日本M&Aセンターの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
日本M&Aセンターは、中堅中小企業のM&A仲介で国内最大級の規模を持つ会社です。持株会社体制のため有価証券報告書の提出会社には従業員がいませんが、「最大人員会社の状況」という欄に事業会社の数字が載っており、平均年間給与まで読み取れます。第35期(2026年3月期)の有報には、過去の不祥事からの再生過程と、量から質への受託方針の転換が正面から書かれています。この記事では、その中身を整理します。
持株会社の下に事業会社と17社の子会社
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社日本M&Aセンターホールディングス |
| 上場区分 | 東京証券取引所プライム市場(証券コード2127) |
| 本店所在地 | 東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 |
| 事業内容 | M&A仲介事業(単一セグメント) |
| 資本金 | 4,045百万円 |
| グループ構成 | 当社、連結子会社17社、持分法適用関連会社18社 |
| 連結従業員数 | 1,062名(2026年3月31日現在・臨時従業員89名は外数) |
| 事業会社の従業員数 | 918名(株式会社日本M&Aセンター) |
| 事業会社の平均年齢 | 34.2歳 |
| 事業会社の平均勤続年数 | 4.6年 |
| 事業会社の平均年間給与 | 13百万円(対前事業年度増減率8.7%) |
数値は有価証券報告書 第35期(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)によります。
提出会社に従業員はいない
有価証券報告書の「提出会社の状況」には、当社の事業は連結子会社である株式会社日本M&Aセンターの従業員が兼務しており、専属の従業員がいないため、従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与は記載していないと書かれています。
純粋持株会社ではよくある形です。ただしこの会社の場合、続けて「最大人員会社の状況」という欄が置かれ、株式会社日本M&Aセンターの従業員数918名、平均年齢34.2歳、平均勤続年数4.6年、平均年間給与13百万円が開示されています。
持株会社体制に移行すると平均年収が読めなくなる会社が多いなかで、事業会社の数字を出している点は押さえておく価値があります。
案件の入口を3面から作っている
有価証券報告書の「事業の内容」には、案件情報への多面的なアプローチが3つ挙げられています。
金融機関、会計事務所等を中心とした情報ネットワークを通じてのアプローチ。上場企業を含む一般事業法人やファンド等に直接コンタクトし、各種ダイレクトマーケティングの手法により潜在的顧客に直接コンタクトするアプローチ。そして特定の業種に専門特化し、専門的知見に基づくコンサルテーションによるアプローチです。
これらを効率よく専門的にサポートするための部署をそれぞれ設置していると記載されています。
M&A仲介の会社を比較するとき、この「案件の入口をどう作っているか」は最も違いが出る部分です。提携ネットワークに寄せる会社もあれば、個人の新規開拓が中心の会社もあります。同社は複数の経路を並行して持つ体制です。
有報から読み取れる範囲
以下は、有価証券報告書と公表情報から読み取れる範囲の整理です。個別の口コミではなく、開示された数値と方針をもとにしています。
年収・評価制度
事業会社の平均年間給与は13百万円で、対前事業年度増減率は8.7%です。有報には報酬制度について、短期的な業績評価に基づくインセンティブに加え、中長期的な企業価値向上への貢献を重視した設計とされ、評価は成約実績のみならず案件品質、顧客満足度、業務プロセス遵守状況、組織への貢献度等を総合的に勘案すると記載されています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
ワークライフバランス
有報には労働時間に関する数値の記載はありません。男性労働者の育児休業取得率は事業会社で38.8%と開示されています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
キャリア・成長機会
全社員を対象とした共通の基礎教育(理念・パーパス・コアバリュー、業務標準、コンプライアンス)を軸に、役割・経験に応じた専門教育および階層別研修を体系的に実施していると記載されています。グループにはファンド運営会社やPMIコンサルティング会社があります。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
社風・人間関係
連結従業員1,062名のうち、マーケティング本部・営業本部・バリュー推進本部が977名、コーポレート本部・内部監査室が85名です。事業会社の平均年齢は34.2歳、平均勤続年数は4.6年。管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合は9.3%と開示されています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
エージェントベストの見解
公開されている平均年間給与13百万円は、そのまま自分の想定年収として読むと外します。同じ有報に、男女の賃金の額の差異が全労働者で53.8%と開示され、その理由として「男女ともにコンサルタント職の平均給与が高いことに加え、女性コンサルタントに比べて男性コンサルタントの比率が高いことから、男女の賃金差異が生じております」と注記されています。ここから読めるのは、コンサルタント職とそれ以外で報酬水準に明確な差があるという構造です。918名の平均には、コーポレート部門も含まれています。つまり13百万円はコンサルタント職の中央値ではなく、職種構成の混ざった平均です。自分の場合いくらになるかは、どの職種で、どの等級で入るかで決まります。加えて、報酬制度が短期のインセンティブだけでなく中長期の貢献を重視する設計へ変わっていることも有報に明記されています。オファー段階で、固定と変動の比率、変動部分がどの指標で決まるかを確認してください。
成約件数は減り、1件あたりの単価が上がっている
第35期の業績は、この会社を検討するうえで最も重要な材料です。有価証券報告書の経営成績の分析には、次のように書かれています。
売上高50,257百万円、営業利益18,761百万円、経常利益19,154百万円、親会社株主に帰属する当期純利益12,487百万円。いずれも過去最高で、業績予想の達成率は売上高108.5%、経常利益112.7%です。経常利益率は38.1%と記載されています。
一方で成約件数は1,061件で、前年同期比17件減です。ここが重要な点で、有報は「引き続きミッドキャップ案件(売上高10億円以上又は利益5千万円以上)の成約に注力した結果、1件当たりのM&A売上高は、前連結会計年度の39.6百万円と比べ6.1百万円増加し、45.7百万円となりました」と説明しています。
さらに新規受託件数についても記載があります。譲渡案件の新規受託件数は1,283件で、前年同期の1,432件から151件減少しました。理由として、これまでの可能な限り多くの受託を行う量拡大型の受託方針から、「成約可能性」や「顧客に対する結果責任」を重視した受託方針へ転換したことが挙げられています。
件数を追う経営から、1件あたりの規模と成約確度を追う経営へ切り替えている、という説明です。
不祥事からの再生過程が有報に書かれている
第35期の有価証券報告書には、「当社グループは、不祥事発覚後4年間の再生過程を経て、当連結会計年度において下表のとおり売上高並びに営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のすべてにおいて過去最高の業績を計上することができました」と記載されています。
続けて、当社グループ本来の業績達成サイクルへの回帰も着実に進行し、次連結会計年度以降の「第2創業」としての再成長ステージに歩みを進めることができたと認識している、とあります。
人的資本に関する記述にも同じ文脈が出てきます。「当社は、過去の経営課題を踏まえ、成果至上主義に依存した人材マネジメントから脱却し、信頼・品質・付加価値を重視する事業運営への転換を進めてきました」「人的資本経営を『統制・再発防止の段階』から『成長投資としての実行・可視化の段階』へと進化させ」という記載です。
転職を検討する立場から見ると、これは働き方に直結する情報です。評価軸が成約実績一本ではなくなったこと、業務プロセスの遵守状況が評価に入ることが、有報に明記されています。
採用方針も同じ方向を示しています。新卒採用については短期的な即戦力性よりもパーパスおよび価値観への共感、高い職業倫理意識、長期的な成長可能性を重視したポテンシャル採用を基本とすること。中途採用については金融、会計、税務、事業会社等で培われた専門的知見や実務経験を活かしつつ、個人の成果にとどまらず組織全体の価値創造や品質向上に貢献できる人材の獲得を重視すること。いずれも有報の記載です。
仲介の外側に広がるグループ会社
有価証券報告書の事業の内容には、M&A周辺分野とファンド分野の子会社が時系列で並んでいます。
M&A周辺では、2016年1月設立の株式会社企業評価総合研究所が企業評価に係る業務を、2018年4月設立の株式会社日本PMIコンサルティングが成約後の事業統合コンサルティングを行っています。
ファンド分野はさらに広がっています。2000年10月設立の日本プライベートエクイティ株式会社が事業承継をテーマとするファンド運営を、2018年1月に株式会社日本政策投資銀行と合弁で設立した株式会社日本投資ファンドが成長戦略をテーマとするファンド運営を行っています。
2020年10月には株式会社サーチファンド・ジャパンを設立し、個人によるM&A支援をテーマとしたファンド運営を開始。2023年12月には株式会社AtoG Capitalを設立し、日本企業によるASEANの中堅・中小企業のクロスボーダーM&Aの促進を目的としたファンド運営を開始しています。2024年10月には株式会社日本サーチファンドを設立し、地域金融機関との連携を通じて地域ニーズに合致したサーチファンドを設立・運営するとされています。
そして2026年4月に、これらのファンド事業を束ねる中間持株会社である株式会社J-Capitalを新設し、ファンド事業における収益区分を明確にしていくと記載されています。
仲介一本の会社ではなく、企業評価、PMI、ファンド運営まで含むグループです。社内でのキャリアの選択肢という観点では、この広がりは押さえておく価値があります。
AIとデータを使った営業体制
有価証券報告書には、営業の取り組みとしてデータドリブン経営が挙げられています。
2025年2月にAIによる商談解析サービス「Bring Out」を提供する会社と資本業務提携を行い、営業コンサルタントが商談時に顧客情報やニーズを録音し、音声データから重要情報を抽出・分析したうえで社内の顧客管理システムへ格納する仕組みを導入したとされています(録音は商談参加者全員の許諾を得た場合のみ)。
用途として3点が挙げられています。企業データベースの構築とナレッジとの連携、AIを活用した新規買い受託件数の増加と成約率の向上、そしてハイパフォーマーの商談を解析してコンサルタントの育成に活用することです。
2026年3月時点の情報集積として、譲渡企業は約3,000社分の定性情報インタビューと800件以上のキックオフミーティングの録音・解析、譲受候補企業は約9,000社のM&Aニーズインタビューと7,000社以上の企業概要書提案が記載されています。
またダイレクトマーケティングとして、全国約40会場でセミナーを開催し、前年同期比1.5倍を超える10,000名超の申し込みがあったとされています。
向いている人/向いていない人
向いている人
規模の大きい組織で案件量に触れたい方
成約件数1,061件、新規受託件数1,283件という規模です。案件の絶対数に触れられる環境を求める方に接続します。
評価軸が実績一本ではない環境を望む方
有報には、評価にあたって成約実績のみならず案件品質、顧客満足度、業務プロセス遵守状況、組織への貢献度等を総合的に勘案すると記載されています。
仲介の外側にも関心がある方
企業評価、PMI、ファンド運営の子会社がグループ内にあります。2026年4月には中間持株会社J-Capitalが新設されました。
向いていない人
成果さえ出せば進め方は自由という環境を望む方
有報には、成果至上主義に依存した人材マネジメントから脱却し、信頼・品質・付加価値を重視する事業運営への転換を進めてきたと記載されています。業務プロセスの遵守状況が評価に入る設計です。
小規模案件を数多く手がけたい方
ミッドキャップ案件(売上高10億円以上又は利益5千万円以上)の成約に注力し、量拡大型の受託方針から転換したと明記されています。
エージェントベストの見解
面接の終盤で問われるのは、「なぜ大手なのか」ではなく「品質と数字のどちらを優先するか」です。ここで答えが揺れる方が落ちます。この会社は有報で、量拡大型の受託方針から「成約可能性」や「顧客に対する結果責任」を重視する方針へ転換したと明言しました。新規受託件数を1,432件から1,283件へ、意図的に151件減らしています。つまり「受けない判断」を評価する組織に変わったということです。前職で受注件数を積み上げてきた方は、この点で説明が必要になります。準備としてお伝えしているのは、「断った案件」の話を1つ用意しておくことです。受けられたはずの仕事を、なぜ受けなかったのか。顧客にとって成立しないと判断した根拠は何か。その判断を上司や社内にどう説明したか。この話ができる方は、方針転換後の評価軸と噛み合います。逆に、実績の話が受注額と件数だけで構成されていると、以前の同社が求めていた人物像に寄って聞こえます。募集の有無と職種は、必ず公式の採用ページでご確認ください。
選考に向けた準備
応募先の会社を確かめる
上場しているのは株式会社日本M&Aセンターホールディングスですが、M&A仲介の実務を担うのは連結子会社の株式会社日本M&Aセンターです。有報でも、提出会社には専属の従業員がおらず、事業会社の従業員が兼務していると記載されています。
グループには企業評価総合研究所、日本PMIコンサルティング、日本プライベートエクイティ、日本投資ファンド、サーチファンド・ジャパン、AtoG Capital、日本サーチファンドなどがあり、それぞれ業務内容が異なります。募集がどの法人のどの職種かを確認してください。
志望動機で問われること
「なぜM&A仲介か」と「なぜこの会社か」の2段で組み立てます。
前者については、FAやFAS、事業会社側ではなく、双方の間に立つ仲介という立場をどう捉えているかを説明します。
後者の材料は有報にあります。案件の入口を3面から作っている体制。ミッドキャップ案件への注力と1件あたり単価45.7百万円への上昇。不祥事後の再生から「第2創業」への転換。AIを使った商談解析とコンサルタント育成への活用。ファンド事業の広がり。
とくに受託方針の転換は、この会社を選ぶ理由として語りやすい材料です。
職務経歴書で見られるポイント
有報の中途採用方針には、金融、会計、税務、事業会社等で培われた専門的知見や実務経験を活かしつつ、個人の成果にとどまらず組織全体の価値創造や品質向上に貢献できる人材を重視すると書かれています。
金融機関出身の方は、法人取引で経営者と直接向き合った経験を書きます。会計・税務のバックグラウンドを持つ方は、事業承継や株価評価に関与した経験を書きます。事業会社出身の方は、意思決定に関わった範囲を明確にします。
そのうえで、組織への貢献を示す材料を1つ加えてください。ナレッジを社内に還元した経験、後進を育てた経験、業務プロセスを改善した経験。個人の成果だけで構成された書類とは、読まれ方が変わります。
まとめ
日本M&Aセンターは東証プライム市場に上場する持株会社体制のM&A仲介グループで、連結子会社17社、持分法適用関連会社18社で構成されています。第35期(2026年3月期)の連結売上高は50,257百万円、経常利益19,154百万円、当期純利益12,487百万円で、いずれも過去最高。連結従業員は1,062名です。提出会社に専属の従業員はいませんが、「最大人員会社の状況」として株式会社日本M&Aセンターの従業員918名、平均年齢34.2歳、平均勤続年数4.6年、平均年間給与13百万円が開示されています。成約件数は1,061件と前年から17件減った一方、ミッドキャップ案件への注力により1件あたりのM&A売上高は39.6百万円から45.7百万円へ上昇。新規受託件数も量拡大型から成約可能性重視へ方針を転換し、1,432件から1,283件に減っています。有報には不祥事発覚後4年間の再生過程と「第2創業」への移行が明記されており、評価軸も成約実績一本から案件品質や業務プロセス遵守を含む設計へ変わっています。
よくある質問
Q. 日本M&Aセンターの年収はどのくらいですか。
A. 有価証券報告書 第35期(2026年3月期)の「最大人員会社の状況」によると、株式会社日本M&Aセンターの平均年間給与は13百万円で、対前事業年度増減率は8.7%です。対象は従業員918名、平均年齢34.2歳、平均勤続年数4.6年。ただし同じ有報には男女の賃金の額の差異が全労働者で53.8%と開示され、その理由としてコンサルタント職の平均給与が高いことと男性コンサルタントの比率が高いことが注記されています。職種によって水準が異なるため、実額は選考の過程でご確認ください。
Q. 未経験からでも応募できますか。
A. 募集要項の詳細は公式サイトでご確認ください。有価証券報告書には、中途採用について金融、会計、税務、事業会社等で培われた専門的知見や実務経験を活かしつつ、個人の成果にとどまらず組織全体の価値創造や品質向上に貢献できる人材の獲得を重視すると記載されています。また育成については、全社員を対象とした共通の基礎教育を軸に、役割・経験に応じた専門教育および階層別研修を体系的に実施しているとされています。
Q. 過去の不祥事は業務に影響していますか。
A. 有価証券報告書に正面から記載があります。「不祥事発覚後4年間の再生過程を経て」第35期に過去最高の業績を計上したこと、次期以降を「第2創業」としての再成長ステージと位置づけていることが書かれています。人的資本の記述でも、成果至上主義に依存した人材マネジメントから脱却し、信頼・品質・付加価値を重視する事業運営への転換を進めてきたとされ、評価に業務プロセス遵守状況が含まれることが明記されています。働き方に直結する変化なので、選考の過程で具体的な運用を確認することをおすすめします。
本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづいています。最新の募集要項や選考プロセスは、各社の公式サイトでご確認ください。
- 日本M&Aセンターホールディングス 有価証券報告書 第35期(2026年3月期)
- 日本M&Aセンターホールディングス 公式サイト
- 厚生労働省 job tag「経営コンサルタント」(令和7年賃金構造基本統計調査ほか)
本記事は 2026/8/5 時点の公開情報にもとづいて作成しています。