アスクルの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
売上高が800億円減った期に、報酬制度を作り直している
アスクルの有価証券報告書(第63期・2026年5月期)は、平時の決算書ではありません。
連結売上高は第62期の481,101百万円から400,199百万円へ、およそ809億円減少しました。経常損失は19,062百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は22,150百万円です。有価証券報告書は理由をこう記載しています。
ランサムウェア攻撃によりシステム障害が発生し、当社のWEBサイトでお客様からのご注文の受付を一時的に停止したことによるものであります。
自己資本比率は34.2%から20.8%へ低下し、1株当たり配当額は38円から10円になりました。役員報酬についても、支給対象取締役の月額基本報酬を2026年1月支給分から2026年5月支給分まで20%減額したと記載されています。
そのうえで注目したいのは、同じ期に評価・報酬制度を作り直しているという事実です。有価証券報告書は「2026年5月より、評価・報酬制度を改定し、より公正な評価の実現に向けて、各職能等級の定義および各等級に求められる成果レベルを明確化しております」と記載しています。
本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづいています。最新の募集要項や選考プロセスは、公式サイトでご確認ください。
会社概要と事業構造
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | アスクル株式会社(ASKUL Corporation) |
| 上場区分 | 東京証券取引所プライム市場(証券コード2678) |
| 本社所在地 | 東京都江東区豊洲三丁目2番3号 |
| 事業の開始 | 1993年3月(プラス株式会社アスクル事業部として) |
| 資本金 | 21,233百万円(2026年5月期) |
| 従業員数 | 連結3,646人[臨時1,852人]/提出会社976人[臨時50人] ※2026年5月20日現在 |
| 事業内容 | eコマース事業/ロジスティクス事業 |
| 決算期 | 5月(5月20日締め) |
成り立ちと上場の経緯
有価証券報告書は、当社の前身であるアスクル事業部が1993年3月、オフィス用品の中小事業所向けカタログ通信販売を目的とする新規流通事業部門としてプラス株式会社の中で発足し、1997年5月21日にメーカーであるプラス株式会社から分社したと記載しています。1997年2月にオフィス関連用品の翌日配送サービスを目的として商号をアスクル株式会社に変更、同年3月にインターネットによる受注を開始しています。
2000年11月にJASDAQ市場へ上場、2004年4月に東京証券取引所市場第一部へ上場しました。物流拠点は所沢、東京、福岡、横浜、名古屋、大阪、仙台と順次開設されています。
従業員の内訳
連結従業員数3,646人のうち、eコマース事業とロジスティクス事業を合算した人数が3,596人[臨時1,851人]、その他が50人[臨時1人]です。有価証券報告書は、両事業に係る従業員についてセグメント別に明確に区分できないため合算していると注記しています。
一方、提出会社の従業員は976人[臨時50人]で、全従業員がeコマース事業に従事していると記載されています。連結と提出会社の差である約2,670人は、ロジスティクスを担う子会社などに在籍していることになります。
連結子会社としてASKUL LOGIST株式会社と株式会社チャームの名前が開示されています。
評判の傾向
年収・評価制度
年俸制であることに触れる声が見られます。制度の改定が進んでいることへの言及もあります。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです。
ワークライフバランス
働き方の柔軟さを評価する声が見られます。一方で、物流や受注の繁忙期には業務量が増えるという指摘もあります。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです。
キャリア・成長機会
eコマースと物流の両方に関われる点を挙げる声が見られます。変化のスピードについての言及もあります。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです。
社風・人間関係
「お客様のために進化する」という考え方への言及が見られます。事業部門と物流部門の関係についての指摘もあります。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです。
エージェントベストの見解
面接の終盤で問われるのは、**「なぜ、この時期にこの会社を選ぶのか」**です。2026年5月期はランサムウェア攻撃で売上高が809億円減り、最終損失221億円を計上した期でした。役員報酬は5か月間20%減額、配当は38円から10円、自己資本比率は34.2%から20.8%。この状況を知らずに「成長性に惹かれました」と話すと、資料を読んでいないことが一言で伝わります。**準備すべきは、この局面をどう理解しているかの言語化です。**押さえておきたいのは、同じ期に評価・報酬制度を改定し、職能等級の定義と各等級に求められる成果レベルを明確化していること。財務活動によるキャッシュ・フローが252億円のプラスで、資金を確保していること。**危機のなかで人事制度に手を入れる会社は、立て直しの前提に人を置いています。**ここを読み取ったうえで「自分はどの等級で何を成果として出すか」まで話せると、他の応募者と差がつきます。
年収・評価制度・福利厚生
有価証券報告書に記載された数字
第63期(2026年5月期)の提出会社の状況は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 従業員数 | 976人[臨時50人] |
| 平均年齢 | 41.6歳 |
| 平均勤続年数 | 10.1年 |
| 平均年間給与 | 7,159,914円 |
| 平均年間給与の対前事業年度増減率 | 0.5% |
平均年間給与には賞与が含まれます。当社は年俸制を採用していると注記されています。
注目すべきは対前事業年度増減率が0.5%のプラスである点です。連結で221億円の最終損失を計上した期に、従業員の平均年間給与は微増しています。役員報酬が20%減額されたことと対照的です。
報酬制度の設計
有価証券報告書は従業員の給与その他の給付の額および内容の決定方針について、次のように記載しています。
- 従業員一人ひとりの挑戦、成長、成果および担う役割に対して、公平かつ透明性のある処遇を行うことを基本方針とする
- 2026年5月より評価・報酬制度を改定し、各職能等級の定義および各等級に求められる成果レベルを明確化
- 人材育成および組織文化の醸成を目的として、当社のバリューズの体現度を評価する「バリューズ評価」を導入し、その結果を報酬に反映する運用を開始
- 人材の確保および定着の観点から、報酬水準は外部市場水準を踏まえて設定
- 従業員報酬は職務および等級に応じて決定する「基本給」を基礎とし、会社業績および個人評価を反映する「賞与」で構成
- 管理職および専門職位である「認定職」については、職責および役割に応じた処遇
- 部長以上の役職者および認定職者には、中長期的な企業価値向上に向けたインセンティブとして「譲渡制限付株式報酬」を付与
- 事業年度ごとの営業利益の目標を上回った場合、その一部を従業員に還元する「決算賞与」を支給
なお、この決定方針は提出会社のみを対象として記載していると明記されています。ロジスティクス子会社の処遇は別の体系だと読める記述です。
女性活躍・育児関連の開示数値
提出会社の数値は次のとおりです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 22.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 105.0% |
| 男女の賃金の額の差異(全労働者) | 81.1% |
| 男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 81.1% |
| 男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 82.7% |
男性労働者の育児休業取得率が105.0%と全体を上回っているのは、算出方法上、前事業年度に配偶者が出産した従業員が当事業年度に取得した場合が分子に含まれるためです。制度の利用が定着していると読める数字です。
連結子会社の数値も開示されており、ASKUL LOGIST株式会社は管理的地位にある女性の割合6.2%、男性育休取得率86.0%、男女賃金差異(全労働者)61.3%、株式会社チャームはそれぞれ14.3%、100.0%、66.9%とされています。提出会社と物流子会社では、指標の水準がはっきり異なります。
働き方と労働環境
労働集約型の事業を抱えている
有価証券報告書は事業等のリスクのなかで、物流センターの庫内業務や配送業務等、労働集約型の業務がお客様との接点を支えており、質の高い人材を常に一定数確保することが重要だと記載しています。
あわせて、今後さらなる事業拡大およびテクノロジーやサービスの進化に挑戦していくためエンジニアなどの優秀な人材を継続的に採用・確保すること、経営戦略や組織運営といったマネジメント能力に優れた人材の確保も重要だとされています。
国内の人手不足問題が顕在化しているなかで、必要な人材を確保するための競争は厳しいとも明記されています。
「お客様のために進化する」というDNA
有価証券報告書は、当社が「お客様のために進化する」ことをDNAとして大切にしてきたと記載しています。このDNAを根付かせ企業文化へと昇華することを目指して、進化・変化にチャレンジする人材の育成をするための集合研修・OJT教育、および進化・変化へのチャレンジを後押しする人事評価制度を導入・整備してきたとされています。
一方で、事業環境が急速に変化しており、それに応じたスキルを身に付けていないと人材価値が陳腐化することが危惧されているとも記載されています。キャリアの再構築や新たなスキルを習得するリスキリングには相当の手間や時間を要するという認識が、リスクとして明示されています。
キャリア形成の特徴
提出会社の976人は全員がeコマース事業に従事しています。商品の調達、カタログとサイトの企画、価格設定、需給調整、システム開発といった機能が、この976人のなかに収まっています。
物流の実務は子会社が担う構造です。ASKUL LOGIST株式会社をはじめとする法人に約2,670人が在籍している計算になります。「アスクルで働く」といっても、提出会社に入るのか物流子会社に入るのかで、仕事も処遇の体系も変わります。
平均勤続年数10.1年、平均年齢41.6歳という構成は、一定の定着がある組織であることを示します。従業員数は第59期847人から第63期976人へと、5期を通じて増えています。
向いている人/向いていない人
向いている人
事業の立て直しに関わりたい方
2026年5月期は大きな損失を計上した期です。同時に評価・報酬制度を改定し、資金も確保しています。回復の局面に関わる経験は、次のキャリアで説明しやすい材料になります。
eコマースと物流の接点で働きたい方
商品を注文する仕組みと、翌日に届ける仕組みの両方を持つ会社です。デジタルと現物のあいだをつなぐ仕事に関心がある方に向きます。
成果の基準が明示された環境を求める方
2026年5月から各職能等級の定義と各等級に求められる成果レベルが明確化されています。基準が言語化されている環境を望む方には合います。
向いていない人
安定した業績を前提に働きたい方
直近の期は売上高が約809億円減少し、最終損失221億円を計上しています。回復の見通しが立つまでは、変化の大きい環境が続くと考えられます。
労働集約型の業務との距離を取りたい方
有価証券報告書自身が、庫内業務や配送業務といった労働集約型の業務が顧客との接点を支えていると記載しています。この現実から離れた場所で完結する仕事は多くありません。
エージェントベストの見解
**平均年間給与715万9,914円を見るときは、3つの但し書きを同時に置いてください。**1つ目は母集団です。この数字は提出会社976人のもので、連結3,646人の平均ではありません。物流を担う子会社の従業員は含まれていません。2つ目は雇用形態です。臨時従業員は連結で1,852人と外数で記載されており、平均年間給与の対象外です。3つ目は制度です。有価証券報告書は「当社は年俸制を採用しております」と注記しており、平均年間給与に賞与を含むとされています。月給の12倍で逆算する読み方はできません。そのうえで実務的に効いてくるのが、2026年5月から始まった新しい等級制度です。各職能等級の定義と求められる成果レベルが明確化され、部長以上と認定職には譲渡制限付株式報酬が付与されます。応募の際は「自分は何等級の想定か」「認定職という区分は何を指すのか」を面接で聞いてください。制度が変わった直後は、こうした質問に会社側も答えやすい時期です。
選考に向けた準備
選考フローの概要
公開されている情報の範囲では、書類選考のうえで複数回の面接に進む流れが一般的とされています。職種によって適性検査や実務課題が加わる場合があります。回数や内容は募集職種と時期により変動します。詳細は公式の募集要項でご確認ください。
志望動機で問われること
「なぜこの業界か」では、BtoBのeコマースという領域をどう理解しているかが問われます。個人向けの通販とは、扱う商材も購買の意思決定も、求められる納期の精度も違います。中小事業所向けカタログ通信販売から始まった会社であるという出自を踏まえた説明ができるかが分かれ目になります。
「なぜこの会社か」では、公開資料から読み取れる特徴に触れます。1997年5月にプラス株式会社から分社した経緯、決算期が5月20日締めであること、提出会社976人が全員eコマース事業に従事している構造、2026年5月からの評価・報酬制度改定。そして直近期の業績と、その原因への理解。この期に応募する以上、業績への言及を避けるほうが不自然です。
職務経歴書で見られるポイント
eコマースの経験がある場合は、扱った商材のカテゴリ数と取扱高の規模を書きます。BtoCとBtoBのどちらの経験かも明示します。
物流やサプライチェーンの経験は、担当した工程を具体的に書きます。需給調整なのか、拠点運営なのか、配送設計なのか。この会社が労働集約型の業務を事業の中核に位置づけている以上、現場に近い経験は評価の対象になります。
システム関連の経験がある場合は、可用性や復旧に関わった経験を明示することをお勧めします。直近の事情を踏まえると、この領域の経験は説明しやすい材料です。
まとめ
アスクルは、オフィス用品を中心としたBtoBのeコマースと、その配送を担うロジスティクスを手がける会社です。東京証券取引所プライム市場に上場し、本社は東京都江東区豊洲、決算期は5月20日締めです。
第63期(2026年5月期)の連結売上高は4,001億9,900万円で前期から約809億円減少し、経常損失190億6,200万円、親会社株主に帰属する当期純損失221億5,000万円を計上しました。ランサムウェア攻撃によるシステム障害でWEBサイトの注文受付を一時停止したことが理由と記載されています。役員報酬は5か月間20%減額されています。
連結従業員数は3,646人、提出会社は976人で、提出会社の全従業員がeコマース事業に従事しています。提出会社の平均年間給与は715万9,914円、平均年齢41.6歳、平均勤続年数10.1年で、対前事業年度増減率は0.5%のプラスです。
2026年5月より評価・報酬制度を改定し、各職能等級の定義と各等級に求められる成果レベルを明確化、「バリューズ評価」を導入したと記載されています。
本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづいています。最新の募集要項や選考プロセスは、各社の公式サイトでご確認ください。
よくある質問
Q. 平均年収はどのくらいですか。
A. 有価証券報告書(第63期・2026年5月期)によると、提出会社の平均年間給与は7,159,914円(715万9,914円)です。従業員数976人、平均年齢41.6歳、平均勤続年数10.1年を対象とした数字で、賞与を含みます。当社は年俸制を採用していると注記されています。対前事業年度増減率は0.5%のプラスです。連結従業員3,646人の平均ではない点にご注意ください。
Q. 直近の業績が悪いようですが、採用は続いていますか。
A. 有価証券報告書によると、第63期はランサムウェア攻撃によるシステム障害で売上高が大きく減少し、最終損失を計上しました。一方で、提出会社の従業員数は第62期959人から第63期976人へ増加しており、2026年5月からは評価・報酬制度を改定しています。事業等のリスクの記載でも、エンジニアなどの優秀な人材の継続的な採用・確保が重要だとされています。募集状況は公式の採用ページでご確認ください。
Q. 物流の現場に配属される可能性はありますか。
A. 有価証券報告書によると、提出会社976人の全従業員はeコマース事業に従事しています。物流を担うのはASKUL LOGIST株式会社などの連結子会社です。求人によって採用主体となる法人が異なるため、雇用契約を結ぶ法人名と職務内容は応募の段階で確認しておくことをお勧めします。なお、報酬制度の決定方針は提出会社のみを対象として記載されており、子会社の処遇体系は別です。
本記事は 2026/8/12 時点の公開情報にもとづいて作成しています。