ロームの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
ロームの有価証券報告書 第68期(2026年3月期)を見ると、経常利益は19,222百万円で前期の29,698百万円の経常損失から黒字に戻りました。ところが親会社株主に帰属する当期純損失は158,424百万円で、前期の50,065百万円から約3.2倍に拡大しています。有報が挙げる理由は、BEV市場の成長見通しの下振れを受けたSiC事業の減損です。この記事では、その構造を有報から整理します。
本業は戻り、最終損益はさらに沈んだ
| 回次 | 決算年月 | 売上高 | 経常利益又は経常損失 | 親会社株主に帰属する当期純利益又は当期純損失 | 自己資本比率 | 自己資本利益率 | 従業員数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 第64期 | 2022年3月 | 452,124百万円 | 82,551百万円 | 66,827百万円 | 81.6% | 8.3% | 23,401人 |
| 第65期 | 2023年3月 | 507,882百万円 | 109,530百万円 | 80,375百万円 | 81.4% | 9.2% | 23,754人 |
| 第66期 | 2024年3月 | 467,780百万円 | 69,200百万円 | 53,965百万円 | 65.3% | 5.7% | 23,319人 |
| 第67期 | 2025年3月 | 448,466百万円 | △29,698百万円 | △50,065百万円 | 61.7% | △5.4% | 22,608人 |
| 第68期 | 2026年3月 | 481,148百万円 | 19,222百万円 | △158,424百万円 | 59.1% | △19.2% | 21,756人 |
売上高は前期比7.3%増の481,148百万円です。有報によれば、自動車市場と民生機器市場の増収に加え、産業機器市場でも増収となったことによります。
営業利益は10,864百万円で、前期の営業損失40,061百万円から黒字転換しました。売上高の増加に加え、前期の構造改革による固定費削減の効果が寄与したと記載されています。経常利益も19,222百万円で、前期の経常損失29,698百万円から戻りました。
にもかかわらず、親会社株主に帰属する当期純損失は158,424百万円です。有報の説明は明快で、バッテリー式電気自動車(BEV)市場の成長見通しが従来想定を下回るものになったことを受け、SiC事業の固定資産を中心に多額の減損損失を計上した結果とされています。
財務にも影響が出ています。自己資本比率は61.7%から59.1%へ、純資産額は889,655百万円から758,616百万円へ減りました。提出会社単体では自己資本比率が43.2%から29.5%へ下がり、当期純損失は160,265百万円です。
一方でキャッシュは積み上がっています。営業活動によるキャッシュ・フローは89,448百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは108,594百万円の収入で、現金及び現金同等物の期末残高は234,966百万円から428,714百万円へ増えました。
半導体素子だけがセグメント損失
第68期のセグメント別の数値です。外部顧客に対するものと有報に注記されています。
| セグメント | 売上高 | 前期比 | セグメント利益又は損失 | 前期のセグメント利益又は損失 |
|---|---|---|---|---|
| LSI | 218,390百万円 | +7.1% | 24,535百万円 | △767百万円 |
| 半導体素子 | 205,263百万円 | +9.7% | △22,704百万円 | △45,899百万円 |
| モジュール | 31,589百万円 | △3.0% | 3,522百万円 | 2,691百万円 |
| その他 | 25,903百万円 | +3.5% | 4,104百万円 | 2,524百万円 |
LSIは前期の767百万円のセグメント損失から24,535百万円の利益へ転じました。有報には、自動車市場でADAS向け製品が調整局面となる一方、ボディ向けやxEV向けを中心とした高付加価値商品が伸長したこと、産業機器市場が回復傾向となったこと、民生機器市場でアミューズメント向けが堅調だったこと、コンピュータ&ストレージ市場でサーバー向けが回復傾向だったことが記載されています。
半導体素子は売上高が9.7%増えたものの、22,704百万円のセグメント損失です。前期の45,899百万円の損失からは縮小しました。この区分にSiCパワーデバイスが含まれます。有報には、SiCパワーデバイスについて自動車市場のxEV向け製品の売上が堅調に推移したとあります。
モジュールは唯一の減収です。プリントヘッドの事務機向けが増加した一方、オプティカル・モジュールで車載向けLEDモジュールの売上が減少しました。
受注の側は別の絵になります。
| セグメント | 受注高 | 前年同期比 | 受注残高 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 半導体素子 | 242,942百万円 | +40.6% | 114,631百万円 | +49.0% |
| LSI | 236,689百万円 | +18.6% | 89,772百万円 | +25.6% |
| モジュール | 31,376百万円 | +0.3% | 12,375百万円 | △1.7% |
| その他 | 26,547百万円 | +3.8% | 7,855百万円 | +8.9% |
| 合計 | 537,555百万円 | +25.2% | 224,634百万円 | +33.5% |
セグメント損失を出している半導体素子の受注高が40.6%増、受注残高が49.0%増で、いずれも4セグメントで最大の伸びです。合計の受注高537,555百万円は売上高481,148百万円を上回ります。
損益と受注が逆を向いている期、という読み方ができます。
開示された数値から読み取れること
以下は、有価証券報告書と公表情報から読み取れる範囲の整理です。個別の口コミではなく、開示された数値をもとにしています。
年収・評価制度
提出会社の平均年間給与は8,035千円です。従業員4,199人、平均年齢42.4歳、平均勤続年数14.0年、対前事業年度増減率は0.8%の減少。賞与及び基準外賃金を含みます。
有報には、職責・貢献度及び専門性に基づいた公正かつ市場競争力のある報酬体系を構築していること、グループ幹部及び高度専門職の従業員に対し「年俸制」を導入し、その一部として会社業績に連動する金銭報酬を導入していることが記載されています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
ワークライフバランス
有報に労働時間の数値の記載はありません。連結従業員数は21,756人で、前期の22,608人から852人減っています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
キャリア・成長機会
有報には、複数の事業セグメントに跨って事業活動を行っている部門が多く、セグメント情報と関連付けた適切な従業員数を記載することが困難であるため、合計従業員数を記載していると注記されています。人財を最も重要な経営資本と位置付け、自律的に成長するプロフェッショナル人財が能力を発揮できる環境を整備するとしています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
社風・人間関係
有報には労使関係は良好であり特記すべき事項はないと記載されています。ローム株式会社の管理職に占める女性労働者の割合は1.5%、役員に占める女性の割合は20.0%、男女の賃金の差異は全労働者で67.0%です。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
エージェントベストの見解
この会社の求人を検討するなら、「赤字の中身」を分けて読んでください。第68期の親会社株主に帰属する当期純損失158,424百万円だけを見ると、事業が崩れているように見えます。しかし営業利益は10,864百万円、経常利益は19,222百万円で、いずれも前期の損失から黒字に戻っています。損失の主因は、BEV市場の成長見通しの下振れを受けたSiC事業の固定資産を中心とする減損損失です。過去に積んだ投資の見積りを切り下げた結果であって、当期の稼ぐ力が落ちたわけではありません。営業活動によるキャッシュ・フローも89,448百万円の収入です。そのうえで押さえておきたいのは、減損の対象になったSiC事業がこれからの主戦場でもある、という点です。半導体素子セグメントは22,704百万円のセグメント損失ですが、受注高は40.6%増、受注残高は49.0%増と4セグメントで最も伸びています。面接では、この矛盾をどう受け止めているかを自分の言葉で言えるかどうかが分かれ目になります。
報酬について確認できること
有価証券報告書によると、提出会社の平均年間給与は8,035千円です。従業員数4,199人、平均年齢42.4歳、平均勤続年数14.0年、対前事業年度増減率は0.8%の減少です。
同じく半導体メーカーの提出会社ベースで並べると、位置関係が見えます。
| 会社 | 平均年間給与 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 提出会社の従業員数 | 連結従業員数 |
|---|---|---|---|---|---|
| ローム株式会社 | 8,035千円 | 42.4歳 | 14.0年 | 4,199人 | 21,756人 |
| ルネサスエレクトロニクス株式会社 | 7,495,552円 | 48.5歳 | 23.4年 | 6,025名 | 21,629人 |
各社の有価証券報告書によります。決算期が異なります(ロームは2026年3月期、ルネサスエレクトロニクスは2025年12月期)。ルネサスエレクトロニクスの平均勤続年数は、株式会社日立製作所、三菱電機株式会社、日本電気株式会社およびこれらの関係会社からの勤続年数を通算した数値です。
連結従業員数はほぼ同規模ですが、ロームは平均年齢が約6歳若く、平均勤続年数も約9年短い構成です。
平均年齢42.4歳から平均勤続年数14.0年を差し引くと、入社時の年齢は約28.4歳になります。
対前事業年度増減率が0.8%の減少である点も見ておいてください。売上高が7.3%増えた期に、平均年間給与は下がっています。有報にはグループ幹部及び高度専門職に年俸制を導入し、その一部を会社業績に連動する金銭報酬としていると記載されています。
実額は選考の過程で確認してください。
2028年度までの構造改革の途中にある
有報には、2028年度を最終年度とする第2期中期経営計画「MOVING FORWARD to 2028」を策定したことが記載されています。
掲げられているのは、市況変動に左右されない強固な事業基盤の構築と、将来の企業規模拡大に向けた収益性の改善です。具体的な施策として次の4つが挙げられています。
- 生産拠点再編
- 事業ポートフォリオ適正化
- 価格適正化などの構造改革
- SiC事業の収益化
直近の取り組みとしては、設備投資を必要最小限にすることで固定費の増加を抑制したこと、原材料費などのコスト上昇を踏まえた価格転嫁の交渉を進めたことが記載されています。
数字にも表れています。投資活動によるキャッシュ・フローは第66期に431,952百万円の支出でしたが、第68期は108,594百万円の収入に転じました。設備投資を絞り、資産を整理する局面に入っていることが分かります。
従業員数も減っています。連結では第65期の23,754人から第68期の21,756人へ1,998人減りました。
つまりいま応募する方は、投資拡大の局面ではなく、絞り込みと収益化の局面に入る、ということになります。生産実績は合計479,890百万円で前年同期比10.2%増ですから、生産の量そのものは増えています。
向いている人/向いていない人
向いている人
パワー半導体の立ち上げに関わりたい方
半導体素子セグメントの受注高は242,942百万円で前年同期比40.6%増、受注残高は114,631百万円で49.0%増と、4セグメントで最も伸びています。
構造改革の局面で成果を出したい方
第2期中期経営計画「MOVING FORWARD to 2028」では、生産拠点再編、事業ポートフォリオ適正化、価格適正化、SiC事業の収益化が施策として挙げられています。
財務の余裕がある会社で長い開発に取り組みたい方
自己資本比率は59.1%、現金及び現金同等物の期末残高は428,714百万円です。
向いていない人
業績が安定している会社を求める方
親会社株主に帰属する当期純損益は第65期の80,375百万円の利益から第68期の158,424百万円の損失まで振れています。
投資が拡大していく局面に加わりたい方
有報には、設備投資を必要最小限にすることで固定費の増加を抑制したと記載されています。
エージェントベストの見解
面接の終盤で問われるのは、「SiCをどう見ているか」です。ここは避けて通れません。有報には、BEV市場の成長見通しが従来想定を下回るものになったことを受けてSiC事業の固定資産を中心に多額の減損損失を計上した、と明記されています。同時に中期経営計画では「SiC事業の収益化」が施策として掲げられ、半導体素子セグメントの受注高は40.6%増、受注残高は49.0%増です。減損した事業を、これから収益化する。この一見矛盾した状況をどう理解しているかが問われます。準備としてお伝えしているのは、「市場の伸びが想定より遅い」ことと「市場が消える」ことを区別して話せるようにしておくことです。そのうえで、自分の経験のうち「立ち上がりが遅れた製品の収益性を改善した話」や「歩留まり・原価を動かした話」を用意しておくと噛み合います。台数が伸びる前提で語ると、この会社の現在地とずれます。募集の有無と勤務地は、公式の採用ページでご確認ください。
選考に向けた準備
応募の前に確かめること
連結従業員数は21,756人、提出会社は4,199人です。グループにはローム浜松株式会社、ローム・ワコー株式会社、ローム・アポロ株式会社、ローム・メカテック株式会社、ラピスセミコンダクタ株式会社などがあり、求人がどの法人のものかで条件が変わります。
セグメントを確認してください。LSI、半導体素子、モジュール、その他では、損益の状況も市場も違います。ただし有報には、複数のセグメントに跨る部門が多く従業員数をセグメント別に記載することが困難と注記されています。
決算期は3月です。他社と業績を比較するときは対象期間を揃えてください。
募集要項の詳細は公式の採用ページでご確認ください。
志望動機で問われること
「なぜ半導体か」と「なぜロームか」の2段で組み立てます。
前者については、LSI、パワーデバイス、モジュール、抵抗器など、志望する領域を具体化します。
後者の材料は有報にあります。営業利益が40,061百万円の損失から10,864百万円の利益へ転じたこと。それでも当期純損失が158,424百万円に拡大した理由がSiC事業の減損であること。LSIセグメントが767百万円の損失から24,535百万円の利益へ転じたこと。半導体素子の受注高が40.6%増、受注残高が49.0%増であること。合計の受注高537,555百万円が売上高481,148百万円を上回ること。中期経営計画「MOVING FORWARD to 2028」でSiC事業の収益化が掲げられていること。
「損益と受注が逆を向いている」という点に触れられると、下調べの深さが伝わります。
職務経歴書で見られるポイント
半導体の中途採用では、担当した製品領域と、そこで動かした数値が読まれます。
デバイス・プロセス開発の経験がある方は、担当した材料やプロセスと、量産までの期間、歩留まりや特性をどれだけ動かしたかを書きます。SiCや化合物半導体の経験があれば明記します。
回路設計の経験がある方は、担当した製品分野とプロセスノード、量産規模を書きます。
生産技術・製造の経験がある方は、担当した工程と生産数量、稼働率や原価の改善幅を書きます。生産拠点再編が施策に挙がっている会社では、この経験は読まれます。
品質・信頼性の経験がある方は、担当した製品群と、車載規格への適合や不良率でどこを担ったかを書きます。
技術営業・アプリケーションエンジニアの経験がある方は、担当した顧客の業種と設計採用の件数、価格交渉で動かした条件を書きます。価格適正化が施策に挙がっている点と噛み合います。
いずれの場合も、案件ごとに、置かれていた状況、自分が選んだ打ち手、動いた数値を短く添えます。
まとめ
ロームは東証プライム市場に上場する半導体メーカーで、有価証券報告書 第68期(2026年3月期)の売上高は481,148百万円(前期比7.3%増)、営業利益10,864百万円(前期は営業損失40,061百万円)、経常利益19,222百万円(同経常損失29,698百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失158,424百万円(同損失50,065百万円)、自己資本比率59.1%、連結従業員数21,756人です。最終損失の主因は、BEV市場の成長見通しが従来想定を下回ったことを受けたSiC事業の固定資産を中心とする減損損失です。セグメント別ではLSIが売上高218,390百万円・セグメント利益24,535百万円、半導体素子が205,263百万円・セグメント損失22,704百万円、モジュールが31,589百万円・利益3,522百万円、その他が25,903百万円・利益4,104百万円。一方で受注高は合計537,555百万円(前年同期比25.2%増)と売上高を上回ります。提出会社の従業員数は4,199人、平均年齢42.4歳、平均勤続年数14.0年、平均年間給与8,035千円(対前事業年度0.8%減)です。
よくある質問
Q. ロームの年収はどのくらいですか。
A. 有価証券報告書 第68期(2026年3月期)によると、提出会社の平均年間給与は8,035千円(従業員4,199人、平均年齢42.4歳、平均勤続年数14.0年)です。賞与及び基準外賃金を含み、対前事業年度増減率は0.8%の減少です。ただしこれは提出会社に所属する4,199人についての数値で、連結21,756人の約19.3%にあたります。国内外の子会社に所属する場合は水準が異なります。有報には、グループ幹部及び高度専門職の従業員に「年俸制」を導入し、その一部として会社業績に連動する金銭報酬を導入していると記載されています。実額は選考の過程でご確認ください。
Q. 大きな赤字ですが事業は大丈夫なのですか。
A. 段階を分けて見る必要があります。第68期の親会社株主に帰属する当期純損失は158,424百万円ですが、営業利益は10,864百万円、経常利益は19,222百万円で、いずれも前期の損失から黒字に戻っています。有価証券報告書によれば、最終損失の主因はバッテリー式電気自動車(BEV)市場の成長見通しが従来想定を下回るものになったことを受けた、SiC事業の固定資産を中心とする減損損失です。営業活動によるキャッシュ・フローは89,448百万円の収入、現金及び現金同等物の期末残高は428,714百万円で前期から増えています。自己資本比率は59.1%です。
Q. どのセグメントが伸びていますか。
A. 第68期の売上高はLSIが218,390百万円(前期比7.1%増)、半導体素子が205,263百万円(同9.7%増)、モジュールが31,589百万円(同3.0%減)、その他が25,903百万円(同3.5%増)です。セグメント損益ではLSIが24,535百万円の利益(前期は767百万円の損失)へ転じた一方、半導体素子は22,704百万円の損失(同45,899百万円の損失)でした。ただし受注では半導体素子の受注高が242,942百万円で前年同期比40.6%増、受注残高が114,631百万円で同49.0%増と4セグメントで最も伸びています。合計の受注高537,555百万円は売上高481,148百万円を上回ります。
本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづいています。最新の募集要項や選考プロセスは、各社の公式サイトでご確認ください。
本記事は 2026/8/6 時点の公開情報にもとづいて作成しています。