ニコンの評判|年収・働き方・選考対策まで解説

ニコン 評判・年収・選考対策 更新日 2026/8/6

ニコンの有価証券報告書 第162期(2026年3月期)は、営業損失1,124億48百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失860億88百万円という決算です。売上収益の減少は381億22百万円ですが、減損損失は991億41百万円。損失の中心は売上ではなく減損にあります。提出会社の平均年間給与も7,989,362円で、前期から6.1%下がりました。この記事では、その中身を有報から整理します。

売上減より重い、991億円の減損

年度売上収益税引前利益又は損失親会社の所有者に帰属する当期利益又は損失親会社所有者帰属持分比率連結従業員数
第158期(2022年3月)539,612百万円57,096百万円42,679百万円57.5%18,437人
第159期(2023年3月)628,105百万円57,058百万円44,944百万円58.6%18,790人
第160期(2024年3月)717,245百万円42,669百万円32,570百万円59.6%19,444人
第161期(2025年3月)715,285百万円4,533百万円6,123百万円57.4%20,069人
第162期(2026年3月)677,163百万円△106,511百万円△86,088百万円54.6%19,928人

数値は有価証券報告書 第162期(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)によります。連結財務諸表はIFRSにもとづき、百万円未満を四捨五入して記載されています。

税引前利益は第158期の57,096百万円から、第160期42,669百万円、第161期4,533百万円と下がり、第162期に△106,511百万円の損失となりました。

有報の経営成績の分析には、内訳が書かれています。

項目第162期前期からの増減
売上収益677,163百万円△38,122百万円
売上原価399,903百万円△3,415百万円
販売費及び一般管理費289,248百万円△5,908百万円
その他営業収益10,710百万円+8,469百万円
その他営業費用111,170百万円+94,539百万円

売上収益の減少は381億22百万円で、主に精機事業における装置販売台数の減少によるものと記載されています。売上原価と販売費及び一般管理費はどちらも減りました。

決定的だったのはその他営業費用です。前期から945億39百万円増えて1,111億70百万円になりました。固定資産の減損損失や構造改革関連費用の計上によるものと記載されています。

この結果、営業損益は前期の営業利益24億22百万円から営業損失1,124億48百万円へ、1,148億70百万円の減益となりました。

減損の9割は金属3Dプリンター事業

第162期の減損損失はセグメント別に開示されています。

セグメント減損損失
デジタルマニュファクチャリング事業90,627百万円
精機事業5,778百万円
コンポーネント事業1,548百万円
映像事業37百万円
ヘルスケア事業11百万円
その他31百万円
調整額1,110百万円
合計99,141百万円

デジタルマニュファクチャリング事業の90,627百万円が全体の約91.4%を占めます。

有報には理由が明記されています。金属3Dプリンター市場の将来成長率の低下や競争環境の激化等を背景に、当初想定された収益が見込まれなくなったため、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額したもの。この減損損失には、Nikon SLM Solutions AGに関するのれん60,568百万円および識別可能無形資産26,244百万円が含まれると記載されています。

精機事業の5,778百万円は、半導体露光装置ビジネスの低迷によるものです。

開示された数値から読み取れること

以下は、有価証券報告書と公表情報から読み取れる範囲の整理です。個別の口コミではなく、開示された数値をもとにしています。

年収・評価制度

提出会社の平均年間給与は7,989,362円(対前事業年度増減率△6.1%)です。従業員4,656人、平均年齢41.9歳、平均勤続年数13.7年。賞与および基準外賃金を含みます。

※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです

ワークライフバランス

有報に労働時間の数値の記載はありません。提出会社の男性労働者の育児休業取得率は101.0%と記載されています。過年度に配偶者が出産した従業員が当事業年度に取得することがあるため、取得率が100を超える場合があると注記されています。

※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです

キャリア・成長機会

有報には、2030年度の数値目標として売上収益1兆円、営業利益800億円、全社ROIC 7%、ROE 10%を掲げていると記載されています。成長を期待するビジネスとして、デジタルシネマカメラ、大型金属3Dプリンター、半導体露光装置・デジタル露光装置が挙げられています。

※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです

社風・人間関係

労働組合はニコン労働組合でJAMに加盟しており、2026年3月31日現在の組合員数は4,321人です。提出会社の管理職に占める女性労働者の割合は8.0%です。

※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです

エージェントベストの見解

この会社の数字で見落とせないのが、平均年間給与の対前事業年度増減率が△6.1%である点です。7,989,362円という金額は同規模のメーカーと大きくは変わりませんが、下がっている会社は多くありません。同じ期に営業損失1,124億48百万円を計上し、構造改革関連費用も各セグメントに計上されています。賞与の水準が業績と連動していることの表れと読むのが自然です。応募を検討する立場では、ここを踏まえて考えてください。提示される年収に賞与がどれだけ含まれ、その賞与が何に連動するのか。業績が戻れば上がる設計なのか、固定給の比率が高いのか。この2つを面接で確認しておくと、入社後の見込みが立ちます。もう1つ、平均勤続年数13.7年は同業のセイコーエプソン18.1年やコニカミノルタ20.7年より短い水準です。中途入社が一定数いる組織である可能性があり、その点は入りやすさの材料になります。

報酬について確認できること

有価証券報告書によると、提出会社の平均年間給与は7,989,362円です。対前事業年度増減率は△6.1%。従業員数4,656人、平均年齢41.9歳、平均勤続年数13.7年です。

他のメーカーと並べると、位置関係が見えます。

会社平均年間給与平均年齢平均勤続年数提出会社の従業員数
コニカミノルタ株式会社8,441,281円46.4歳20.7年3,888人
セイコーエプソン株式会社8,087千円42.9歳18.1年12,311人
株式会社ニコン7,989,362円41.9歳13.7年4,656人
シャープ株式会社7,818千円44.5歳20.1年5,553人

各社の有価証券報告書によります。決算期が異なる会社が含まれます。

ニコンは平均年齢が最も若く、平均勤続年数も最も短い水準です。平均年齢と平均勤続年数の差は約28.2年で、この4社のなかでは最も大きくなります。

提出会社のセグメント別従業員数は、精機事業1,166人、その他1,106人、映像事業688人、全社(共通)680人、コンポーネント事業618人、ヘルスケア事業326人、デジタルマニュファクチャリング事業72人です。

なお提出会社の労働者の男女の賃金の差異は、全労働者81.6%、正規雇用労働者81.6%と記載されています。有報には、賃金差異の主な要因として等級別人数構成の差、および育児休業や時短勤務等の利用によって給与が減額しているもののうち女性の比率が高いことが挙げられています。

実額は選考の過程で確認してください。

5事業のうち利益が出ているのは3つ

第162期のセグメント別の数値です。

セグメント売上収益合計セグメント利益又は損失前期の利益又は損失
映像事業291,517百万円16,715百万円41,306百万円
精機事業167,501百万円△4,565百万円1,544百万円
ヘルスケア事業112,129百万円1,561百万円6,735百万円
コンポーネント事業84,583百万円9,553百万円7,185百万円
デジタルマニュファクチャリング事業28,160百万円△106,282百万円△15,225百万円
その他93,345百万円1,401百万円2,922百万円

利益が出ているのは映像、ヘルスケア、コンポーネントの3事業です。精機事業は1,544百万円の利益から△4,565百万円の損失に転じました。

デジタルマニュファクチャリング事業は売上収益28,160百万円に対し、セグメント損失△106,282百万円です。減損損失90,627百万円がここに含まれます。従業員数は802人で、連結19,928人の約4.0%にあたります。

映像事業は最大の利益を出していますが、41,306百万円から16,715百万円へ約59.5%減りました。構造改革関連費用△3,210百万円が含まれています。

コンポーネント事業だけが増益で、7,185百万円から9,553百万円へ約33.0%増えました。

連結ベースでは、セグメント損益の合計△81,617百万円に調整額△30,831百万円を加えて営業損失△112,448百万円となります。調整額のうち、基礎研究や新規事業創設、ものづくり革新に関連する「成長投資関連費用」が△17,881百万円、本社機能の一般管理費等を合算した「本社管理部門費用」が△13,235百万円です。

従業員はどこにいるか

セグメント連結従業員数
映像事業7,646人
その他4,406人
精機事業2,746人
ヘルスケア事業2,095人
コンポーネント事業1,339人
全社(共通)894人
デジタルマニュファクチャリング事業802人
合計19,928人

映像事業の7,646人が最多で、全体の約38.4%です。

2030年度に売上1兆円という目標

有報には中期経営計画の数値目標が記載されています。2030年度に売上収益1兆円、営業利益800億円、全社ROIC 7%、ROE 10%。

第162期の売上収益は677,163百万円ですから、約1.48倍にする計画です。営業損益は△112,448百万円ですので、800億円の営業利益とは1,924億円以上の差があります。

成長を期待するビジネスとして、デジタルシネマカメラ、大型金属3Dプリンター、半導体露光装置・デジタル露光装置の3つが挙げられ、経営資源を重点的に配分して2030年以降の本格的成長を目指すと記載されています。

大型金属3Dプリンターは、90,627百万円の減損を計上したデジタルマニュファクチャリング事業の領域です。半導体露光装置は5,778百万円の減損を計上した精機事業の領域にあたります。減損は将来の見込みを引き下げた結果ですが、事業そのものは成長領域として位置づけられている、という構図です。

計画実行にあたっては、内部管理に最適化させたROIC(投下資本利益率)をベースとした投資管理と事業モニタリングを徹底し、収益性改善と統制の強化を推進すると記載されています。

なお2026年度より、報告セグメント「コンポーネント事業」の名称が「インダストリー事業」に変更されています。今後の資料では名称が変わる点に注意が要ります。

向いている人/向いていない人

向いている人

光学技術を軸に事業を立て直す局面に関わりたい方

営業損失1,124億48百万円を計上し、2030年度に売上収益1兆円・営業利益800億円という目標を掲げています。

カメラ・映像の領域に専門性がある方

映像事業は売上収益291,517百万円・セグメント利益16,715百万円で、利益が出ている事業のなかで最大です。

半導体・産業機器の装置に関わりたい方

精機事業とコンポーネント事業は、中期経営計画の成長期待ビジネスに含まれています。

向いていない人

安定した処遇を最優先する方

提出会社の平均年間給与は対前事業年度で6.1%下がりました。

構造改革の対象になりにくい領域を選びたい方

構造改革関連費用は映像△3,210百万円、精機△896百万円、コンポーネント△693百万円、デジタルマニュファクチャリング△685百万円、その他△1,150百万円と、複数のセグメントに計上されています。

エージェントベストの見解

面接で問われるのは、「損失の中身をどう理解しているか」です。この会社を「業績が悪い会社」とだけ捉えて臨むと、話が浅くなります。有報の数字はもっと具体的です。売上収益の減少は381億22百万円で、売上原価も販売費及び一般管理費もどちらも減っています。損失の主因はその他営業費用が945億39百万円増えたことで、その中身が減損損失991億41百万円。うち906億27百万円はデジタルマニュファクチャリング事業で、Nikon SLM Solutions AGに関するのれん605億68百万円と識別可能無形資産262億44百万円が含まれます。買収した事業の見込みを引き下げた結果です。そのうえで会社は、大型金属3Dプリンターを2030年度に向けた成長期待ビジネスに挙げています。減損と成長投資が同じ領域で同時に起きている、という理解ができると話が通じます。準備としては、志望するセグメントの損益と従業員数を押さえ、「その事業が今後どう位置づけられているか」を有報の記述にもとづいて語れるようにしておいてください。募集の有無と職種は、公式の採用ページでご確認ください。

選考に向けた準備

応募の前に確かめること

提出会社の従業員は4,656人で、連結19,928人の約23.4%です。求人がどの法人のものかは応募前に確認しておきたい項目です。

セグメントごとに状況が大きく違います。利益が出ているのは映像、ヘルスケア、コンポーネントの3事業で、精機事業は損失に転じ、デジタルマニュファクチャリング事業は△106,282百万円の損失です。配属予定の事業の損益は確認する価値があります。

2026年度より「コンポーネント事業」は「インダストリー事業」に名称が変わります。募集要項や社内資料での呼び方が異なる場合があります。

募集要項の詳細は公式の採用ページでご確認ください。

志望動機で問われること

「なぜこの領域か」と「なぜニコンか」の2段で組み立てます。

前者については、志望するセグメントを明確にします。カメラ・映像、半導体露光装置、ヘルスケア、光学部品、金属3Dプリンターでは、顧客も必要な経験もまったく異なります。

後者の材料は有報にあります。売上収益が715,285百万円から677,163百万円へ減り、営業損失1,124億48百万円を計上したこと。減損損失991億41百万円のうち906億27百万円がデジタルマニュファクチャリング事業であること。映像事業のセグメント利益が41,306百万円から16,715百万円へ約59.5%減ったこと。コンポーネント事業だけが増益であること。2030年度に売上収益1兆円・営業利益800億円という目標を掲げていること。

「減損と成長投資が同じ領域で起きている」ことに触れられると、下調べの深さが伝わります。

職務経歴書で見られるポイント

光学・精密機器の中途採用では、技術の深さと、事業として成立させた経験が読まれます。

光学設計・機構設計の経験がある方は、担当した製品と、性能・コスト・量産性のどれを主に担ったかを書きます。

半導体装置の経験がある方は、扱った装置と、顧客のプロセスにどこまで踏み込んだかを書きます。精機事業は成長期待ビジネスに含まれる一方、当期は損失に転じています。

ソフトウェア・画像処理の経験がある方は、扱ったデータと、アルゴリズムが製品の性能をどう変えたかを書きます。

ヘルスケア・ライフサイエンスの経験がある方は、担当した装置や受託サービスと、顧客の研究プロセスのどこを支えたかを書きます。ヘルスケア事業は売上収益112,129百万円です。

事業企画・M&Aの経験がある方は、関わった案件の規模と、買収後の統合でどこを担ったかを書きます。

いずれの場合も、案件ごとに、置かれていた状況、自分が選んだ打ち手、動いた数値を短く添えます。

まとめ

ニコンは東証プライム市場に上場する光学機器メーカーで、有価証券報告書 第162期(2026年3月期)の売上収益は677,163百万円、営業損失1,124億48百万円、税引前損失106,511百万円、親会社の所有者に帰属する当期損失86,088百万円、親会社所有者帰属持分比率54.6%、連結従業員数19,928人です。損失の主因はその他営業費用が前期から945億39百万円増えたことで、その中心は減損損失99,141百万円。うち90,627百万円がデジタルマニュファクチャリング事業で、Nikon SLM Solutions AGに関するのれん60,568百万円と識別可能無形資産26,244百万円が含まれます。セグメント別では映像事業が売上収益291,517百万円・セグメント利益16,715百万円(前期比約59.5%減)、精機事業が167,501百万円・△4,565百万円、ヘルスケア事業が112,129百万円・1,561百万円、コンポーネント事業が84,583百万円・9,553百万円(同約33.0%増)です。中期経営計画では2030年度に売上収益1兆円、営業利益800億円、全社ROIC 7%、ROE 10%を掲げています。提出会社の従業員数は4,656人、平均年齢41.9歳、平均勤続年数13.7年、平均年間給与7,989,362円(増減率△6.1%)です。

よくある質問

Q. ニコンの年収はどのくらいですか。

A. 有価証券報告書 第162期(2026年3月期)によると、提出会社の平均年間給与は7,989,362円(対前事業年度増減率△6.1%、従業員4,656人、平均年齢41.9歳、平均勤続年数13.7年)です。賞与および基準外賃金を含みます。前期から下がっている点が特徴で、同じ期に営業損失1,124億48百万円を計上しています。他のメーカーではセイコーエプソン8,087千円(42.9歳)、コニカミノルタ8,441,281円(46.4歳)です。賞与の比率と連動する指標は選考の過程でご確認ください。

Q. 赤字の原因は何ですか。

A. 減損損失です。有報によると売上収益の減少は381億22百万円(主に精機事業における装置販売台数の減少)で、売上原価と販売費及び一般管理費はどちらも減っています。一方でその他営業費用が945億39百万円増えて1,111億70百万円となり、営業損失1,124億48百万円につながりました。減損損失は99,141百万円で、うち90,627百万円がデジタルマニュファクチャリング事業。金属3Dプリンター市場の将来成長率の低下や競争環境の激化等が理由と記載され、Nikon SLM Solutions AGに関するのれん60,568百万円と識別可能無形資産26,244百万円が含まれます。

Q. どの事業が中心ですか。

A. 売上収益では映像事業が291,517百万円で最大、次いで精機事業167,501百万円、ヘルスケア事業112,129百万円、コンポーネント事業84,583百万円、デジタルマニュファクチャリング事業28,160百万円です。従業員数も映像事業の7,646人が最多で、連結19,928人の約38.4%を占めます。セグメント利益が出ているのは映像16,715百万円、コンポーネント9,553百万円、ヘルスケア1,561百万円の3事業です。なお2026年度より「コンポーネント事業」は「インダストリー事業」に名称が変更されています。

本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづいています。最新の募集要項や選考プロセスは、各社の公式サイトでご確認ください。

出典

本記事は 2026/8/6 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)