CRI・ミドルウェアの評判・年収・選考対策|転職で押さえるべきポイント
利益を稼いでいるのは、ゲーム事業ではない
CRI・ミドルウェアはゲーム向けミドルウェアの会社として知られています。ところがセグメント別の数字を見ると、利益の出方が印象と違います。
報告セグメントごとの売上高と利益(千円)
| セグメント | 売上高(第25期) | セグメント利益(第25期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| ゲーム事業 | 1,807,021 | 186,207 | 約10.3% |
| エンタープライズ事業 | 1,641,565 | 368,173 | 約22.4% |
| 合計 | 3,448,587 | 554,381 | 約16.1% |
セグメント利益は連結損益計算書の営業利益と一致すると注記されています。
売上は小さいのに、利益は約2倍
エンタープライズ事業はゲーム事業より売上が165,456千円少ないにもかかわらず、利益は181,966千円多い。合計利益の**約66.4%**を占めています。
前期も同じ傾向
| セグメント | 売上高(第24期) | セグメント利益(第24期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| ゲーム事業 | 1,676,762 | 116,713 | 約7.0% |
| エンタープライズ事業 | 1,490,523 | 251,645 | 約16.9% |
2期続けて、エンタープライズのほうが利益率が高い
有価証券報告書の経営戦略との関係
同報告書には、ゲーム事業で得られた技術やノウハウ、知見、資金を、エンタープライズ事業の研究開発や営業強化に投下すると記載されています。投資する側と投資される側という説明ですが、利益の実態はすでに逆転しています。
エンタープライズ事業の中身
有価証券報告書によれば、モビリティ分野(車載サウンドソリューション「CRI ADX Automotive」、車載メーターグラフィックソリューション「CRI Glassco」)、カラオケ機器や家電・IoT機器などの組込み分野、Web動画や静止画に係るクラウドソリューション分野が対象です。
転職の観点
**「ゲーム会社」として応募すると、収益の重心とずれます。**車載向けの仕事に関心があるかどうかは、事前に整理しておくべき点です。
本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の情報は有価証券報告書および公式サイトをご確認ください。
エンタープライズ事業の人員は、全員が本体にいる
従業員の配置(2025年9月30日現在)
| セグメント | 連結会社 | 提出会社 |
|---|---|---|
| ゲーム事業 | 70名 | 50名 |
| エンタープライズ事業 | 66名 | 66名 |
| 全社(共通) | 37名 | 37名 |
| 合計 | 173名 | 153名 |
全社(共通)は総務・経理等の管理部門のほか、開発環境管理、技術品質管理に携わる従業員とされています。
エンタープライズ事業は連結と提出会社が同数
66名と66名。子会社にはエンタープライズ事業の人員がいないということです。
子会社が担っているのはゲーム事業
連結子会社は株式会社ツーファイブ(東京都渋谷区)、上海希艾維信息科技有限公司(中国上海市・議決権70.0%)ほか1社で、いずれもゲーム事業に区分されています。
ツーファイブの主要な損益情報
売上高490,950千円、経常利益73,744千円、当期純利益52,089千円、純資産額108,160千円、総資産額224,404千円。連結売上高の10%超にあたるため個別開示されています。
全社(共通)37名という比率
153名のうち37名。約24.2%が全社(共通)に属します。管理部門だけでこの比率は高いため、注記どおり開発環境管理や技術品質管理を担う人員が含まれていると読めます。
転職の観点
**プロダクト開発の職種でも、全社(共通)に所属する可能性があります。**配属先の区分を確認する価値があります。
CSK総合研究所から、EBOで独立した
沿革が、この会社の性格をよく説明しています。
| 年月 | 出来事 |
|---|---|
| 1983年 | 株式会社CSK(現SCSK株式会社)の子会社として、ソフトウェア技術の研究所である株式会社CSK総合研究所が設立。当初は人工知能(AI)等の研究を実施 |
| - | 音声・映像関連の研究を進める過程で、当時グループ会社であった株式会社セガ・エンタープライゼス(現株式会社セガ)との関係が深まり、家庭用ゲーム機向けミドルウェアやゲームの開発を手がける |
| 2001年1月 | セガが家庭用ゲーム機のハードウェア事業から撤退 |
| 2001年8月 | ミドルウェア部門が独立する形で、東京都大田区に資本金1千万円で株式会社シーアールアイ・ミドルウェアを設立(CSK総合研究所の100%子会社) |
| 2004年5月 | 当社役員・従業員によるEBOの形で、親会社から資本独立 |
| 2005年1月 | 商号を株式会社CRI・ミドルウェアに変更 |
| 2014年11月 | 東京証券取引所マザーズに上場 |
| 2018年5月 | 株式会社ウェブテクノロジの全株式を取得し子会社化(2021年10月に吸収合併) |
| 2019年10月 | 株式会社ツーファイブの全株式を取得し子会社化 |
| 2022年4月 | 東京証券取引所グロース市場に移行 |
| 2023年9月 | 株式会社アールフォース・エンターテインメントの全株式を売却し連結除外 |
セガのハード撤退が独立の起点
有価証券報告書は、セガ以外の各社家庭用ゲーム機向け(マルチプラットフォーム)に展開するため、株式会社セガとの資本面での関与を薄める必要があったと明記しています。
特定メーカーに依存しない立場を選んだ
これがミドルウェアという事業の前提です。どのプラットフォームにも供給できることが商品価値になります。
EBOという独立の形
2004年5月、役員・従業員による買収で親会社から資本独立しています。外部ファンドではなく、中の人が買った形です。
従業員数の推移
| 回次 | 連結従業員数 | 提出会社従業員数 |
|---|---|---|
| 第21期(2021年9月) | 213名 | 109名 |
| 第22期(2022年9月) | 214名 | 135名 |
| 第23期(2023年9月) | 161名 | 138名 |
| 第24期(2024年9月) | 170名 | 152名 |
| 第25期(2025年9月) | 173名 | 153名 |
連結は減り、提出会社は増えている
第21期から第25期で、連結は40名減、提出会社は44名増。子会社の売却と、本体の採用が同時に進んだ形です。第23期の減少は、アールフォース・エンターテインメントの売却時期と重なります。
平均年間給与6,496千円と、給与の中身
提出会社の状況(2025年9月30日現在)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数 | 153名 |
| 平均年齢 | 39.5歳 |
| 平均勤続年数 | 7.1年 |
| 平均年間給与 | 6,496千円 |
給与の注記が具体的
平均年間給与は、基準内給与に加えて通勤費以外の基準外給与及び賞与、25期業績連動賞与を含んでおります
業績連動賞与が明示されている
多くの企業は「賞与及び基準外賃金を含む」とだけ書きます。当期の業績連動賞与を含む、と期を特定して書いているのは珍しい記載です。
この記載の読み方
業績連動部分が平均年間給与に効いているということです。第25期は経常利益が前期比47.8%増でした。業績が変われば、この平均も動く可能性があります。
平均入社年齢は32.4歳
39.5歳から7.1年を引くと32.4歳。中途採用が中心の構成が読み取れます。
業績の推移(千円)
| 回次 | 売上高 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益又は当期純損失 | ROE |
|---|---|---|---|---|
| 第21期 | 2,892,550 | 335,728 | 199,702 | 5.3% |
| 第22期 | 2,840,897 | 138,506 | △339,600 | △9.1% |
| 第23期 | 2,990,991 | 379,259 | 232,583 | 6.6% |
| 第24期 | 3,167,285 | 383,405 | 304,468 | 8.4% |
| 第25期 | 3,448,587 | 566,774 | 420,710 | 10.8% |
第22期の純損失の理由
有価証券報告書は、固定資産に係る多額の減損損失の計上等によるものと注記しています。
自己資本比率は69.3%
5期を通じて68〜71%台で推移しています。
中期経営計画(2026-2030)のKPI
| 指標 | 2030年度の目標値 |
|---|---|
| 売上高 | 100億円 |
| 営業利益率 | 20% |
| 許諾売上高比率 | 60〜70% |
| ROE | 15%以上 |
現状との距離
第25期の売上高は3,448,587千円。100億円は約2.9倍にあたります。営業利益率は約16.1%で、目標の20%まで約4ポイントです。
「許諾売上高比率」という指標
ソフトウェア製品の許諾販売(ライセンス)が売上に占める比率です。受託開発ではなくライセンスへ寄せるという方向が、KPIとして明示されています。
エージェントベストの見解
公開されている平均年間給与6,496千円には、注記に「25期業績連動賞与を含む」と明記されています。この一文は見逃さないでください。第25期は経常利益が前期比47.8%増、当期純利益が420,710千円と5期で最も高い水準でした。つまり、この6,496千円は業績が良かった年の数字です。第22期のように固定資産の減損で純損失を計上した期もあります。年収を判断するときは、平均値そのものより、固定部分と業績連動部分の比率を確認してください。面談で聞くべきは「提示額のうち固定はいくらか」「業績連動賞与の算定式と、過去3年の支給実績のレンジ」の2点です。業績連動の比重が大きい会社では、入社年の業績で初年度の手取りが変わります。ここを把握しないまま入ると、翌年の増減を制度の問題だと感じてしまいます。
選考で確認しておきたいこと
- 配属予定のセグメント(ゲーム事業/エンタープライズ事業/全社共通)
- モビリティ分野(車載)の案件比率
- 提示額のうち固定部分と業績連動部分の比率
- 業績連動賞与の算定式と、過去3年の支給実績のレンジ
- 許諾販売と受託開発のどちらに関わるか
- 中期経営計画(2026-2030)で、配属予定の領域が担う役割
1つ目と2つ目は、エンタープライズ事業がセグメント利益の約66.4%を占めている構造を踏まえた確認です。
3つ目と4つ目は、平均年間給与の注記に業績連動賞与が明記されているためです。
5つ目は、許諾売上高比率60〜70%がKPIとして設定されているためです。受託開発の比率を下げる方向であれば、担当する仕事の性格も変わります。
ライセンス型の製品を扱う企業の見方はSaaSベンダーのキャリアパスもあわせてご覧ください。
多様性の指標
提出会社の管理職に占める女性労働者の割合は9.1%です。男性労働者の育児休業取得率および男女の賃金の差異については記載がありません。労働組合は結成されていませんが、労使関係は円満に推移しているとされています。
エージェントベストの見解
この会社を検討する方は、ゲーム会社の開発部門、車載向けソフトウェアのサプライヤー、SaaS系のプロダクト企業と並べて比較しているケースが多く見られます。判断が割れるのは、自分の技術が「誰の製品に載るか」という点です。ミドルウェアは、最終製品を作る会社に提供される部品です。ユーザーの反応が直接返ってくる立場ではありません。代わりに、採用してもらえれば長く使われます。CRI・ミドルウェアの場合、ゲームタイトルへの採用と、車載メーターやカラオケ機器などの組込みの両方があります。エンドユーザーとの距離が遠いことをどう受け止めるかで、満足度が変わります。比較のときは「自分は作ったものの評価をどこから受け取りたいか」を先に決めてください。顧客企業の開発者からの評価で足りるなら、この領域は技術を深く掘れる場所です。
まとめ
CRI・ミドルウェアについて、有価証券報告書(第25期・2025年9月期)から確認できる点を整理します。
- 東京証券取引所グロース市場。連結子会社3社で構成
- 連結売上高3,448,587千円、経常利益566,774千円、親会社株主に帰属する当期純利益420,710千円。ROE10.8%、自己資本比率69.3%
- セグメント利益はゲーム事業186,207千円、エンタープライズ事業368,173千円。エンタープライズが合計の約66.4%
- 連結従業員173名。ゲーム70/エンタープライズ66/全社共通37。提出会社153名
- エンタープライズ事業の人員は連結・提出会社とも66名で、子会社にはいない
- 提出会社の平均年齢39.5歳、平均勤続7.1年、平均年間給与6,496千円(25期業績連動賞与を含む)
- 第22期は固定資産に係る多額の減損損失により339,600千円の当期純損失
- 1983年設立の株式会社CSK総合研究所が前身。2001年8月にミドルウェア部門が独立して設立
- 2004年5月に役員・従業員によるEBOで親会社から資本独立。2014年11月に東証マザーズ上場
- 製品ブランドは「CRIWARE」「OPTPiX」。企業理念は「音と映像で社会を豊かに」
- 中期経営計画(2026-2030)のKPIは売上高100億円、営業利益率20%、許諾売上高比率60〜70%、ROE15%以上
- 提出会社の管理職に占める女性労働者の割合は9.1%。労働組合は結成されていない
本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。統計の数値は調査区分全体のものであり、特定の企業の実態を示すものではありません。最新の募集要項や選考プロセスは公式サイトでご確認ください。
よくある質問
Q. 平均年間給与6,496千円は、自分にも当てはまりますか。
A. これは提出会社153名の平均で、注記により基準内給与、通勤費以外の基準外給与、賞与、および25期業績連動賞与を含む金額とされています。第25期は5期で最も利益水準が高い期でした。提示額のうち固定部分と業績連動部分の比率を確認するのが実務的です。
Q. ゲーム業界向けの仕事が中心ですか。
A. 売上高はゲーム事業1,807,021千円、エンタープライズ事業1,641,565千円とほぼ同規模ですが、セグメント利益はエンタープライズ事業が368,173千円で、合計の約66.4%を占めています。エンタープライズ事業はモビリティ分野、組込み分野、クラウドソリューション分野が対象です。
Q. 中途採用は多いですか。
A. 有価証券報告書に中途採用比率の記載はありません。ただし平均年齢39.5歳・平均勤続7.1年から平均入社年齢は32.4歳と計算され、中途採用が中心の構成が読み取れます。提出会社の従業員数は第21期109名から第25期153名へ増えています。
Q. 中期経営計画の目標は達成できそうですか。
A. 2030年度の目標は売上高100億円で、第25期の3,448,587千円に対して約2.9倍にあたります。有価証券報告書には、KPIの各数値は提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、達成を保証するものではないと明記されています。
本記事は 2026/8/12 時点の公開情報にもとづいて作成しています。