NCS&Aの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
平均年間給与の増減率5.1%と、平均5%の賃上げ
NCS&Aについて、第60期(2026年3月期)の有価証券報告書から確認できる事実を整理します。
提出会社の従業員の状況(2026年3月31日現在)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数 | 946名 |
| 平均年齢 | 40.1歳 |
| 平均勤続年数 | 16.1年 |
| 平均年間給与 | 7,443,411円 |
| 平均年間給与の対前事業年度増減率 | 5.1% |
男女別も開示されている
| 区分 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続年数 |
|---|---|---|---|
| 男性従業員 | 668名 | 41.9歳 | 17.9年 |
| 女性従業員 | 278名 | 35.6歳 | 11.7年 |
増減率5.1%の根拠が本文にある
有価証券報告書の経営成績の記述には、次のように書かれています。
前年度に引き続き2025年6月より平均5%の給与水準の引き上げを実施し、加えて、2025年10月に**「物価高対策特別手当」を全従業員に支給**いたしました。
平均年間給与の増減率5.1%と、平均5%の給与水準引き上げ。この2つがほぼ一致しています。
なぜこれが重要か
有価証券報告書の増減率は、退職と採用による構成の入れ替わりを含んだ平均どうしの比較です。構成が大きく動く会社では、実際の賃上げ率と乖離します。 この会社では両者がほぼ揃っており、開示された増減率を素直に読める会社だと言えます。
平均勤続16.1年という水準
平均年齢40.1歳から平均勤続16.1年を引くと、平均的な社員は24.0歳前後で入社している計算です。新卒で入って長く勤める人が多数派の構造で、これが構成の安定につながっています。
本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項や選考プロセスは、公式サイトでご確認ください。
売上の重心が受託から自社製品へ動いている
グループはITサービス事業の単一セグメントですが、売上分類別の概況が開示されています。
第60期の売上分類別
| 分類 | 売上高 | 前期比の増減 |
|---|---|---|
| システムインテグレーション | 79億96百万円 | 4億42百万円の減収 |
| 自社製品によるソリューション | 68億35百万円 | 14億28百万円の増収 |
| 受託開発 | 52億14百万円 | 6億95百万円の増収 |
| 機器・パッケージ | 24億39百万円 | 3億12百万円の増収 |
| 合計 | 224億85百万円 | 19億92百万円の増収 |
利益の伸びが売上の伸びを上回った
営業利益は27億14百万円(前期比7億20百万円増)、経常利益は28億70百万円(同7億61百万円増)。有価証券報告書には、利益率の高い自社製品によるソリューションおよび高収益案件への注力を続けたことが理由として記載されています。
受注残高にも同じ動きが出ている
| 品分類 | 受注残高 | 前期比 |
|---|---|---|
| システム開発 | 1,506,569千円 | △33.9% |
| サービス | 1,978,102千円 | +29.2% |
| システム機器等販売 | 1,301,733千円 | △16.2% |
| 合計 | 4,786,405千円 | △10.8% |
システム開発の受注残が3分の2に減り、サービスが3割近く増えています。 有価証券報告書には、システムインテグレーションの減収理由として開発から保守フェーズへ移行する案件が重なったことが挙げられています。
転職の観点でどう読むか
構築の仕事から、運用・保守と自社製品の仕事へ重心が移りつつある局面です。応募する職種がどちら側かによって、数年後に身につくものが変わります。
自社製品の顔ぶれ
| 製品・サービス | 内容 |
|---|---|
| The給付 | 自治体向け給付金システム。2026年1月より口座不要のBtoC送金サービス「ATM受取」との機能連携を開始 |
| Factory-ONE 電脳工場 | 生産管理システム。導入・カスタマイズ案件が堅調 |
| E.M.O(エモ) | ホテル・レストラン向けオーダーエントリーシステム。ルームサービスやテナント店舗に関する機能を強化 |
| ReverseNeo(リバースネオ) | システム可視化ソリューション。2025年4月に生成AI技術と融合した新バージョンをリリース |
| DocHelper(ドックヘルパー) | 2026年2月リリース。プログラムコードから技術ドキュメントを自動生成 |
| マイグレーションサービス | 保険会社向け大型案件が順調に推移 |
社内スタートアップ制度がある
有価証券報告書には、新しい技術への挑戦として**「社内スタートアップ制度」にて生成AIについての研究**を行い、その一環としてReverseNeoの新バージョンをリリースしたと記載されています。制度から実際の製品が出ているという記載は、他社ではあまり見ません。
エージェントベストの見解
受託中心のSIerから自社製品を持つ会社へ、という転職を希望する方は多くいます。この会社は、その移行を実際に進めている途中です。第60期は自社製品によるソリューションが14億28百万円の増収、一方でシステムインテグレーションは4億42百万円の減収。受注残高でもシステム開発が33.9%減り、サービスが29.2%増えました。ここで確認すべきなのは、自分が入る側がどちらかです。自社製品の開発に関わりたくて入ったのに、配属が保守フェーズに移行した既存案件だった、という食い違いは起こり得ます。面接では「配属予定のチームは自社製品と受託のどちらの比率が高いですか」「異動の申告制度はありますか」と聞いてください。とくに2問目が大切です。会社の重心が動いている局面では、入口の配属より、その後に動けるかどうかが効いてきます。
5期の業績と、株主還元の変化
連結の5期推移(単位:千円)
| 回次 | 第56期 | 第57期 | 第58期 | 第59期 | 第60期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 決算年月 | 2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | 2025年3月 | 2026年3月 |
| 売上高 | 20,458,330 | 19,385,644 | 18,907,673 | 20,493,251 | 22,485,991 |
| 経常利益 | 1,408,751 | 1,617,212 | 1,759,699 | 2,109,367 | 2,870,388 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 978,425 | 1,273,072 | 1,536,657 | 2,109,184 | 2,067,634 |
| 自己資本比率 | 57.2% | 57.2% | 63.8% | 66.7% | 64.8% |
| 自己資本利益率 | 10.1% | 12.3% | 13.4% | 15.9% | 14.7% |
| 従業員数 | 1,219名 | 1,203名 | 1,190名 | 1,219名 | 1,228名 |
売上は一度減って、そこから回復している
20,458,330千円から18,907,673千円まで減り、そこから22,485,991千円へ。一方で経常利益は5期連続で増えています。 1,408,751千円から2,870,388千円へ、約2.04倍です。経常利益率は6.9%から12.8%へ改善しました。
従業員数はほぼ横ばい
1,219名から1,228名。人を増やさずに利益を倍にした5期ということになります。1人あたり売上高は第56期の約1,678万円から第60期は約1,831万円へ。
第60期の当期純利益が微減している理由
2,109,184千円から2,067,634千円へ。有価証券報告書には、前期において繰延税金資産を計上したことによる法人税等調整額(益)の計上の反動と記載されています。本業が悪化したわけではありません。 営業利益・経常利益はいずれも大きく増えています。
株主還元が変わった期でもある
1株当たり配当額は22円/28円/30円/40円/58円。第60期には中間配当25円が新たに実施されています。財務活動によるキャッシュ・フローは△2,506,467千円で、内訳は自己株式の取得14億99百万円と配当金の支払9億86百万円。純資産が14,226,599千円から13,866,102千円へ減っているのは、この自己株式の取得が主な要因です。
現金は厚い
現金及び現金同等物は10,999,665千円。総資産21,391,206千円の**約51%**にあたります。営業活動によるキャッシュ・フローは2,976,571千円と5期で最大です。
販売先の集中には目を向けておく
主な相手先別の販売実績では、日本電気株式会社が3,738,619千円で総販売実績の16.6%(前期は2,916,185千円で14.2%)。依存度が上がっています。 大手SIerからの受託開発について、有価証券報告書には当社の得意分野にリソースを集中させることにより収益性の向上に取り組んでいると記載されています。
大阪発、1966年設立の会社
会社の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | NCS&A株式会社 |
| 上場区分 | 東証スタンダード(証券コード 9709) |
| 本社所在地 | 大阪市北区(2022年3月移転) |
| 設立 | 1966年9月 |
| 資本金 | 3,775,100千円 |
| 従業員数 | 連結1,228名/提出会社946名 |
| グループ | 連結子会社3社 |
沿革の要点
| 年月 | 出来事 |
|---|---|
| 1961年10月 | 前身会社の日本システム・マシン株式会社に電子計算機部を設置 |
| 1966年9月 | 分離独立し、大阪市北区に日本コンピューター株式会社を設立(資本金500万円) |
| 1988年12月 | システムインテグレーター認定制度で通商産業大臣の認定を受ける |
| 1989年12月 | 大阪証券取引所市場第二部に上場 |
| 2004年3月 | 中国上海市に子会社を設立 |
| 2014年8月 | 株式会社アクセスと合併、NCS&A株式会社に商号変更 |
| 2016年12月 | ベルギー・Luciad社の地理空間情報ソフトウエア製品の販売を開始 |
| 2022年3月 | 大阪市北区に本社を移転 |
創業の精神は**「コンピューターは社会に奉仕する」**と記載されています。東京本社(千代田区)と名古屋支社もありますが、本社は大阪です。
職種別の従業員数
| 職種 | 連結 | 提出会社 |
|---|---|---|
| 営業職 | 82名 | 71名 |
| 技術職 | 1,052名 | 800名 |
| 総括職・事務職 | 94名 | 75名 |
| 合計 | 1,228名 | 946名 |
**技術職が連結の約86%**を占めます。営業職は82名で、技術職12.8人あたり営業1人という構成です。
労働組合は1969年結成
有価証券報告書には、1969年4月に結成された労働組合があり、会社と労働組合の関係は相互の信頼と協調精神により概ね順調に推移していると記載されています。
多様性の指標
| 指標 | 提出会社 | エブリ㈱ | NCSサポート&サービス㈱ |
|---|---|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 10.0% | 4.3% | 0.0% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% | 0.0% | 0.0% |
| 男女の賃金の差異(全労働者) | 79.0% | 77.4% | 86.9% |
| 男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 80.1% | 77.2% | 81.6% |
| 男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 52.2% | 114.5% | 85.5% |
子会社2社の男性育児休業取得率が0.0%なのは、注記によれば分母となる対象者がいないためです。
期末後の変化まで注記している
管理職に占める女性労働者の割合について、注記に次の記載があります。
上記表(2026年3月31日時点)以降の**2026年4月1日付で女性管理職を新たに登用しており、2026年4月1日時点の管理職に占める女性労働者の割合は11.2%**となっております。
期末時点の数値だけでなく、その後の登用まで書く会社は多くありません。
賃金差異の要因も具体的
賃金制度は性別・年齢・国籍等にかかわらず同等格における賃金に差異はないとしたうえで、差異が生じる要因として①管理職に占める女性労働者の割合が低い水準にとどまっていること、②給与が減額される時短勤務者の割合が男性よりも女性が高いこと、③男女の勤続年数の違いの3つが挙げられています。男女別の平均勤続年数(男性17.9年・女性11.7年)が開示されているため、③は数字で裏づけられます。
従業員向けの施策
- 育児・介護休職取得者のサポートを行った組織や、社会貢献活動を行った従業員への表彰制度を新設
- 2025年6月より平均5%の給与水準の引き上げ(前年度に引き続き)
- 2025年10月に物価高対策特別手当を全従業員に支給
- 女性特有の健康課題の軽減を支援するフェムテックサービスの利用
- 介護と仕事の両立を支援する介護相談窓口の設置や説明会の開催
選考で確認しておきたいこと
- 配属されるチームの、自社製品と受託の比率
- 雇用契約の相手方(提出会社か、エブリ㈱/NCSサポート&サービス㈱か)
- 勤務地(大阪・東京・名古屋)
- 社内スタートアップ制度の応募条件
- 中途入社者の等級決定の仕方
- 時短勤務の運用実態
1つ目は、この会社では特に効きます。自社製品によるソリューションは14億28百万円の増収、システムインテグレーションは4億42百万円の減収。受注残高でも差が出ています。
3つ目は、本社が大阪市北区である点を踏まえた確認です。東京本社と名古屋支社もありますが、拠点によって扱う案件が違う可能性があります。
4つ目は、社内スタートアップ制度で生成AIの研究を行い、そこから製品が生まれていると明記されているためです。新しいことに関わりたい人にとっては、応募条件そのものが判断材料になります。
6つ目は、賃金差異の要因として給与が減額される時短勤務者の割合が挙げられているためです。制度の運用と処遇への影響は、応募前に確認する価値があります。
選考フローや面接内容は、職種や時期によって変わるとされています。最新の募集要項は公式サイトで必ずご確認ください。
同じ規模帯の会社の見方はSIerの年収相場、難易度の目安はSIerの転職難易度もあわせてご覧ください。
エージェントベストの見解
賃上げを掲げる会社は増えましたが、有価証券報告書の数字と施策が突き合わせられる会社は多くありません。この会社は平均年間給与の対前事業年度増減率が5.1%で、本文には2025年6月より平均5%の給与水準の引き上げを実施したと書かれています。ほぼ一致しています。従業員数が1,219名から1,228名とほとんど動いていないため、構成の入れ替わりによる希薄化が小さいのです。逆に、採用を急拡大している会社では、同じ5%の賃上げをしても開示される増減率は1%台に見えることがあります。他社と比べるときは、増減率と一緒に従業員数の推移を必ず見てください。この2つを並べるだけで、開示された数字が実感に近いかどうかが判断できます。そして面接では「昨年の賃上げは全等級一律でしたか」と聞いてください。平均5%は、全員が5%という意味ではありません。
まとめ
NCS&Aについて、有価証券報告書から確認できる点を整理します。
- 提出会社は946名、平均年齢40.1歳、平均勤続16.1年、平均年間給与7,443,411円(対前事業年度増減率5.1%)
- 男女別に従業員数・平均年齢・平均勤続年数を開示。男性668名・17.9年、女性278名・11.7年
- 2025年6月より平均5%の給与水準の引き上げ、2025年10月に物価高対策特別手当を全従業員に支給
- 連結は1,228名。技術職1,052名が約86%を占める。連結子会社3社
- 売上分類別では自社製品によるソリューションが14億28百万円の増収、システムインテグレーションは4億42百万円の減収
- 受注残高はシステム開発が33.9%減、サービスが29.2%増
- 連結売上高は5期で20,458,330千円から22,485,991千円へ。経常利益は約2.04倍で5期連続増益
- 従業員数は1,219名から1,228名とほぼ横ばい
- 第60期は自己株式の取得14億99百万円と配当金の支払9億86百万円を実施
- 主な相手先では日本電気株式会社が総販売実績の16.6%
- 管理職に占める女性は10.0%だが、2026年4月1日時点で11.2%になったと注記されている
本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。詳細は有価証券報告書および公式サイトでご確認ください。
よくある質問
Q. 平均年間給与7,443,411円は上がっていますか。
A. 対前事業年度増減率は5.1%です。有価証券報告書には2025年6月より平均5%の給与水準の引き上げを実施したと記載があり、従業員数もほぼ横ばいのため、開示された増減率と実際の賃上げが近い水準にあると読めます。
Q. 自社製品の開発に関われますか。
A. 求人によります。自社製品にはThe給付、Factory-ONE 電脳工場、E.M.O、ReverseNeo、DocHelperなどがあり、第60期は自社製品によるソリューションが14億28百万円の増収でした。配属予定のチームの比率を面接で確認してください。
Q. 勤務地はどこになりますか。
A. 本社は大阪市北区で、東京本社(千代田区)と名古屋支社もあります。1966年に大阪市北区で設立された会社で、2022年3月にも大阪市北区内で本社を移転しています。応募時に確認してください。
Q. 平均勤続16.1年は長いですか。
A. IT・情報サービス業のなかでは長い側に入ります。平均年齢40.1歳との差から、平均的な社員は24.0歳前後で入社している計算になります。男女別では男性17.9年、女性11.7年です。
本記事は 2026/8/12 時点の公開情報にもとづいて作成しています。