京セラの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
京セラの有価証券報告書 第72期(2026年3月期)を見ると、親会社の所有者に帰属する当期利益は140,969百万円です。前期は24,097百万円でしたから、約5.85倍に戻したことになります。持分当期利益率も0.7%から4.3%へ回復しました。この記事では、その構造を有報から整理します。
前期の241億円から約5.85倍
| 回次 | 決算年月 | 売上高 | 税引前利益 | 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 親会社の所有者に帰属する持分比率 | 持分当期利益率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 第68期 | 2022年3月 | 1,838,938百万円 | 198,947百万円 | 148,414百万円 | 73.3% | 5.4% |
| 第69期 | 2023年3月 | 2,025,332百万円 | 176,192百万円 | 127,988百万円 | 73.9% | 4.3% |
| 第70期 | 2024年3月 | 2,004,221百万円 | 136,143百万円 | 101,074百万円 | 72.2% | 3.2% |
| 第71期 | 2025年3月 | 2,014,454百万円 | 63,631百万円 | 24,097百万円 | 71.3% | 0.7% |
| 第72期 | 2026年3月 | 2,070,203百万円 | 168,994百万円 | 140,969百万円 | 71.9% | 4.3% |
国際会計基準(IFRS会計基準)にもとづく数値です。
売上高は1,838,938百万円から2,070,203百万円へ、5期で約1.13倍です。大きく伸びてはいません。
一方で利益は激しく動いています。親会社の所有者に帰属する当期利益は148,414百万円から第71期の24,097百万円まで下がり、第72期に140,969百万円へ戻しました。持分当期利益率は5.4%→4.3%→3.2%→0.7%→4.3%です。
株価収益率も第71期は97.93倍と記載されています。第72期は23.15倍です。利益が一時的に落ち込んだ期であったことが、この指標にも表れています。
財務は一貫して厚い状態です。親会社の所有者に帰属する持分比率は5期を通じて71.3%から73.9%の範囲にあり、第72期は71.9%。資産合計4,646,314百万円に対し親会社の所有者に帰属する持分は3,339,431百万円です。
営業活動によるキャッシュ・フローは226,235百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは74,539百万円の収入です。
ソリューションが売上の半分、「その他の事業」は411億円の損失
第72期のレポーティングセグメント情報です。
| セグメント | 外部売上高 | 事業利益 | 研究開発費 | 設備投資額 |
|---|---|---|---|---|
| ソリューション | 1,044,452百万円 | 103,943百万円 | 37,499百万円 | 23,980百万円 |
| コアコンポーネント | 652,597百万円 | 63,082百万円 | 26,120百万円 | 78,759百万円 |
| 電子部品 | 362,646百万円 | 7,316百万円 | 15,888百万円 | 26,931百万円 |
| その他の事業 | 10,508百万円 | △41,168百万円 | 36,194百万円 | 9,015百万円 |
| 合計 | 2,070,203百万円 | 133,173百万円 | 115,701百万円 | 138,685百万円 |
事業利益の合計133,173百万円に本社部門損益等35,821百万円を加えて、税引前利益168,994百万円になります。有報には、本社部門損益等は各セグメントに帰属しない収益・費用で主に金融収支から構成されると記載されています。
ソリューションが売上高の約50.5%を占め、事業利益でも103,943百万円と最大です。事業利益率は約9.7%になります。
コアコンポーネントは売上高652,597百万円に対し事業利益63,082百万円で、事業利益率は約9.6%です。設備投資額は78,759百万円と3セグメントで最大で、合計138,685百万円の約56.8%を占めます。
電子部品は売上高362,646百万円に対し事業利益7,316百万円。事業利益率は約2.0%にとどまります。
「その他の事業」は41,168百万円の損失です。有報には、この区分がレポーティングセグメントに含まれない事業セグメントであり、主にGaNデバイス事業およびレポーティングセグメントに帰属しない研究開発費等であると注記されています。研究開発費36,194百万円がここに計上されており、全社115,701百万円の約31.3%にあたります。
つまり損失の大半は、将来に向けた研究開発費です。この読み方をしないと、事業の見え方が変わってしまいます。
地域別の売上高も見ておきます。
| 地域 | 第72期 | 第71期 |
|---|---|---|
| 日本 | 603,806百万円 | 583,895百万円 |
| 欧州 | 418,810百万円 | 407,599百万円 |
| 米国 | 396,494百万円 | 422,711百万円 |
| アジア | 312,979百万円 | 280,231百万円 |
| 中国 | 255,212百万円 | 238,018百万円 |
| その他の地域 | 82,902百万円 | 82,000百万円 |
販売仕向地別です。日本は603,806百万円で全体の約29.2%。裏を返すと約70.8%が海外向けになります。米国だけが前期から減りました。
開示された数値から読み取れること
以下は、有価証券報告書と公表情報から読み取れる範囲の整理です。個別の口コミではなく、開示された数値をもとにしています。
年収・評価制度
提出会社の平均年間給与は7,397,108円です。従業員19,667人、平均年齢40.1歳、平均勤続年数16.0年、対前事業年度増減率は6.6%の増加。臨時従業員等4,746人は外数です。
有報には、従業員の報酬について各地域の市場水準を意識しながら企業業績に見合った報酬水準とするよう検討・決定していること、個別報酬は実力主義の考え方に基づき決定すること、個人の成果を評価しつつも中長期的に一定の安定度を持つ報酬設計としていることが記載されています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
ワークライフバランス
有報に労働時間の数値の記載はありません。多様な人材の活躍及び働きやすい職場環境の整備として、フレックスタイム制度等の柔軟な勤務体系の導入、在宅勤務制度等による仕事と育児・介護との両立支援を推進していると記載されています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
キャリア・成長機会
有報には、若手・中堅段階から小集団(アメーバ)の採算管理や組織運営に携わせることで、経営マネジメント能力と当事者意識を備えた人財を育成すると記載されています。また若手社員を中心としたグローバル人材の育成として、海外現地法人と相互に人材交流を行う1年間のトレーニープログラムを実施しているとされています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
社風・人間関係
有報には、経営哲学「京セラフィロソフィ」の教育及び浸透を図るため代表取締役会長を委員長とした「全社フィロソフィ委員会」を設置していること、各部門にフィロソフィ推進委員を選任していることが記載されています。管理職に占める女性労働者の割合は6.3%(目標は2026年3月末までに8%)、男性の育児休業取得率は59.6%(目標は同50%)です。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
エージェントベストの見解
公開されている平均年間給与7,397,108円は、提出会社の従業員19,667人についての数値です。連結73,856人の約26.6%にあたります。この数字を読むときは、有報の男女の賃金の差異の注記まで見てください。「正規雇用労働者については、等級制度、役職制度並びに賃金体系は一律であるため、地域や職種による差は設けていません」「同一の等級・役職における男女の賃金差異はありません」と明記されています。さらに「製造部門においても正規雇用を原則としており、製造部門の労働者数は正規雇用労働者全体の半分以上を占めています」ともあります。つまり平均値には製造部門の従業員が半分以上含まれている、ということです。開発職や本社機能の水準がこの平均と一致するとは限りません。確認すべきは、募集ポジションの等級と、その等級のレンジです。等級で決まる制度だと明言している会社なので、この2点を聞けば水準はかなり明確になります。
報酬について確認できること
有価証券報告書によると、提出会社の平均年間給与は7,397,108円です。従業員数19,667人(臨時従業員等4,746人は外数)、平均年齢40.1歳、平均勤続年数16.0年、対前事業年度増減率は6.6%の増加です。
同じくメーカーの提出会社ベースで並べると、位置関係が見えます。
| 会社 | 平均年間給与 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 提出会社の従業員数 | 連結従業員数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 三菱電機株式会社 | 9,134,603円 | 40.5才 | 15.3年 | 29,949人 | 150,386人 |
| ローム株式会社 | 8,035千円 | 42.4歳 | 14.0年 | 4,199人 | 21,756人 |
| 京セラ株式会社 | 7,397,108円 | 40.1歳 | 16.0年 | 19,667人 | 73,856人 |
各社の有価証券報告書によります。いずれも2026年3月期です。
平均年齢40.1歳から平均勤続年数16.0年を差し引くと、入社時の年齢は約24.1歳になります。3社の中で最も若く、新卒入社が中心の構成といえます。
有報には男女の賃金の額の差異が具体的に記載されています。正規雇用労働者72.9%、パート・有期労働者34.6%、全労働者55.9%(男性の賃金を100とした場合の女性の賃金の割合)です。
その要因についても踏み込んだ説明があります。正規雇用労働者については、等級制度・役職制度・賃金体系が一律で地域や職種による差を設けておらず、同一の等級・役職における男女の賃金差異はないこと。女性に比べ男性の管理職比率が高いことや男女の就業時間の差が要因であること。製造部門においても正規雇用を原則としており、製造部門の労働者数は正規雇用労働者全体の半分以上を占めること。管理職における男女の賃金差異はないこと。
対前事業年度増減率は6.6%の増加です。同じ期に親会社の所有者に帰属する当期利益は約5.85倍になりました。
実額は選考の過程で確認してください。
アメーバ経営が人材育成の方針に書かれている
有価証券報告書の人材戦略には、この会社に固有の記述があります。
リーダーの継続的創出として、「若手・中堅段階から小集団(アメーバ)の採算管理や組織運営に携わせることで、経営マネジメント能力と当事者意識を備えた人財を育成する」と記載されています。多様な経験やタフアサインメントを通じた計画的育成により、広い視野を持った実践的経営リーダーを継続的に創出するとされています。
アメーバ経営は同社の代名詞として知られる仕組みですが、それが有報の人材戦略の筆頭に置かれている点は押さえておきたいところです。採算管理の単位が小さいということは、若いうちから数字の責任を持つ場面が多いということでもあります。
成長領域への人財シフトも明記されています。事業ポートフォリオに合わせて人財を円滑に再配置するため、またDX化の推進に合った人財転換を行うために、従業員のスキル転換につながる育成施策を推進していくとされています。
グローバル人財強化では、海外現地法人と相互に人材交流を行う1年間のトレーニープログラムを実施しており、日本から海外現地法人への派遣だけでなく、海外現地法人からエンジニアや専門スタッフの受け入れも行っていると記載されています。
経営哲学の浸透も体系化されています。代表取締役会長を委員長とする「全社フィロソフィ委員会」が京セラグループ全社のフィロソフィ教育方針を策定し、各部門にフィロソフィ推進委員を選任。経営幹部には代表取締役会長とフィロソフィをテーマに対話するセッションが開催され、階層別研修やフィロソフィ手帳の配布、実践体験談の優秀作品の表彰も行われています。
グループの指標及び目標として掲げられているのは「京セラフィロソフィの更なる浸透・実践の推進」です。有報には、京セラグループは会社ごとに異なる事業を営んでいることから、これを除く指標及び目標は一律ではなく各社で設定していると記載されています。
向いている人/向いていない人
向いている人
若いうちから採算に責任を持ちたい方
有報の人材戦略には、若手・中堅段階から小集団(アメーバ)の採算管理や組織運営に携わせると記載されています。
海外市場を主戦場にしたい方
第72期の売上高2,070,203百万円のうち日本は603,806百万円で約29.2%、海外が約70.8%です。
財務基盤が厚い会社で長期の開発に取り組みたい方
親会社の所有者に帰属する持分比率は71.9%、研究開発費は115,701百万円です。
向いていない人
経営理念の共有に距離を置きたい方
グループの指標及び目標は「京セラフィロソフィの更なる浸透・実践の推進」とされ、全社フィロソフィ委員会や階層別研修、フィロソフィ手帳の配布が有報に記載されています。
利益水準の安定を重視する方
親会社の所有者に帰属する当期利益は第68期の148,414百万円から第71期の24,097百万円まで下がり、第72期に140,969百万円へ戻しました。
エージェントベストの見解
面接の終盤で問われるのは、「セグメント間の収益性の差をどう見るか」です。数字で言うと、第72期の事業利益率はソリューションが約9.7%、コアコンポーネントが約9.6%、電子部品が約2.0%。同じ会社の中で約5倍の開きがあります。さらに「その他の事業」は41,168百万円の損失で、その中身は主にGaNデバイス事業とレポーティングセグメントに帰属しない研究開発費36,194百万円です。この構造をどう読むかで、志望動機の深さが変わります。準備としてお伝えしているのは、志望セグメントを1つに絞ったうえで、そのセグメントの事業利益率と設備投資額を踏まえて話すことです。たとえばコアコンポーネントは設備投資額78,759百万円と全体の約56.8%を占め、装置産業としての性格が強い。電子部品は利益率が低い一方で市況の影響を受けやすい。ソリューションは規模も利益も最大です。それぞれ求められる打ち手が違います。募集の有無と勤務地は、公式の採用ページでご確認ください。
選考に向けた準備
応募の前に確かめること
連結従業員数は73,856人、提出会社は19,667人です。グループには京セラドキュメントソリューションズ株式会社などがあり、求人がどの法人のものかで条件が変わります。
セグメントを確認してください。コアコンポーネント、電子部品、ソリューションでは、事業利益率も設備投資の規模も違います。
決算期は3月です。他社と業績を比較するときは対象期間を揃えてください。
募集要項の詳細は公式の採用ページでご確認ください。
志望動機で問われること
「なぜ電子部品・電子機器か」と「なぜ京セラか」の2段で組み立てます。
前者については、セラミック部品、半導体関連部品、電子デバイス、通信機器、ドキュメントソリューションなど、志望する領域を具体化します。
後者の材料は有報にあります。親会社の所有者に帰属する当期利益が第71期の24,097百万円から140,969百万円へ約5.85倍になったこと。事業利益率がソリューション約9.7%、コアコンポーネント約9.6%、電子部品約2.0%と差があること。「その他の事業」の41,168百万円の損失に研究開発費36,194百万円が含まれること。コアコンポーネントの設備投資額78,759百万円が全体の約56.8%を占めること。日本の売上高が全体の約29.2%であること。
「損失の中身が研究開発費」という点に触れられると、下調べの深さが伝わります。
職務経歴書で見られるポイント
メーカーの中途採用では、担当した製品領域と、そこで動かした数値が読まれます。
材料・プロセス開発の経験がある方は、担当した材料と量産までの期間、歩留まりや特性をどれだけ動かしたかを書きます。
回路・デバイス設計の経験がある方は、担当した製品分野と量産規模、設計期間を書きます。
生産技術・製造の経験がある方は、担当ラインの生産数量と、稼働率や原価の改善幅を書きます。コアコンポーネントは設備投資額が最大のセグメントです。
品質保証の経験がある方は、担当した製品群と、不良率や規格適合でどこを担ったかを書きます。
技術営業・アプリケーションエンジニアの経験がある方は、担当した顧客の業種と採用件数、立ち上げまでの期間を書きます。
海外拠点での勤務経験がある方は、赴任先と担当機能、現地で意思決定した内容を書きます。売上の約70.8%が海外向けの会社です。
いずれの場合も、案件ごとに、置かれていた状況、自分が選んだ打ち手、動いた数値を短く添えます。
まとめ
京セラは東証プライム市場に上場するメーカーで、有価証券報告書 第72期(2026年3月期)の売上高は2,070,203百万円、税引前利益168,994百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益140,969百万円、親会社の所有者に帰属する持分比率71.9%、持分当期利益率4.3%、連結従業員数73,856人です。前期の当期利益24,097百万円から約5.85倍に戻しました。セグメント別の外部売上高はソリューション1,044,452百万円(事業利益103,943百万円)、コアコンポーネント652,597百万円(同63,082百万円)、電子部品362,646百万円(同7,316百万円)、その他の事業10,508百万円(同41,168百万円の損失)です。「その他の事業」の損失には研究開発費36,194百万円が含まれます。地域別では日本603,806百万円(約29.2%)、欧州418,810百万円、米国396,494百万円、アジア312,979百万円、中国255,212百万円。提出会社の従業員数は19,667人、平均年齢40.1歳、平均勤続年数16.0年、平均年間給与7,397,108円(対前事業年度6.6%増)です。
よくある質問
Q. 京セラの年収はどのくらいですか。
A. 有価証券報告書 第72期(2026年3月期)によると、提出会社の平均年間給与は7,397,108円(従業員19,667人、平均年齢40.1歳、平均勤続年数16.0年、対前事業年度6.6%増)です。臨時従業員等4,746人は外数です。ただしこれは提出会社に所属する19,667人についての数値で、連結73,856人の約26.6%にあたります。有報には、正規雇用労働者について等級制度・役職制度・賃金体系が一律で地域や職種による差を設けていないこと、製造部門も正規雇用を原則としており製造部門の労働者数が正規雇用労働者全体の半分以上を占めることが記載されています。実額は選考の過程でご確認ください。
Q. 前期に利益が大きく落ちたのはなぜですか。
A. 有価証券報告書によると、第71期(2025年3月期)の親会社の所有者に帰属する当期利益は24,097百万円で、第70期の101,074百万円から大きく減りました。持分当期利益率は0.7%、株価収益率は97.93倍と記載されています。ただし売上高は2,004,221百万円から2,014,454百万円へ横ばいで、売上が崩れたわけではありません。第72期は税引前利益168,994百万円、当期利益140,969百万円へ戻し、持分当期利益率も4.3%へ回復しています。単年ではなく複数期で見る必要がある会社です。
Q. どのセグメントが収益性が高いのですか。
A. 第72期の事業利益率を外部売上高で計算すると、ソリューションが約9.7%(売上1,044,452百万円・事業利益103,943百万円)、コアコンポーネントが約9.6%(652,597百万円・63,082百万円)、電子部品が約2.0%(362,646百万円・7,316百万円)です。「その他の事業」は41,168百万円の損失ですが、有報にはこの区分が主にGaNデバイス事業およびレポーティングセグメントに帰属しない研究開発費等であると注記されており、研究開発費36,194百万円が計上されています。設備投資額はコアコンポーネントが78,759百万円と最も大きく、合計138,685百万円の約56.8%を占めます。
本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづいています。最新の募集要項や選考プロセスは、各社の公式サイトでご確認ください。
本記事は 2026/8/6 時点の公開情報にもとづいて作成しています。