デンソーの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
デンソーの有価証券報告書 第103期(2026年3月期)を見ると、連結従業員数は167,950人(第99期)から154,716人へ13,234人減っています。同じ期間に売上収益は5,515,512百万円から7,539,975百万円へ約1.37倍になりました。人が減って売上が増える会社です。この記事では、その中身と働く側から見た意味を有報から整理します。
人員は減り、売上は増えている
| 年度 | 売上収益 | 営業利益 | 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 親会社所有者帰属持分比率 | 連結従業員数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第99期(2022年3月) | 5,515,512百万円 | 341,179百万円 | 263,901百万円 | 57.85% | 167,950人 |
| 第100期(2023年3月) | 6,401,320百万円 | 426,099百万円 | 314,633百万円 | 59.08% | 164,572人 |
| 第101期(2024年3月) | 7,144,733百万円 | 380,599百万円 | 312,791百万円 | 60.87% | 162,029人 |
| 第102期(2025年3月) | 7,161,777百万円 | 518,953百万円 | 419,081百万円 | 61.27% | 158,056人 |
| 第103期(2026年3月) | 7,539,975百万円 | 552,538百万円 | 443,755百万円 | 62.91% | 154,716人 |
数値は有価証券報告書 第103期(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)によります。連結財務諸表はIFRS会計基準にもとづきます。従業員数の平均臨時雇用者数は外数で、第103期は27,960人です。
売上収益は5期で約1.37倍、営業利益は341,179百万円から552,538百万円へ約1.62倍になりました。親会社所有者帰属持分比率も57.85%から62.91%へ上がっています。
その間、連結従業員数は毎期減り続けています。167,950人→164,572人→162,029人→158,056人→154,716人。平均臨時雇用者数も30,001人から27,960人へ減りました。
1人あたり売上収益で見ると、第99期は約3,284万円、第103期は約4,873万円です。
従業員はどの地域にいるか
| 地域 | 従業員数 | 臨時雇用者数 |
|---|---|---|
| 日本 | 76,417人 | 15,555人 |
| アジア | 39,195人 | 8,774人 |
| 北米 | 22,878人 | 1,479人 |
| 欧州 | 12,939人 | 2,102人 |
| その他 | 3,287人 | 50人 |
| 合計 | 154,716人 | 27,960人 |
日本が76,417人で全体の約49.4%です。海外が半数を超えています。
開示された数値から読み取れること
以下は、有価証券報告書と公表情報から読み取れる範囲の整理です。個別の口コミではなく、開示された数値をもとにしています。
年収・評価制度
提出会社の平均年間給与は9,152,532円(対前事業年度増減率6.1%)です。従業員43,889人、平均年齢44.8歳、平均勤続年数22.9年。賞与および基準外賃金を含みます。臨時雇用者数7,120人は外数です。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
ワークライフバランス
有報に労働時間の数値の記載はありません。提出会社の男性労働者の育児休業取得率は99.5%と記載されています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
キャリア・成長機会
2025年5月19日開催の取締役会で、従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブ制度の導入が決議されたと記載されています。対象従業員のエンゲージメント向上と財産形成の一助とすることが目的とされています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
社風・人間関係
労働組合は全日本自動車産業労働組合総連合会に加盟しており、労使関係について特に記載すべき事項はないとされています。提出会社の管理職に占める女性労働者の割合は2.2%です。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
エージェントベストの見解
この会社の数字で最初に見てほしいのは、平均勤続年数22.9年です。平均年齢44.8歳との差は約21.9年で、大半が新卒から在籍している計算になります。同じ自動車業界のトヨタ自動車は平均年齢40.5歳・平均勤続年数15.1年ですから、デンソーのほうが在籍が長い構成です。平均年間給与9,152,532円という数字も、この構成のうえで出ています。中途で入る立場では、ここが判断の分かれ目になります。長く働いた人が多い組織では、入社時の等級と、そこから何年でどこまで上がるのかが待遇を決めます。平均値は自分の提示額とは別物だと考えてください。もう1つ、増減率6.1%という数字について有報が丁寧な注記をしている点も知っておく価値があります。「年齢構成や採用・退職動向といった人員構成の変化、賞与水準の変動、並びに時間外労働時間の増減等の影響を受けています。そのため、当社の賃上げ水準だけを直接的に示すものではありません」。増減率をベースアップと読み替えないよう、会社自身が断っています。
報酬について確認できること
有価証券報告書によると、提出会社の平均年間給与は9,152,532円です。対前事業年度増減率は6.1%。従業員数43,889人(臨時雇用者数7,120人は外数)、平均年齢44.8歳、平均勤続年数22.9年です。
他のメーカーと並べると、位置関係が見えます。
| 会社 | 平均年間給与 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 提出会社の従業員数 |
|---|---|---|---|---|
| トヨタ自動車株式会社 | 10,060,464円 | 40.5歳 | 15.1年 | 73,133人 |
| 株式会社デンソー | 9,152,532円 | 44.8歳 | 22.9年 | 43,889人 |
| ダイキン工業株式会社 | 8,964,767円 | 41.2歳 | 16.6年 | 8,212人 |
| オムロン株式会社 | 8,882千円 | 44.5歳 | 14.8年 | 3,855人 |
各社の有価証券報告書によります。決算期が異なる会社が含まれます。
デンソーは平均勤続年数が最も長く、平均年齢も高い部類です。金額だけを並べると誤読になります。
有報には、2026年における賃上げについて、デンソー労働組合の要求である「昇給額 23,500円/月・人、賞与6.4か月」に満額回答したと記載されています。理由として、物価上昇への対応、労働市場での競争力強化、将来を担う若手社員の定着支援が挙げられています。
なお提出会社の労働者の男女の賃金の差異は、全労働者66.4%、正規雇用労働者68.2%、パート・有期労働者76.5%と記載されています。
実額は選考の過程で確認してください。
地域別に見ると日本だけが減益
報告セグメントは日本、北米、欧州、アジアの4区分です。第103期の数値です。
| セグメント | 外部顧客への売上収益 | セグメント利益 | 前期のセグメント利益 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 3,087,881百万円 | 185,913百万円 | 220,545百万円 |
| 北米 | 2,012,358百万円 | 132,314百万円 | 98,061百万円 |
| アジア | 1,622,176百万円 | 178,843百万円 | 169,461百万円 |
| 欧州 | 691,545百万円 | 27,801百万円 | 8,654百万円 |
| その他 | 126,015百万円 | 24,865百万円 | 22,269百万円 |
| 連結 | 7,539,975百万円 | 552,538百万円 | 518,953百万円 |
日本のセグメント利益だけが220,545百万円から185,913百万円へ、約15.7%減っています。
伸びが大きいのは欧州です。8,654百万円から27,801百万円へ、約3.2倍になりました。北米も98,061百万円から132,314百万円へ約34.9%増です。
売上規模では日本が3,087,881百万円で最大ですが、セグメント利益ではアジアの178,843百万円が日本の185,913百万円に迫っています。アジアは日本の約半分の売上でほぼ同じ利益を出しています。
日本の売上収益にはセグメント間の内部売上収益1,316,212百万円が加わり、計4,404,093百万円になります。国内の工場が海外拠点へ供給する構造です。
なお主な相手先別の販売実績として、トヨタ自動車株式会社への販売が1,991,604百万円(総販売実績の26.4%)と記載されています。前期は1,902,231百万円(26.6%)でした。
賃上げの開示が具体的
有報の従業員の状況には、平均年間給与の増減率について会社自身の説明が添えられています。
平均年間給与の対前事業年度増減率は、賃上げの実施状況に加え、年齢構成や採用・退職動向といった人員構成の変化、賞与水準の変動、並びに時間外労働時間の増減等の影響を受けています。
この注記は、増減率6.1%をそのまま「6.1%の賃上げ」と読まないよう促すものです。有価証券報告書でここまで書く会社は多くありません。
そのうえで、2026年の賃上げについて労働組合の要求内容と満額回答した事実が記載されています。「昇給額 23,500円/月・人、賞与6.4か月」。金額と月数が具体的に書かれているため、水準の見当がつきます。
報酬制度についてはもう1つ、2025年5月19日開催の取締役会で決議された従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブ制度があります。会社から対象従業員に特別奨励金として金銭債権が支給され、対象従業員がそれを持株会に拠出する仕組みと記載されています。目的は、企業価値の持続的な向上を図るインセンティブの付与、ステークホルダーとの価値共有、エンゲージメント向上および財産形成の一助とされています。
現金の給与に加えて株式を通じた報酬が組み込まれつつある、という点は押さえておく価値があります。
向いている人/向いていない人
向いている人
車載部品の開発・生産技術に専門性がある方
日本の売上収益は内部売上を含めて4,404,093百万円で、国内が開発と供給の中心です。
海外拠点との連携を前提に働ける方
従業員154,716人のうち日本は76,417人で、約半数が海外にいます。
長く在籍して専門性を積み上げたい方
提出会社の平均勤続年数は22.9年です。
向いていない人
成長市場だけに関わりたい方
日本のセグメント利益は約15.7%減っています。伸びているのは欧州(約3.2倍)と北米(約34.9%増)です。
人員が増えていく組織を望む方
連結従業員数は5期連続で減り、167,950人から154,716人になりました。
エージェントベストの見解
面接で問われるのは、「トヨタの部品会社という理解で止まっていないか」です。有報の数字を見ると、トヨタ自動車株式会社への販売は1,991,604百万円で総販売実績の26.4%。4分の1強であって、大半ではありません。地域別ではアジアの売上収益1,622,176百万円に対しセグメント利益178,843百万円と、日本(3,087,881百万円で185,913百万円)に迫る利益を出しています。欧州は利益が約3.2倍になりました。国内の系列取引だけを見ていると、この会社の稼ぎ方を取り違えます。準備としてお伝えしているのは、自分の経験を「同じ部品を異なる完成車メーカー・異なる地域に展開する」文脈で語れるようにしておくことです。顧客ごとに要求仕様も品質基準も違い、そこを埋める仕事が中心になります。もう1つ、連結従業員が5期で13,234人減る一方で売上収益が約1.37倍になっている点に触れられると、生産性の話ができる人だと伝わります。募集の有無と職種は、公式の採用ページでご確認ください。
選考に向けた準備
応募の前に確かめること
提出会社の従業員は43,889人で、連結154,716人の約28.4%です。求人がどの法人のものか、勤務地がどこかは応募前に確認しておきたい項目です。
有報には「当社は、『日本』の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員の状況の記載を省略しています」と注記されています。提出会社の内訳は事業別には開示されていません。
日本のセグメント利益は前期から約15.7%減っています。一方で欧州・北米は伸びています。配属予定の地域と製品領域がどの局面にあるかは確認する価値があります。
募集要項の詳細は公式の採用ページでご確認ください。
志望動機で問われること
「なぜ自動車部品か」と「なぜデンソーか」の2段で組み立てます。
前者については、志望する領域を明確にします。パワートレイン、熱マネジメント、電子制御、センサーでは、必要な経験も相手も異なります。
後者の材料は有報にあります。売上収益が5期で約1.37倍、営業利益が約1.62倍になったこと。同じ期間に連結従業員数が13,234人減ったこと。日本のセグメント利益だけが約15.7%減り、欧州が約3.2倍、北米が約34.9%増となったこと。トヨタ自動車への販売が総販売実績の26.4%であること。親会社所有者帰属持分比率が62.91%であること。
「人が減って売上が増えている理由」に自分なりの見方を持てると、下調べの深さが伝わります。
職務経歴書で見られるポイント
自動車部品の中途採用では、技術の深さと、量産に持ち込んだ経験が読まれます。
製品開発の経験がある方は、担当した部品と、要求仕様・コスト・信頼性のどれを主に担ったかを書きます。
生産技術の経験がある方は、担当した工程と、歩留まりやサイクルタイムをどう動かしたかを書きます。海外拠点への展開経験があれば前に出してください。
ソフトウェア・電子制御の経験がある方は、扱った制御対象と、機能安全や車載規格への対応でどこを担ったかを書きます。
営業・企画の経験がある方は、担当した完成車メーカーと、受注をどう積み上げたかを書きます。トヨタ以外の顧客との取引経験は差になります。
いずれの場合も、案件ごとに、置かれていた状況、自分が選んだ打ち手、動いた数値を短く添えます。
まとめ
デンソーは東証プライム市場に上場する自動車部品メーカーで、有価証券報告書 第103期(2026年3月期)の売上収益は7,539,975百万円、営業利益552,538百万円、税引前利益617,291百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益443,755百万円、親会社所有者帰属持分比率62.91%、連結従業員数154,716人(平均臨時雇用者数27,960人は外数)です。売上収益は5期で約1.37倍、営業利益は約1.62倍になった一方、連結従業員数は167,950人から13,234人減りました。地域別のセグメント利益は日本185,913百万円(前期比約15.7%減)、アジア178,843百万円、北米132,314百万円(同約34.9%増)、欧州27,801百万円(同約3.2倍)で、日本だけが減益です。トヨタ自動車株式会社への販売は1,991,604百万円で総販売実績の26.4%。提出会社の従業員数は43,889人、平均年齢44.8歳、平均勤続年数22.9年、平均年間給与9,152,532円(増減率6.1%)です。
よくある質問
Q. デンソーの年収はどのくらいですか。
A. 有価証券報告書 第103期(2026年3月期)によると、提出会社の平均年間給与は9,152,532円(対前事業年度増減率6.1%、従業員43,889人、平均年齢44.8歳、平均勤続年数22.9年)です。賞与および基準外賃金を含みます。ただし有報には、増減率が年齢構成や採用・退職動向、賞与水準、時間外労働時間の増減等の影響を受けるため賃上げ水準を直接示すものではない、と注記されています。同じ自動車業界のトヨタ自動車は10,060,464円(平均年齢40.5歳、平均勤続年数15.1年)です。実額は選考の過程でご確認ください。
Q. トヨタグループの会社ですか。
A. 有報の主な相手先別の販売実績によると、トヨタ自動車株式会社への販売は1,991,604百万円で、総販売実績の26.4%です。前期は1,902,231百万円(26.6%)でした。4分の1強を占める最大の取引先ですが、残りの約73.6%は他の顧客との取引です。地域別ではアジアの売上収益1,622,176百万円に対しセグメント利益178,843百万円と、日本(3,087,881百万円で185,913百万円)に迫る水準になっています。
Q. 人員が減っているのはなぜですか。
A. 有報は連結従業員数の推移を示していますが、減少の理由を1つに特定した記載はありません。数値としては167,950人(第99期)から154,716人(第103期)へ13,234人減り、平均臨時雇用者数も30,001人から27,960人へ減っています。同じ期間に売上収益は5,515,512百万円から7,539,975百万円へ約1.37倍になっており、1人あたり売上収益は約3,284万円から約4,873万円へ上がりました。地域別では日本が76,417人と全体の約49.4%を占めます。
本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづいています。最新の募集要項や選考プロセスは、各社の公式サイトでご確認ください。
本記事は 2026/8/6 時点の公開情報にもとづいて作成しています。