけを他社と並べると、まったく逆の結論に着地します。同じことは平均年間給与にも言えます。8,715千円という数値は、出向元である子会社での給与額を含めて算定されたものです。転職の判断材料として使うなら、注記まで読んだうえで比較対象を揃えてください。そのうえで定着を知りたいなら、面接で「配属予定の部署の直近3年の中途入社者は何名で、いま何名残っていますか」と聞くほうが早い。開示された平均値より、この一問のほうが実態に近づきます。

まとめ

KADOKAWAについて、有価証券報告書から確認できる点を整理します。

本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。詳細は有価証券報告書および公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q. 平均勤続年数4.8年は、定着していないということですか。

A. そう読むのは適切ではありません。有価証券報告書の注記に、平均勤続年数は2019年7月1日を起算日としていると明記されています。実際の在籍年数ではなく、その日以降の年数です。

Q. 平均年間給与8,715千円はグループ全体の数字ですか。

A. 提出会社の数値です。注記では、当社または出向元である子会社での給与額であり、賞与および基準外賃金を含むとされています。連結子会社ごとの平均年間給与は開示されていません。

Q. ゲームの仕事に応募したい場合、どこを見ればよいですか。

A. 提出会社のゲーム事業の従業員は23人で、877人の大半は㈱フロム・ソフトウェア、㈱スパイク・チュンソフト、㈱アクワイアなどの子会社に在籍しています。求人の雇用契約先を確認してください。

Q. 在宅勤務はできますか。

A. 有価証券報告書には、就業場所を自由に選択できるワークプレイスチョイス制度を推進しており、在宅勤務率は2025年度で70.2%と記載されています。ただし当社単体の数値であり、職種や配属先による違いは開示されていません。

出典

本記事は 2026/8/12 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)