DXコンサルティングの転職難易度|転職で押さえるべきポイント

DXコンサルティング 転職難易度 更新日 2026/8/11

人材は足りていない。それでも選考は甘くない

DXコンサルティングへの転職を考えるとき、多くの方が耳にするのが「人材不足」という言葉です。これは事実です。

IPA(情報処理推進機構)が2026年7月16日に公表した調査(国内企業1,799社が回答、調査期間は2026年4月17日〜6月12日)では、DXを推進する人材の「量」について、「やや不足している」「大幅に不足している」の合計が**85.5%**でした。2024年度、2023年度ともほぼ同じ水準が続いています。

一方で、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)のITコンサルタントの区分では、有効求人倍率が0.89(令和6年度)となっています。1を下回る水準です。

足りないと言われながら、求人倍率は1未満。 この見かけの矛盾を理解しておくと、選考対策の方向が定まります。この記事では、難易度の中身と、下げる打ち手を整理します。本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。

「不足」の中身が、募集要件を厳しくしている

同調査では、AI関連人材の充足状況についても、多くの人材種別で「不足している」が過半数を占めると報告されています。特に不足の割合が高いままなのは、次の2種類です。

どちらも「掛け合わせ」の人材です。 技術だけでも、業務だけでも当てはまりません。企業が足りないと言っているのはこの層であり、単に手が足りないという意味ではありません。

その結果、募集要件は「業務知識 × IT」「データ × 企画」といった形になります。求人倍率が1未満でも、条件に合う人から順に決まっていく。ここが難易度の本体です。

難易度を構成する4つの要因

要因内容対処の方向
掛け合わせの要求業務知識とITの両方を問われる片方を軸に決め、もう片方を語れる水準まで上げる
意思決定の経験決めた経験があるかを見られる範囲が狭くても、自分で決めた場面を切り出す
説明力経営層に説明できるか技術用語を使わずに説明する練習をする
定着までの関与入れて終わりでないか稼働後の運用に関わった経験を出す

job tagのITコンサルタントの区分では、必要とされるスキルの上位に「要件分析(仕様作成)」5.1、「説明力」5.0、「他者との調整」5.0、「読解力」4.8、「継続的観察と評価」4.8が挙がっています(5段階評価)。技術の習熟より、決めて伝える力が上位に並びます。

未経験からは入れるのか

入り口はあります。ただし、経歴によって必要な準備が変わります。

接続しやすい経歴

時間がかかる経歴

後者でも道はあります。社内でひとつ、決める側に回れる機会を作ることが最短です。 小さな仕組みの入替えでも構いません。決めた経験は書類に書けます。

難易度を下げる打ち手

1. 業種を1つ決める 製造、金融、流通、医療。どれかひとつで業務の言葉が通じる状態を作ると、書類の説得力が変わります。支援側は業種の知見を持つ人を求めています。

2. 定着の話を用意する 導入した仕組みが、その後どうなったか。利用率が落ちたなら、その理由をどう捉えたか。IPAの調査でDXの成果が効率化に偏っている状況を踏まえると、定着まで見た経験は差別化になります。

3. 規模の違いを説明できるようにする 同調査では、AI導入が1,001人以上の企業で8割近くに達する一方、101人以下では16.6%にとどまっています。大企業向けと中堅・中小向けでは、支援の進め方が異なります。応募先の顧客層に合わせて経験を語り直すことです。

4. 効率化の先を語る AI導入の効果として「業務が効率化したり迅速化した」は91.6%ですが、「売上や利益が向上した」は3.9%、「顧客満足度が向上した」は4.5%です。効率化の実績に加えて、浮いた時間を何に使うかまで語れると、上流の役割に近づきます。

エージェントベストの見解

この領域で書類が通らない方に共通するのは、関わった工程が書かれていないことです。「基幹システム刷新プロジェクトに参画」とだけ書かれていると、要件を決めたのか、テストを担当したのか、運用に入ったのかが判別できません。読む側は判断ができないため、通しません。書き方は単純で、工程を並べ、自分が担当した範囲に印を付けるだけです。あわせて、その工程で自分が決めたことを1行足してください。決定の内容が書かれた書類は、面接の質問がその話から始まります。会話の主導権を取れるという意味でも、ここは書く価値があります。

選考で落ちやすいのは、どこか

4つ目は、経験が豊富な方でも詰まります。利用率、工数削減、そして事業指標。この3層で語れるように準備しておくと、最終面接での評価が安定します。

入社後1年で立ち上がるための準備

選考を通ることと、続けられることは別です。入職後の訓練期間として「6ヶ月超〜1年以下」が20.5%と示されていることからも、立ち上がりに時間がかかる職種だと分かります。

準備として効くのは、次の3つです。

現行業務の聞き方を用意する 支援の初動は、いま誰が何をしているかの把握です。質問の型を持っている人は、初回の訪問から情報が取れます。 業務の流れ、例外処理、手作業が残っている箇所。この3つを軸にすると外しにくくなります。

資料の型を持ち込む 現状整理、課題の一覧、打ち手の比較。会社ごとに様式は違いますが、自分の型があれば速度が出ます。前職で作った資料を、社外に出せる形に整理しておくと役立ちます。

専門外を相談できる相手を作る データ基盤、セキュリティ、業務システム。ひとりで全部を扱う前提では回りません。社内の誰に聞けばよいかを早く把握した方は、立ち上がりが速くなります。

同調査でDX推進人材の不足が85.5%という状況では、入社直後から案件に入る場面が想定されます。育成の枠がどの程度あるかは、面接で確認しておいたほうがよい項目です。

応募先によって、難易度は変わる

同じDX支援でも、求められる経験の組み合わせが違います。企業別の記事もあわせてご覧ください。

年齢と、入りやすさの関係

job tagのITコンサルタントの区分では、平均年齢は38.3歳です。入職後の訓練期間としては「6ヶ月超〜1年以下」が20.5%、「2年超〜3年以下」が18.2%と示されています。

立ち上がりに1年前後を見込む職種だと読めます。裏を返せば、その期間を投資できる年齢層が採られやすいということでもあります。30代後半以降で移る場合は、即戦力として入れる業種や工程を明確にしておくほうが、選考が進みやすくなります。

エージェントベストの見解

「DX人材が不足している」という報道を根拠に、準備なしで応募して落ちる方が少なくありません。不足しているのは、現場の業務を知ったうえでデジタルを扱える人であって、デジタルに詳しい人ではない。ここを取り違えると、応募先が求めていることと、書類でアピールしている内容がずれます。転職市場で強いのは、意外にも業務側から来た方です。現場で何が起きているかを説明できる人は、技術は後から身に付けられると判断されます。技術系の方は逆に、業務の言葉で語れるかどうかが分かれ目になります。

まとめ

よくある質問

Q. IT未経験の業務担当者でも転職できますか。 A. 可能性はあります。求められているのは現場の知見とデジタルの掛け合わせです。業務側の経験を軸に、システム導入や改善に関わった場面を具体的に書くことです。

Q. 資格を取れば難易度は下がりますか。 A. 資格だけで通過率が大きく変わる領域ではありません。知識の裏付けとしては見られますが、面接で長く話されるのは関わったプロジェクトの内容です。

Q. 事業会社のDX推進部門と、支援側はどちらが入りやすいですか。 A. どちらも人手が不足しています。支援側は複数の業種を短い周期で経験できる一方、選考では工程ごとの経験を細かく問われます。事業会社側は1社に長く関われますが、募集が単発で出るため時期を選べません。並行して受けるのであれば、書類の書き分けが要ります。

Q. 30代後半からの転職は難しいですか。 A. 即戦力として入れる工程や業種があれば、年齢は不利になりにくい領域です。入職後の訓練期間が1年前後とされる職種のため、その期間を短縮できる経験を示せるかどうかが鍵になります。

出典

本記事は 2026/8/11 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)