NCDの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
システム開発の会社が、駐輪場でいちばん稼いでいる
NCDについて、第61期(2026年3月期)の有価証券報告書から確認できる事実を整理します。2024年1月に日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社からNCD株式会社へ社名変更しています。
セグメントは3つ
| セグメント | 事業内容 | 売上高 | 前期比 | セグメント利益 |
|---|---|---|---|---|
| システム開発事業 | システム構築、パッケージ、アプリケーション保守・運用 | 12,729百万円 | 0.2%増 | 942百万円(8.4%減) |
| サポート&サービス事業 | インフラ構築、インフラ保守・運用、業務サポート | 9,961百万円 | 5.9%増 | 631百万円(7.9%増) |
| パーキングシステム事業 | 駐輪場の設営・運営・管理受託 | 8,128百万円 | 1.9%増 | 1,142百万円(6.1%減) |
売上は最小、利益は最大
パーキングシステム事業の売上高は8,128百万円で、連結30,867百万円の**約26%**にとどまります。しかしセグメント利益は1,142百万円で、3事業のなかで最も大きいのです。
利益率で並べる
| セグメント | セグメント利益率(概算) |
|---|---|
| パーキングシステム事業 | 約14.1% |
| システム開発事業 | 約7.4% |
| サポート&サービス事業 | 約6.3% |
約2倍の差があります。有価証券報告書には、パーキングシステム事業について料金改定の効果も寄与し、駐輪場利用料収入は引き続き堅調に推移したと記載されています。機器を売って終わりではなく、運営そのものから継続的に収入が入る構造です。
会社の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | NCD株式会社 |
| 上場区分 | 東証スタンダード(証券コード 4783) |
| 本社所在地 | 東京都品川区西五反田 |
| 設立 | 1967年3月 |
| 資本金 | 438,750千円 |
| 従業員数 | 連結1,529名(臨時640名は外数)/提出会社836名(同404名) |
| グループ | 子会社6社 |
本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項や選考プロセスは、公式サイトでご確認ください。
男女の賃金差異97.0%という数値の背景
この会社の有価証券報告書で最も目を引くのが、多様性の指標です。
提出会社の指標
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 13.2% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 71.4% |
| 男女の賃金の差異(全労働者) | 97.0% |
| 男女の賃金の差異(正社員) | 79.1% |
| 男女の賃金の差異(非正規社員) | 132.6% |
全労働者97.0%、非正規社員132.6%
これまで見てきた企業では、全労働者ベースの賃金差異は70%台から80%台が中心です。97.0%は極端に高く、非正規社員に至っては100を超えています(女性のほうが高い)。
理由が注記に明記されています
男性の賃金に対する女性の賃金の割合が高いことの主たる理由は、**駐輪場管理を担うシルバー人材(非正規社員)が全労働者の22.2%を占めており、当該社員の男性比率が98.7%**であることから、男性の平均賃金を押し下げていることによるものであります。
構造を分解すると
提出会社836名に対し、臨時従業員は404名。パーキングシステム事業には正社員101名に対し臨時従業員288名が配置されています。駐輪場管理という業務の性質上、シルバー人材の比率が高く、その98.7%が男性。この層が男性側の平均を下げているため、全労働者ベースの比率が97.0%まで上がっているという説明です。
正社員では79.1%
同じ会社の正社員ベースの数値は79.1%で、これは他社と比較可能な水準です。全労働者の数値だけを見て「男女差がほとんどない会社」と読むと誤ります。
エージェントベストの見解
男女の賃金の差異を会社選びの材料にする方が増えています。それ自体は良いことですが、この会社の数値は、全労働者ベースの指標がいかに母集団の構成に左右されるかを示す教材のような例です。97.0%という数字だけを見れば、差がほとんどない会社に見えます。しかし正社員だけで見ると79.1%で、他社と大きく変わりません。差を埋めているのは、駐輪場管理を担うシルバー人材が全労働者の22.2%を占め、その98.7%が男性であるという構成です。つまり比較したい対象とは別の層が数値を動かしています。転職で使うなら、見るべきは正社員の数値です。そして正社員79.1%という数字は、管理職に占める女性13.2%という数字と合わせて読むと、等級構成の差として説明がつきます。指標を1つだけ抜き出さず、必ず3つ並べて読んでください。
5期で売上1.5倍、株主総利回りは4.3倍
連結の5期推移(単位:千円)
| 回次 | 第57期 | 第58期 | 第59期 | 第60期 | 第61期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 決算年月 | 2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | 2025年3月 | 2026年3月 |
| 売上高 | 20,550,430 | 22,853,690 | 25,481,801 | 30,106,683 | 30,867,394 |
| 経常利益 | 956,916 | 1,212,453 | 2,140,032 | 2,852,440 | 2,672,900 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 458,338 | 672,451 | 1,387,939 | 1,905,576 | 1,861,413 |
| 自己資本比率 | 37.3% | 40.4% | 42.6% | 48.4% | 50.1% |
| 自己資本利益率 | 10.7% | 14.3% | 24.5% | 27.0% | 22.9% |
| 従業員数 | 993名 | 1,033名 | 1,348名 | 1,439名 | 1,529名 |
| 臨時従業員(外数) | 〔804〕 | 〔784〕 | 〔785〕 | 〔665〕 | 〔640〕 |
売上は5期で約1.50倍、経常利益は約2.79倍
経常利益率は4.7%から8.7%へ改善しています。自己資本比率は37.3%から50.1%へ、ROEは第60期に27.0%まで上昇しました。
正社員が増え、臨時従業員が減っている
従業員数は993名から1,529名へ536名の増加。一方で臨時従業員は804名から640名へ164名の減少です。正規化が進んでいると読めます。
第61期は増収減益
売上高30,867百万円(前年同期比2.5%増)に対し、営業利益2,638百万円(同6.1%減)、経常利益2,672百万円(同6.3%減)。理由は次のように記載されています。
- IT関連事業で採算性の高い大型案件が複数、前期で終了した
- 一部顧客からの戦略的撤退を実施した
- 人材確保に向けた従業員の賃上げや外注先からの労務費の転嫁要請への対応によるコスト増加
- パーキングシステム事業における機器販売の減少や一過性コストの発生
- 中期経営計画「Vision2026」最終年度における賃上げを含む人的資本経営の積極的な推進や新サービス開発に伴う投資
減益理由に賃上げが明記されている
戦略的撤退と賃上げの2つが利益を押し下げた要因として書かれています。市場が縮んだのではなく、経営判断による減益の色が濃い期です。
株主還元は大きく増えている
1株当たり配当額は14円/20円/50円/70円/120円と、5期で8.6倍。株主総利回りは104.6%から**432.0%**へ(同期間のTOPIXは202.2%)。第61期の発行済株式総数は8,800千株から8,300千株へ減っています。
平均年間給与6,477千円と、事業ごとの人員配分
提出会社の従業員の状況(2026年3月31日現在)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数 | 836名(臨時404名は外数) |
| 平均年齢 | 37.9歳 |
| 平均勤続年数 | 10.6年 |
| 平均年間給与 | 6,477千円 |
| 平均年間給与の対前事業年度増減率 | 2.6% |
平均年間給与には賞与および基準外賃金を含むと注記されています。平均年齢37.9歳・平均勤続10.6年から、平均的な社員は27.3歳前後で入社している計算です。新卒と中途の両方が入っている構成と読めます。
セグメント別の従業員数(2026年3月31日現在)
| セグメント | 連結 | 提出会社 |
|---|---|---|
| システム開発事業 | 672名〔58〕 | 402名〔37〕 |
| サポート&サービス事業 | 619名〔119〕 | 260名〔67〕 |
| パーキングシステム事業 | 123名〔440〕 | 101名〔288〕 |
| 全社(共通) | 115名〔23〕 | 73名〔12〕 |
| 合計 | 1,529名〔640〕 | 836名〔404〕 |
〔 〕内は臨時従業員の年間平均雇用人員で外数です。臨時従業員には契約社員、パートタイマー、嘱託契約の従業員を含み、派遣社員は除かれています。
パーキングシステム事業の構成は他と違う
連結で正社員123名に対し臨時従業員440名。臨時が正社員の約3.6倍です。他の2事業は臨時のほうが少ない構成なので、同じ会社のなかで雇用形態の構成がまったく違う事業が併存しています。
IT関連事業の人員は連結1,291名
システム開発事業672名とサポート&サービス事業619名を合わせると1,291名。人数で見れば圧倒的にIT側の会社です。利益の重心がパーキングにあることと、人数の重心がITにあることは、分けて理解する必要があります。
グループの構成
| 法人 | 所在地 | 主要な事業の内容 |
|---|---|---|
| NCDソリューションズ㈱ | 大阪市中央区 | システム開発、サポート&サービス、その他 |
| NCDテクノロジー㈱ | - | システム開発、サポート&サービス |
| ㈱ジャパンコンピューターサービス | - | システム開発、サポート&サービス |
| 天津恩馳徳信息系統開発有限公司 | 中国天津市 | システム開発 |
| NCDプロス㈱ | 東京都目黒区 | パーキングシステム、その他(議決権67.0%) |
| NCDエスト㈱ | 福岡市博多区 | パーキングシステム |
労働組合は結成されておらず、労使関係は円満に推移していると記載されています。
1967年設立、事業を足しながら来た会社
沿革を読むと、この会社が事業を継ぎ足しながら形を変えてきたことが分かります。
| 年月 | 出来事 |
|---|---|
| 1967年3月 | 東京都渋谷区に資本金100万円で設立、システム開発事業を開始 |
| 1990年2月 | 通商産業大臣認定のシステム・インテグレータ(認定番号01210022)となる |
| 1995年10月 | サポート&サービス事業を開始 |
| 1997年10月 | パーキングシステム事業を開始 |
| 2000年11月 | 子会社㈱日本システムリサーチ(現NCDテクノロジー㈱)を設立 |
| 2005年4月 | 中国天津市に天津恩馳徳信息系統開発有限公司を設立 |
| 2019年4月 | 矢野産業㈱(現NCDエスト㈱)を株式取得により完全子会社化 |
| 2020年4月 | 長崎県五島市内に五島オフィスを開設 |
| 2023年12月 | ㈱ジャパンコンピューターサービスを株式取得により完全子会社化 |
| 2024年1月 | 日本コンピュータ・ダイナミクス㈱からNCD㈱に社名変更 |
3つの事業は30年かけて揃った
システム開発から始まり、1995年にサポート&サービス、1997年にパーキングシステム。駐輪場事業は約30年の蓄積があります。
地方拠点がある
1979年に福岡営業所、2011年に長崎営業所、2020年には長崎県五島市に五島オフィスを開設しています。東京集中のIT業界では珍しい拠点構成です。
認証も揃っている
2005年にISMS(IT サービス事業部)、2006年にプライバシーマーク、2008年にISO/IEC 20000-1、そして2024年3月にISMSを全社にて取得しています。
不採算プロジェクトへの備え
有価証券報告書のリスク情報には、システム開発事業等についてプロジェクトの各フェーズ単位での見積精度の向上やプロジェクトマネジメントの強化に努めているとし、一定額以上のプロジェクトについては当社常勤役員を委員とする受注委員会を開催して、顧客への提案前の審議と受注後の状況フォローを行っていると記載されています。役員が入る受注委員会を持つ会社は、規模を考えると多くありません。
選考で確認しておきたいこと
- 配属されるセグメント(IT関連かパーキングシステムか)
- 雇用契約の相手方(提出会社か、グループ会社か)
- 受注委員会の審議対象になる案件規模
- 賃上げが等級のどこに効いているか
- 戦略的撤退の対象となった顧客領域
- 地方拠点勤務の可能性
1つ目は、この会社では特に重要です。IT関連事業とパーキングシステム事業では、雇用形態の構成も収益構造も違います。
3つ目は、一定額以上のプロジェクトで役員が委員となる受注委員会が開催されると明記されているためです。上流の意思決定に関わりたい場合、この仕組みの中身は聞く価値があります。
4つ目は、減益理由として人材確保に向けた従業員の賃上げが明記されているためです。全社一律か、特定の等級に厚いのかで、中途入社者への影響が変わります。
5つ目は、システム開発事業の売上が横ばいだった理由に一部顧客からの戦略的撤退が挙げられているためです。
選考フローや面接内容は、職種や時期によって変わるとされています。最新の募集要項は公式サイトで必ずご確認ください。
同じ規模帯の会社の見方はSIerの年収相場、キャリアの広がりはSIerのキャリアパスもあわせてご覧ください。
エージェントベストの見解
社名にITの色が濃い会社ほど、事業ポートフォリオを見落とされがちです。この会社では、セグメント利益がいちばん大きいのは駐輪場を運営するパーキングシステム事業でした。売上構成では約26%にすぎない事業が、利益では最大です。これは応募先を選ぶうえで無視できません。IT側に入るなら、自分の仕事が生む利益はグループ全体の一部であり、投資の原資は別の事業からも来ている、という前提で考えることになります。逆に言えば、受託開発の景気だけで会社が揺れにくい構造でもあります。第61期は採算性の高い大型案件の終了と一部顧客からの戦略的撤退で減益になりましたが、それでも経常利益は26億円台を保っています。面接で聞くとしたら「システム開発事業の売上目標は今後どう置いていますか」「戦略的撤退はどういう基準で判断されましたか」の2問です。撤退の基準を語れる会社は、案件の選び方に方針を持っています。
まとめ
NCDについて、有価証券報告書から確認できる点を整理します。
- 2024年1月に日本コンピュータ・ダイナミクス株式会社からNCD株式会社へ社名変更
- 提出会社は836名(臨時404名は外数)、平均年齢37.9歳、平均勤続10.6年、平均年間給与6,477千円(対前事業年度増減率2.6%)
- 連結は1,529名(臨時640名は外数)。子会社6社
- セグメントは3つ。売上構成では約26%のパーキングシステム事業が、セグメント利益1,142百万円で最大
- 第61期は増収減益。理由に大型案件の終了、一部顧客からの戦略的撤退、賃上げを含む人的資本経営の推進が挙げられている
- 連結売上高は5期で20,550,430千円から30,867,394千円へ。経常利益は約2.79倍
- 正社員は993名から1,529名へ増加、臨時従業員は804名から640名へ減少
- 男女の賃金の差異は全労働者97.0%だが、正社員では79.1%。差の理由は駐輪場管理のシルバー人材の構成と注記されている
- 1株当たり配当額は5期で14円から120円へ。株主総利回りは432.0%
- 一定額以上のプロジェクトは常勤役員を委員とする受注委員会で審議される
本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。詳細は有価証券報告書および公式サイトでご確認ください。
よくある質問
Q. 男女の賃金の差異97.0%は、格差が小さいということですか。
A. 全労働者ベースではそうなりますが、そのまま受け取るのは適切ではありません。有価証券報告書には、駐輪場管理を担うシルバー人材(非正規社員)が全労働者の22.2%を占め、その98.7%が男性であるため男性の平均賃金が押し下げられていると注記されています。正社員ベースでは79.1%です。
Q. 駐輪場の事業に配属される可能性はありますか。
A. 求人によります。パーキングシステム事業の従業員は連結123名(臨時440名は外数)で、IT関連事業の1,291名と比べると少数です。ただしセグメント利益では最大の事業であり、応募前に配属セグメントを確認してください。
Q. 平均年間給与6,477千円は上がっていますか。
A. 対前事業年度増減率は2.6%です。あわせて、第61期の減益理由のひとつとして「人材確保に向けた従業員の賃上げ」が有価証券報告書に明記されています。
Q. 地方勤務の可能性はありますか。
A. 福岡オフィス、長崎オフィス、五島オフィス(長崎県五島市、2020年4月開設)、江東サービスセンター、お台場オフィスなどが沿革に記載されています。勤務地は応募時に確認してください。
本記事は 2026/8/12 時点の公開情報にもとづいて作成しています。