KYCOMホールディングスの評判|年収・働き方・選考対策まで解説

KYCOMホールディングス 評判・年収・選考対策 更新日 2026/8/12

有価証券報告書の「平均年間給与」は6名の数値

KYCOMホールディングスについて、第59期(2026年3月期)の有価証券報告書から確認できる事実を整理します。

この会社を調べるとき、最初に確認しなければならないのは提出会社の従業員数です。

提出会社の従業員の状況(2026年3月31日現在)

項目数値
従業員数6名
平均年齢57.3歳
平均勤続年数5.58年
平均年間給与4,420千円
平均年間給与の対前事業年度増減率△17.0%

連結は899名です

セグメント従業員数(連結)
情報処理事業877名
不動産事業0名
レンタカー事業7名
無線ソリューション事業15名
合計899名

6名と899名の差

KYCOMホールディングスは純粋持株会社です。2004年10月に会社分割により持株会社へ移行しており、事業は子会社11社が担っています。有価証券報告書に載る平均年間給与4,420千円は、持株会社に在籍する6名の数値です。

年収情報を掲載するサイトでこの数字を見かけたとしても、それは応募先の事業会社の給与水準ではありません。 平均年齢57.3歳という数値も、6名という母数を踏まえて読む必要があります。対前事業年度増減率が△17.0%と大きく動いているのも、6名の構成が変われば起きることです。

本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項や選考プロセスは、公式サイトでご確認ください。

事業会社3社の損益が開示されている

では、実際に働く法人の姿はどこから読めるのか。有価証券報告書の関係会社の状況に手がかりがあります。

連結売上高の10%を超える3社について、主要な損益情報等が開示されています(単位:千円)

項目共同コンピュータ㈱(東京都千代田区)㈱共栄システムズ共同コンピュータ㈱(福井県福井市)
売上高2,447,7002,509,914893,454
経常利益168,420197,89386,864
当期純利益120,463185,59357,348
純資産額1,912,8731,370,417406,456
総資産額2,399,7832,400,038654,377

3社で連結売上の8割

3社の売上高を合計すると5,851,068千円。連結売上高7,224,626千円の**約81%**にあたります。応募先がこの3社のいずれかである可能性は高いと考えてよいでしょう。

経常利益率で見ると差がある

共同コンピュータ㈱(福井)が約9.7%、㈱共栄システムズが約7.9%、共同コンピュータ㈱(東京)が約6.9%。同じグループの同じ事業でも、法人によって収益性が違います。

グループの構成

法人所在地資本金主要な事業の内容
共同コンピュータ㈱東京都千代田区100,000千円ソフトウエア開発、不動産事業
㈱共栄システムズ東京都千代田区100,000千円ソフトウエア開発、コンピュータ関連サービス、不動産事業
共同コンピュータ㈱福井県福井市50,000千円ソフトウエア開発、コンピュータ関連サービス
㈱九州共栄システムズ福岡市博多区68,750千円ソフトウエア開発
㈱共栄データセンター福井県福井市82,500千円データエントリー受託計算サービス
㈱KYCOMネクスト東京都千代田区60,000千円ソフトウエア開発、コンピュータ関連サービス
GISコンサルティング㈱東京都千代田区30,000千円ソフトウエア開発、コンピュータ関連サービス
ナレッジファクトリー㈱大阪市中央区10,000千円ソフトウエア開発、コンピュータ関連サービス
サムソン総合ファイナンス㈱福井県福井市495,000千円コンピュータ、機械等のリース業、不動産事業
北陸エリア・レンタカー㈱石川県金沢市40,000千円レンタカー事業
㈱綿引無線茨城県水戸市40,000千円無線設備の設置工事・修理・点検・保守

東京・福井・福岡・大阪・金沢・水戸

法人ごとに拠点が分かれています。同じ名前の「共同コンピュータ株式会社」が東京と福井に2社ある点にも注意が必要です。求人を見るときは、法人名だけでなく本店所在地まで確認してください。

エージェントベストの見解

持株会社の求人で最も多い誤解が、有価証券報告書の平均年間給与をそのまま自分の年収の目安にしてしまうことです。この会社では提出会社の従業員が6名なので、4,420千円という数字は事実上、持株会社の管理部門6名の平均でしかありません。逆に、持株会社の平均年間給与が1,200万円台と高く出る会社もあり、そちらも同じく応募先の水準ではないのです。高く出るか低く出るかは、たまたま何名がどんな役割で在籍しているかで決まります。この会社を検討するなら、見るべきは開示されている事業会社3社の損益です。売上と経常利益から、その法人がどれだけの原資を持っているかは推測できます。そして面接では「雇用契約はどの法人と結びますか」「その法人の給与テーブルは他のグループ会社と共通ですか」と聞いてください。この2問で、参照すべき数字がようやく定まります。

情報処理事業が減益になった理由

第59期のセグメント別の実績は次のとおりです。

セグメント売上高前期比営業利益
情報処理事業65億83百万円6.9%増4億10百万円(16.1%減
不動産事業2億44百万円11.9%増93百万円(54.3%増)
レンタカー事業1億72百万円5.7%増16百万円の損失(前期は14百万円の営業利益)
無線ソリューション事業3億51百万円0.9%増26百万円(前期は2百万円の営業損失)

増収なのに減益

情報処理事業は、DX/AI関連をはじめ経営資源を一元管理するERP構築事業、ローコード・ノーコード開発需要、AIシステム開発需要により増収となりました。しかし営業利益は16.1%減です。

理由が明記されています

有価証券報告書には、オフィススペースの拡張および必要とされる新技術教育の受講機会拡大や、従業員の待遇改善による人件費等のコストも引き続き増加していると書かれています。

求職者から見た読み方

減益の理由が教育の機会拡大と待遇改善であると会社が明記しているのは、転職を考える人にとって重要な情報です。利益を削って人に配分している局面だと読めます。市場環境の悪化による減益とは、意味がまったく違います。

中長期の経営戦略にも同じ趣旨が書かれている

有価証券報告書には、IT人材の需給逼迫が継続しており要員確保は大きな課題であると認識したうえで、適切な賃上げの実施をすることで、業務の受注価格を維持向上するためにも技術者の付加価値を不断に向上させることが必要と記載されています。具体策として次の6点が挙げられています。

不動産事業が福利厚生とつながっている

不動産事業の内容は社員寮と兼用したマンション経営、太陽光発電事業と記載されています。事業と福利厚生が地続きになっている構造で、これは他社ではあまり見ない形です。

5期の業績と、目標に対する達成状況

連結の5期推移(単位:千円)

回次第55期第56期第57期第58期第59期
決算年月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月2026年3月
売上高5,177,0415,700,5526,091,5516,770,6327,224,626
経常利益465,335535,275575,645639,262673,976
親会社株主に帰属する当期純利益336,432360,392419,371468,768532,844
自己資本比率52.2%51.8%53.1%56.4%59.9%
自己資本利益率11.6%10.9%11.0%10.9%10.9%
従業員数705名767名803名843名899名

5期連続の増収増益、そして増員

売上高は5,177,041千円から7,224,626千円へ約1.40倍。経常利益・当期純利益も5期連続で増えています。従業員数は705名から899名へ194名の増加です。

経営指標の達成状況が率直に書かれている

有価証券報告書には、第59期の売上高経常利益率9.3%、ROE 10.9%と記載され、中期計画で目標としていた売上高経常利益率6%は達成した一方、ROEについては目標としていた15%を下回る結果となったと明記されています。未達を未達として書いている点は、開示姿勢として評価できます。

包括利益が当期純利益を大きく上回っている

第59期の包括利益は877,817千円で、当期純利益532,844千円を大きく超えています。連結貸借対照表を見ると、その他有価証券評価差額金が337,515千円から682,391千円へ増えています。株式の含み益が増えたことによるもので、本業の稼ぎとは別の要因です。

財務は借入がある形

長期借入金1,532,871千円、1年内返済予定の長期借入金191,696千円、短期借入金320,000千円。土地1,943,716千円・建物753,309千円を含む有形固定資産3,174,673千円を保有しており、不動産を持つ会社の財務構造になっています。自己資本比率は52.2%から59.9%へ改善しています。

福井から始まり、東京へ広がった会社

沿革を読むと、この会社の性格が見えてきます。

1968年5月、福井商工会議所のイニシアチブのもと、福井県内有力企業数社の共同出資により、コンピュータによる受託計算業務の専門会社として㈱福井共同電子計算センターとして設立されました。地域企業によるコンピュータの共同利用が出発点です。

年月出来事
1968年5月㈱福井共同電子計算センターを設立
1973年5月共同コンピュータ㈱に商号変更
1990年12月日本証券業協会に店頭登録
2004年10月会社分割により持株会社へ移行
2011年6月KYCOMホールディングス㈱に商号変更
2022年6月㈱KYCOMネクストが㈱綿引無線の全株式を取得し連結子会社化
2023年6月KYCOM ASIA PTE. LTD.の全株式を譲渡
2025年4月GISコンサルティング㈱がナレッジファクトリー㈱の全株式を取得し連結子会社化

M&Aと譲渡の両方をしている

海外拠点(シンガポール)は譲渡し、国内では無線設備の会社やソフトウエア開発の会社を取得しています。経営戦略にも戦略的なM&Aの検討を継続すると明記されており、グループの構成が今後も変わり得ることが読み取れます。

多様性の指標は法人ごとに開示

指標提出会社㈱共栄システムズ共同コンピュータ㈱(東京)共同コンピュータ㈱(福井)
管理職に占める女性労働者の割合3.3%4.3%7.4%7.1%
男性労働者の育児休業取得率-(対象事例なし)100.0%100.0%100.0%
男女の賃金の差異(全労働者)55.5%84.6%87.0%86.2%
男女の賃金の差異(正規雇用労働者)42.1%85.4%88.8%87.8%
男女の賃金の差異(パート・有期労働者)87.4%28.3%86.4%34.4%

事業会社3社の男性育児休業取得率はいずれも100.0%

提出会社は対象となる事例が発生しなかったため記載がありません。実際に働く法人の数値を見るべきなのは、ここでも同じです。

賃金の差異も、提出会社の55.5%に対し事業会社は84.6%から87.0%。6名の数字と899名の数字を混同しないことが、この会社を読むうえでの基本になります。

選考で確認しておきたいこと

  1. 雇用契約の相手方(どの法人か、本店はどこか)
  2. その法人の給与テーブルは他のグループ会社と共通か
  3. 勤務地(東京・福井・福岡・大阪のいずれか)
  4. 通年中途採用の対象職種と、直近の中途入社実績
  5. 資格取得推進の対象資格と、支援の内容
  6. 社員寮の利用条件

1つ目と3つ目は不可分です。東京と福井に同じ商号の会社が2社あり、九州・大阪にも別法人があります。求人票の法人名と本店所在地を必ず確認してください。

4つ目と5つ目は、有価証券報告書に通年中途採用の実施若年技術者への資格取得推進、経験者への新技術習得機会の拡大が明記されていることを踏まえた質問です。情報処理事業の減益理由に教育機会の拡大が挙げられている以上、具体的な中身を聞く価値があります。

6つ目は、不動産事業が社員寮と兼用したマンション経営であり、経営戦略にも採用力・福利厚生の強化として言及されているためです。

選考フローや面接内容は、職種や時期によって変わるとされています。最新の募集要項は公式サイトで必ずご確認ください。

同じ規模帯の会社の見方はSIerの年収相場、ユーザー系との比較はユーザー系SIerの年収相場もあわせてご覧ください。

エージェントベストの見解

減益と聞くと反射的に避ける方がいますが、理由を読むと判断が変わることがあります。この会社の情報処理事業は増収でありながら営業利益が16.1%減りました。有価証券報告書に書かれている理由は、オフィススペースの拡張、新技術教育の受講機会拡大、そして従業員の待遇改善による人件費の増加です。受注が減ったわけでも、値下げを強いられたわけでもありません。中長期の経営戦略にも、適切な賃上げを実施することで技術者の付加価値を上げ、それによって受注価格を維持向上させる、という筋道が書かれています。順序が逆になっていない点が読みどころです。転職の判断材料としては、この方針が実際にどう運用されているかを確認するのが近道になります。面接では「直近2年で基本給の改定はありましたか」「教育の受講は業務時間内ですか」と聞いてください。方針と運用がつながっているかが、この2問で見えます。

まとめ

KYCOMホールディングスについて、有価証券報告書から確認できる点を整理します。

本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。詳細は有価証券報告書および公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q. 平均年間給与4,420千円が、この会社の年収水準ですか。

A. 違います。提出会社であるKYCOMホールディングス株式会社の従業員は6名で、その平均です。連結899名の大半は子会社に在籍しており、事業会社の平均年間給与は有価証券報告書には開示されていません。

Q. 応募先はどの法人になりますか。

A. 求人によります。連結売上高の10%超を占める3社は共同コンピュータ㈱(東京都千代田区)、㈱共栄システムズ、共同コンピュータ㈱(福井県福井市)で、この3社で連結売上の約81%を占めます。同名の会社が東京と福井にあるため、本店所在地まで確認してください。

Q. 減益の会社に入って大丈夫でしょうか。

A. 理由を確認する必要があります。情報処理事業の減益理由として有価証券報告書に挙げられているのは、オフィススペースの拡張、新技術教育の受講機会拡大、従業員の待遇改善による人件費の増加です。売上そのものは6.9%増えています。

Q. 地方勤務になる可能性はありますか。

A. グループの法人は福井・福岡・大阪・金沢・水戸にもあります。1968年に福井県福井市で設立された経緯があり、福井には現在も複数の法人が置かれています。勤務地は応募時に確認してください。

出典

本記事は 2026/8/12 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)