インターネットイニシアティブの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
有価証券報告書の沿革は、こう始まります。**「1992年12月 日本におけるインターネットの商用化を目的とし、資本金18百万円にて東京都千代田区に設立」。**その翌々年、1993年7月にインターネット接続サービスの提供を開始しました。株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)は、日本のインターネットが商用化された最初の場所にいた会社です。現在の連結従業員は5,533名、売上収益345,395百万円。この記事では、有価証券報告書から事業と組織の実態を整理します。
会社概要と日本のインターネット商用化を担った1992年
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社インターネットイニシアティブ |
| 上場区分 | 東京証券取引所プライム市場(証券コード3774) |
| 決算期 | 3月 |
| 従業員数 | 連結5,533名(外90名)/提出会社3,174名(外48名)(2026年3月31日現在) |
| 報告セグメント | ネットワークサービス及びSI事業/ATM運営事業 |
| グループ構成 | 連結子会社18社、持分法適用関連会社6社 |
| 会計基準 | 国際財務報告基準(IFRS) |
| 本店 | 東京都千代田区富士見二丁目10番2号 |
有価証券報告書の沿革は、日本のインターネットの歴史とほぼ重なります。
| 年月 | 内容 |
|---|---|
| 1992年12月 | 日本におけるインターネットの商用化を目的とし、資本金18百万円にて東京都千代田区に設立(設立時の社名は株式会社インターネットイニシアティブ企画) |
| 1993年5月 | 社名を現在の株式会社インターネットイニシアティブに変更 |
| 1993年7月 | インターネット接続サービスの提供を開始 |
| 1994年2月 | 郵政省(現・総務省)より特別第二種電気通信事業者として登録認可 |
| 1995年11月 | アジア地域におけるインターネットバックボーン網の運用および接続サービスを提供する株式会社アジア・インターネット・ホールディングを設立(2005年10月に当社へ吸収合併) |
| 1996年3月 | 米国でのインターネットバックボーン網の運用および接続サービスを提供するIIJ America Inc. を設立 |
| 1996年11月 | システムインテグレーションを提供する株式会社アイアイジェイテクノロジーを設立(2010年4月に当社へ吸収合併) |
| 1997年9月 | 日本電信電話株式会社(現NTT)グループと合弁にて、相互接続ポイントの運営等を行うインターネットマルチフィード株式会社を設立(持分法適用関連会社) |
| 1998年2月 | 国内営業基盤強化および経営効率化のため地域関連会社5社を吸収合併、資本金を842百万円に増資/株式会社ネットケアを設立(現・株式会社IIJエンジニアリング) |
| 1999年8月 | **米国ナスダック市場に当社の米国預託証券(ADR)を登録(米国公開)**し、資本金を7,082百万円に増資(2019年4月に米国上場廃止) |
| 2003年8月 | 持分法適用関連会社であった株式会社クロスウェイブ コミュニケーションズおよびその連結子会社が会社更生手続開始の申立(同年12月にNTTグループへ営業譲渡) |
| 2003年9月 | 第三者割当増資により12,000百万円の資本調達、資本金を13,765百万円に増資。この増資により当社は主要引受先であるNTTの持分法適用関連会社となった |
| 2005年12月 | 東京証券取引所マザーズ市場に当社普通株式を上場し、資本金を16,834百万円に増資 |
日本のインターネットの商用化そのものを目的として設立された会社です。1999年には米国ナスダックにADRを登録し(2019年に上場廃止)、2005年に東証マザーズへ上場しました。
なお2003年9月の第三者割当増資により、同社がNTTの持分法適用関連会社となった旨が沿革に記載されています。
ネットワークサービス及びSI事業とATM運営事業
有価証券報告書によると、同社グループはインターネットに関連する技術力の集積を事業基盤とし、主として法人および官公庁等の事業用にネットワークを利用する顧客に対して、信頼性および付加価値の高いネットワークサービス、システムインテグレーションの受託、機器販売等の多様なネットワーク関連役務を複合的に組み合わせて提供しています。当社は電気通信事業法に基づく電気通信事業者です。
報告セグメントは2つです。
| セグメント | 構成する役務の内容 |
|---|---|
| ネットワークサービス及びSI事業 | 法人向けおよび個人向けインターネット接続サービス、アウトソーシングサービス、WANサービス、システムインテグレーション、機器販売 |
| ATM運営事業 | 連結子会社の株式会社トラストネットワークスが展開する、銀行ATMおよびそのネットワークシステムの構築および運営(ATM利用に係る手数料収入) |
役務ごとの内容も記載されています。
| 役務 | 概要 |
|---|---|
| インターネット接続サービス | 法人向けは主として当社が、法人および官公庁等の顧客にモバイル接続を含む多様な接続サービスを提供。個人向けは当社が個人向けモバイルデータ通信サービス、モバイル端末販売等を提供 |
| アウトソーシングサービス | 主として当社が、セキュリティ関連サービス、ネットワークおよびサーバの運用管理、データセンターサービス、パブリッククラウドサービス等を提供 |
| WANサービス | 主として連結子会社の株式会社IIJグローバルソリューションズおよび当社が、専用線、広域イーサネット、IP-VPN、インターネットVPN等を活用し、顧客の拠点間を接続する広域ネットワークを提供 |
| システムインテグレーション | 主として当社が、ネットワークシステムの設計、コンサルテーション、開発等を提供 |
ATM運営事業に従事する従業員は8名(技術・サービス部門5名、営業部門3名)で、それ以外の従業員はすべてネットワークサービス及びSI事業に従事しています。セグメントとしては独立していますが、人員配置で見ると事業の中心はネットワークとSIにあります。
評判の傾向
以下は公開されている口コミの傾向を要約したものです。個別の投稿は引用していません。
年収・評価制度
有価証券報告書(第34期・2026年3月期)によると、提出会社の平均年間給与は7,472千円、平均年齢37.5歳、平均勤続年数9.3年です。平均年間給与の対前事業年度増減率は2.9%となっています。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです
ワークライフバランス
有価証券報告書には、労働組合は結成されていないが労使関係については円満に推移している旨が記載されています。提出会社の男性労働者の育児休業取得率は61.8%です。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです
キャリア・成長機会
有価証券報告書には、インターネットバックボーンの構築・運用、インターネット接続、クラウド、MVNO、IoT等の多様なネットワークサービスの創出および運用、システムインテグレーション役務の提供等の業務機会を通じて技術研鑽を継続している旨が記載されています。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです
社風・人間関係
提出会社の平均勤続年数は9.3年、平均年齢37.5歳。性別、年齢、国籍、障がいの有無等の属性に依らない能力重視の人材活用や登用を進める方針が記載されています。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです
エージェントベストの見解
**この会社は、男女の賃金差異を「職位別」に分けて開示しています。提出会社の男女の賃金の差異は全労働者76.5%、正規雇用労働者77.6%、パート・有期労働者38.1%。ここまでは他社と同じ形式です。しかし注記に、こう書かれています。「職位別の男女の賃金差異 管理職91.5% 一般社員85.0%」。**さらに連結子会社4社についても同様に、株式会社IIJグローバルソリューションズ(管理職94.9%・一般社員88.0%)、株式会社IIJエンジニアリング(89.8%・87.2%)、株式会社IIJプロテック(67.7%・85.4%)、ネットチャート株式会社(96.5%・97.0%)と職位別の数字が並びます。**この開示は、応募者にとって価値があります。**全労働者ベースの76.5%という数字は、管理職に占める女性の割合(8.0%)や雇用形態の構成に強く影響されます。職位を揃えれば管理職91.5%、一般社員85.0%。**同じ職位で比べたときの差は、全体の数字より小さい。**当メディアが同じ時期に扱った企業では「役割、等級の違いによるもので同一労働の賃金に差はない」と文章で説明する例が多く、数字で示す会社は限られます。面接では「管理職に占める女性の割合8.0%を、いつまでにどこまで上げる計画ですか」を聞いてください。職位別の差が小さいということは、残る課題は昇格の側にあるということだからです。
提出会社3,174名の年収747万円と部門別5,533名
有価証券報告書の従業員の状況です(2026年3月31日現在)。同社は部門別に開示しています。
連結会社の状況
| 部門 | 従業員数 |
|---|---|
| 技術・サービス部門 | 3,730名(外45名) |
| 営業部門 | 1,120名(外1名) |
| 管理部門 | 683名(外44名) |
| 合計 | 5,533名(外90名) |
従業員数は職員および契約社員の総数で、受入出向社員は含みません。括弧内はアルバイト社員数(当連結会計年度における平均臨時雇用人員数)です。
**技術・サービス部門が3,730名で全体の約67%。**営業部門1,120名(約20%)、管理部門683名(約12%)。技術者が3分の2を占める構成です。
提出会社の状況
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数 | 3,174名(外48名) |
| 平均年齢 | 37.5歳 |
| 平均勤続年数 | 9.3年 |
| 平均年間給与 | 7,472千円 |
| 対前事業年度増減率 | 2.9% |
平均年間給与は職員および契約社員を対象に算出され、賞与および基準外賃金を含みます。
連結5,533名のうち提出会社は3,174名で、約57%。残る2,359名は連結子会社18社に所属しています。株式会社IIJグローバルソリューションズ、株式会社IIJエンジニアリング、株式会社IIJプロテック、ネットチャート株式会社、株式会社トラストネットワークスなどが有価証券報告書に登場します。
男女に関する指標は、提出会社と連結子会社の両方について、職位別の内訳まで開示されています。
| 会社 | 管理職に占める女性労働者の割合 | 男性労働者の育児休業取得率 | 男女の賃金の差異(全労働者) | 職位別(管理職/一般社員) |
|---|---|---|---|---|
| 株式会社インターネットイニシアティブ | 8.0% | 61.8% | 76.5% | 91.5%/85.0% |
| 株式会社IIJグローバルソリューションズ | 6.0% | 66.7% | 79.0% | 94.9%/88.0% |
| 株式会社IIJエンジニアリング | 7.9% | 100.0% | 82.9% | 89.8%/87.2% |
| 株式会社IIJプロテック | 13.3% | 100.0% | 82.9% | 67.7%/85.4% |
| ネットチャート株式会社 | 9.8% | 100.0% | 71.6% | 96.5%/97.0% |
男女の賃金の差異は、男性労働者の賃金を100とした場合の女性労働者の賃金の比率を表示したものです。
有価証券報告書に書かれた給与の考え方
同社の有価証券報告書には、連結会社の従業員の給与その他の給付額および内容の決定に関する方針が記載されています。
当社グループは、事業を支える人材の確保及び定着を実現するため、物価動向や市場水準の変化を踏まえた従業員の実質的な給与水準の維持及び向上を重要な経営課題と位置付けております。給与は、従業員の職務内容、職責、能力及び成果、並びに同種業務における市場水準等を総合的に勘案して決定しております。賞与については、会社業績、部門業績及び個人評価を反映し、従業員の貢献が適切に処遇へ反映されるよう運用しております。
「実質的な給与水準」という表現は、物価上昇を意識したものと読めます。直近期の対前事業年度増減率は2.9%でした。
人材については、次のようにも記載されています。当社グループは依然として成長途上との自己認識であり、今後の事業および技術領域の拡がりとともに新たなチャレンジ機会は増加すると展望していること。これら機会を通して自己実現を目指す意欲的な人材の採用および育成を継続し、性別、年齢、国籍、障がいの有無等の属性に依らない能力重視の人材活用や登用と、個々が担う役割および貢献度等を評価および報酬に反映することにより、従業員とのエンゲージメントを向上させていくこと。
5期で売上52.6%増・従業員1,386人増
有価証券報告書の連結経営指標等の推移(第30期〜第34期)です。同社は国際財務報告基準(IFRS)を適用しています。
| 決算期 | 売上収益(百万円) | 営業利益(百万円) | 当期利益(百万円) | 連結従業員数 |
|---|---|---|---|---|
| 2022年3月 | 226,335 | 23,547 | 15,672 | 4,147人 |
| 2023年3月 | 252,708 | 27,221 | 18,852 | 4,451人 |
| 2024年3月 | 276,080 | 29,029 | 19,831 | 4,803人 |
| 2025年3月 | 316,831 | 30,104 | 19,933 | 5,221人 |
| 2026年3月 | 345,395 | 34,835 | 24,188 | 5,533人 |
※当期利益は親会社の所有者に帰属する当期利益
売上収益・営業利益・当期利益・連結従業員数のすべてが5期連続で増加しています。
- 売上収益……226,335百万円→345,395百万円(+52.6%)
- 営業利益……23,547百万円→34,835百万円(+47.9%)
- 当期利益……15,672百万円→24,188百万円(+54.3%)
- 連結従業員数……4,147人→5,533人(+1,386人/+33.4%)
5期で1,386人増。これは当メディアが同じ時期に扱った情報サービス企業のなかでも大きい部類です。しかも売上収益の伸び(52.6%)が従業員の伸び(33.4%)を上回っているため、1人あたり売上高も改善しています。第30期は約54.6百万円、第34期は約62.4百万円で、約14.3%上昇しました。
営業利益率は10.4%、10.8%、10.5%、9.5%、10.1%。10%前後で安定しています。
財務指標です。
| 決算期 | 親会社所有者帰属持分比率 | 持分利益率 |
|---|---|---|
| 2022年3月 | 44.7% | 16.2% |
| 2023年3月 | 48.0% | 17.0% |
| 2024年3月 | 45.9% | 16.3% |
| 2025年3月 | 45.0% | 15.0% |
| 2026年3月 | 45.5% | 16.2% |
親会社所有者帰属持分比率は45%前後で推移しています。当メディアが同じ時期に扱った情報サービス企業では60〜90%台の会社が多く、45.5%は低めの部類です。ただしこれは通信事業者としての設備投資構造を反映したものと考えられます。総資産は231,805百万円から346,933百万円へ、5期で1.50倍に増えました。
キャッシュ・フローの推移も、設備投資が重い事業構造を示しています。
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF |
|---|---|---|---|
| 2022年3月 | 43,573百万円 | △11,838百万円 | △27,296百万円 |
| 2023年3月 | 38,529百万円 | △18,386百万円 | △25,731百万円 |
| 2024年3月 | 40,780百万円 | △17,927百万円 | △20,797百万円 |
| 2025年3月 | 28,528百万円 | △21,749百万円 | △19,667百万円 |
| 2026年3月 | 50,460百万円 | △26,329百万円 | △19,110百万円 |
投資活動によるキャッシュ・フローは5期を通じて拡大し、直近期は△26,329百万円。データセンターやネットワーク設備への継続投資が続いていると読めます。営業活動によるキャッシュ・フローは第33期に28,528百万円まで下がったあと、第34期は50,460百万円と5期で最大に回復しました。
現金及び現金同等物の期末残高は47,391百万円から38,395百万円へ減少しています。
なお同社は2022年10月1日付で普通株式1株につき普通株式2株の割合で株式分割を行っています。
働き方とキャリア形成の特徴
同社でのキャリアを考えるうえで軸になるのは、技術者が3分の2を占める組織であることです。
有価証券報告書の部門別開示によると、技術・サービス部門3,730名、営業部門1,120名、管理部門683名。**技術者比率が約67%**という構成は、当メディアが扱った企業のなかでも高い部類です。
2つ目の軸は、扱う技術領域の広さです。有価証券報告書には、インターネットバックボーンの構築・運用、インターネット接続、クラウド、MVNO、IoTといった領域が並びます。加えてセキュリティ関連サービス、データセンターサービス、パブリッククラウドサービス、WANサービス、システムインテグレーション。ネットワークの下層から上層までが事業範囲に入ります。
3つ目の軸は、自社インフラを持つことです。同社は電気通信事業法に基づく電気通信事業者であり、インターネットバックボーン網を運用してきました。投資活動によるキャッシュ・フローが5期を通じて拡大していることも、この構造を裏づけます。
4つ目の軸は、グループの広がりです。連結子会社18社、持分法適用関連会社6社。WANサービスの株式会社IIJグローバルソリューションズ、運用監視・カスタマーサポートの株式会社IIJエンジニアリング、株式会社IIJプロテック、ネットチャート株式会社、ATM運営の株式会社トラストネットワークス。連結5,533名のうち約43%が子会社側にいます。
5つ目の軸は、成長が続いていることです。売上収益・営業利益・当期利益・従業員数のすべてが5期連続で増加。連結従業員は1,386人増えました。有価証券報告書は「依然として成長途上との自己認識」と述べています。
6つ目の軸は、給与水準です。提出会社の平均年間給与7,472千円、平均年齢37.5歳、対前事業年度増減率2.9%。当メディアが同じ時期に扱った企業のなかでは中位からやや上に位置します。有価証券報告書は「物価動向や市場水準の変化を踏まえた従業員の実質的な給与水準の維持及び向上を重要な経営課題」と位置づけています。
向いている人/向いていない人
向いている人
ネットワーク・インフラの技術を深めたい方
技術・サービス部門に3,730名が所属し、バックボーン運用からクラウド、MVNO、IoTまでを扱います。
成長が続く組織で機会を得たい方
売上収益・営業利益・当期利益・従業員数のすべてが5期連続で増加し、従業員は1,386人増えました。
自社でインフラを持つ会社で働きたい方
電気通信事業法に基づく電気通信事業者で、投資活動によるキャッシュ・フローは5期を通じて拡大しています。
向いていない人
財務の軽い会社を好む方
親会社所有者帰属持分比率は45.5%で、当メディアが扱った情報サービス企業のなかでは低めの部類です。
入社する法人を選ばずに応募したい方
連結5,533名のうち約43%が18社の連結子会社に所属しています。
エージェントベストの見解
この会社の自己資本比率45.5%を、財務の弱さと読まないでください。当メディアが同じ時期に有価証券報告書から読んだ情報サービス企業では、自己資本比率が60.3%、63.9%、65.6%、67.2%、73.6%、74.9%、83.6%、90.98%といった水準でした。そのなかでIIJの45.5%は明らかに低い。ただしこれは業態の違いによるものです。同社は電気通信事業法に基づく電気通信事業者であり、インターネットバックボーン網とデータセンターを自社で持っています。投資活動によるキャッシュ・フローは△11,838百万円→△18,386百万円→△17,927百万円→△21,749百万円→△26,329百万円と5期を通じて拡大し、総資産は231,805百万円から346,933百万円へ1.50倍になりました。資産を持つ事業は、その分だけ自己資本比率が下がります。パッケージソフトを売る会社と同じ物差しで比べるのは適切ではありません。むしろ見るべきは営業活動によるキャッシュ・フローで、直近期は50,460百万円と5期で最大。投資額26,329百万円を大きく上回っています。応募を検討されるなら、面接で2つ聞いてください。1つ目、「今後3年の設備投資はどの領域に向かいますか」。データセンターか、ネットワークか、クラウド基盤か。ここに人の配置も連動します。2つ目、「自分が入る部門は、投資と運用のどちらに軸足がありますか」。技術・サービス部門3,730名という規模のなかで、自分の立ち位置を確かめることが要点です。
選考に向けた準備
応募の前に確かめること
株式会社インターネットイニシアティブは東京証券取引所プライム市場に上場しています(証券コード3774)。決算期は3月。有価証券報告書(第34期・2026年3月期)によると、連結従業員は5,533名(外90名)、提出会社は3,174名(外48名)です。
提出会社の平均年間給与は7,472千円、平均年齢37.5歳、平均勤続年数9.3年、対前事業年度増減率2.9%。報告セグメントはネットワークサービス及びSI事業とATM運営事業の2つで、後者に従事する従業員は8名です。
応募先が提出会社なのか、18社ある連結子会社のいずれかなのかは求人票で確認してください。有価証券報告書には株式会社IIJグローバルソリューションズ、株式会社IIJエンジニアリング、株式会社IIJプロテック、ネットチャート株式会社、株式会社トラストネットワークスが登場します。
拠点は本店(東京都千代田区富士見)のほか、関西支社(大阪市中央区北浜)、名古屋支社(名古屋市中村区名駅南)、横浜支店(横浜市港北区新横浜)が有価証券報告書に記載されています。
志望動機で問われること
「なぜネットワーク・インフラか」と「なぜIIJか」の2段で組み立てます。
前者については、止まってはいけない基盤を扱う仕事をどう捉えているかが問われます。接続、セキュリティ、データセンター、クラウド。いずれも障害の影響が顧客の事業全体に及びます。
後者の材料は有価証券報告書にあります。1992年12月に「日本におけるインターネットの商用化を目的とし」資本金18百万円で設立され、1993年7月にインターネット接続サービスの提供を開始したこと。1999年8月に米国ナスダック市場へADRを登録し、2019年4月に米国上場を廃止したこと。2003年9月の第三者割当増資によりNTTの持分法適用関連会社となったこと。技術・サービス部門が3,730名と全体の約67%を占めること。売上収益が5期で52.6%増、従業員が1,386人増えたこと。有価証券報告書が「依然として成長途上との自己認識」と述べていること。
「日本のインターネットを作ってきた会社で、自分は次に何を作るのか」に考えを持って臨むと、面接での会話が具体的になります。
職務経歴書で見られるポイント
ネットワーク・インフラ領域の中途採用では、扱った規模と担った役割が読まれます。
ネットワーク設計・運用の経験がある方は、扱った規模(拠点数、帯域、機器)と担った工程、障害対応の実績を書きます。技術・サービス部門に3,730名が所属しています。
セキュリティ関連の経験がある方は、担当した領域(監視、インシデント対応、脆弱性管理など)と対象規模を書きます。アウトソーシングサービスにセキュリティ関連サービスが含まれます。
クラウド・データセンターの経験がある方は、扱った基盤の規模と可用性の水準、移行実績を書きます。パブリッククラウドサービスとデータセンターサービスを提供しています。
MVNO・モバイル領域の経験がある方は、扱ったサービスと契約規模、担った役割を書きます。有価証券報告書にMVNOが技術領域として挙げられています。
システムインテグレーションの経験がある方は、扱ったシステムの規模と技術、担った工程、対象業界を書きます。法人および官公庁等が主な顧客です。
WAN・専用線の経験がある方は、扱った回線サービスと構成、顧客の拠点規模を書きます。株式会社IIJグローバルソリューションズがこの領域を担います。
いずれの場合も、置かれていた状況、選んだ打ち手、動いた数値の3点を短く添えます。
まとめ
株式会社インターネットイニシアティブは、1992年12月に「日本におけるインターネットの商用化を目的とし」資本金18百万円で東京都千代田区に設立され、1993年7月にインターネット接続サービスの提供を開始した東京証券取引所プライム市場上場企業です(証券コード3774)。1999年8月に米国ナスダック市場へADRを登録(2019年4月に上場廃止)、2005年12月に東証マザーズへ上場しました。有価証券報告書(第34期・2026年3月期)によると、連結従業員は5,533名(外90名)、提出会社は3,174名(外48名)で、平均年齢37.5歳、平均勤続年数9.3年、平均年間給与7,472千円(対前事業年度増減率2.9%)。部門別では技術・サービス部門3,730名(約67%)、営業部門1,120名、管理部門683名という構成です。報告セグメントはネットワークサービス及びSI事業とATM運営事業(従事者8名)の2つ。業績は売上収益が5期で226,335百万円から345,395百万円へ52.6%増、営業利益は23,547百万円から34,835百万円へ47.9%増、当期利益は15,672百万円から24,188百万円へ。連結従業員数も4,147人から5,533人へ1,386人増え、すべての指標が5期連続で増加しました。親会社所有者帰属持分比率は45.5%と低めですが、これは自社でネットワークとデータセンターを持つ設備投資型の構造によるものです。男女の賃金差異を**職位別(管理職91.5%/一般社員85.0%)**まで開示している点も特徴です。
よくある質問
Q. IIJの年収はどのくらいですか。
A. 有価証券報告書(第34期・2026年3月期)によると、提出会社の平均年間給与は7,472千円、平均年齢37.5歳、平均勤続年数9.3年、従業員数3,174名(外48名)です。平均年間給与は職員および契約社員を対象に算出され、賞与および基準外賃金を含みます。対前事業年度増減率は2.9%でした。有価証券報告書には「事業を支える人材の確保及び定着を実現するため、物価動向や市場水準の変化を踏まえた従業員の実質的な給与水準の維持及び向上を重要な経営課題と位置付けております」と記載され、給与は職務内容・職責・能力・成果および同種業務における市場水準等を総合的に勘案して決定、賞与は会社業績・部門業績・個人評価を反映するとされています。連結5,533名のうち提出会社は約57%で、18社ある連結子会社の給与水準は開示されていません。
Q. どんな事業をしている会社ですか。
A. 有価証券報告書によると、報告セグメントはネットワークサービス及びSI事業とATM運営事業の2つです。前者は法人向け・個人向けインターネット接続サービス、アウトソーシングサービス(セキュリティ関連サービス、ネットワークおよびサーバの運用管理、データセンターサービス、パブリッククラウドサービス)、WANサービス(専用線、広域イーサネット、IP-VPN、インターネットVPN等)、システムインテグレーション、機器販売で構成されます。後者は連結子会社の株式会社トラストネットワークスが銀行ATMおよびそのネットワークシステムを構築・運営し、ATM利用に係る手数料収入を得る事業で、従事する従業員は8名です。同社は国内におけるインターネットサービスプロバイダー(ISP)の先駆けとして1992年12月に設立され、電気通信事業法に基づく電気通信事業者にあたります。グループは連結子会社18社、持分法適用関連会社6社で構成されます。
Q. 業績と財務はどうなっていますか。
A. 有価証券報告書の連結経営指標等の推移(IFRS)によると、売上収益は2022年3月期の226,335百万円から2026年3月期の345,395百万円へ52.6%増。営業利益は23,547百万円から34,835百万円へ47.9%増、親会社の所有者に帰属する当期利益は15,672百万円から24,188百万円へ増えました。売上収益・営業利益・当期利益・連結従業員数のすべてが5期連続で増加しています。連結従業員数は4,147人から5,533人へ1,386人増え、1人あたり売上高も約14.3%上昇しました。営業利益率は10%前後で安定しています。親会社所有者帰属持分比率は45.5%と当メディアが扱った情報サービス企業のなかでは低めですが、これは自社でネットワークとデータセンターを持つ構造によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは5期を通じて拡大し直近期は△26,329百万円、営業活動によるキャッシュ・フローは50,460百万円と5期で最大でした。総資産は231,805百万円から346,933百万円へ1.50倍に増えています。
本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづいています。最新の募集要項や選考プロセスは、各社の公式サイトでご確認ください。
本記事は 2026/8/18 時点の公開情報にもとづいて作成しています。