有限責任監査法人トーマツの評判|年収・働き方・選考対策まで解説

有限責任監査法人トーマツ 評判・年収・選考対策 更新日 2026/8/3

有限責任監査法人トーマツは、デロイト トーマツ グループの監査を担う法人です。監査法人は公認会計士法にもとづき「業務及び財産の状況に関する説明書類」を毎期公衆縦覧に供しているため、事業会社の有価証券報告書に近い密度の情報を誰でも読むことができます。第58期の説明書類を開くと、売上高の内訳に前期からの大きな変化が見て取れます。この記事では、その実数を軸に組織の構造とキャリアの入口を整理します。

17事務所・6,295人・売上高1,297億円

項目内容
法人名有限責任監査法人トーマツ(Deloitte Touche Tohmatsu LLC)
法人形態有限責任監査法人(公認会計士法第1条の3第4項)
主たる事務所東京(千代田区丸の内三丁目2番3号 丸の内二重橋ビルディング)
事務所数17ヵ所
勤務する者の数6,295人
社員数472人(公認会計士445人、特定社員27人)
売上高129,788百万円(第58期)
被監査会社数3,215社(前年度末比28社増加)

数値はいずれも第58期(2024年6月1日から2025年5月31日、公衆縦覧開始日2025年8月6日)の業務及び財産の状況に関する説明書類によります。

売上高の内訳に大きな変化が出ている

説明書類には、直近2期の売上高が内訳付きで記載されています。

項目第57期(2024年5月期)第58期(2025年5月期)
売上高143,032百万円129,788百万円
うち監査証明業務94,358百万円95,782百万円
うち非監査証明業務48,673百万円34,006百万円

監査証明業務は94,358百万円から95,782百万円へ微増していますが、非監査証明業務が48,673百万円から34,006百万円へ、146億円あまり減少しています。この結果、売上高全体も132億円の減少となりました。

被監査会社数は前年度末比28社増加して3,215社ですから、監査の顧客基盤が縮んだわけではありません。変化は非監査証明業務の側に集中しています。

なおデロイト トーマツ グループでは、2025年12月1日付でコンサルティング領域の3法人が合併し、合同会社デロイト トーマツが発足しています。グループ全体の再編が進む時期の数値である点は、読むうえで踏まえておく必要があります。

転職を検討する立場からは、この数値は「監査法人の非監査領域がどこに置かれるか」という論点として捉えるのが実用的です。

沿革は日本の監査法人の合併史そのもの

説明書類に記載されている沿革は、日本の監査業界の再編をそのまま映しています。

1968年5月に等松・青木監査法人が設立され、1975年5月にトウシュ ロス インターナショナル(TRI)へ加盟しました。1986年10月に監査法人サンワ事務所(1973年6月設立)と合併して「サンワ・等松青木監査法人」となり、1988年には監査法人丸の内会計事務所(1968年12月設立)、監査法人西方会計士事務所(1969年8月設立)、監査法人札幌第一会計(1976年4月設立)と相次いで合併しています。

1990年2月、TRIがデロイト ハスキンズ アンド セルズ インターナショナルと合併したことに伴い、監査法人三田会計社(1985年6月設立)と合併して名称を「監査法人トーマツ」に変更しました。その後2001年4月にサンアイ監査法人(1983年5月設立)、2002年7月に監査法人誠和会計事務所(1974年12月設立)と合併しています。

2009年7月に有限責任監査法人へ移行して現在の名称となり、2015年4月にデロイト トーマツ合同会社とグループ規約を締結しました。

事務所ごとの人員が実数で分かる

説明書類には、17事務所それぞれの人員が公開されています。主な事務所は次のとおりです。

事務所勤務する者の数
東京(主たる事務所)4,250人
大阪606人
福岡277人
名古屋274人
横浜272人
京都143人
神戸88人
静岡67人
仙台48人
長野46人
さいたま・広島各41人
札幌39人
高松38人
北陸(富山)30人
新潟23人
那覇12人

合計6,295人の内訳は、社員が公認会計士439人・特定社員27人、使用人が公認会計士2,275人・公認会計士試験合格者等1,303人・監査補助職員2,165人・その他の事務職員等86人です。なお説明書類の注記では、監査補助職員にリスクアドバイザリー事業本部に所属する職員も含めている旨、人員数に海外駐在員及び海外派遣の監査スタッフは含まれていない旨が示されています。

公認会計士でも試験合格者でもない監査補助職員が2,165人在籍しており、全体の3分の1を超えます。地方拠点も17ヵ所と多く、東京以外で働く選択肢がある点は、他のコンサルティングファームと比べたときの特徴です。

語られている評判の傾向

以下は、公開されている口コミの傾向を整理したものです。個別の書き込みを引用したものではありません。

年収・評価制度

職位に応じて水準が明確に上がる構造が共通して語られています。スタッフからシニアスタッフ、マネージャー、シニアマネージャー、パートナーという階層が明確で、どの職位にいるかが報酬を規定するという受け止めです。昇格のタイミングが報酬の転換点になるという指摘が多く見られます。

※公開されている口コミの傾向をまとめたものです

ワークライフバランス

決算期に作業が集中する構造が共通して指摘されています。監査業務の性質上、繁忙期と閑散期の差が大きくなります。一方で、制度面の整備が進んでいるという評価も共通して見られます。

※公開されている口コミの傾向をまとめたものです

キャリア・成長機会

キャリアパスの選択肢が複数あることを挙げる声が多く見られます。スタッフからシニアスタッフへ昇格していく道と、異動を伴いながら様々な業務に携わる道の両方が語られており、異なる部門での経験を積むことも可能だという指摘が共通しています。

※公開されている口コミの傾向をまとめたものです

社風・人間関係

穏やかな人が多く、体育会系の雰囲気ではないという受け止めが共通して見られます。先輩からの支援が得られやすいという声も多く見られます。組織が大きいため、事業部による差はあるという指摘もあります。

※公開されている口コミの傾向をまとめたものです

エージェントベストの見解

説明書類の売上高の内訳は、応募前に見ておきたい数字です。第58期は監査証明業務が95,782百万円と微増した一方、非監査証明業務が48,673百万円から34,006百万円へ、146億円あまり減っています。被監査会社数は28社増えているので、監査の顧客基盤が縮んだわけではありません。変化は非監査領域に集中しています。同じ時期にデロイト トーマツ グループでは2025年12月にコンサルティング3法人が合併しており、グループ全体で領域の置き場所が動いている局面です。何が言いたいかというと、「監査法人に入ってアドバイザリーへ移る」というキャリア設計を描いている方は、その移り先が同じ法人の中にあるとは限らない、ということです。面接では、自分が関心を持つ領域が現在どの法人にあるのかを確認してください。

職位で決まる報酬構造

監査法人は上場しておらず、説明書類にも平均給与の記載はないため、公式に確認できる平均年収はありません。ただし報酬の決まり方については、説明書類に方針が記載されています。

社員(パートナー)の評価については、業務のプロセスにおいて発揮された「能力」と、業務の「量・成果」を評価対象としている旨が示されています。社員のピアレベルの昇降格および社員報酬は、社員評価結果等に基づき監査法人社員評価会議において審議のうえ、代表執行役が決定するとされています。加えて、品質管理への貢献や外部検査等の結果に応じて社員報酬額の調整を実施する旨も記載されています。

品質が報酬に反映される仕組みが明文化されている点は、監査法人ならではの設計です。

社員の数は472人(公認会計士445人、特定社員27人)で、勤務する者の総数6,295人に対する比率はおよそ7.5%です。職位の階層がはっきりしており、報酬もその階層に連動します。

参考として、厚生労働省のjob tagでは経営コンサルタントの平均年収を1,134.6万円(令和7年賃金構造基本統計調査ほか)としていますが、これは職種全体の統計であり監査法人の水準を示すものではありません。実際の提示額は職位と職種によって変わります。

全国17事務所という選択肢

説明書類によると、事務所は東京、札幌、仙台、新潟、さいたま、横浜、長野、北陸(富山)、静岡、名古屋、大阪、京都、神戸、広島、高松、福岡、那覇の17ヵ所です。

東京に4,250人が集中する一方、大阪606人、福岡277人、名古屋274人、横浜272人と、地方拠点にも相応の規模があります。新潟23人、那覇12人といった小規模な事務所も含め、全国に展開されています。

コンサルティングファームの多くが東京一極、あっても大阪・名古屋どまりであることを踏まえると、この拠点数は明確な差になります。地元で働きながら大企業の会計実務に関わりたい方には、現実的な選択肢になり得ます。

働き方については、採用ページでAudit Innovation & Delivery Center(AIDC)について、ライフスタイルに合わせた働き方を選択できるよう柔軟な人事制度を採用しており、育児支援など多様な就業をサポートしている旨が示されています。

ローテーション制度がキャリアを規定する

監査法人のキャリアを理解するうえで、他業種にない要素があります。社員ローテーションです。

説明書類によると、公認会計士法および日本公認会計士協会の倫理規則等に準拠した内部規程により、原則として同一関与先の監査業務に連続して7会計期間を超えて関与できないとされています。同一関与先に対して再度監査業務を行う場合は、最低2会計期間のクーリングオフ期間が必要です。

上場会社等である関与先の筆頭業務執行社員については、5会計期間を超えて監査業務を行えないとされ、再度関与する場合には5会計期間以上のクーリングオフ期間が必要とされています。

さらに、時価総額が概ね5,000億円以上の上場会社の監査を担当する業務執行社員には、監査補助者として従事した期間を含め関与期間の合計が10年超となることを防止するルールが適用される旨も記載されています。

つまり、同じクライアントを一生担当し続けることは制度上できません。数年ごとに担当が変わることが前提の職業です。これは、特定企業への依存を避けるという独立性の要請から来る仕組みですが、キャリアの観点では「複数の企業を経験することが構造的に保証されている」とも読めます。

育成については、人材が最も重要な経営資源であるとの基本認識のもと、①現場での学習、②パフォーマンス評価やコーチング・同僚からのサポートや指示命令を通じて行うもの、③法人が受講を指示する必須研修の3つに分類し、これらが有機的に結合することで機能すると考えている旨が示されています。DTTL(デロイト トウシュ トーマツ リミテッド)と共通の体系的な研修プログラムが用意され、職位ランク別に期待される役割を明確に定めているとされています。

向いている人/向いていない人

向いている人

複数企業の実務を経験したい方

ローテーション制度により、同一関与先に連続して7会計期間を超えて関与できません。数年ごとに担当先が変わることが制度として保証されており、幅広い企業の会計実務に触れられます。

東京以外で働きたい方

17事務所が全国に展開されています。大阪606人、福岡277人、名古屋274人といった規模の拠点があり、地方でのキャリアが現実的な選択肢になります。

会計士資格を持たずに専門職を目指す方

勤務する者6,295人のうち、監査補助職員が2,165人を占めます。説明書類の注記では、監査補助職員にリスクアドバイザリー事業本部所属の職員も含まれる旨が示されています。

向いていない人

同じクライアントを長く担当したい方

ローテーション制度により、担当先は数年で変わります。特定企業に深く長期的に入り込みたい志向の場合、制度と合いません。

繁忙の波を避けたい方

監査業務は決算期に作業が集中します。年間を通じて平準化された働き方を最優先する場合、業務の性質と合いにくい面があります。

エージェントベストの見解

監査法人を検討する方に毎回お伝えしているのが、ローテーション制度の存在です。説明書類には、原則として同一関与先の監査業務に連続して7会計期間を超えて関与できないこと、上場会社等の筆頭業務執行社員は5会計期間が上限であること、再度関与するには2〜5会計期間のクーリングオフが必要であることが明記されています。これは事業会社や一般的なコンサルティングファームにはない制度です。良い面は、数年ごとに別の企業の内側を見ることが構造的に保証されること。転職市場で「複数業種の会計実務を見てきた」と言える経歴が自然に積み上がります。厳しい面は、せっかく築いた関係と業界知識をリセットする周期が来ること。この特性を理解したうえで「幅を取りにいく」と決めて入る方と、知らずに入って戸惑う方では、3年後の納得度がまったく違います。

キャリア採用の入口

募集されている領域

採用情報では、主な事業部と職種が示されています。

会計監査事務は監査・アシュアランス業務に従事する職種です。**Audit Innovation & Delivery Center(AIDC)**は標準化された監査補助業務を担当します。アドバイザリー部門では、会計・財務報告、内部統制、IPO支援などの専門サービスを扱います。パブリックセクター・地域創生、ヘルスケア事業部は公的機関向けサービスを担当します。西日本アドバイザリーでは、戦略・経営コンサルタントおよび地域政策・産業戦略コンサルタントが挙げられています。

キャリア採用の対象として、民間企業での経営管理、会計・財務、業務改革の経験、あるいは医療、教育、地域振興などの実務経験を持つ人材を求める旨が示されています。

会計士資格を前提としない入口が複数存在することが、この一覧から読み取れます。

求められている人物像

採用ページでは、社会的意義を重視し複雑な課題に挑戦できる人材、自分の意思が尊重されチームで難易度の高いテーマに取り組める環境を求める人、既存の枠組みにとらわれず新たな価値創造に挑む姿勢を持つ人が挙げられています。

選考フローの概要

デロイト トーマツ グループのキャリア採用ページでは、面接が複数回(平均的に2〜3回)実施されること、求人や経験により筆記試験や技術テスト、ケース面接などが実施される場合があることが案内されています。詳細は応募後に各法人から案内される形です。

グループは17法人で構成され、複数の法人へ同時に応募できること、ある法人で不合格となった後に別の法人へ再応募することも可能であることが示されています。監査法人トーマツで縁がなかった場合も、グループ内の他法人への応募は妨げられません。

志望動機と職務経歴書

「なぜ監査法人か」については、監査という業務が何を担っているのかを正確に理解しているかが問われます。説明書類から確認できる被監査会社数3,215社、売上高の内訳といった事実を踏まえて話せると、準備の深さが伝わります。

職務経歴書では、扱った会計基準や業務領域を明示します。会計・財務の実務経験がある方は担当領域(連結、原価計算、開示など)を、業務改革の経験がある方はその対象範囲と成果を具体的に書きます。パブリックセクターやヘルスケアの領域を志望する場合は、医療・教育・地域振興に関わる実務経験がそのまま接続点になります。

案件ごとに、置かれていた状況、自分が選んだ打ち手、動いた数値を短く添えるという基本は同じです。

まとめ

有限責任監査法人トーマツは、17事務所に6,295人が勤務し、社員数472人(公認会計士445人、特定社員27人)を擁する監査法人です。第58期(2025年5月期)の売上高は129,788百万円で、内訳は監査証明業務95,782百万円、非監査証明業務34,006百万円です。非監査証明業務は前期の48,673百万円から大きく減少しており、グループ再編が進む時期の数値である点に留意が必要です。被監査会社数は3,215社(前年度末比28社増加)です。社員ローテーション制度により同一関与先への連続関与は原則7会計期間までとされ、数年ごとに担当先が変わることが制度として組み込まれています。キャリア採用では会計士資格を前提としない入口も複数用意されています。応募にあたっては、公衆縦覧に供されている説明書類を読み、自分が関心を持つ領域が現在どの法人にあるのかを確認しておくことが要点になります。

よくある質問

Q. 監査法人トーマツの年収はどのくらいですか。

A. 監査法人は上場しておらず、業務及び財産の状況に関する説明書類にも平均給与の記載はないため、公式に確認できる平均年収はありません。説明書類には報酬の決め方の方針が記載されており、社員の評価は業務のプロセスで発揮された「能力」と業務の「量・成果」を対象とし、社員報酬は社員評価結果等に基づき監査法人社員評価会議での審議を経て代表執行役が決定する旨が示されています。品質管理への貢献や外部検査等の結果に応じた調整も行われます。実際の提示額は職位と職種によって変わります。

Q. 同じ会社をずっと担当できますか。

A. できません。説明書類によると、公認会計士法および日本公認会計士協会の倫理規則等に準拠した内部規程により、原則として同一関与先の監査業務に連続して7会計期間を超えて関与できないとされています。再度関与する場合は最低2会計期間のクーリングオフ期間が必要です。上場会社等の筆頭業務執行社員については5会計期間が上限で、再関与には5会計期間以上のクーリングオフが必要とされています。数年ごとに担当先が変わることが前提の職業です。

Q. 公認会計士の資格がなくても働けますか。

A. 可能です。第58期の説明書類によると、勤務する者6,295人の内訳は、社員が公認会計士439人・特定社員27人、使用人が公認会計士2,275人・公認会計士試験合格者等1,303人・監査補助職員2,165人・その他の事務職員等86人です。監査補助職員が2,165人と全体の3分の1を超えており、注記では同職員にリスクアドバイザリー事業本部所属の職員も含まれる旨が示されています。採用情報でも、民間企業での経営管理・会計財務・業務改革の経験や、医療・教育・地域振興などの実務経験を持つ人材が対象として挙げられています。

本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづいています。最新の募集要項や選考プロセスは、各社の公式サイトでご確認ください。

出典

本記事は 2026/8/3 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)