中小企業向けコンサルティングの年収相場|転職で押さえるべきポイント

中小企業向けコンサルティング 年収相場 更新日 2026/8/11

公的統計の平均額は、そのままでは使えない

中小企業向けコンサルティングの年収を調べると、最初に目に入るのが公的統計の平均額です。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、「中小企業診断士」の区分に次の数値が示されています。

同じサイトの「経営コンサルタント」の区分と、これらの数値は完全に一致します。 賃金統計の上では、ひとつの区分として扱われているためです。

そして、平均年収1,134.6万円と、求人賃金の月額28.3万円(年換算で約340万円)の間には、大きな開きがあります。入口の募集条件と、在職者の平均は別のものを指しています。 この記事では、実際に参照できる数値を積み上げていきます。本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。

なぜ、これほど差が開くのか

理由は就業形態にあります。job tagの中小企業診断士の区分では、就業形態の内訳が次のようになっています。

就業形態割合
自営・フリーランス57.9%
正規の職員・従業員47.4%
経営層13.2%

過半数が自営です。(複数回答のため、割合の合計は100を超えます。)経営コンサルタントの区分でも自営・フリーランスが43.4%を占めており、雇用されて働く人だけの統計ではありません。

自営で長く続けている層が平均を押し上げる一方、求人として出るのは経験の浅い層向けのポジションが中心です。この2つを混ぜて見ると、実態から離れます。

独立した場合の売上分布

日本中小企業診断士協会連合会が令和8年5月に公表した調査(調査時点は令和7年11月、回答1,847名)では、診断士業務を年間100日以上行っている方(564名)の年間売上が示されています。

年間売上構成比
300万円以内12.4%
301〜400万円9.9%
401〜500万円9.2%
501〜800万円20.2%
801〜1,000万円16.0%
1,001〜1,500万円16.5%
1,501〜2,000万円8.2%
2,001〜2,500万円3.0%
2,501〜3,000万円0.9%
3,001万円以上2.8%

最も多いのは501〜800万円の20.2%です。501〜1,500万円までを合わせると52.7%となり、このあたりがボリュームゾーンと読めます。一方で、500万円以下も31.5%を占めています。

注意したいのは、これが売上であって手取りではないことです。経費と社会保険料を差し引く前の金額になります。年間100日以上稼働している方に絞った集計である点も、あわせて押さえてください。

単価は、公的か民間かで決まる

同じ調査から、1日あたりの報酬額を見ると、仕事の性格による差がはっきりします。

業務公的業務がかなり高い方民間業務がかなり高い方
診断業務(1日・平均額)39.4千円107.2千円
経営支援業務(1日・平均額)43.3千円119.4千円
調査研究業務(1日・平均額)30.5千円92.0千円
講演・教育訓練業務(1日・平均額)43.8千円115.2千円

おおよそ3倍近い開きがあります。

もうひとつ、継続収入である顧問料にも差があります。顧問契約を結んでいる割合は、公的業務が中心の方で20.6%、民間業務が中心の方で53.5%。顧問料の月額平均は75.6千円と150.9千円で、顧問先の数も2.4社と6.2社と差が出ています。

エージェントベストの見解

公開されている平均年収1,134.6万円は、自営で長く続けてきた層を含む区分の平均です。転職の目安には使えません。参照すべきは3つあります。ひとつ目は求人賃金の月額28.3万円。これは入口に近い水準です。ふたつ目は、応募先が提示する等級とレンジ。3つ目は、成果報酬や案件連動の手当がどの程度乗るか。この3つを確認すれば、自分の場合の見込みは十分に絞れます。転職の面談で「業界の平均は1,000万円を超えるらしい」という前提のまま話が進むと、後で条件が合わずに終わります。最初に外しておくべき数字です。

企業に勤める場合の年収の決まり方

コンサルティング会社に在籍して中小企業を支援する場合、年収は次の3つで決まります。

1. 等級(グレード) アナリスト、コンサルタント、マネージャーといった等級ごとにレンジが設定されます。年次より、担当できる範囲で決まる会社が多いとされています。

2. 稼働の考え方 支援先の数と訪問頻度で、担当できる件数の上限が決まります。1社あたりの単価が高くない領域では、件数が処理量の上限に当たるため、ここが評価の基準になりやすい構造です。

3. 受注への関与 提案から受注までを担当する会社では、獲得実績が賞与に反映される設計が一般的です。上場しているコンサルティング会社では、有価証券報告書で平均年間給与を確認できます。応募前に一度目を通しておくと、レンジの当たりが付きます。

稼働の内訳から、収入を逆算する

年収を見積もるとき、単価だけを見ても数字は出ません。単価×稼働日数×継続率の3つが揃って初めて金額になります。

同調査では、中小・小規模企業を対象とした診断士業務の年間日数が示されています。

業務年間の平均日数
経営支援業務81.8日
診断業務41.2日
調査研究業務31.9日
執筆業務21.8日
講演・教育訓練業務19.3日
合計120.8日

合計が各業務の単純合算と一致しないのは、業務ごとに回答者数が異なるためです。押さえたいのは、年間の稼働が120日前後という水準です。

ここに単価を掛けると、おおよその姿が見えます。公的業務が中心で経営支援の日当が43.3千円の場合と、民間業務が中心で119.4千円の場合では、同じ日数でも結果が大きく変わります。さらに顧問契約があれば、訪問日数と別に月額が積み上がります。

年間の稼働日数を増やすには、案件の入口を複数持つ必要があります。単価を上げるには、専門分野と実績が要ります。どちらを先に動かすかで、収入の伸び方の形が変わります。 転職の面接でレンジを確認するときも、この3つのどれで評価されるのかを聞いておくと、入社後のずれが減ります。

年収が上がるのは、どの局面か

逆に、公的業務だけで日数を積み上げる働き方は、単価が制度で決まるため上限が見えやすくなります。どちらが良いという話ではなく、収入の設計が違います。

会社ごとの水準を調べるときの順序

上場している会社であれば、有価証券報告書の平均年間給与が第一の手がかりになります。企業別の記事もあわせてご覧ください。

平均年間給与は全社員の平均であり、職種や等級の構成に左右されます。同じ会社でも、支援職と管理部門では水準が異なります。 数字を見たうえで、面接でポジション別のレンジを確認するのが現実的です。

エージェントベストの見解

年収の話で最も多いミスマッチは、独立後の売上を、転職後の年収と同じ物差しで比べてしまうことです。同調査の売上分布は、経費を引く前の金額で、しかも年間100日以上稼働している方に絞った数字です。企業に勤める場合の年収とは、含まれるものが違います。比較するなら、独立側は経費と社会保険料を引いた後の手残りに直し、雇用側は賞与と手当を含めた総額に直す。この作業をしてから並べると、判断が変わる方が少なくありません。特に30代で家族がいる場合、可処分所得と保障の差が効いてきます。

まとめ

よくある質問

Q. 未経験で入社した場合、最初の年収はどのくらいですか。 A. 公開されている求人賃金は月額28.3万円(令和6年度)です。実際の提示額は、前職の年収と等級で決まります。応募前に、想定される等級とそのレンジを確認しておくとずれが減ります。

Q. 中小企業診断士を取ると年収は上がりますか。 A. 同調査では、資格取得時の勤務先の反応として「評価・処遇に変化はなかった」が35.5%で最多でした。「資格手当が支給された」は14.7%、「昇給・昇格した」は4.8%です。資格そのものより、資格を使って何をしたかが処遇に表れる傾向があります。

Q. 副業として始めた場合、どのくらいの収入になりますか。 A. 稼働日数によります。同調査の売上分布は年間100日以上稼働している方の集計であり、休日中心の稼働はこれより少なくなります。1日あたりの報酬額(公的業務中心で39.4千円〜43.8千円)に、現実的な稼働日数を掛けて見積もるほうが実態に近くなります。

出典

本記事は 2026/8/11 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)