MSDの評判|年収・働き方・選考対策まで解説

MSD 評判・年収・選考対策 更新日 2026/8/12

非上場企業をどう調べるか

MSDについて、公開されている一次情報から確認できる事実を整理します。

この会社は非上場です

MSD株式会社は米国のMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USAの日本法人で、有価証券報告書を提出していません。 そのため平均年収・平均年齢といった、上場企業なら開示される数値は公開されていません。年収情報を掲載するサイトの数字は一次情報ではないという前提で読む必要があります。

そこで本記事では、公式の会社概要、公式の採用サイト、gBizINFO(経済産業省の法人情報サイト)、そして薬機法の条文という4種類の公開情報から、この会社の輪郭を描きます。

公式の会社概要

項目内容
会社名MSD株式会社
本社所在地東京都千代田区九段北一丁目13番12号 北の丸スクエア
資本金263億49百万円(2025年4月1日現在)
従業員数約3,300人(2025年4月1日現在)
事業内容医療用医薬品、ワクチンの開発・輸入・製造・販売
親会社Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA
主要事業所大阪オフィス(大阪市中央区平野町)、妻沼工場(埼玉県熊谷市西城)

もうひとつの法人がある

公式サイトには日本MSD合同会社も併記されています。設立2014年3月4日、業務開始2014年7月1日、資本金1億円で、出資者はMSD株式会社が全額。同一の代表者が置かれています。応募先がどちらの法人かは、確認しておく価値があります。

gBizINFOで確認できること

項目内容
法人番号2010001135668
業種E.製造業
従業員数3,200人
本社事業所の被保険者数3,197人
特許0件
意匠0件
商標8件
届出・認定/補助金交付/調達実績いずれも0件
表彰4件(えるぼし認定、くるみん認定3回)
女性労働者割合(正社員)31.0%

本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項や選考プロセスは、公式サイトでご確認ください。

特許0件という数字をどう読むか

gBizINFOの知的財産の欄は、特許0件・意匠0件・商標8件です。世界有数の研究開発型製薬企業の日本法人としては、直感に反する数字に見えます。

特許の出願主体が日本法人ではない

新薬の物質特許は、通常開発を担うグローバルの法人が出願主体になります。日本法人の名義で国内出願された特許がgBizINFOに記録されていなければ、0件と表示されます。「権利がない」ことと「その法人の名義で記録がない」ことは別です。

同じ構造は他社にも起きる

これまで見てきた非上場企業でも、特許0件と表示される会社は珍しくありませんでした。gBizINFOの知的財産の欄は、その法人が名義人になっているものだけを数えていると理解してください。

逆に、調達実績0件という数字は情報を持つ

gBizINFOの調達実績は、官公庁との取引の記録です。0件ということは、国の調達案件を直接受注する形の事業ではないことを示しています。ワクチンなどは国の施策と関わりますが、購入の主体や流通の経路が異なれば調達実績には現れません。

表彰4件の中身

えるぼし認定1回、くるみん認定3回。いずれも働き方に関する認定です。特許でも補助金でもなく、この会社のgBizINFOで数字が入っているのは働き方の認定だけ、という点は示唆的です。

エージェントベストの見解

外資系製薬の日本法人を検討する方から、グローバルの規模感を志望動機に据えた話をよく聞きます。研究開発費や研究者数、パイプラインの本数といった数字です。それ自体は事実ですが、面接で聞かれるのは「その規模のなかで、日本法人は何をする組織か」です。日本法人が担うのは、開発の後半から承認申請、そして市販後の情報提供と安全性の管理です。分子を設計する場所ではありません。ここを分けて語れないと、志望動機が「グローバルのすごさの紹介」で止まります。準備としては、公開されている国内の承認取得や適応追加の事例を1つ選び、それが日本の患者にとって何を変えたのかを自分の言葉で説明できるようにしておくことです。グローバルの数字は前提として1文で触れ、残りは日本法人の役割に使う。この配分にするだけで、面接の手応えが変わります。

日々の仕事を規定しているのは薬機法

製薬企業の仕事は、法律の枠組みの上に成り立っています。求人票からは見えないが、入社後の毎日を強く規定するのがこの部分です。

製造販売業の許可

医薬品医療機器等法(薬機法)第12条は、次のように定めています。

次の表の上欄に掲げる医薬品(体外診断用医薬品を除く。以下この章において同じ。)、医薬部外品又は化粧品の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に定める厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造販売をしてはならない

許可は第一種医薬品製造販売業許可第二種医薬品製造販売業許可に分かれます。「製造販売」と「製造」は別の許可であり、工場を持つことと、市場に出す責任を負うことは法律上まったく別の話です。

総括製造販売責任者を置く義務

第17条は、製造販売業者に対して次の義務を課しています。

医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造販売業者は、厚生労働省令で定めるところにより、医薬品、医薬部外品又は化粧品の品質管理及び製造販売後安全管理を行わせるために、医薬品の製造販売業者にあつては薬剤師を(中略)置かなければならない。

さらに、この責任者について同条第3項は次のように定めます。

医薬品等総括製造販売責任者は、医薬品、医薬部外品又は化粧品の品質管理及び製造販売後安全管理を公正かつ適正に行うために必要があるときは、製造販売業者に対し、意見を書面により述べなければならない

会社に対して意見を書面で述べる義務が法律に書かれている、というのは他業種ではあまり見ない構造です。品質と安全性の判断が、営業上の都合から独立して機能するように設計されています。

広告には二重の制約がある

第66条は誇大広告等を禁じています。

何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない

第2項では、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事も、これに該当するとされています。

そして第68条は、承認前の製品の広告そのものを禁じています。

何人も、(中略)まだ(中略)承認又は(中略)認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない

MRの仕事を考えるうえで決定的な条文です

医療関係者に情報を提供する職種では、承認された効能・効果の範囲を超えて話せません。 開発中のパイプラインについても、名称や効能に触れる形での情報提供はできません。「良い薬だから広く伝えたい」という動機だけで入ると、この制約に戸惑うことになります。

逆に言えば、専門性が積み上がる

制約が強い領域では、枠内でいかに正確に伝えるかが技能になります。ここに面白さを見いだせるかどうかが、この業界での定着を分けます。

公式採用サイトが出している働き方の数値

非上場のため有価証券報告書はありませんが、公式の採用サイトには働き方に関する数値が並んでいます。

日本法人の数値

項目数値
従業員数約3,300人(2024年4月1日現在)
平均勤続年数16.6年(2024年)
従業員の男女比率7:3(2024年)
有給休暇取得日数平均12.9日
月平均の所定外労働時間約4.2時間(前年度実績)
男性の育児休業取得日数平均48.3日(取得率85%超)
女性管理職比率約30%
女性役員比率50%

平均勤続年数16.6年

これまで本メディアで見てきたIT・情報サービス業では、平均勤続10年前後が多数派でした。16.6年は長い側に入ります。gBizINFOの女性労働者割合(正社員)31.0%と、採用サイトの男女比率7:3もほぼ整合します。

月平均の所定外労働時間 約4.2時間

これは注目に値する数値です。月4.2時間は1日あたり十数分の計算になります。外勤中心の職種を含む会社としては、かなり低い水準です。

ただし前提を確認する必要があります

この数値がどの職種・雇用区分を母集団としているかは、採用サイトの記載からは読み取れません。MR職にはフルフレックス制度が採用されており、「働いた時間ではなく成果に着目」した制度であると説明されています。裁量的な働き方の職種では、所定外労働時間という指標そのものの意味が変わります。

休暇の制度

制度内容
年次有給休暇毎年20日間を付与。失効した休暇の積立制度あり
有給育児休業最長60日間。分割取得が可能で、勤続1年以上といった取得条件なし
ディスカバリー休暇年間最大40日まで取得可能。連続・断続いずれにも対応
保育料補助制度あり

勤続1年以上という条件がない育児休業

有給の育児休業に取得条件を設けていないという記載は、他社ではあまり見ません。入社直後でも使える制度ということになり、中途入社を検討する人にとっては実務的な情報です。

その他の制度

外部からの認定・受賞

認定・受賞内容
えるぼし2023年8月に最高位の3つ星認定
D&I Award2021年以来5年連続で最上位のベストワークプレイス認定。2024年に大賞を受賞
健康経営優良法人2025年認定(大規模法人部門)
くるみんgBizINFOに3回の認定が記録されている

グローバルの数字と日本法人の数字を混ぜない

採用サイトには、グローバルの規模を示す数値も並んでいます。

項目数値
従業員数(グローバル)約75,000人
研究開発費約2.4兆円
研究者数約23,500人
査読付き論文数1,400本以上(2024年時点)
グローバル開発パイプライン85件以上
年間に医薬品・ワクチンを届けた人数約4.5億人

日本法人は約3,300人

グローバル約75,000人に対し、日本法人は**約4%**にあたります。研究開発費約2.4兆円や研究者数約23,500人は、日本法人の予算・人員ではありません。

沿革を押さえておくと理解しやすい

公式サイトによると、1891年にMSDが創業、1915年に岩垂亨が梅毒治療薬の合成に成功して萬有合資会社が創立、1952年にMerck & Co.と販売提携、2004年にMerck & Co.の完全子会社となり、2010年に万有製薬とシェリング・プラウが統合して「MSD株式会社」が発足しました。

つまり日本法人には2つの源流がある

1915年創業の国内企業と、統合相手だったシェリング・プラウ。約110年の国内での歴史を持つ組織が、グローバル企業の日本法人になっているという成り立ちです。平均勤続年数16.6年という数値も、この背景と切り離せません。

選考で確認しておきたいこと

  1. 雇用契約の相手方(MSD株式会社か、日本MSD合同会社か)
  2. 配属予定の職種と、担当する疾患領域
  3. 勤務地(東京・大阪・妻沼工場のいずれか)
  4. 所定外労働時間の数値がどの職種を母集団としているか
  5. フルフレックス制度の対象範囲
  6. 評価制度がグローバル共通か、日本独自か

1つ目は、公式サイトに2つの法人が併記されているためです。組織の位置づけが違えば、適用される制度も変わり得ます。

3つ目は、本社(東京都千代田区)のほかに大阪オフィスと妻沼工場(埼玉県熊谷市)が公式に記載されているためです。工場勤務と本社勤務では、働き方も評価軸も変わります。

4つ目は、月平均の所定外労働時間が約4.2時間と示されている一方、MR職にはフルフレックス制度が採用されていると説明されているためです。制度の設計と数値の母集団を、面接で確認する価値があります。

6つ目は、外資系の日本法人では論点になりやすいところです。目標の設定主体、評価の実施主体、報酬レンジの決定主体がそれぞれどこかを確認してください。

選考フローや面接内容は、職種や時期によって変わるとされています。最新の募集要項は公式サイトで必ずご確認ください。

職種別の観点はプロジェクトマネージャーのキャリアパスもあわせてご覧ください。

エージェントベストの見解

非上場の会社を検討するとき、多くの方が年収情報サイトの数字を出発点にします。ところがあの数字には出典がありません。上場企業なら有価証券報告書に平均年間給与が載りますが、この会社には提出義務がなく、公式にも公表されていません。ではどうするか。使えるのは制度の情報です。年次有給休暇が毎年20日付与され、失効分の積立があり、有給の育児休業が最長60日で勤続条件なし、GLTDの保険料は会社が全額負担、企業年金は確定給付型のキャッシュバランスプラン。これらは金額ではありませんが、総報酬の一部を構成します。同じ提示年収でも、この部分の厚みで手取りと将来の安心はかなり違ってきます。オファーを比較する段階では、必ず制度の一覧を取り寄せて並べてください。年収の数字だけで決めた方ほど、入社後に「思ったより違った」と言います。

まとめ

MSDについて、公開されている一次情報から確認できる点を整理します。

本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。詳細は公式サイトおよびgBizINFOでご確認ください。

よくある質問

Q. 平均年収は公開されていますか。

A. 公開されていません。MSD株式会社は非上場で有価証券報告書の提出義務がなく、公式サイトにも平均年間給与の記載はありません。年収情報を扱うサイトの数字は一次情報ではないため、オファー時に提示条件を確認するのが確実です。

Q. 月平均の所定外労働時間が約4.2時間というのは本当ですか。

A. 公式の採用サイトに前年度実績として記載されています。ただし母集団となる職種や雇用区分は明記されていません。MR職にはフルフレックス制度が採用されていると説明されているため、制度と数値の関係を面接で確認する価値があります。

Q. 未経験からMRになれますか。

A. 募集要件は公式サイトでご確認ください。押さえておきたいのは、医療関係者への情報提供が薬機法第66条・第68条の制約下にあることです。承認された効能・効果の範囲を超えた説明や、承認前の製品に関する広告はできません。

Q. 勤務地はどこになりますか。

A. 公式の会社概要には本社(東京都千代田区九段北)、大阪オフィス(大阪市中央区平野町)、妻沼工場(埼玉県熊谷市西城)が記載されています。職種によって勤務地が異なるため、応募時に確認してください。

出典

本記事は 2026/8/12 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)