アイネスの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
株式会社アイネスの第64期(2026年3月期)は、経常損失4億60百万円、親会社株主に帰属する当期純損失18億43百万円でした。前期は経常利益36億8百万円、当期純利益24億36百万円です。有価証券報告書は原因を明示しています。**自治体システム標準化案件における原価率悪化と受注損失引当金の計上、そして標準化関連開発投資の回収不能による減損損失11億4百万円。**この記事では、有価証券報告書から事業と組織の実態を整理します。
会社概要と協栄生命保険から独立した1964年
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社アイネス |
| 上場区分 | 東京証券取引所プライム市場(証券コード9742) |
| 決算期 | 3月 |
| 従業員数 | 連結1,204人/提出会社870人(2026年3月31日現在) |
| 報告セグメント | 情報サービス事業の単一セグメント |
| グループ構成 | 当社および子会社4社 |
| 本店 | 東京都中央区日本橋蛎殻町一丁目38番11号 |
有価証券報告書の沿革は、日本の情報サービス業の草創期にさかのぼります。
| 年月 | 内容 |
|---|---|
| 1964年7月 | 株式会社協栄計算センターとして協栄生命保険株式会社(現・ジブラルタ生命保険株式会社)より独立 |
| 1968年6月 | 地方自治体向け、住民情報システム開発 |
| 1973年10月 | 札幌支社、大阪支社、名古屋支社を開設 |
| 1983年8月 | 全国主要都市を結ぶネットワーク(KICNET)を構築 |
| 1984年8月 | 株式会社アイネスに商号変更 |
| 1987年2月 | 東京証券取引所市場第二部に株式を上場(1990年9月に市場第一部へ指定) |
| 1988年12月 | システムインテグレータとして通商産業省(現・経済産業省)に登録、認定を受ける |
| 1995年3月 | 特定システムオペレーション企業として通商産業省に登録、認定を受ける |
| 1999年12月 | 日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社(現・株式会社日立ソリューションズ)と資本・業務面で提携 |
| 2009年7月 | シンガポール支店開設 |
| 2013年11月 | 本社機能を東京都千代田区三番町へ移転 |
| 2018年6月 | 株式会社三菱総合研究所と業務資本提携 |
| 2019年9月 | 本社機能を東京都中央区晴海(現・晴海オフィス)へ移転 |
| 2022年4月 | 東京証券取引所プライム市場へ移行 |
| 2023年4月 | 北関東支社・南関東支社(現・池袋オフィス)開設 |
| 2024年4月 | 本社機能を東京都中央区日本橋蛎殻町へ移転し、アイネスグループ各社の本部・本社機能を集約 |
| 2024年6月 | 本店所在地を旧横浜事業所から東京都中央区日本橋蛎殻町へ移転 |
| 2025年2月 | 新宿オフィス開設 |
**生命保険会社の計算センターとして生まれ、その4年後には自治体向けの住民情報システムを手がけていた。**1968年です。この会社の公共分野との関わりは、そこから60年近く続いています。
拠点は動き続けています。2019年に晴海、2024年に日本橋蛎殻町へ本社機能を移し、グループ各社の本部を集約しました。2024年6月には本店所在地も旧横浜事業所から移しています。
単一セグメントと4社の子会社
有価証券報告書によると、同社グループは情報処理・通信サービス、ソフトウェア開発サービス、システム提供サービス、その他のシステム関連サービスを主たる業務とし、情報システムやネットワークの企画・開発から稼働後の運用・保守・メンテナンスまで一貫したサービスを提供しています。そのため情報サービス事業の単一セグメントとされています。
子会社4社の位置づけは次のとおりです。
| 会社 | 所在地 | 資本金 | 主要な事業の内容 |
|---|---|---|---|
| 株式会社アイネス総合研究所 | 東京都中央区 | 10百万円 | 社会イノベーションに関する調査研究、新規事業企画・ビジネスモデル革新に関する調査研究、技術動向調査等 |
| 株式会社アイネスリレーションズ | 東京都中央区 | 100百万円 | 情報サービス業(BPOサービス、運用サービス、システムソリューションの提供) |
| 株式会社アイネステクノロジーズ | 東京都中央区 | 30百万円 | クラウドサービス、AWSサーバ設計構築/運用監視サービス(マネージドサービス)、サイネージサービス、IT端末ライフサイクルサービス |
| 株式会社アイネス総合サービス | 東京都中央区 | 10百万円 | グループ内のシェアードサービス事業、コーポレートサポートサービス事業 |
このうち株式会社アイネスリレーションズは連結売上高に占める割合が10%を超えるため、主要な損益情報等が開示されています。売上高8,719百万円、経常利益1,153百万円、当期純利益721百万円、純資産額3,012百万円、総資産額5,228百万円です。
そしてもう1社、押さえておきたい会社があります。株式会社三菱総合研究所です。有価証券報告書には、同社がアイネスの主要株主であり、その他の関係会社にあたること、被所有割合が**19.5%**であること、業務資本提携契約に基づいて公共・民間の各分野にわたる新たなソリューションの共同開発や共同受注活動を行っていることが記載されています。
評判の傾向
以下は公開されている口コミの傾向を要約したものです。個別の投稿は引用していません。
年収・評価制度
有価証券報告書(第64期・2026年3月期)によると、提出会社の平均年間給与は7,063,658円、平均年齢41.45歳、平均勤続年数17.29年です。平均年間給与の対前事業年度増減率は0.4%となっています。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです
ワークライフバランス
有価証券報告書には、提出会社の労働組合が1992年7月1日に情報産業労働組合連合会へ加盟し、2026年3月31日現在の組合員数が731名である旨が記載されています。男性労働者の育児休業取得率は100.0%です。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです
キャリア・成長機会
2025年度よりIPA(情報処理推進機構)のスキル標準をベースとしたiCDを評価基盤として活用し、2026年度からはiCDのタスクレベル診断結果やスキル開発プランニングを人事評価と直接連動させる仕組みが始まっています。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです
社風・人間関係
提出会社の平均勤続年数は17.29年、平均年齢41.45歳です。24歳前後で入社した方が17年続けている計算になります。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです
エージェントベストの見解
赤字の会社を検討するときは、「本業なのか一時的なのか」を分けて読んでください。当メディアはこれまで、赤字の上場企業を3つの型に分けて扱ってきました。1つ目は5期連続で経常損失が続く型。本業が赤字です。2つ目は特別損失だけが1期出た型。経常利益は黒字のままで、翌期に回復しています。そして3つ目が、この会社です。第64期は営業損失6億47百万円、経常損失4億60百万円と営業段階から赤字である一方、それが5期のうち1期だけという形。前4期は経常利益20億〜38億円で推移していました。有価証券報告書は原因を具体的に書いています。自治体システム標準化案件における原価率悪化と受注損失引当金の計上、加えて標準化関連開発投資の回収不能による減損損失11億4百万円。つまり特定の大型プロジェクトに起因するものだと会社自身が説明しています。そして同じ期に営業活動によるキャッシュ・フローは34億80百万円と前期比135.4%増、自己資本比率は69.1%から74.9%へ改善しました。資金が枯れているわけではありません。応募を検討されるなら、面接で3つ聞いてください。1つ目、「標準化案件の原価率はいま改善していますか」。2つ目、「受注損失引当金を計上した案件は、いつ完了しますか」。3つ目、「その期間、自分が配属される部署は何を担いますか」。会社は有価証券報告書で「2026年度は同計画の総仕上げの年」と述べています。総仕上げの年に入る人には、その内容を知る権利があります。
提出会社870人の年収706万円と勤続17.29年
有価証券報告書の従業員の状況です(2026年3月31日現在)。
連結会社の状況……情報サービス事業1,204人(単一セグメントのため区分の記載は省略)。
提出会社の状況
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数 | 870人 |
| 平均年齢 | 41.45歳 |
| 平均勤続年数 | 17.29年 |
| 平均年間給与 | 7,063,658円 |
| 対前事業年度増減率 | 0.4% |
平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与には社外から当社への出向者を含んでいません。平均年間給与には賞与および基準外賃金が含まれます。
平均勤続年数17.29年は、当メディアが同じ時期に扱った情報サービス企業(2.5年、3.2年、8.7年、10.0年、10.5年、11.3年、11年7ヶ月、13.4年、17.1年、21.6年)のなかで上位に入ります。
連結1,204人のうち提出会社は870人で、約72%です。
労働組合については、提出会社の労働組合が1992年7月1日に情報産業労働組合連合会に加盟し、2026年3月31日現在の組合員数が731名である旨が記載されています。労使間の問題もなく、労働協約の定めるところに従い健全な労使関係を保っているとのこと。当メディアが扱った情報サービス企業では労働組合を持たない会社が多く、組合員数まで開示されている例は限られます。
男女に関する指標は、提出会社と連結子会社の両方が開示されています。
| 会社 | 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 男性労働者の育児休業取得率 | 男女の賃金の額の差異(全労働者) |
|---|---|---|---|
| 株式会社アイネス | 13.4% | 100.0% | 83.6% |
| 株式会社アイネスリレーションズ | 11.5% | 60.0% | 49.4% |
| 株式会社アイネステクノロジーズ | ― | 100.0% | 75.2% |
提出会社の男女の賃金の額の差異は、全労働者83.6%、正社員85.8%、臨時社員64.8%。株式会社アイネスリレーションズの49.4%については「短時間勤務の女性契約社員が多いため」との注記があります。
**男性労働者の育児休業取得率100.0%**は、提出会社とアイネステクノロジーズの2社で達成されています。
自治体システム標準化がもたらした経常損失
有価証券報告書の連結経営指標等の推移(第60期〜第64期)です。
| 決算期 | 売上高(百万円) | 経常利益(百万円) | 当期純利益(百万円) | 連結従業員数 |
|---|---|---|---|---|
| 2022年3月 | 40,033 | 2,060 | 1,300 | 1,527人 |
| 2023年3月 | 42,404 | 3,882 | 2,541 | 1,451人 |
| 2024年3月 | 40,557 | 2,732 | 1,795 | 1,350人 |
| 2025年3月 | 40,563 | 3,608 | 2,436 | 1,247人 |
| 2026年3月 | 36,616 | △460 | △1,843 | 1,204人 |
※当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益
第64期の内訳を、有価証券報告書はこう説明しています。
「各分野の減収影響や自治体システム標準化案件における原価率悪化及び受注損失引当金の計上等により、営業損失は6億47百万円(前期は35億36百万円の営業利益)、経常損失は4億60百万円(同36億8百万円の経常利益)となりました。さらに、特別損失として標準化関連開発投資の回収不能による減損損失11億4百万円を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は18億43百万円となりました。」
売上の内訳も開示されています。
分野別連結売上高
| 区分 | 前期 | 当期 | 対前年増減率 |
|---|---|---|---|
| 公共 | 19,873百万円(49.0%) | 17,077百万円(46.6%) | △14.1% |
| 民間 | 20,689百万円(51.0%) | 19,538百万円(53.4%) | △5.6% |
| 合計 | 40,563百万円 | 36,616百万円 | △9.7% |
商品・サービス別連結売上高
| 区分 | 前期 | 当期 | 対前年増減率 |
|---|---|---|---|
| システム開発 | 19,797百万円(48.8%) | 16,672百万円(45.6%) | △15.8% |
| 運用 | 12,672百万円(31.2%) | 12,685百万円(34.6%) | +0.1% |
| システム保守 | 4,929百万円(12.2%) | 5,014百万円(13.7%) | +1.7% |
| 情報機器販売 | 1,143百万円(2.8%) | 672百万円(1.8%) | △41.2% |
| その他 | 2,019百万円(5.0%) | 1,571百万円(4.3%) | △22.2% |
**減ったのはシステム開発と情報機器販売。運用とシステム保守はむしろ微増しています。**構築フェーズが縮み、回すフェーズは動いていない。この形は、大型プロジェクトの端境期にある会社に見られる推移です。
一方、財務は崩れていません。
| 項目 | 第63期 | 第64期 |
|---|---|---|
| 自己資本比率 | 69.1% | 74.9% |
| 純資産額 | 39,192百万円 | 36,966百万円 |
| 総資産額 | 56,727百万円 | 49,361百万円 |
| 現金及び現金同等物 | 7,991百万円 | 8,273百万円 |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,478百万円 | 3,480百万円 |
営業活動によるキャッシュ・フローは前期比135.4%増の34億80百万円。主に売上債権の減少29億47百万円等によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローも17億79百万円のプラス(社債等の償還による投資有価証券の減少等)。財務活動によるキャッシュ・フローは△49億79百万円で、短期借入金等の返済が進みました。
その結果、総資産は73億66百万円減って493億61百万円、自己資本比率は改善しています。
配当は1株当たり40円、45円、50円、55円、50円と推移しました。第64期は当期純損失ながら50円の配当を予定しています(期末配当は2026年6月開催予定の定時株主総会の決議事項)。
従業員が5期で323人減った構造
もう1つ、この会社の数字で目を引くのが従業員数です。
| 決算期 | 連結従業員数 | 提出会社従業員数 |
|---|---|---|
| 2022年3月 | 1,527人 | 1,204人 |
| 2023年3月 | 1,451人 | 1,118人 |
| 2024年3月 | 1,350人 | 937人 |
| 2025年3月 | 1,247人 | 915人 |
| 2026年3月 | 1,204人 | 870人 |
連結は5期で323人減、提出会社は334人減です。とくに第62期(2024年3月期)に提出会社が1,118人から937人へ、181人減っています。
減少の理由は有価証券報告書に明記されていません。ただし提出会社の売上高が35,029百万円から27,185百万円へ22.4%減っていることと合わせて読むと、事業規模と人員の両方を絞ってきた期間があると考えられます。
当メディアが同じ時期に扱った情報サービス企業では、売上を伸ばしながら従業員を減らした会社(5期で△200名、△159名)がありました。この会社は売上も従業員も減っているという点で、それらとは性格が異なります。
一方で有価証券報告書の経営環境の記載は、増員の必要性を示唆しています。「2026年度以降も当社を取り巻く国内ITサービス業界全体は堅調な推移が予想され、特にDX投資需要やAIシステム市場は高い成長が見込まれています。国内市場の成長に伴いIT人材不足が顕在化する中、当社グループでは、生成AI等の各種技術の活用による高付加価値なサービス・ラインナップの充実と従来の労働集約型ビジネスからの進化、生産性の向上を目指したビジネスモデルの転換が必要であると認識しております」。
労働集約型からの転換という言葉が、人員推移の背景にある考え方を示していると読めます。
2028中期経営計画と組織長ライセンス制
同社は2026年度より新たに**「2028中期経営計画」**をスタートさせました。事業戦略の3つの柱は次のとおりです。
| 戦略 | 内容 |
|---|---|
| ①地域DX戦略 | 公共分野と民間分野の双方にまたがる顧客ニーズに着目し、強みである福祉ドメインを起点としたITコンサルティングやソリューションを推進。国が注力する子ども子育て、介護、福祉相談等を注力領域とし、他業種とのアライアンスを含めて自治体・民間事業者の垣根を越えたビジネスを創出 |
| ②自治体パッケージ戦略 | 自治体システム標準化対応後を見据えた公共分野の戦略 |
| ③ソリューションビジネス戦略 | 民間分野における受託開発中心の事業展開からの転換 |
そして人事制度にも、はっきりした方向が示されています。
①専門性の発揮と役割に応じた機動的な処遇
高度専門人材の早期登用と活躍を促す基盤を整備するため、2026年度よりすべての基幹人材を専門職等級へと一本化しました。また、マネジメント業務を等級から分離する「組織長ライセンス制」を導入し、年齢や勤続年数によらない適所適材の機動的な配置とそれに応じた処遇を実現しているとのことです。
②事業戦略と連動したスキル評価と処遇への反映
評価基盤として、2025年度よりIPA(情報処理推進機構)のスキル標準をベースとしたiCDを活用。2026年度からはiCDのタスクレベル診断結果やスキル開発プランニングを人事評価の目標計画および振り返りと直接連動させる仕組みが始まりました。
③高い目標設定による成長を促す目標管理と賞与・昇給への連動
一般職および基幹専門職では、より高度な役割を担う専門人材ほど成果に対する評価を重視して賞与へ反映。組織運営を担う高度専門職では「事業計画への貢献」や「次世代の人材育成」等、経営に直結する指標を重視した目標設定を義務付けています。
④職責に応じた報酬体系の構築
管理職の職責に対する報酬を**「役職手当」として固定給化**する制度を導入。短期的な業績変動に左右されない安定的な報酬基盤を提供し、マネジメント層が中長期的な視点で事業の成長や組織運営に専念できる環境を整備するとしています。
⑤持続的な成長を支える人材確保に向けた賃金改定
物価上昇への対応と労働市場における人材獲得競争力の維持のため、2025年度春季労使交渉において組合員の基本給引き上げ(ベースアップ)を行い、定期昇給と合わせて約6.2%相当の昇給を実施しました。
**「マネジメントを等級から切り離す」という設計は、情報サービス業では珍しい部類です。**管理職になることが昇格の唯一の道ではない、という思想がここに表れています。
働き方とキャリア形成の特徴
同社でのキャリアを考えるうえで軸になるのは、公共分野の比重です。
有価証券報告書によると、分野別連結売上高は公共17,077百万円(46.6%)、民間19,538百万円(53.4%)。ほぼ半々ですが、1968年から自治体向け住民情報システムを手がけてきた歴史があります。2028中期経営計画では「自治体パッケージ戦略」が3本柱の1つです。
2つ目の軸は、福祉ドメインです。地域DX戦略では、子ども子育て、介護、福祉相談等が注力領域として明記されています。制度と業務の知識が、そのまま職能になる領域です。
3つ目の軸は、定着の高さです。提出会社の平均勤続年数17.29年、平均年齢41.45歳。労働組合は組合員731名を擁し、2025年度春闘ではベースアップを含め約6.2%相当の昇給が実施されました。
4つ目の軸は、評価制度の転換です。2026年度より基幹人材を専門職等級へ一本化し、組織長ライセンス制を導入。iCDによるスキル評価が人事評価と直接連動します。
5つ目の軸は、業績の局面です。第64期は経常損失。会社は「2026年度は同計画の総仕上げの年として、増収増益に向けて事業の結果を出していきます」と述べています。回復局面に入るという前提のもとで組織が動いているということです。
6つ目の軸は、株主構成です。株式会社三菱総合研究所が被所有割合19.5%の主要株主であり、業務資本提携契約に基づいて共同開発や共同受注活動を行っています。
向いている人/向いていない人
向いている人
公共分野・自治体システムに関わりたい方
1968年から自治体向け住民情報システムを手がけ、分野別売上の46.6%が公共です。
福祉・介護・子育て領域に関心がある方
2028中期経営計画の地域DX戦略で、この領域が注力対象と明記されています。
マネジメント以外の道で専門性を高めたい方
2026年度より基幹人材を専門職等級へ一本化し、マネジメント業務を等級から分離する組織長ライセンス制が導入されました。
向いていない人
足元の業績の安定を最優先する方
第64期は経常損失4億60百万円、当期純損失18億43百万円でした。
拡大している組織で機会を取りにいきたい方
連結従業員数は5期で1,527人から1,204人へ323人減っています。
エージェントベストの見解
**「自治体システム標準化」は、この会社だけの話ではありません。**国が進める標準化対応は、自治体向けシステムを手がける企業に共通して効いています。当メディアはこの数か月、同じ領域の会社を続けて有価証券報告書から読んできました。地方公共団体向けの事業を持つ会社、自治体の徴収業務を受託する子会社を持つ会社。**同じ制度変更が、会社によって違う形で数字に出ています。**この会社の場合は、標準化案件の原価率悪化と受注損失引当金、そして標準化関連開発投資の減損11億4百万円という形で表れました。ここから応募者が読むべきことは2つあります。1つ目、制度対応型のビジネスは、需要が制度で作られる一方、原価も制度のスケジュールに縛られるということ。案件の期間や仕様が外部要因で動けば、見積もりは狂います。2つ目、その山を越えた先に何が残るか。会社は「自治体パッケージ戦略」を掲げ、標準化対応後を見据えた戦略と位置づけています。面接では「標準化対応が完了した後、自治体向けの売上はどういう構成になりますか」を聞いてください。制度の山が過ぎた後の絵を、会社がどこまで具体的に描けているか。それがこの会社を選ぶかどうかの判断材料になります。
選考に向けた準備
応募の前に確かめること
株式会社アイネスは東京証券取引所プライム市場に上場しています(証券コード9742)。決算期は3月。有価証券報告書(第64期・2026年3月期)によると、連結従業員は1,204人、提出会社は870人です。
提出会社の平均年間給与は7,063,658円、平均年齢41.45歳、平均勤続年数17.29年、対前事業年度増減率0.4%。事業は情報サービス事業の単一セグメントで、グループは当社と子会社4社で構成されます。
応募先が提出会社なのか、アイネスリレーションズ・アイネステクノロジーズ・アイネス総合研究所・アイネス総合サービスのいずれかなのかは求人票で確認してください。連結1,204人のうち提出会社は約72%です。
志望動機で問われること
「なぜ公共分野の情報サービスか」と「なぜアイネスか」の2段で組み立てます。
前者については、制度に紐づく仕事をどう捉えているかが問われます。自治体システムは、法改正や国の方針がそのまま案件になる領域です。
後者の材料は有価証券報告書にあります。1964年7月に協栄生命保険株式会社から株式会社協栄計算センターとして独立し、1968年6月には自治体向け住民情報システムの開発を始めたこと。1984年に現社名になったこと。株式会社三菱総合研究所と2018年に業務資本提携し、現在は被所有割合19.5%の主要株主であること。2026年度から「2028中期経営計画」として地域DX戦略・自治体パッケージ戦略・ソリューションビジネス戦略の3本柱を掲げたこと。第64期は自治体システム標準化案件の影響で経常損失となり、2026年度を「総仕上げの年」と位置づけていること。
「制度対応の山を越えた先で、自分は何を作るのか」に考えを持って臨むと、面接での会話が具体的になります。
職務経歴書で見られるポイント
情報サービスの中途採用では、扱った領域と担った役割が読まれます。
自治体システムの経験がある方は、担当した業務領域(住民記録、税、福祉、国保など)と自治体の規模、標準化対応の関与を書きます。この会社の中核領域です。
福祉・介護・子育て領域のシステム経験がある方は、担当した制度と業務、顧客の規模を書きます。地域DX戦略の注力領域です。
システム開発の経験がある方は、扱ったシステムの規模と技術、担った工程、チームの人数を書きます。
運用・保守の経験がある方は、担当した基盤の規模と体制、改善した指標を書きます。運用とシステム保守は減収局面でも伸びた領域です。
クラウド・AWSの経験がある方は、扱った基盤と移行実績を書きます。株式会社アイネステクノロジーズがこの領域を担います。
BPOの経験がある方は、対象業務と規模、改善した指標を書きます。株式会社アイネスリレーションズがBPOサービスを提供しています。
生成AI活用の経験がある方は、使った技術と業務への適用範囲を書きます。有価証券報告書に「生成AI等の各種技術の活用による高付加価値なサービス・ラインナップの充実」が課題として挙げられています。
いずれの場合も、置かれていた状況、選んだ打ち手、動いた数値の3点を短く添えます。
まとめ
株式会社アイネスは、1964年7月に協栄生命保険株式会社(現・ジブラルタ生命保険株式会社)から株式会社協栄計算センターとして独立し、1968年6月には自治体向け住民情報システムの開発を始め、1984年8月に現社名へ変更した東京証券取引所プライム市場上場企業です(証券コード9742)。有価証券報告書(第64期・2026年3月期)によると、連結従業員は1,204人、提出会社は870人で、平均年齢41.45歳、平均勤続年数17.29年、平均年間給与7,063,658円。事業は情報サービス事業の単一セグメントで、子会社4社と、被所有割合19.5%の主要株主である株式会社三菱総合研究所(その他の関係会社)で構成されます。業績は第64期に経常損失4億60百万円、親会社株主に帰属する当期純損失18億43百万円を計上しました。原因は自治体システム標準化案件における原価率悪化と受注損失引当金の計上、および標準化関連開発投資の回収不能による減損損失11億4百万円です。ただし営業活動によるキャッシュ・フローは前期比135.4%増の34億80百万円、自己資本比率は69.1%から74.9%へ改善しています。連結従業員数は5期で1,527人から1,204人へ323人減りました。人事面では2026年度より基幹人材を専門職等級へ一本化し、**マネジメント業務を等級から分離する「組織長ライセンス制」**を導入。IPAのスキル標準をベースとしたiCDを評価基盤に活用し、2025年度春季労使交渉ではベースアップと定期昇給で約6.2%相当の昇給を実施しました。
よくある質問
Q. アイネスの年収はどのくらいですか。
A. 有価証券報告書(第64期・2026年3月期)によると、提出会社の平均年間給与は7,063,658円、平均年齢41.45歳、平均勤続年数17.29年、従業員数870人です。平均年間給与には賞与および基準外賃金が含まれ、対前事業年度増減率は0.4%でした。なお同社は2025年度春季労使交渉において組合員の基本給引き上げ(ベースアップ)を行い、定期昇給と合わせて約6.2%相当の昇給を実施した旨を有価証券報告書に記載しています。また2026年度よりすべての基幹人材を専門職等級へ一本化し、管理職の職責に対する報酬を「役職手当」として固定給化する制度を導入しました。連結子会社4社の給与水準は開示されていません。個別の提示額は職種と等級で決まりますので、選考の過程でご確認ください。
Q. どんな事業をしている会社ですか。
A. 有価証券報告書によると、事業は情報サービス事業の単一セグメントです。情報処理・通信サービス、ソフトウェア開発サービス、システム提供サービス、その他のシステム関連サービスを主たる業務とし、情報システムやネットワークの企画・開発から稼働後の運用・保守・メンテナンスまで一貫したサービスを提供しています。分野別連結売上高は公共17,077百万円(46.6%)、民間19,538百万円(53.4%)。商品・サービス別ではシステム開発16,672百万円、運用12,685百万円、システム保守5,014百万円、情報機器販売672百万円、その他1,571百万円です。子会社は株式会社アイネス総合研究所、株式会社アイネスリレーションズ(BPO・運用・システムソリューション)、株式会社アイネステクノロジーズ(クラウド・AWS・マネージドサービス)、株式会社アイネス総合サービス(シェアードサービス)の4社。2026年度からは「2028中期経営計画」として地域DX戦略・自治体パッケージ戦略・ソリューションビジネス戦略の3本柱を掲げています。
Q. 業績と財務はどうなっていますか。
A. 有価証券報告書の連結経営指標等の推移によると、売上高は2022年3月期の40,033百万円から2026年3月期の36,616百万円へ減少しました。第64期は営業損失6億47百万円、経常損失4億60百万円、親会社株主に帰属する当期純損失18億43百万円です。前期は経常利益36億8百万円、当期純利益24億36百万円でした。有価証券報告書は原因を「各分野の減収影響や自治体システム標準化案件における原価率悪化及び受注損失引当金の計上等」とし、さらに「特別損失として標準化関連開発投資の回収不能による減損損失11億4百万円を計上」と説明しています。一方で営業活動によるキャッシュ・フローは前期比135.4%増の34億80百万円、投資活動によるキャッシュ・フローも17億79百万円のプラス、現金及び現金同等物は82億73百万円へ増加し、自己資本比率は69.1%から74.9%へ改善しました。会社は2026年度を中期計画の「総仕上げの年」と位置づけ、増収増益に向けて取り組む方針を示しています。
本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづいています。最新の募集要項や選考プロセスは、各社の公式サイトでご確認ください。
本記事は 2026/8/18 時点の公開情報にもとづいて作成しています。