UTグループの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
UTグループは、有価証券報告書を読むときに最も注意が要る企業のひとつです。開示されている平均年間給与を単純に読むと、実際に働く人の水準とはかなり違う数字を見ることになります。この記事では、同社が提出した有価証券報告書の記載だけを使って構造を整理し、転職を検討する際の見方を解説します。2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項は公式サイトをご確認ください。
会社概要と、4つの事業セグメント
まず基本情報を整理します。以下は同社が提出した有価証券報告書(第19期・2026年3月期)の記載です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | UTグループ株式会社 |
| 英訳名 | UT Group Co.,Ltd. |
| 対象事業年度 | 第19期(2025年4月1日〜2026年3月31日) |
| 提出先 | 関東財務局長 |
連結の従業員数は、セグメント別に以下のとおり記載されています。
| セグメント | 従業員数(名) |
|---|---|
| モーター・エナジー事業 | 8,560 |
| セミコンダクター事業 | 6,898 |
| エージェント事業 | 15,663 |
| ネクストキャリア事業 | 2,936 |
| 全社(共通) | 715 |
| 合計 | 34,772 |
従業員数は就業人数であり、契約社員及びパートタイマーを含む旨が注記されています。
3万人を超える規模で、そのうちエージェント事業が15,663名と最大です。モーター・エナジー、セミコンダクターという区分からも、製造領域を主戦場とする企業であることが読み取れます。
同報告書には、前連結会計年度末に比べ従業員数が121名減少した理由として、国内事業をこの4つのセグメントに再定義した中期経営計画の刷新の方向性に対応するものであり、人員を事業戦略上の重点分野に集中させるための体制整備によるものである旨が記載されています。
提出会社247名という数字を読み違えない
有価証券報告書には、提出会社単体の従業員データも記載されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 従業員数 | 247名 |
| 平均年齢 | 40.3歳 |
| 平均勤続年数 | 7.2年 |
| 平均年間給与 | 4,514千円 |
| 平均年間給与の対前事業年度増減率 | △12.0% |
連結34,772名に対して、提出会社は247名です。同報告書には、当社は純粋持株会社であり、連結会社の状況において当社の従業員数は全社(共通)に含まれている旨が注記されています。
つまりこの247名は、グループを統括する持株会社の人員です。平均年間給与4,514千円も、この247名の平均であって、グループで働く3万人超の水準ではありません。
なお同社の平均年間給与には、賞与、基準外賃金に加えて確定拠出型年金の掛金を含む旨が注記されています。他社の開示と横に並べる際は、この範囲の違いを踏まえる必要があります。
最大人員会社の開示が、実態に近い
この会社の有価証券報告書には、多くの企業には無い区分があります。最大人員会社の状況です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | UTエージェント株式会社 |
| 従業員数 | 15,663名 |
| 平均年齢 | 39.3歳 |
| 平均勤続年数 | 3.2年 |
| 平均年間給与 | 2,995千円 |
| 平均年間給与の対前事業年度増減率 | 3.1% |
当事業年度における従業員数が最も多い会社として開示されているものです。
持株会社の247名(平均年間給与4,514千円)と、最大人員会社の15,663名(平均年間給与2,995千円)。同じ有価証券報告書のなかに、1,500千円以上の差がある2つの数値が並んでいます。
グループで働く人数の比率から考えれば、後者のほうが実態に近い水準です。転職を検討する際に参照すべきは、応募先がどちらの会社なのかによって変わります。
平均勤続年数も、持株会社の7.2年に対して最大人員会社は3.2年です。人員の入れ替わりの速さが異なることが読み取れます。
評判の傾向
公開されている口コミの傾向を、カテゴリ別に要約します。個別の投稿を引用するものではなく、全体として見られる傾向の整理です。
年収・評価制度について。 配属先や職種による差が大きいという趣旨の投稿が見られます。前掲のとおり、グループ内で会社が分かれ、開示上も水準に差があることを反映していると考えられます。
ワークライフバランスについて。 勤務地や配属される現場によって条件が変わるという内容が見られます。製造領域を主戦場とする事業構造上、就業先の環境に左右される面があると推測されます。
キャリア・成長機会について。 資格取得や技能習得の支援に触れる投稿が見られます。一方で、キャリアの進み方が配属に依存するという指摘もあります。
社風・人間関係について。 現場ごとに雰囲気が異なるという趣旨の内容が見られます。
出典:OpenWork等の公開口コミの傾向
口コミを読む際は、投稿者がどの会社・どの事業に所属していたかを意識する必要があります。前掲のとおり、グループ内で会社が分かれており、開示された数値にも大きな差があります。
年収を判断するときの見方
この会社に関しては、どの数値を見るかで判断が変わります。
持株会社の4,514千円を見れば平均的な水準に見え、最大人員会社の2,995千円を見れば別の印象になります。どちらも同じ有価証券報告書に記載された事実です。
参考として職種側の統計を挙げると、厚生労働省が運営する職業情報提供サイト job tag では、経営コンサルタントの平均年収が1,134.6万円、平均年齢39.4歳と示されています。令和7年賃金構造基本統計調査にもとづく数値です。持株会社の管理部門や経営企画に応募する場合は、この種の統計も参照先になります。
いずれにせよ、応募先の会社名と職種を特定しないまま「UTグループの年収」を語ることはできません。求人票の募集主体を確認することが出発点になります。
エージェントベストの見解
公開されている平均年間給与4,514千円を、この会社の水準として受け取ると判断を誤ります。これは持株会社247名の平均です。同じ有価証券報告書に、最大人員会社15,663名の平均年間給与2,995千円が併記されています。1,500千円以上の差が、同じ書類のなかにあるわけです。転職の相談でこの種の誤解は多く、しかも本人は開示資料を見て判断しているつもりなので気づきにくい。この会社に限らず、持株会社体制の企業を検討するときは、提出会社の従業員数が連結に対して極端に少なくないかを最初に確認することです。少なければ、その数値はグループの実態を示していません。
働き方とキャリア形成の特徴
事業構成から働き方を推し量ると、配属される事業によって環境が変わることが読み取れます。
モーター・エナジー事業8,560名、セミコンダクター事業6,898名という規模は、製造領域での就業を前提とした人員配置です。エージェント事業15,663名は、さらに大きな規模を持ちます。
同報告書には、中期経営計画の刷新に伴い国内事業を4つのセグメントに再定義し、人員を事業戦略上の重点分野に集中させるための体制整備を行った旨が記載されています。組織の区分と人員配置が動いている局面にあることが読み取れます。
キャリア形成という観点では、グループ内に複数の会社と事業があることが特徴になります。ただし、会社間の異動がどう運用されているかは開示資料からは読み取れません。選考時に確認する価値があります。
平均勤続年数が持株会社7.2年、最大人員会社3.2年と差がある点も、キャリアの見通しを立てるうえで押さえておきたい情報です。
向いている人・向いていない人
向いている人
第一に、応募先の会社と職種を自分で確認できる人です。グループ内で会社が分かれ、水準にも差がある構造を踏まえて判断できる人は、入社後のずれが小さくなります。
第二に、製造領域の事業構造に関心がある人です。モーター・エナジー、セミコンダクターという区分が示すとおり、この領域が主戦場です。
第三に、規模の大きい組織の仕組みづくりに関わりたい人です。3万人を超える人員を抱える体制の運営には、制度設計や管理の職務が伴います。
向いていない人
第一に、開示されている平均年間給与をそのまま自分の想定額とする人です。前述のとおり、参照先を誤ると期待と実態が大きく離れます。
第二に、一つの現場や職務に長く留まりたい人です。中期経営計画の刷新に伴う体制整備が進んでいる局面では、組織の区分が動く可能性があります。
選考に向けた準備
募集主体を確認する。 求人票がどの会社の募集かを最初に見ます。持株会社なのか事業会社なのかで、処遇も職務も変わります。
事業セグメントを踏まえた志望動機を作る。 4つのセグメントのどこに関心があるのかを特定して書きます。会社名だけを挙げた志望動機では、構造を把握していないと読まれます。
職務経歴書では規模と役割を数値で書く。 管理部門であれば担当した対象人数や拠点数、事業側であれば担当領域と関与した工程を記載します。読み手が経験の水準を判断できる情報を先に置きます。
エージェントベストの見解
この会社を検討する方は、他の人材サービス企業、製造業の生産管理職、そして人材紹介会社を並行して比較しているケースが多く見られます。判断が割れるのは、規模の大きさをどう評価するかという点です。3万人を超える組織では、制度や仕組みが整っている一方、個人の裁量が及ぶ範囲は限られます。小規模な組織はその逆です。選考の段階で、自分が仕組みを回す側に立ちたいのか、仕組みを作る側に立ちたいのかを言語化しておくと、面接での受け答えに一貫性が出ます。この会社は前者の職務が多い構造なので、後者を求める場合は募集内容をよく確認したほうがよいと思います。
まとめ
UTグループは、有価証券報告書の読み方に注意が要る企業です。連結34,772名に対し、提出会社は247名にとどまります。純粋持株会社であるため、開示されている平均年間給与4,514千円はグループの水準を示しません。
同報告書には最大人員会社の状況も併記されており、UTエージェント株式会社の15,663名について平均年間給与2,995千円、平均勤続年数3.2年と記載されています。実態に近いのはこちらの数値です。
応募にあたっては、募集主体がどの会社か、どのセグメントに紐づく職務かを確認することが要点になります。
よくある質問
Q. 平均年収450万円程度と考えてよいですか。
開示されている4,514千円は、純粋持株会社である提出会社の従業員247名の平均です。同じ有価証券報告書に、最大人員会社15,663名の平均年間給与2,995千円が併記されています。応募先の会社によって参照すべき数値が変わります。
Q. どのセグメントの募集が多いですか。
従業員数で見ると、エージェント事業が15,663名と最大で、モーター・エナジー事業8,560名、セミコンダクター事業6,898名、ネクストキャリア事業2,936名と続きます。ただし従業員数と募集数は必ずしも一致しないため、求人票で確認してください。
Q. 平均年間給与にはどこまで含まれますか。
同社の有価証券報告書では、賞与、基準外賃金に加えて確定拠出型年金の掛金を含む旨が注記されています。他社の開示は「賞与及び基準外賃金を含む」とする例が一般的であるため、横並びで比較する際は範囲の違いに注意が要ります。
本記事は 2026/8/11 時点の公開情報にもとづいて作成しています。