YE DIGITALの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
YE DIGITALの有価証券報告書を読むと、平均勤続年数15.1年という数字が目に入ります。IT企業としては際立って長く、この会社の性格を端的に示しています。この記事では、同社が提出した有価証券報告書の記載だけを使って構造を整理し、転職を検討する際の見方を解説します。2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項は公式サイトをご確認ください。
会社概要と、2つの事業部門
まず基本情報を整理します。以下は同社が提出した有価証券報告書(第49期・2026年2月期)の記載です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社YE DIGITAL |
| 対象事業年度 | 第49期(2025年3月1日〜2026年2月28日) |
| セグメント | 情報サービス事業の単一セグメント |
提出会社の従業員は、部門別に以下のとおり記載されています。
| 部門 | 従業員数(名) |
|---|---|
| ビジネスソリューション事業 | 263 |
| IoTソリューション事業 | 138 |
| 全社(共通) | 127 |
| 合計 | 528 |
同報告書には、情報サービス事業の単一セグメントであるため上記の部門で記載している旨が注記されています。
ビジネスソリューションとIoTソリューションという2つの軸を持つ点が特徴です。前者は業務システムの構築や運用、後者は機器やセンサーから得られるデータを扱う領域と考えられます。同じ会社のなかで、扱う技術の性質が異なる部門が併存しています。
第49期という事業年度からも、設立から長い年数を重ねた企業であることが読み取れます。
平均勤続15.1年という数字
有価証券報告書に記載された提出会社の従業員データは以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 従業員数 | 528名 |
| 平均年齢 | 42.5歳 |
| 平均勤続年数 | 15.1年 |
| 平均年間給与 | 7,980千円 |
平均勤続年数15.1年は、本メディアで扱ってきた企業のなかで最も長い部類です。参考として、SaaS領域の企業では2.2年から6.7年、AI領域では1.5年から3.0年という水準が開示されています。
平均年齢42.5歳という数値も、長期在籍を前提とした組織であることを示します。
この構造は、報酬にも表れます。平均年間給与7,980千円は、職種側の統計であるシステムエンジニア(受託開発)の平均年収578.5万円(令和7年賃金構造基本統計調査)を大きく上回ります。定期昇給を重ねた層が組織内に厚く存在すれば、平均値はこうなります。
したがって、中途で入社する方が最初に提示される額は、この平均より下に位置することが一般的です。 開示された数値を入社時の想定額とすると、期待と実態が離れます。
なお平均年間給与には賞与及び基準外賃金を含む旨が注記されています。
労働組合の名称が、グループの位置づけを示す
この会社の有価証券報告書には、事業の説明を読むより早く企業グループの位置づけが分かる記載があります。労働組合の項目です。
同報告書には、提出会社に安川電機労働組合の一支部として労働組合が組織されている旨が記載され、組合名として安川電機労働組合YDC支部が示されています。
つまりこの会社は、産業用ロボットやモーションコントロールを手がける安川電機のグループに属します。IoTソリューション事業を持つ構造も、この位置づけを踏まえれば理解しやすくなります。製造業の現場で使われる機器とデータを扱う土壌が、グループ内にあるということです。
また、連結子会社として株式会社YE DIGITAL Kyushuが存在することも、男女の賃金の差異の開示から確認できます。
グループ企業であるという事実は、転職先を検討するうえで重要です。 顧客基盤の一部がグループ内にある可能性があり、案件の獲得競争の性質が独立系と異なります。同時に、親会社の事業領域を理解していることが評価につながる可能性もあります。
評判の傾向
公開されている口コミの傾向を、カテゴリ別に要約します。個別の投稿を引用するものではなく、全体として見られる傾向の整理です。
年収・評価制度について。 年功的な要素に触れる投稿が見られます。平均勤続15.1年という構造と整合します。
ワークライフバランスについて。 労働組合が組織されていることもあり、制度面の整備に言及する内容が見られます。
キャリア・成長機会について。 長期的な育成に触れる投稿が見られる一方、変化の速度に関する指摘も見られます。
社風・人間関係について。 落ち着いた環境を挙げる内容が見られます。勤続年数の長さを反映していると考えられます。
出典:OpenWork等の公開口コミの傾向
口コミを読む際は、投稿者の在籍部門を意識する必要があります。ビジネスソリューションとIoTソリューションでは、扱う技術も顧客も異なります。
開示から読める働き方の特徴
有価証券報告書には、働き方を推し量る材料がいくつか記載されています。
| 項目 | 提出会社 | 連結子会社(YE DIGITAL Kyushu) |
|---|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 8.8% | 17.9% |
| 男性労働者の育児休業等取得率 | 66.7% | 33.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 72.7% | 84.2% |
| 同(正規雇用労働者) | 71.0% | 82.2% |
いずれも女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の規定にもとづき算出された数値です。
同報告書には、男女の賃金の差異について、賃金制度・体系において性別による差異はなく、差異は主に男女間の管理職比率の差異によるものである旨が注記されています。
男性の育児休業等取得率66.7%という数値は、制度が利用されている状態を示します。一方、管理職に占める女性労働者の割合8.8%は、同社自身が注記で説明しているとおり賃金差異の背景になっています。
エージェントベストの見解
平均勤続15.1年、平均年齢42.5歳、平均年間給与7,980千円。この3つの数値は、そろって同じことを示しています。長く在籍して昇給を重ねた層が組織の中心にいるということです。転職の相談でよく起きるのは、この平均年間給与を見て「800万円近い会社」と受け取り、提示額とのギャップに驚くという展開です。中途入社の初年度は、この平均より下から始まるのが一般的です。見るべきは入り口の額ではなく、等級ごとのレンジと昇格の要件です。勤続年数が長い組織ほど、在籍とともに上がる設計になっている可能性が高く、数年後を含めて判断する必要があります。
部門構成から読める、キャリアの分かれ方
前掲の部門別人員をもう一度見ると、この会社でのキャリアの分かれ方が見えてきます。
ビジネスソリューション事業263名は、全体の約半分を占めます。業務システムの構築や運用が中心となる領域で、顧客の業務を理解することが仕事の土台になります。ここで積み上がるのは、特定業務の知識と、システムを長く動かし続ける経験です。
IoTソリューション事業138名は、機器やセンサーから得られるデータを扱う領域です。安川電機グループという位置づけを踏まえると、製造業の現場に近いところで動く仕組みを扱う可能性があります。ここで積み上がるのは、現場の設備とソフトウェアをつなぐ経験です。
全社(共通)127名という区分も無視できません。528名のうち約4分の1がこの区分に置かれています。管理部門や横断的な機能が相応の厚みを持っていることを示します。
転職を検討する際、この3区分のどこに配属されるかで数年後の職務経歴書の中身が変わります。 求人票の職務内容から、どの部門に紐づくポジションかを読み取っておく必要があります。募集の段階で部門が明示されていない場合は、面談で確認する項目になります。
向いている人・向いていない人
向いている人
第一に、腰を据えて働きたい人です。平均勤続15.1年という組織では、長期在籍が前提として設計されています。
第二に、製造業の現場に関心がある人です。IoTソリューション事業を持ち、安川電機グループに属する構造から、この領域との接点が生まれやすくなります。
第三に、制度が整った環境を求める人です。労働組合が組織され、育児休業の取得率も開示されています。
向いていない人
第一に、開示されている平均年間給与を入社時の想定額とする人です。前述のとおり、中途入社の初年度はこれより下から始まるのが一般的です。
第二に、短期間で役割を大きく変えたい人です。長期在籍を前提とする組織では、ポジションの空き方が緩やかになります。
選考に向けた準備
部門を特定して志望動機を作る。 ビジネスソリューションとIoTソリューションでは、求められる経験が異なります。求人票の記載を読み込んでから書類を作ります。
グループの位置づけを踏まえる。 安川電機グループであることは有価証券報告書から確認できます。この点に触れられると、開示資料を読んだうえで応募していることが伝わります。
定着の意思を示す。 平均勤続15.1年という組織では、長く働く前提で見られます。短期での転職を繰り返している経歴の場合、その理由を一貫した線で説明できるようにしておきます。
エージェントベストの見解
この会社を検討する方は、独立系SIer、他のユーザー系SIer、そして製造業の情報システム部門を並行して比較しているケースが多く見られます。判断が割れるのは、技術の新しさと在籍期間のどちらを取るかという点です。勤続15.1年という組織では、同じ領域に長く関わることで業務知識が深く積み上がります。その代わり、扱う技術の入れ替わりは緩やかです。IoTソリューション事業という比較的新しい領域を持つ点は、この会社の特徴です。選考の段階で、自分がどちらの部門に紐づくのかを確認しておくと、数年後の見通しが変わります。
まとめ
YE DIGITALは、情報サービス事業の単一セグメントのもとで、ビジネスソリューション事業263名とIoTソリューション事業138名という2つの部門を持ちます。提出会社の従業員数は528名です。
平均勤続年数15.1年、平均年齢42.5歳、平均年間給与7,980千円。長期在籍を前提とした組織であり、開示された平均年間給与には昇給を重ねた層が含まれます。中途入社の提示額はこれより下から始まるのが一般的です。
労働組合が安川電機労働組合の一支部として組織されており、安川電機グループに属することが有価証券報告書から確認できます。
よくある質問
Q. 平均年収800万円程度と考えてよいですか。
開示されている7,980千円は、平均勤続15.1年・平均年齢42.5歳の集団の平均です。定期昇給を重ねた層を含むため、中途入社時の提示額はこれより下に位置するのが一般的です。等級ごとのレンジと昇格の要件を確認することをおすすめします。
Q. どちらの部門の募集が多いですか。
従業員数ではビジネスソリューション事業が263名、IoTソリューション事業が138名です。ただし従業員数と募集数は必ずしも一致しないため、求人票で確認してください。求められる技術の性質が異なる2つの領域です。
Q. 安川電機グループであることは働き方に影響しますか。
有価証券報告書からは、労働組合が安川電機労働組合の一支部として組織されていることが確認できます。顧客基盤や案件の性質にグループとの関係が及ぶ可能性はありますが、具体的な比率は開示されていません。面談で確認することをおすすめします。
本記事は 2026/8/11 時点の公開情報にもとづいて作成しています。