有限責任あずさ監査法人の評判|年収・働き方・選考対策まで解説

有限責任あずさ監査法人 評判・年収・選考対策 更新日 2026/8/3

有限責任あずさ監査法人は、Big4の一角であるKPMGのメンバーファームです。監査法人は上場していませんが、公認会計士法にもとづき「業務及び財産の状況に関する説明書類」を毎期公衆縦覧に供する義務があります。つまり、事業会社の有価証券報告書に相当する一次情報が誰でも読める状態にあります。この記事では、第41期の説明書類で確認できる実数を軸に、組織の規模と構造、そして通年採用で募集されている職種を整理します。

業務収入1,314億円・人員約7,000名の監査法人

項目内容
法人名有限責任 あずさ監査法人
法人形態有限責任監査法人(公認会計士法第1条の3第4項)
主たる事務所東京事務所(東京都新宿区津久戸町1番2号)
人員全国主要都市に約7,000名
社員数552人(公認会計士516人、特定社員36人)
業務収入総額131,431百万円(第41期、前期比10,063百万円増加)
被監査会社等の数3,255社(2025年6月30日現在、前期末比115社減少)
提携ネットワークKPMGインターナショナルのメンバーファーム(142の国と地域)

数値はいずれも第41期(2024年7月1日から2025年6月30日、公衆縦覧開始日2025年9月8日)の業務及び財産の状況に関する説明書類によります。

収入の内訳から事業構造が読める

説明書類には、業務収入が2つに分けて記載されています。

区分第41期前期比
監査証明業務収入99,047百万円5,738百万円増加
非監査証明業務収入32,384百万円4,325百万円増加
合計131,431百万円10,063百万円増加

監査証明業務が収入の約75%を占め、残りが非監査証明業務です。ただし増加率で見ると、非監査証明業務のほうが伸びています。監査法人はいま、監査以外の領域を広げている局面にあると数値から読み取れます。

非監査証明業務の内容として説明書類に挙げられているのは、財務会計アドバイザリー、内部統制アドバイザリー、ESGアドバイザリー、規制対応アドバイザリー、IT関連アドバイザリー、デジタル・データ関連アドバイザリー、スタートアップ関連アドバイザリーです。

コンサルティング領域からの転職を検討する場合、この非監査証明業務の側が接続先になります。

業種別の体制が組まれている

説明書類では、金融、テレコム・メディア、テクノロジー、パブリック、消費財・小売、ライフサイエンス、自動車等、産業・業種(セクター)ごとに組織された監査統轄事業部により、業界特有のニーズに対応した専門性の高いサービスを提供する体制を有している旨が示されています。

機能ではなく業種で組織が分かれている構造です。これは、特定産業の専門性を積み上げやすい設計だといえます。

沿革は3つの監査法人の合併史

説明書類に記載されている沿革は次のとおりです。

1985年7月1日に監査法人朝日新和会計社が設立されました。1993年10月1日、井上斎藤英和監査法人(1978年4月5日設立)と合併し、名称を朝日監査法人としています。2004年1月1日にあずさ監査法人(2003年2月26日設立)と合併し、名称をあずさ監査法人としました。そして2010年7月1日に有限責任監査法人へ移行し、現在の有限責任 あずさ監査法人となっています。

複数の監査法人が統合を重ねてできた組織である、という成り立ちです。

直近の動き

説明書類には、新たに開始した業務として、株式会社KPMG FASとの共同出資により、フォレンジック専門のリスクコンサルティング会社「株式会社KPMG Forensic & Risk Advisory」を設立し、2025年4月1日より事業を開始した旨が記載されています。有事発生時の迅速な対応と再発防止、平時からの予防・検知の支援を通じた取り組みが示されています。

口コミに現れる評価と、その背景

以下は、公開されている口コミの傾向を整理したものです。個別の書き込みを引用したものではありません。

年収・評価制度

水準そのものへの評価は高い一方、昇格のペースが年次に沿って進む傾向があるという指摘が共通しています。マネージャーまでは順当に上がるが、その先で滞留を感じるという声も見られます。職位と報酬の連動が明確なぶん、昇格のタイミングが報酬を規定する構造です。

※公開されている口コミの傾向をまとめたものです

ワークライフバランス

繁忙期の負荷が高いという指摘が共通しています。監査業務は決算期に作業が集中するため、年間を通じた稼働の波が構造的に大きくなります。一方で、子どもが小学校高学年になるまで時短勤務を利用できるといった制度面を評価する声も多く見られます。

※公開されている口コミの傾向をまとめたものです

キャリア・成長機会

大企業の会計実務を体系的に学べる点を評価する声が多く見られます。監査以外のアドバイザリー領域へ移る道があることも挙げられています。他方、監査業務が中心の期間が長いと、経験が偏るという指摘もあります。

※公開されている口コミの傾向をまとめたものです

社風・人間関係

一緒に働く人への評価は高い傾向が見られます。同時に、保守的で年次を重んじる空気があるという指摘も共通しています。組織の性質上、手続きの正確さが重視されるためと考えられます。

※公開されている口コミの傾向をまとめたものです

エージェントベストの見解

監査法人を「会計士の職場」とだけ捉えて検討対象から外す方が多いのですが、数字を見ると別の姿が見えます。第41期の業務収入1,314億円のうち、非監査証明業務が324億円で、前期比43億円増えています。監査証明業務の伸びが57億円ですから、規模は小さくとも伸び率では非監査側が上回っています。しかも公表されている募集職種を見ると、AIスペシャリスト、データアナリスト、データサイエンティスト、BIツール/データ活用エンジニア、情報セキュリティといった、会計士資格を前提としない職種が並んでいます。つまり、いま監査法人が採りたい人材の相当部分は会計士ではありません。IT・データ側のキャリアを持つ方にとって、Big4の監査法人は選択肢に入れてよい先です。ここを知らずに検討対象から外している方を、これまで何人も見ています。

報酬をどう見積もるか

監査法人は上場していないため、有価証券報告書による平均年間給与の開示はありません。また業務及び財産の状況に関する説明書類にも、平均給与の記載はありません。企業固有の年収を示せる一次情報が存在しないため、構造から考えます。

説明書類で確認できるのは、社員(パートナー)の数が552人(公認会計士516人、特定社員36人)であることです。全国の人員が約7,000名であることを踏まえると、社員の比率はおよそ8%です。監査法人は職位の階層がはっきりしており、報酬もその階層に連動します。

なお経営に関する意思決定機関として、経営評議会(5人)と専務理事会(10人)が置かれている旨も記載されています。

参考として、厚生労働省のjob tagでは経営コンサルタントの平均年収を1,134.6万円(令和7年賃金構造基本統計調査ほか)としていますが、これは職種全体の統計であり監査法人の水準を示すものではありません。実際の提示額は、職位と職種(監査かアドバイザリーか、会計士かIT・データ職か)によって変わります。

全国11事務所の人員構成

説明書類には、事務所ごとの人員が実数で記載されています。第41期の主な事務所は次のとおりです。

事務所所在地勤務する者の数
東京事務所(主たる事務所)東京都新宿区津久戸町5,608人
大阪事務所大阪市中央区北浜929人
名古屋事務所名古屋市中村区名駅347人
横浜事務所横浜市西区北幸84人
神戸事務所神戸市中央区雲井通66人
京都事務所京都市中京区烏丸通57人
北関東事務所さいたま市大宮区桜木町51人
北陸事務所金沢市南町44人
札幌事務所札幌市中央区北三条西30人
仙台事務所仙台市青葉区中央25人

東京事務所に人員の大半が集中している構造です。東京事務所の内訳は、社員が公認会計士379人・特定社員34人、使用人が公認会計士1,729人・公認会計士試験合格者等1,057人・監査補助職員1,700人・その他の事務職員709人とされています。

この内訳は、組織の構成を理解するうえで重要です。東京事務所だけで、公認会計士でも試験合格者でもない監査補助職員が1,700人、事務職員が709人在籍しています。会計士資格を持たない人材が相当数を占める組織である、ということが数値で確認できます。

監査から広がるキャリアの選択肢

同法人でのキャリアを考えるうえで、押さえるべき点が3つあります。

第一に、業種別の専門性が積み上がります。 金融、テレコム・メディア、テクノロジー、パブリック、消費財・小売、ライフサイエンス、自動車等のセクターごとに監査統轄事業部が組織されています。担当する業種が決まることで、その産業の会計と実務に精通していく構造です。

第二に、非監査証明業務という道があります。 財務会計、内部統制、ESG、規制対応、IT関連、デジタル・データ関連、スタートアップ関連のアドバイザリーが事業として存在します。監査から始めてアドバイザリー側へ軸を移す経路が、組織内に用意されています。

第三に、KPMGのネットワークが背景にあります。 KPMGインターナショナルのメンバーファームとして、142の国と地域に広がるネットワークを通じたグローバルな支援体制が説明書類に記載されています。また採用情報では、「3つのO」による本人の希望に沿った10年育成プランをコミットし、多様で風通しの良い組織風土を実現することでバランスのとれたプロフェッショナルを育成する旨が示されています。

向いている人/向いていない人

向いている人

IT・データの専門性を持つ方

通年採用の募集職種には、AIスペシャリスト・AIエンジニア、データアナリスト・データサイエンティスト、BIツール/データ活用エンジニア、アプリケーション基盤エンジニア、情報セキュリティなどが並んでいます。会計士資格を前提としない入口が明確に存在します。

特定業種の専門家になりたい方

セクターごとに監査統轄事業部が組織されており、業種軸で専門性を積み上げる設計です。金融やライフサイエンスなど、産業の会計実務に精通したい方に向きます。

手続きの正確さを重んじる方

監査は、根拠を積み上げて説明可能な状態を作る仕事です。地道な検証を丁寧に進められる方に適性があります。

向いていない人

繁忙の波を避けたい方

監査業務は決算期に作業が集中する構造です。年間を通じて平準化された働き方を最優先する場合、業務の性質と合いにくい面があります。

短期間で役割を変えたい方

公開されている口コミでは、年次に沿って昇格が進む傾向があるという指摘が共通しています。成果に応じて急速に役割を変えたい志向の方には、ペースが合わない可能性があります。

エージェントベストの見解

監査法人を受けるときに効くのは、業務及び財産の状況に関する説明書類を読んでから面接に臨むことです。監査法人は公認会計士法にもとづきこの書類を毎期公衆縦覧に供しており、被監査会社数、業務収入の内訳、事務所ごとの人員構成まで公開されています。事業会社の有価証券報告書と同じ密度の情報が、誰でも読める状態にあるということです。ところが、これを読んで面接に来る応募者はほとんどいません。面接で「非監査証明業務が前期比43億円増えている点に関心があり、自分のIT経験はそこに接続すると考えている」と言えたら、それだけで他の応募者と差が付きます。準備に必要な時間は1時間もかかりません。志望動機に説得力を持たせたい方は、まずこの書類を開いてください。他社との比較材料としても使えます。

通年採用で募集されている職種

募集職種の区分

あずさ監査法人は、多様なキャリアを持つ方の通年採用を実施しており、募集職種が公式に一覧で公開されています。

Digital Innovation & Assurance 統轄事業部では、会計士(Digital Innovation部)、IT監査・アドバイザリー、IT監査アシスタント(正職員・契約職員)、AIスペシャリスト・AIエンジニア、データアナリスト・データサイエンティスト、エンジニア・IT監査、BIツール/データ活用エンジニア、アプリケーション基盤エンジニア、インフラ/アプリ社内SE、データ処理エキスパート・エンジニア、データ処理アシスタント(正職員・契約職員)が募集されています。Digital本部では情報セキュリティ部での募集があります。

このうち「IT監査・アドバイザリー」については、未経験者も歓迎する旨が明示されています。

勤務地は東京事務所が中心で、IT監査については名古屋事務所・大阪事務所の記載もあります。

このほか、データアナリスト・データサイエンティスト、DXコンサルタント、セキュリティ人材、金融機関向けコンサルタントなど、アドバイザリー領域の職種も募集されています。

志望動機で問われること

「なぜ監査法人か」と「なぜあずさか」の2段で組み立てます。

前者について、監査法人という組織が何をしているのかを正確に理解しているかが問われます。監査証明業務が収入の約75%を占める一方、非監査証明業務が伸びているという構造は、説明書類から読み取れる事実です。自分がどちらの側に貢献するのかを明確にします。

後者については、セクター別の組織体制や、KPMGインターナショナルのネットワーク、直近のKPMG Forensic & Risk Advisory設立といった具体に触れられると、準備の深さが伝わります。

職務経歴書で見られるポイント

会計士資格を持たない職種で応募する場合、書類で読まれるのは技術領域と担当工程です。

扱った技術やツールの名称、担当した工程(要件定義、設計、実装、運用のどこか)、対象となったデータやシステムの規模を具体的に記載します。監査という文脈では、「正確性をどう担保したか」という観点の記述が効きます。データの検証方法や、品質を確保するために取った手順を書けると接続しやすくなります。

会計・財務の実務経験がある方は、担当した領域(連結、税効果、開示など)を明示します。案件ごとに、置かれていた状況、自分が選んだ打ち手、動いた数値を短く添えるという基本は同じです。

まとめ

有限責任あずさ監査法人は、KPMGインターナショナルのメンバーファームとして全国主要都市に約7,000名の人員を擁する監査法人です。第41期(2025年6月期)の業務収入総額は131,431百万円で、内訳は監査証明業務99,047百万円、非監査証明業務32,384百万円です。被監査会社等の数は3,255社、社員数は552人(公認会計士516人、特定社員36人)です。組織は金融、テレコム・メディア、テクノロジー、パブリックなどセクターごとの監査統轄事業部で構成されています。通年採用ではAIスペシャリスト、データサイエンティスト、情報セキュリティなど会計士資格を前提としない職種が多く募集されており、IT・データのキャリアからの入口が存在します。応募にあたっては、公衆縦覧に供されている業務及び財産の状況に関する説明書類を読んでおくことが、最も効率のよい準備になります。

よくある質問

Q. あずさ監査法人の年収はどのくらいですか。

A. 監査法人は上場しておらず、業務及び財産の状況に関する説明書類にも平均給与の記載はないため、公式に確認できる平均年収はありません。構造としては、社員(パートナー)が552人(公認会計士516人、特定社員36人)で、全国の人員約7,000名に対する比率はおよそ8%です。報酬は職位に強く連動する設計であり、監査かアドバイザリーか、会計士資格を持つ職種かIT・データ職かによっても変わります。実際の提示額は募集要項および選考の過程でご確認ください。

Q. 公認会計士の資格がなくても働けますか。

A. 可能です。通年採用の募集職種には、AIスペシャリスト・AIエンジニア、データアナリスト・データサイエンティスト、BIツール/データ活用エンジニア、アプリケーション基盤エンジニア、インフラ/アプリ社内SE、情報セキュリティなど、会計士資格を前提としない職種が並んでいます。「IT監査・アドバイザリー」については未経験者も歓迎する旨が明示されています。また第41期の説明書類によると、東京事務所だけで監査補助職員1,700人、その他の事務職員709人が在籍しており、資格を持たない人材が相当数を占めることが数値で確認できます。

Q. 監査以外の仕事もありますか。

A. あります。第41期の説明書類では、非監査証明業務収入が32,384百万円(前期比4,325百万円増加)と記載されています。内容としては、財務会計アドバイザリー、内部統制アドバイザリー、ESGアドバイザリー、規制対応アドバイザリー、IT関連アドバイザリー、デジタル・データ関連アドバイザリー、スタートアップ関連アドバイザリーが挙げられています。加えて2025年4月1日には、株式会社KPMG FASとの共同出資でフォレンジック専門の「株式会社KPMG Forensic & Risk Advisory」が事業を開始しています。

本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづいています。最新の募集要項や選考プロセスは、各社の公式サイトでご確認ください。

出典

本記事は 2026/8/3 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)