MITホールディングスの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
決算期は11月、そして持株会社という前提
MITホールディングスについて、第16期(2024年12月1日から2025年11月30日まで)の有価証券報告書から確認できる事実を整理します。
まず押さえる2点
1つは決算期が11月であること。3月期の会社と業績を並べるときは、対象期間がずれている点に注意が必要です。もう1つは持株会社であることです。
提出会社の従業員の状況(2025年11月30日現在)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数 | 18名(臨時2名は外数) |
| 平均年齢 | 44.2歳 |
| 平均勤続年数 | 9.4年 |
| 平均年間給与 | 4,335千円 |
連結は382名です
有価証券報告書には、当社は持株会社であるためセグメント別の従業員数は記載していない、と明記されています。持株会社である提出会社はグループ経営戦略の策定、経営全般における指導、採用・教育を含む事務委託、コーポレート・ガバナンスの構築等の管理業務を行っています。
4,335千円という数字の位置づけ
これは持株会社に在籍する18名の平均です。年収情報を扱うサイトでこの数字を見かけても、応募先の事業会社の給与水準ではありません。
グループの構成
| 法人 | 所在地 | 資本金 | 主要な事業の内容 |
|---|---|---|---|
| 株式会社システムイオ | 千葉市美浜区 | 100,000千円 | システムインテグレーションサービス |
| 株式会社ビーガル | 千葉市美浜区 | 15,000千円 | DXソリューションサービス |
| 株式会社エーピーエス | - | - | システムインテグレーションサービス |
| 株式会社ネットウィンクス | - | - | - |
本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項や選考プロセスは、公式サイトでご確認ください。
減収の理由に「エンジニア不足による機会損失」と書かれている
第16期は、5期のなかで初めて減収となりました。
連結の5期推移(単位:千円)
| 回次 | 第12期 | 第13期 | 第14期 | 第15期 | 第16期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 決算年月 | 2021年11月 | 2022年11月 | 2023年11月 | 2024年11月 | 2025年11月 |
| 売上高 | 3,865,268 | 4,357,363 | 4,786,307 | 5,240,301 | 5,117,826 |
| 経常利益 | 60,796 | 120,190 | 94,740 | 187,863 | 162,301 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 28,679 | 45,416 | 47,524 | 124,639 | 94,862 |
| 自己資本比率 | 36.9% | 28.8% | 24.3% | 27.2% | 34.3% |
| 自己資本利益率 | 5.1% | 8.3% | 8.9% | 20.5% | 13.7% |
| 従業員数 | 320人 | 363人 | 396人 | 398人 | 382人 |
第16期の中身
売上高5,117,826千円(前期比2.3%減)、売上総利益1,098,002千円(同6.6%減)、営業利益169,243千円(同14.2%減)、経常利益162,301千円(同13.6%減)、当期純利益94,862千円(同23.9%減)。
有価証券報告書に書かれている理由は次のとおりです。
- DXソリューションサービスにおいて前期受注の反動減が生じた
- 高い利益率を有するデジタルマーケティング事業において収益が減少した
- 一方で販売費及び一般管理費の圧縮効果により、減益幅は売上総利益の減少より小さくなった
- 賃上げ促進税制の適用により法人税等の負担が軽減された
事業会社ごとの状況も書かれている
株式会社システムイオについては、主要顧客からの受注が引き続き堅調でエネルギー分野における開発案件が拡大した一方、前期に受注した運輸・物流分野の大型案件の終了による反動減に加え、機会損失の発生およびそれに伴うエンジニアの稼働工数減少の影響で伸び率が鈍化し、前期比では微増にとどまったとされています。
株式会社エーピーエスについては、エンジニア不足による機会損失が大きく影響した結果、前期比減収となったと明記されています。
この記載が意味すること
減収の理由が需要不足ではなく人が足りずに受けきれなかったことだと、会社自身が書いています。従業員数も398人から382人へ16人減っています。
求職者から見た読み方
受注はあるが人が足りないという状態です。採用の切迫度は高いと考えられます。一方で、入社後に稼働が高くなりやすい局面でもあります。どちらの側面も確認したうえで判断すべき局面です。
エージェントベストの見解
有価証券報告書に「エンジニア不足による機会損失」と書いてある会社は、そう多くありません。多くは「受注環境は厳しく推移した」といった表現にとどめます。この会社は減収の理由として、需要ではなく供給側、つまり自社の人員不足を挙げました。応募を考える方にとって、これは追い風と向かい風の両方を意味します。追い風は、採用の必要性が経営課題として明示されていること。求人が続く可能性は高い。向かい風は、入社直後から稼働が高くなりやすいことです。人が足りていない現場に人を入れるのですから、当然そうなります。面接では「配属予定の案件は、いま何名体制で何名不足していますか」と聞いてください。数字で答えが返ってくれば、状況が具体的に見えます。答えが抽象的なときは、入社後の負荷について別の角度からもう一度確認したほうがよい。ここは遠慮すべき場面ではありません。
事業の中身は2つ、顧客は社会インフラ
グループは情報サービス事業の単一セグメントですが、事業領域は2つに区分されています。
1. システムインテグレーションサービス
独立系システムインテグレーターとして、1990年の創業以来35年を超える実績を積み重ねてきたと記載されています。有価証券報告書の注記では、SIerはメーカー系・ユーザー系・独立系の3つに分類され、独立系はハードメーカーや大手企業の出資に依らず独自で設立された企業で、特定のハードウエアやミドルウエアに縛られない点が特徴だと説明されています。
分野は公共(中央省庁、自治体)、通信(携帯キャリア)、金融(銀行、クレジット、保険)、エネルギー(電力、ガス)、運輸・物流。社会インフラ系の基幹システム開発とネットワーク基盤構築が柱です。
受注の形
有価証券報告書には、大手メーカー、大手システムインテグレーターから各種の社会インフラ系基幹システム開発およびネットワーク基盤構築の受注を柱にしていると記載されています。そのうえで、エンドユーザとの直接取引となるプライム案件の受注拡大を目的に、エンジニア社員のスキル底上げ、新技術分野の拡充、顧客満足度の向上に向けた施策を継続的に実施しているとされています。
現在の位置と目指す位置が、どちらも明記されている点は誠実な書き方です。
2. DXソリューションサービス
自社プロダクトを持つ領域です。
| 領域 | 内容 |
|---|---|
| デジタルマーケティング | 電子出版・教材制作・配信システム「Wisebook」、基本料0円から始められるデジタルブック配信サービス「Trend Tap」、教育に特化した「Wisebook EdTech」 |
| 図面DXソリューション | 2次元・3次元汎用CAD「DynaCADシリーズ」「DynaCAD CUBE」、大規模修繕工事の足場仮設計画図・外壁下地調査図のCAD製図サービス、ドローン操縦技術者講習 |
| クラウドシステムソリューション | 認証ソリューション、GIGAスクール支援サービス、学食・社員食堂向け予約管理システム「The Meal」、自治体向け駐輪場管理システム |
ドローンは国交省の管理団体
有価証券報告書には、**国土交通省の定める所要の要件を満たした「管理団体」**として操縦技術講習等を実施していると記載されています。
選択と集中の方針も書かれている
優先的に対処すべき課題として、高利益率案件への選別強化に加え、ストック型ビジネスおよび自社プロダクトを中心とした事業への「選択と集中」を進めると明記されています。第16期に減収の一因となったデジタルマーケティング事業は、高い利益率を有すると表現されている領域です。
経営指標は「売上高と人月工数」
この会社の経営指標の置き方は、他社と比べて具体的です。
有価証券報告書には、システムインテグレーションサービスにおいて売上高と人月工数を重要な経営指標としていると記載され、その理由が次のように説明されています。
期首に月次での売上目標を社員に提示しており、進捗状況の把握が容易であり未達の場合の度合いがわかりやすい点であります。また、工数については月次工数が増加することにより業務の拡大が明確になるためであります。
求職者から見て何が分かるか
月次の売上目標が社員に提示されるという運用が明記されています。目標管理の粒度が細かい環境だということです。これを歓迎する人もいれば、そうでない人もいます。事前に分かるのは良いことです。
上場維持基準の話も書かれている
2024年11月30日時点でスタンダード市場の上場維持基準のうち**「流通株式時価総額」について基準を充たしていなかった**が、「上場維持基準の適合に向けた計画」に基づく取り組みを進めた結果、2025年11月30日基準日時点においてすべてに適合したと記載されています。
人材育成の中身
| 対象 | 内容 |
|---|---|
| 新卒社員・未経験中途社員 | 入社後一定期間、ビジネス基礎・IT基礎・プログラミング・システム開発の集中研修(座学と実機演習の組み合わせ) |
| 若手社員 | フォローアップ研修(業務上の課題を自ら認識し、論理的に解決策を導く思考力・行動力の向上) |
| 入社2〜3年目 | OJTトレーナーとしての役割 |
| 管理職層・次世代リーダー層 | マネジメント力・戦略思考力の強化施策を段階的に導入検討 |
| 高度技術者層 | AIやアジャイル開発等の先端技術分野に対応できる人材、AIエンジニアの育成 |
未経験中途を明示している
研修の対象に未経験中途社員が明記されています。同じ規模帯のSIerで、ここまで書いている会社は多くありません。
指標はまだ設定されていない
有価証券報告書には、人的資本に関する指標および目標の設定・開示についても検討を進めると書かれています。つまり現時点では数値目標が置かれていない段階です。取り組みの内容は具体的だが、進捗を測る数字はこれからという状態と読めます。
労働組合と多様性の指標
労働組合はグループにおいて結成されておらず、労使関係は円満に推移していると記載されています。
多様性の指標
| 指標 | 提出会社 | ㈱システムイオ | ㈱ビーガル | ㈱エーピーエス | ㈱ネットウィンクス |
|---|---|---|---|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 50.0% | 6.3% | 33.3% | 14.3% | 33.3% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | - | 80.0% | - | - | - |
| 男女の賃金の差異(全労働者) | 77.6% | 84.8% | 86.0% | 88.2% | 76.7% |
| 男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 76.3% | 86.0% | 92.9% | 98.1% | 76.4% |
| 男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 64.6% | 60.6% | 76.6% | - | - |
提出会社の50.0%は母数が小さい
提出会社の従業員は18名です。管理職に占める女性50.0%という数値は、母数の小ささを踏まえて読む必要があります。
事業会社では正規雇用労働者の差異が大きい会社がある
㈱エーピーエスの正規雇用労働者98.1%、㈱ビーガルの92.9%は、差が小さい側に入ります。一方で最大の事業会社である㈱システムイオは86.0%です。
財務の動きも押さえておく
第16期は財務活動によるキャッシュ・フローが**△423,457千円**と大きく、総資産は2,442,674千円から2,106,939千円へ減っています。一方で自己資本比率は27.2%から34.3%へ改善し、現金及び現金同等物は813,804千円。営業活動によるキャッシュ・フローは308,156千円のプラスです。借入の返済を進めた期と読めます。
配当は1株当たり30円で、配当性向は125.4%。注記には株式会社システムイオの創立35周年記念配当4円を含むと記載されています。記念配当は毎期出るものではありません。
選考で確認しておきたいこと
- 雇用契約の相手方(システムイオ/ビーガル/エーピーエス/ネットウィンクスのいずれか)
- 配属される領域(システムインテグレーションかDXソリューションか)
- 配属予定の案件の体制と、不足している人数
- 月次の売上目標が個人単位で設定されるか
- 未経験中途向け研修の期間と内容
- プライム案件の比率
1つ目と2つ目は不可分です。システムインテグレーションはシステムイオとエーピーエス、DXソリューションはビーガルが担っており、自社プロダクトを扱うかどうかで仕事の性格が変わります。
3つ目は、減収の理由としてエンジニア不足による機会損失が明記されていることを踏まえた確認です。
4つ目は、経営指標として期首に月次での売上目標を社員に提示していると記載されているためです。個人単位か、部門単位かで受け止め方が変わります。
6つ目は、現状が大手メーカー・大手SIerからの受注を柱としており、プライム案件の拡大を目指すと明記されているためです。上流工程に関わりたい場合は、比率と時期を確認する価値があります。
選考フローや面接内容は、職種や時期によって変わるとされています。最新の募集要項は公式サイトで必ずご確認ください。
独立系の位置づけはSIerのキャリアパス、難易度の目安はSIerの転職難易度もあわせてご覧ください。
エージェントベストの見解
独立系SIerを検討する方から「特定のメーカーに縛られないので技術の幅が広がる」という言葉をよく聞きます。有価証券報告書にも同じ趣旨の説明があり、間違いではありません。ただし、この会社の受注構造は大手メーカー・大手システムインテグレーターからの受注が柱だと明記されています。つまり現時点では二次請け以降が中心で、そこからプライム案件を増やそうとしている段階です。技術の幅と、担当できる工程の幅は別の話です。上流に関わりたい方は、そこを分けて確認してください。面接で有効なのは「プライム案件は現在どのくらいの比率ですか」「その案件で自分はどの工程から入りますか」の2問です。会社の目標としてプライム拡大が掲げられている以上、答えを持っているはずの質問でもあります。答えの具体度が、そのまま自分のキャリアの見通しになります。
まとめ
MITホールディングスについて、有価証券報告書から確認できる点を整理します。
- 決算期は11月。第16期は2024年12月1日から2025年11月30日まで
- 提出会社は持株会社で従業員18名。平均年齢44.2歳、平均勤続9.4年、平均年間給与4,335千円
- 連結は382名。連結子会社4社(システムイオ/ビーガル/エーピーエス/ネットウィンクス)
- 情報サービス事業の単一セグメント。領域はシステムインテグレーションとDXソリューションの2つ
- 第16期は5期で初の減収。売上高5,117,826千円(前期比2.3%減)、当期純利益94,862千円(同23.9%減)
- 減収の理由に「エンジニア不足による機会損失」「機会損失に伴うエンジニアの稼働工数減少」が明記されている
- 従業員数も398人から382人へ減少
- 経営指標は売上高と人月工数。期首に月次での売上目標を社員に提示していると記載
- 2025年11月30日基準日時点でスタンダード市場の上場維持基準にすべて適合
- 未経験中途社員向けの集中研修が明記される一方、人的資本の指標・目標は設定を検討中の段階
本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。詳細は有価証券報告書および公式サイトでご確認ください。
よくある質問
Q. 平均年間給与4,335千円が、この会社の年収水準ですか。
A. 違います。提出会社であるMITホールディングス株式会社は持株会社で、従業員は18名です。連結382名の大半は子会社に在籍しており、事業会社の平均年間給与は有価証券報告書には開示されていません。
Q. 減収した会社ですが、採用は続きますか。
A. 募集状況は公式サイトでご確認ください。ただし有価証券報告書には、減収の理由として株式会社エーピーエスの「エンジニア不足による機会損失」、株式会社システムイオの「機会損失の発生およびそれに伴うエンジニアの稼働工数減少」が挙げられています。受注ではなく人員が制約になっている状態です。
Q. 未経験からでも応募できますか。
A. 募集要件は公式サイトでご確認ください。有価証券報告書には、新卒社員および未経験中途社員に対して入社後一定期間、ビジネス基礎・IT基礎・プログラミングおよびシステム開発の集中研修を実施していると記載されています。
Q. 上流工程に関われますか。
A. 現状は大手メーカー・大手システムインテグレーターからの受注が柱と明記されています。そのうえでエンドユーザとの直接取引となるプライム案件の受注拡大を目的とした施策を継続的に実施しているとされており、比率は面接で確認する価値があります。
本記事は 2026/8/12 時点の公開情報にもとづいて作成しています。