日本ヒューレット・パッカードの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
日本ヒューレット・パッカードを調べると、資本金や従業員数が会社によって違う数字で出てきます。理由は単純で、この会社は非上場であり、公式サイトの日本語ページに会社概要の数値が掲載されていないためです。読める一次情報は、親会社であるHewlett Packard Enterprise Company(HPE)が米国証券取引委員会に提出しているForm 10-Kです。この記事では、そこから事業の状態を整理します。
日本法人の数値は公表されていない
先に前提を明確にします。
HPEの日本語公式サイトには「日本ヒューレット・パッカード合同会社 会社情報」という項目があり、会社の位置づけや採用情報、オフィス所在地へのリンクが並びます。ただし資本金・設立年月・従業員数といった会社概要の数値は掲載されていません。
このため本記事では、日本法人固有の数値は扱いません。転職サイトや企業データベースに載る数字は出典が確認できないため、ここでは採用しません。代わりに、親会社の開示から読み取れる事業の状態を整理します。
なお日本語公式サイトには、会社の輪郭を示す記述があります。1939年にBill HewlettとDave Packardが貸しガレージで会社を設立したこと、Fortune 500企業の90%がHPEを信頼していること、17,000人以上のエキスパートが顧客やパートナーとソリューションを構築していること、世界各地で55,000の組織がHPEと連携していることが挙げられています。事業領域としては、AI、クラウド、ネットワーキングが中心に据えられています。
親会社は増収13.8%、それでも営業損失
親会社HPEの2025年10月期(2024年11月1日から2025年10月31日まで)のForm 10-Kによる数値です。
| 会計年度 | 売上高 | 営業損益 | 当期純利益 |
|---|---|---|---|
| 2021年10月期 | 27,784百万ドル | 1,132百万ドル | 3,427百万ドル |
| 2022年10月期 | 28,496百万ドル | 782百万ドル | 868百万ドル |
| 2023年10月期 | 29,135百万ドル | 2,089百万ドル | 2,025百万ドル |
| 2024年10月期 | 30,127百万ドル | 2,190百万ドル | 2,579百万ドル |
| 2025年10月期 | 34,296百万ドル | △437百万ドル | 57百万ドル |
売上高は30,127百万ドルから34,296百万ドルへ13.8%増えました。ところが営業損益は2,190百万ドルの利益から437百万ドルの損失に転じ、当期純利益は2,579百万ドルから57百万ドルへ減っています。
損益計算書の内訳を見ると、どこで反転したかが分かります。
| 項目 | 2025年10月期 | 対売上比 | 2024年10月期 | 対売上比 |
|---|---|---|---|---|
| 無形資産の償却 | 511百万ドル | 1.5% | 267百万ドル | 0.9% |
| 減損費用 | 1,621百万ドル | 4.7% | - | - |
| 変革費用 | 2百万ドル | - | 93百万ドル | 0.3% |
| 買収・売却等に関連する費用 | 458百万ドル | 1.3% | 211百万ドル | 0.7% |
| 営業損益 | △437百万ドル | △1.3% | 2,190百万ドル | 7.3% |
2025年10月期に新しく乗ったのが減損費用1,621百万ドルです。あわせて買収・売却等に関連する費用が211百万ドルから458百万ドルへ、無形資産の償却が267百万ドルから511百万ドルへ増えています。
背景には大型買収があります。Form 10-Kには、2025年7月2日にJuniper Networks, Inc.の買収を完了し、総対価は13.6十億ドルであったと記載されています。総資産は71,262百万ドルから75,906百万ドルへ増え、株主資本は24,816百万ドルから24,688百万ドルとほぼ横ばいです。
エージェントベストの見解
「HPEは赤字なのか」という質問を受けることがあります。決算を段階で分けて読んでください。2025年10月期の売上高は34,296百万ドルで、前期の30,127百万ドルから13.8%増えています。営業損益が437百万ドルの損失になったのは、この期に減損費用1,621百万ドルが乗り、買収・売却等に関連する費用が458百万ドル、無形資産の償却が511百万ドルへ増えたためです。背景には2025年7月2日に完了したJuniper Networksの買収(総対価13.6十億ドル)があります。つまり事業が縮んだのではなく、大型買収の会計処理が最終損益を押し下げた期です。ただし転職を検討する側にとっては、別の意味があります。買収直後の会社は、組織統合が進む局面に入ります。ポジションの位置づけや上長のレポートラインが動きやすい時期でもある、という前提で面接に臨んでください。
開示された情報から読み取れること
以下は、親会社のForm 10-Kと日本語公式サイトから読み取れる範囲の整理です。個別の口コミではなく、開示された情報をもとにしています。
年収・評価制度
日本ヒューレット・パッカードの平均年間給与は公開されていません。非上場で自社の有価証券報告書がなく、公式サイトにも給与の記載がないためです。
親会社のForm 10-Kには、報酬制度について人材の獲得と定着を目的とした取り組みが記載されていますが、国別の給与水準は開示されていません。
待遇は選考の過程でご確認ください。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
ワークライフバランス
日本法人の残業時間や休業取得率は公開されていません。
日本語公式サイトには、働き方の多様な選択肢を提供し、その活用をチームメンバーの主体性に委ねることで自律性を促進しているという記述があります。具体的な制度の内容と適用範囲は公開されていません。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
キャリア・成長機会
親会社のForm 10-Kには、約67,000人のチームメンバーが過去1年間に721,000件を超えるオンラインおよび講師主導のコースを受講したと記載されています。分野としてリーダーシップ、インクルージョン、専門スキル、技術研修等が挙げられています。
事業戦略としては、ネットワーク向けのAIとAI向けのネットワークという2つの方向が示されており、Juniper Networksの買収がネットワーク技術の全スタックを揃えるものと位置づけられています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
社風・人間関係
日本語公式サイトには、1939年にBill HewlettとDave Packardが貸しガレージで会社を設立したこと、同じイノベーションの精神を引き継いでいることが記載されています。
また、創業から受け継がれる基本的な価値観として多様性の尊重が挙げられています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
アジア太平洋・日本は売上の約20.2%
Form 10-Kには地域別の売上高が開示されています。日本を含む区分がどの程度の規模かを確認できます。
| 地域 | 2025年10月期 | 2024年10月期 | 2023年10月期 |
|---|---|---|---|
| 米州(うち米国) | 15,848百万ドル(13,402百万ドル) | 13,235百万ドル(10,890百万ドル) | 12,577百万ドル(10,369百万ドル) |
| 欧州・中東・アフリカ | 11,510百万ドル | 10,189百万ドル | 10,151百万ドル |
| アジア太平洋・日本 | 6,938百万ドル | 6,703百万ドル | 6,407百万ドル |
| 合計 | 34,296百万ドル | 30,127百万ドル | 29,135百万ドル |
アジア太平洋・日本は6,938百万ドルで、全体の約20.2%です。前期の6,703百万ドルからは3.5%増えました。
一方で米州は13,235百万ドルから15,848百万ドルへ19.7%増え、うち米国が10,890百万ドルから13,402百万ドルへ23.1%増えています。全体の増収13.8%を牽引したのは米国です。アジア太平洋・日本の伸びは3.5%で、全体の伸び率を下回ります。
この区分には日本以外の国も含まれるため、日本単独の数値は読み取れません。ただし「本社のある米国が伸びを牽引し、アジア太平洋・日本は緩やかに伸びている」という関係は把握できます。
向いている人/向いていない人
向いている人
AI・クラウド・ネットワークの領域で仕事をしたい方
日本語公式サイトでは、AI、クラウド、ネットワーキングの力を結集することが会社の位置づけとして示されています。Form 10-Kでも同じ3領域が事業戦略の柱に挙げられています。
大型買収後の統合局面に関わることを前向きに捉えられる方
2025年7月2日にJuniper Networksの買収が完了し、総対価は13.6十億ドルと記載されています。ネットワーク技術の全スタックを揃える狙いが示されています。
グローバル本社の方針が事業に強く反映される環境に向く方
地域別売上では米州が15,848百万ドルで全体の約46.2%を占めます。日本を含むアジア太平洋・日本は6,938百万ドルです。
向いていない人
入社前に日本法人の規模や年収を数字で確認したい方
日本法人の資本金・設立・従業員数・平均年収は、いずれも公式サイトに掲載されていません。
業績が安定して積み上がる局面を求める方
親会社の当期純利益は2,579百万ドルから57百万ドルへ、営業損益は2,190百万ドルの利益から437百万ドルの損失へ動きました。減損費用1,621百万ドルの計上によるものです。
エージェントベストの見解
外資系ITの日本法人を受けるとき、多くの方が「グローバルの数字」と「自分の職場の実態」を混同します。この会社ではその距離が特にはっきりしています。読める数字は親会社のもので、売上34,296百万ドル、約67,000人のチームメンバー、アジア太平洋・日本の売上6,938百万ドル。一方、日本法人の従業員数も年収も公表されていません。だから面接では、次の3点を自分から確認してください。1つ目は、応募ポジションが日本市場向けなのか、アジア太平洋の広域を見るのか。2つ目は、レポートラインが日本国内か海外かで、評価を誰がするのか。3つ目は、Juniper Networksの買収に伴う組織統合が、そのポジションにどう影響するか。この3点は求人票にはまず書かれていませんが、入社後の働き方を最も左右します。数字が出ていない会社ほど、聞くべきことを決めて臨む価値があります。
選考に向けた準備
応募の前に確かめること
日本ヒューレット・パッカードは非上場で、日本法人の会社概要の数値は公式サイトに掲載されていません。読める一次情報は親会社Hewlett Packard Enterprise CompanyのForm 10-Kです。
親会社の会計年度は10月末で終わります。3月決算の日本企業と業績を比較するときは、対象期間を揃えてください。
なお、社名が似た企業としてHP Inc.があります。パソコンやプリンターを扱う法人は別会社です。応募先の正式名称を確認してください。
募集要項の詳細は公式の採用ページでご確認ください。
志望動機で問われること
「なぜエンタープライズITか」と「なぜHPEか」の2段で組み立てます。
前者については、サーバー・ストレージなどの基盤、クラウド、ネットワーキング、AI向けインフラのどこに関わりたいのかを具体化します。
後者の材料はForm 10-Kにあります。2025年10月期の売上高が34,296百万ドルで前期比13.8%増えたこと。2025年7月2日にJuniper Networksの買収を総対価13.6十億ドルで完了したこと。減損費用1,621百万ドルにより営業損益が437百万ドルの損失になったこと。地域別売上でアジア太平洋・日本が6,938百万ドル(全体の約20.2%)であること。約67,000人のチームメンバーが年間721,000件を超える研修を受講していること。
「買収でネットワークの全スタックを揃えにいった局面である」という点に触れられると、下調べの深さが伝わります。
職務経歴書で見られるポイント
外資系ITの中途採用では、担当した製品・顧客と、そこで動かした数値が読まれます。
法人営業の経験がある方は、担当した業種と顧客規模、扱った製品、受注金額と達成率を書きます。
プリセールス・ソリューションアーキテクトの経験がある方は、担当した技術領域と、提案が受注にどう結びついたかを書きます。
インフラ構築・運用の経験がある方は、扱ったサーバー・ストレージ・ネットワークの規模と、可用性や運用コストをどう改善したかを書きます。
ネットワーク領域の経験がある方は、担当した機器と設計規模、移行や統合をどう進めたかを書きます。Juniper Networksの買収でこの領域は厚くなりました。
パートナー・アライアンスの経験がある方は、担当した販売パートナーの数と、共同で作った案件の規模を書きます。
いずれの場合も、案件ごとに、置かれていた状況、自分が選んだ打ち手、動いた数値を短く添えます。
まとめ
日本ヒューレット・パッカードは非上場で、日本法人の資本金・設立・従業員数・平均年収は公式サイトに掲載されていません。読める一次情報は親会社Hewlett Packard Enterprise CompanyのForm 10-Kです。2025年10月期(2024年11月1日から2025年10月31日まで)の売上高は34,296百万ドルで前期比13.8%増、営業損益は437百万ドルの損失、当期純利益は57百万ドルです。営業損益が損失に転じた主因は、この期に計上された減損費用1,621百万ドルで、あわせて買収・売却等に関連する費用が458百万ドル、無形資産の償却が511百万ドルへ増えています。2025年7月2日にJuniper Networks, Inc.の買収を総対価13.6十億ドルで完了しました。地域別売上は米州15,848百万ドル、欧州・中東・アフリカ11,510百万ドル、アジア太平洋・日本6,938百万ドル(全体の約20.2%)です。約67,000人のチームメンバーが年間721,000件を超える研修を受講したと記載されています。
よくある質問
Q. 日本ヒューレット・パッカードの年収はどのくらいですか。
A. 日本法人の平均年間給与は公開されていません。非上場で自社の有価証券報告書がなく、公式サイトの日本語ページにも会社概要の数値や給与の記載がないためです。親会社Hewlett Packard Enterprise CompanyのForm 10-Kにも国別の給与水準は開示されていません。転職サイトや企業データベースに載る数字は出典が確認できないため、本記事では扱っていません。等級と評価の仕組みを含め、待遇は選考の過程でご確認ください。
Q. 業績が悪いのではないですか。
A. 親会社の2025年10月期は、売上高34,296百万ドルで前期の30,127百万ドルから13.8%増えています。一方で営業損益は2,190百万ドルの利益から437百万ドルの損失へ転じ、当期純利益は2,579百万ドルから57百万ドルへ減りました。主因はこの期に計上された減損費用1,621百万ドルで、あわせて買収・売却等に関連する費用が211百万ドルから458百万ドルへ、無形資産の償却が267百万ドルから511百万ドルへ増えています。背景には2025年7月2日に完了したJuniper Networksの買収(総対価13.6十億ドル)があります。段階を分けて読むと、増収のなかで買収の会計処理が最終損益を押し下げた期だと分かります。
Q. HP Inc.とは違う会社ですか。
A. 社名が似ていますが別の会社です。本記事で扱う親会社はHewlett Packard Enterprise Companyで、Form 10-Kによれば事業の中心はAI、クラウド、ネットワーキングを含むエンタープライズ向けの技術です。2025年7月2日にJuniper Networks, Inc.の買収を完了し、ネットワーク技術の全スタックを揃えたと記載されています。応募の際は、求人がどちらの法人のものかを正式名称で確認してください。
本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづいています。最新の募集要項や選考プロセスは、各社の公式サイトでご確認ください。
- Hewlett Packard Enterprise Company Form 10-K(2025年10月期・2025年12月18日提出)
- Hewlett Packard Enterpriseについて(HPE 日本 公式サイト)
本記事は 2026/8/8 時点の公開情報にもとづいて作成しています。