EY新日本有限責任監査法人の評判|年収・働き方・選考対策まで解説

EY新日本有限責任監査法人 評判・年収・選考対策 更新日 2026/8/2

EY新日本有限責任監査法人は、Big4の一角であるEYの日本におけるメンバーファームで、監査・保証業務を主軸とする国内最大級の監査法人です。同じ「EY」の名を冠していても、経営コンサルティングを担うEYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)とは別法人であり、日々の業務内容は大きく異なります。この記事では、公開情報から確認できる事業構造と規模、評判の傾向、年収の考え方、働き方、キャリアの出口、選考で問われやすい論点を整理します。応募を決める前に「どこを確認すべきか」が分かる構成にしています。

国内最大級の監査法人としての立ち位置と事業構造

項目内容
会社名EY新日本有限責任監査法人(英語表記:Ernst & Young ShinNihon LLC)
上場区分非上場(有限責任監査法人)
本社所在地東京都千代田区有楽町一丁目1番2号 東京ミッドタウン日比谷 日比谷三井タワー
事業内容監査・保証業務、およびIFRS導入支援、サステナビリティ開示関連、IPO支援、パブリックセクター向けなどのアドバイザリーサービス
設立2000年4月1日(ルーツは1967年設立の監査法人太田哲三事務所)
従業員数6,517名(2025年6月時点/法人が採用媒体に掲載した情報)
拠点東京および北海道、宮城、山形、福島、新潟、富山、石川、長野、静岡、愛知、大阪、広島、福岡、沖縄など全国

日本で最初に設立された監査法人にルーツを持つ法人で、2008年7月には日本で最初の有限責任監査法人へ移行しています。国内の主要産業を幅広く担当し、金融・不動産・建設など大規模なクライアントの監査実績を積み上げてきた歴史があります。

収益の柱は監査証明業務。第26期の数字から見える規模

公認会計士法にもとづく公衆縦覧書類(業務及び財産の状況に関する説明書類)によると、第26期(2024年7月1日〜2025年6月30日)の被監査会社数は3,805社で、前期から60社増加しています。監査証明業務に係る当期収入は99,339百万円(前期比3,237百万円増)と記載されています。監査法人は上場企業のように有価証券報告書を提出しないため、平均年収などの人事関連データは開示されませんが、この公衆縦覧書類だけは毎期公開されます。規模や収益構造を確認したいときは、まずここを見るのが確実です。

数字が示しているのは、収益の中心が今も法定監査であるという点です。監査は制度に支えられた業務のため景気変動の影響を受けにくく、収入が急増も急減もしにくい構造にあります。裏返せば、報酬体系も「案件を取ってきた分だけ跳ねる」形にはなりにくい。ここは成果報酬型のビジネスモデルを持つ企業と比較検討している人が誤解しやすいポイントです。

サステナビリティ保証とIPO支援が「監査の隣」で伸びている

近年は監査に隣接する領域の比重が高まっています。公式サイトでは、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が公表した開示基準の導入支援や保証業務を通じて市場形成を支える方針が示されています。制度が立ち上がる局面のため、会計士以外の専門人材にも入口が開いている領域です。

IPO領域では、2025年のIPO監査実績で首位となったことを公式ニュースリリースで公表しています。また、法人内の「IPO認定者」が2年連続で1,000人を超えて登録されたことも公表されており、上場準備支援に人員を厚く配置していることが読み取れます。スタートアップ支援では、決算体制やIPO準備で外部人材を求める企業に対し、法人での勤務経験を持つ会計士などを紹介するサービスも提供しています。

EY Japan内での役割分担を先に理解しておく

EY Japanは、EYジャパン合同会社の下に、監査を担うEY新日本、税務を担うEY税理士法人、コンサルティングを担うEYSCなどが並ぶ構成です。EY新日本は2017年にアドバイザリー事業の一部を別法人へ移管しており、現在は監査・保証を中心とする法人という位置づけになっています。

つまり「Big4に転職したい」という動機だけで応募すると、想定と配属先がずれる可能性があります。戦略・業務改革のプロジェクトに携わりたいならEYSC、税務ならEY税理士法人が対象です。一方で、EY新日本にもIT監査、データ分析、不正対策・コンプライアンスリスク、パブリックセクター向けのアドバイザリーといった非会計士ポジションが存在します。求人票の法人名と部門名を必ず突き合わせてください。

公開されている口コミから読み取れる評判の傾向

年収・評価制度

職階ごとに給与テーブルが定まっており、同じ職階であれば個人差が出にくいという受け止めが多く見られます。安定して見通しが立つ点を評価する声と、成果を出しても短期的な反映が限られる点を物足りなく感じる声の両方があります。昇格のタイミングで水準が変わる構造のため、「年次より職階」で捉える必要があるという指摘も見られます。

※公開されている口コミの傾向をまとめたものです。

ワークライフバランス

決算期に業務が集中する構造への言及が多い傾向です。繁忙期は負荷が高まる一方、閑散期との差が大きく、年間を通して平準ではないという整理になります。リモートワークやフレックスの活用が進んだという声もありますが、担当クライアントやチームによって体感が分かれるという指摘も一定数見られます。

※公開されている口コミの傾向をまとめたものです。

キャリア・成長機会

大規模なクライアントを担当できること、会計・監査の専門性が体系的に身につくことを評価する声が目立ちます。デジタル監査への投資が進み、データ分析やツール活用の経験を積めるという受け止めもあります。一方で、業務範囲が制度対応に規定されるため、事業側の意思決定に踏み込みたい人には物足りないという声も見られます。

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社風・人間関係

過去の行政処分を経て品質管理が強化された経緯があり、手続きやドキュメンテーションを重視する文化という受け止めが多く見られます。人当たりは穏やかで、チーム単位で助け合う雰囲気があるという声が多い一方、担当エンゲージメントごとに雰囲気が異なるため一般化しにくいという指摘もあります。

※公開されている口コミの傾向をまとめたものです。

エージェントベストの見解

短期で辞める方に共通するのは、「Big4」という括りで入社し、配属後に自分が想定していた仕事と違うと気づくパターンです。監査法人でのアシュアランス業務は、クライアントの経営課題を一緒に解くというより、財務諸表の適正性を第三者として検証する仕事です。時間の多くは、証拠を集め、手続きを記録し、判断の根拠を残す作業に使われます。この作業の価値を理解できる人には向いていますが、「提案して動かす」ことを期待していた方は落差を感じやすい。防ぐ方法は単純で、応募前に募集部門の主業務がアシュアランスかアドバイザリーかを確認し、面接で「1年のうち、どの時期に何をしているか」を具体的に聞くことです。EY新日本とEYSCの違いを面談で説明できない状態のまま受けるのは避けたほうがよいでしょう。

年収・評価制度・福利厚生をどう見るか

EY新日本は有限責任監査法人であり、上場企業のような有価証券報告書の提出義務がありません。したがって平均年収・平均勤続年数といった数値は公表されていません。ここでは企業固有の数値は書かず、この業界で一般的にどう決まるかを整理します。

大手監査法人では一般に、職階(スタッフ/シニア/マネージャー/シニアマネージャー/パートナー)ごとに給与レンジが設定され、同一職階内の個人差は事業会社より小さい設計が採られることが多いとされています。年収が大きく動くのは昇格時で、評価は昇格スピードと賞与に反映される形が一般的です。公認会計士試験の合格状況や資格取得に応じた手当が設けられている法人もあります。

そのため、転職時に確認すべきは「平均年収」ではなく、①提示される職階、②その職階の滞留年数の目安、③次の職階に上がるための要件、の3点です。特に中途入社の場合、前職の年収から逆算した提示ではなく、職階に紐づく水準が基準になるケースがあります。オファー面談の場で職階と昇格要件を確認しておくと、入社後の見通しが立てやすくなります。

福利厚生については、法人の採用サイトに制度の一覧が掲載されています。時間や場所の柔軟性に関する制度、育児・介護に関する制度、研修・資格支援などが整備されており、グローバルネットワークを活かした学習プログラムも用意されています。制度の適用条件は職種や雇用区分で異なるため、最新の内容は公式の募集要項でご確認ください。

繁忙期の構造から働き方を考える

監査業務の働き方は、この業界では一般的に、担当クライアントの決算期に強く規定されます。日本は3月決算企業が多く、期末監査が集中する時期の負荷は他の時期より高くなります。半期報告書制度への移行など制度変更もあり、繁忙のピークの置かれ方は年度によって変わり得ます。時期により変動する前提で捉えておくのが妥当です。

EY新日本の求人票には、リモートワークやフレックスタイム制の記載があるポジションが複数あります。ただし、往査(クライアント先での作業)が必要な期間や、担当チームの方針によって在宅比率は変わります。「原則リモート」と「繁忙期は出社中心」が同じ法人内に併存すると考えたほうが実態に近いはずです。

全国に事務所を持つ点も特徴です。地区事務所では地域の上場企業や中堅企業を担当する機会が多く、東京とは担当クライアントの構成が異なります。転居を伴わずに専門性を積みたい人にとっては選択肢になりますが、扱える案件の種類は事務所ごとに差が出ます。

キャリア形成の特徴と、その先の選択肢

この法人でのキャリアは、大きく3つの方向に分かれる傾向があります。第一に、監査を軸に職階を上げ、法人内で専門性と責任範囲を広げていく道。第二に、サステナビリティ保証、IPO支援、IT監査、フォレンジックといった隣接領域に軸足を移す道。第三に、事業会社の経理・財務・内部監査や、FASなどへ移る道です。

監査で得られる資産は、財務諸表を成り立たせている構造を理解できることと、証拠に基づいて判断を組み立てる訓練を受けられることです。大規模クライアントを担当すれば、業界特有の会計論点やグループ管理の実務にも触れられます。これは事業会社側から見て評価されやすい経験です。

一方で、監査の業務範囲は制度と職業的専門家としての立場に規定されます。事業の意思決定そのものに関与する経験は、意識的に取りに行かないと積みにくい。将来的に事業側やアドバイザリー側へ移る可能性を残したいなら、在籍中にIPO支援や非財務情報の保証など、クライアントと並走する種類の業務に手を挙げておくと選択肢が広がります。

非会計士のポジションからの入社であれば、キャリアの見え方はさらに変わります。IT監査やデータ分析の職種では、監査という文脈でテクノロジーを扱う経験が資産になります。ここは会計士のキャリアパスとは別の軸で考える必要があります。

向いている人/向いていない人

向いている人1:積み上げ型の専門性に価値を感じる人

制度と基準を土台に、判断の根拠を丁寧に積み上げる仕事です。短期間で成果を可視化するより、数年単位で専門性を厚くしていく働き方に納得できる人は続きやすい傾向があります。会計基準の改正やサステナビリティ開示のように、制度が動く領域を面白がれるかどうかも分かれ目です。

向いている人2:チームで動くことに抵抗がない人

監査は個人作業ではなく、複数名のチームで役割を分担して進めます。上位者のレビューを受け、指摘を反映し、記録を残す往復が日常です。他者の目が入ることを品質向上の手段として受け入れられる人に向きます。

向いている人3:安定した基盤の上でグローバルに触れたい人

国内最大級の被監査会社数を抱え、海外ネットワークとの連携案件も存在します。腰を据えた環境で、IFRSやクロスボーダー対応の経験を積みたい人には合致しやすいでしょう。英語力を活かせる場面がある一方、部門によって使用頻度は異なります。

向いていない人1:裁量とスピードを最優先する人

品質管理を重視する文化のため、手続きと承認のプロセスは軽くありません。自分の判断で素早く物事を決めたい人には、確認の往復がストレスになりやすい。スタートアップと並行して検討している方は、この違いを事前に見ておくべきです。

向いていない人2:成果が短期で報酬に反映されることを求める人

職階に紐づく給与設計が一般的な業界であり、個人の成果が即座に大きな報酬差になる仕組みではありません。年収の上げ幅とスピードを最重視するなら、他の選択肢と比較したうえで判断したほうが納得感が残ります。

エージェントベストの見解

面接の後半で問われやすいのは、「なぜ監査法人か」ではなく「なぜ監査という手段を選ぶのか」です。会計やファイナンスに関心があるという説明だけでは、面接官の側に「それならFASでも事業会社の経理でもよいのではないか」という問いが残ります。ここで詰まる方が少なくありません。準備としては、第三者として検証する立場を選ぶ理由を、自分の経験に紐づけて言語化しておくことです。前職で数値の裏側を確認する仕事をした経験、開示や内部統制に関わった経験、あるいは基準の運用に疑問を持った経験でも構いません。加えて、5年後にどの職階で何をしていたいかを一つの筋で説明できるようにしておく。志望動機とキャリア像が別々に語られていると、入社後の定着を疑われます。

選考対策:フロー、志望動機、職務経歴書

選考フローの概要

EY Japanの公式サイトでは、各法人の採用ページから募集ポジションを探し、オンラインで応募する流れが案内されています。EY新日本の経験者採用は、アドバイザリー系部門、監査部門(公認会計士・論文式試験合格者対象)、法人での職務経験がある方向けの区分に分かれています。公開情報では、書類選考のあとに適性検査や複数回の面接が実施されるケースが多いとされていますが、回数や内容は募集ポジション・時期によって異なります。最新の募集要項は各社公式サイトでご確認ください。

志望動機で問われること

「なぜこの業界か」と「なぜこの会社か」を分けて準備してください。前者では、監査・保証という機能を選ぶ理由を説明します。後者では、EY新日本を選ぶ理由が必要です。ここで使える材料は公開情報の中にあります。被監査会社数の規模、サステナビリティ開示関連の保証への注力、IPO監査の実績、デジタル監査への投資などです。ただし事実を並べるだけでは差が出ません。自分の経験と接続させ、「その領域で自分が何を担えるか」まで踏み込むことが要点です。

同時に、EYSCやEY税理士法人との違いを理解していることも示す必要があります。グループ名だけで語ってしまうと、志望先を理解していないと受け取られる可能性があります。

職務経歴書で見られるポイント

会計士・論文式合格者の場合は、担当した業種、関与した論点、チーム内での役割を具体的に書くことが基本です。他法人からの転職であれば、担当規模と担当年数、レビューを受ける側かする側かを明確にします。

非会計士のポジションでは、専門スキルの立証が中心になります。IT監査やデータ分析であれば、扱った技術、対象システムの規模、成果の定量表現。パブリックセクター系であれば、公的機関案件の関与範囲と役割です。語学や資格を問う欄が設けられているため、該当するものは省略せず記載しておきます。

まとめ

EY新日本有限責任監査法人は、監査・保証業務を軸とする国内最大級の監査法人で、第26期の被監査会社数は3,805社、監査証明業務に係る収入は99,339百万円と公衆縦覧書類に記載されています。収益の中心は制度に支えられた法定監査であり、サステナビリティ開示関連の保証やIPO支援といった隣接領域が広がりつつある構造です。有限責任監査法人のため平均年収は公表されておらず、報酬は職階に紐づく設計が業界では一般的とされています。したがって確認すべきは平均値ではなく、提示される職階と昇格要件です。働き方は決算期の集中に規定され、柔軟な制度と繁忙期の負荷が併存します。応募を検討する際は、EY Japan内の法人の違いと募集部門の主業務を突き合わせたうえで判断することをおすすめします。

よくある質問

Q. 年収はどのくらいが目安になりますか。

A. EY新日本は有限責任監査法人で有価証券報告書を提出しないため、平均年収は公表されていません。大手監査法人では一般に、職階ごとに給与レンジが設定され、同一職階内の個人差は小さい設計が採られることが多いとされています。年収が大きく動くのは昇格時です。そのため、応募時には平均値を探すより、提示される職階とその昇格要件を確認するほうが実務的です。具体的なレンジは募集ポジションや時期によって変動します。

Q. 未経験から応募できるポジションはありますか。

A. 監査部門は公認会計士・論文式試験合格者を対象とした募集が中心です。一方で、IT監査、データ分析、不正対策・コンプライアンスリスク、パブリックセクター向けアドバイザリー、企画管理系事務職など、会計士資格を前提としない募集も公開されています。これらは会計知識ではなく、それぞれの領域での実務経験が問われる傾向があります。募集の有無は時期によって変わるため、最新の情報は公式採用サイトでご確認ください。

Q. 働き方は柔軟ですか。繁忙期はどの程度ですか。

A. 求人票にはリモートワークやフレックスタイム制の記載があるポジションが複数あります。ただし在宅比率は担当クライアントや時期で変わります。監査業務は、この業界では一般的に決算期に業務が集中する構造で、3月決算企業を担当する場合は期末監査の時期に負荷が高まる傾向があります。年間で平準ではない前提で考えるのが妥当です。実際の運用は部門やチームで差があるため、面接時に確認しておくとよいでしょう。

本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづいています。最新の募集要項や選考プロセスは、各社の公式サイトでご確認ください。

出典

本記事は 2026/8/2 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)