PMPのPDUが足りないまま転職活動に入ったら|失効と休止の扱い

プロジェクトマネージャー(PM・PjM) 資格 更新日 2026/8/15

「足りない」には2つの段階がある

PMPの更新が滞ったまま転職活動に入る方は、思っているより多くいます。相談の場でも「更新できていないのですが、履歴書に書いてよいですか」という質問が定期的に出ます。

まず、状態を切り分けるところから始めます。PMPには3年のCCRサイクルがあり、PMI日本支部の説明では、この3年間に最低60PDUの取得と報告が求められます。ここから先の状態は2つに分かれます。

ひとつは、サイクルの途中でPDUが不足している状態です。期限はまだ来ていません。この段階では資格は有効で、書類にも通常どおり書けます。手を打てる時間も残っています。

もうひとつは、期限までに60PDUを満たせなかった状態です。PMI日本支部の説明では、この場合は期限の翌1年間がサスペンド(停止)となり、その1年のあいだに不足分を満たせば更新できます。満たせないまま1年が過ぎると資格を喪失し、名乗るには再度の申し込みと受験・合格が必要になります。

同じ「足りない」でも、この2つは意味がまったく違います。転職活動での扱いも変わるため、まず自分がどちらにいるかを確認してください。本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の更新要件はPMIおよびPMI日本支部の公式サイトでご確認ください。

転職活動と更新期限が重なると起きること

更新期限が選考期間と重なると、実務上いくつかの面倒が生じます。

場面起きること
書類選考資格欄の記載と、有効期限の状態がずれる
面接資格について聞かれたときに、更新状況の説明が必要になる
内定後提出書類で資格証明を求められることがある
入社後資格手当の支給要件を、有効な資格保有で判断する会社がある

このうち、実際に問題になりやすいのは内定後です。選考の途中で細かく確認されることは多くありませんが、条件提示や入社手続きの段階で証明書類を求められると、そこで状態が明らかになります。

資格手当を制度として持っている会社では、支給の判断が有効性に紐づいていることがあります。手当の対象になると見込んで年収を計算していると、入社後にずれが出ます。求人票に資格手当が明記されている場合ほど、先に確認しておく価値があります。

履歴書・職務経歴書での書き方

書き方で迷ったときの原則は単純です。**取得の事実と、現在の状態を分けて書く。**この2つを混ぜると、意図せず実態と違う印象を与えることになります。

有効期限内で、更新も済んでいる場合

取得年月とあわせて、有効期限まで書いておくと親切です。読む側は期限を気にしているため、そこが書いてあれば確認の手間が省けます。

期限内だが、PDUが不足している場合

資格としては有効なので、通常どおり記載して差し支えありません。面接で更新の話題が出たら、いつまでに何PDU積む予定か答えられるようにしておきます。期限が選考期間中に来るなら、その予定まで含めて説明できると安心されます。

サスペンド中、または失効している場合

有効な状態ではないため、現在も保有しているように読める書き方は避けます。取得した年月を事実として書き、現在の状態が分かるように添えるのが安全です。読む側が誤解しない書き方であれば、記載そのものが不利に働くことはあまりありません。

問題になるのは、資格欄に何も注記せず、面接や入社手続きで状態が判明する流れです。先に書いてあれば経歴の一部ですが、あとから出てくると説明の場になります。

エージェントベストの見解

書類でこの部分の相談を受けたとき、いちばん多いのは「資格欄をどう書くか」に時間を使いすぎているケースです。読む側が資格欄を見る時間は数秒です。判断が動くのは職務経歴の本文であって、資格の1行ではありません。更新が切れている方には、資格欄は事実だけを簡潔に書いて、その時間を直近3年の案件記述に回すことをお勧めしています。PMPの更新が止まった時期は、担当案件が変わったタイミングと重なっていることが多くあります。であれば、そこで何を担当していたかを具体的に書くほうが効きます。資格の状態を取り繕うより、その期間に何をしていたかが空白でないことのほうが、通過率に影響します。

選考中に更新期限が来るときの伝え方

期限が選考期間と重なると分かっている場合は、聞かれる前に整理しておくと話が早く進みます。

伝える内容は3つで足ります。

この3点が言えれば、更新が滞っていること自体が論点になることはあまりありません。逆に「たぶん大丈夫です」で止まると、確認のやり取りが増えます。

タイミングとして注意したいのは、内定から入社までの期間です。この期間は引き継ぎと手続きで埋まりやすく、学習の時間を見込んだ計画が崩れがちです。期限が入社直後に来るなら、選考中のうちに手を打っておくほうが安全です。

なお、更新の要件や手続きは変更されることがあります。期限や必要な手続きは、PMIおよびPMI日本支部の公式サイトで必ず最新の内容をご確認ください。

PDUを積む機会は、働き方で変わる

更新が止まる原因は、意欲の問題であることは少なく、たいていは業務内容の変化です。

PDUは、プロジェクトマネジメントに関わる学習や実務、知識共有などの活動を通じて積み上げていく仕組みです。裏を返すと、そうした活動から離れた働き方になると、日常業務のなかで自然に積み上がる分が減ります。

止まりやすいのは、次のような変化があったときです。

このうち3つ目は、転職そのものが原因になります。前職では社内研修がPDUの対象として案内されていたのに、移った先にその仕組みがない、という話は珍しくありません。

**資格を維持する前提で転職先を選ぶなら、研修制度の有無を選考の段階で聞いておく価値があります。**面接で聞きにくければ、条件提示の場や、内定後の面談で確認できます。

失効まで行ったときの3つの選択肢

サスペンド期間も過ぎて資格を喪失した場合、選べる道は3つです。

1つめは、再受験して取り直す。 PMIの案内では、PMPの受験には学歴に応じた期間のプロジェクト指揮経験と35時間のトレーニング受講が求められます。すでに一度満たしているなら、要件面のハードルは初回より低いはずです。ただし経験は直近10年以内が対象とされているため、マネジメントから離れて長い場合は数え直しが必要になります。要件の数え方はPMPの受験資格を満たしているかで整理しています。

2つめは、取り直さず、経歴で説明する。 応募先がPMPを換算しない領域なら、取り直す時間の投資対効果は下がります。事業会社の内製開発組織やスタートアップでは、資格より意思決定の経験が見られる傾向があります。この判断軸は「PMPは意味ない」と言われる理由で詳しく扱っています。

3つめは、別の資格に振り替える。 国内SIerや官公庁案件が中心なら、情報処理技術者試験のプロジェクトマネージャ試験のほうが換算される場面が多くなります。こちらは合格に期限がなく、更新の負担が発生しません。2つの資格の性格の違いはPMPとプロジェクトマネージャ試験、転職で効くのはどちらかにまとめています。

積み直しを始めるときの順番

更新を続けると決めたなら、着手の順番で負担が変わります。

まず、記録を先に確認する。 不足しているPDU数と期限を確認しないまま活動を始めると、対象にならない活動に時間を使うことがあります。手元の感覚ではなく、報告済みの実績を確認するところから始めます。

次に、業務のなかで対象になる活動を洗い出す。 日常の実務やチーム内の勉強会、後進の指導など、すでに行っている活動が対象になる場合があります。新しく何かを始める前に、いま行っていることを整理するほうが早いことがあります。

そのうえで、足りない分を計画に落とす。 残りの期間と不足分を割り算して、月ごとの目安を出します。期限直前にまとめて処理しようとすると、報告の手続きまで含めて間に合わないことがあります。

転職を挟む場合は、在職中に前倒しする。 環境が変わると、対象になる活動の種類も変わります。前職の制度で積めるものがあるなら、退職前に処理しておくと安全です。

活動の種類や上限、報告の方法は制度の詳細で決まります。手順は公式の案内で確認したうえで進めてください。

「更新を続けるか」を決める基準

更新の負担は3年ごとに繰り返し発生します。惰性で続ける前に、一度は判断しておいたほうが後々楽になります。

判断の材料は3つです。

応募先の求人票に資格名が出るか。 志望する領域の求人を5〜10件見て、応募要件や歓迎条件にPMPが書かれているかを確認します。1件も出てこないなら、その領域では換算の仕組みが薄いと考えられます。

現職・次職で費用と時間の支援があるか。 会社が負担する制度があるかどうかで、実質的な負担は大きく変わります。

3年後の自分の働き方を想像できるか。 マネジメントから離れる予定があるなら、次の更新も同じところで詰まります。

3つとも否定的なら、更新をやめるのも判断です。資格を手放すことと、経歴が弱くなることは別です。ここを混同すると、効かない場所に時間を使い続けることになります。

エージェントベストの見解

面接の終盤で聞かれるのは、資格の有無ではなく「この3年、何をしてきたか」です。更新が止まっている方ほど、この質問に答えづらい状態になっていることがあります。PDUが積めなかった期間は、マネジメント業務から離れていた期間と重なりやすいためです。準備としてお勧めしているのは、直近3年を半年ごとに区切って、担当した案件・自分が決めた事柄・関わった人数を書き出すことです。書き出してみると、資格の更新は止まっていても、決めた経験は残っていることがよくあります。面接で問われているのは資格の状態ではなく、その中身です。更新の話に引きずられて経歴の説明が薄くなるほうが、選考への影響は大きくなります。

まとめ

よくある質問

Q. サスペンド中でも履歴書にPMPと書いてよいですか。 A. 有効な状態ではないため、現在も保有しているように読める書き方は避けたほうが安全です。取得年月を事実として記載し、現在の状態が分かるように添える形であれば、記載そのものが問題になることは多くありません。内定後の書類提出で状態が判明する流れになると、説明の場が別に必要になります。

Q. 転職の直後は忙しく、PDUを積む余裕がありません。 A. 更新期限と入社時期が近い場合は、入社前に手を打っておくほうが確実です。期限が半年以内に迫っているなら、選考と並行して進めることも検討してください。入社直後は業務の立ち上がりに時間を取られるため、学習時間を見込んだ計画は崩れやすくなります。

Q. 失効したPMPを、職務経歴書の実績として書けますか。 A. 「PMPを取得していた事実」は経歴の一部です。取得年を書いたうえで、その資格を使ってどの規模の案件を担当したかを本文で書けば、資格の有効性とは別に経験が伝わります。読む側が知りたいのは資格の状態より、担当した案件の中身です。

Q. 更新のために転職を先延ばしにするべきですか。 A. 応募先がPMPを換算する領域かどうかで判断が変わります。求人票に資格要件が明記される領域なら更新を優先する意味がありますが、そうでない領域では、待つ期間の機会損失のほうが大きくなることがあります。志望先の求人票を先に確認することをおすすめします。

出典

本記事は 2026/8/15 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)