セイコーエプソンの評判|年収・働き方・選考対策まで解説

セイコーエプソン 評判・年収・選考対策 更新日 2026/8/6

セイコーエプソン株式会社の有価証券報告書 第84期(2026年3月期)によると、2025年度の連結売上収益は1,413,251百万円で5期のなかで最高です。ところが親会社の所有者に帰属する当期利益は18,201百万円で、5期のなかで最低。前年度の55,177百万円から約67.0%減っています。この記事では、その理由を有報から整理します。

売上は最高、利益は最低

年度売上収益税引前利益親会社の所有者に帰属する当期利益ROE
2021年度(2022年3月期)1,128,914百万円97,162百万円92,288百万円15.17%
2022年度(2023年3月期)1,330,331百万円103,755百万円75,043百万円10.77%
2023年度(2024年3月期)1,313,998百万円70,094百万円52,616百万円6.84%
2024年度(2025年3月期)1,362,944百万円78,395百万円55,177百万円6.83%
2025年度(2026年3月期)1,413,251百万円50,023百万円18,201百万円2.20%

数値は有価証券報告書 第84期(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)によります。連結財務諸表はIFRS会計基準に基づいて作成されています。

売上収益は5期で約1.25倍になり、2025年度が最高です。

一方、当期利益は92,288百万円から18,201百万円へ。ROEも15.17%から2.20%へ下がりました。

有報には前年度からの変化が次のように記載されています。

項目2024年度2025年度増減
営業利益751億円496億円△255億円(△34.0%)
税引前利益784億円500億円△284億円(△36.2%)
当期利益552億円182億円△370億円(△67.0%)

営業利益の減少幅(△34.0%)より当期利益の減少幅(△67.0%)が大きくなっています。

有報には、法人所得税費用が△232億円から△318億円へ増えた理由として「一部の繰越欠損金について繰延税金資産を認識していないことによる増加等」が記載されています。

のれんの減損損失259億円

営業利益が減った要因の1つは減損です。

有報のプリンティングソリューションズ事業セグメントの記述には、Fiery社に係るのれんの減損損失の計上額が259億円である旨が記載されています。

理由として、同社が手がける商業印刷および産業印刷市場において、米国における関税政策の影響等を背景に設備投資の抑制が進むなど、市場環境が想定以上に悪化しており、この状況を踏まえて事業計画を慎重に見直したことが挙げられています。

セグメント別の状況

セグメント売上収益前期比セグメント利益前期比
プリンティングソリューションズ1兆295億円5.0%増1,206億円3.4%減
ビジュアルコミュニケーション1,814億円11.0%減123億円57.8%減
マニュファクチャリング関連・ウエアラブル2,061億円13.6%増大幅な増益

プリンティングソリューションズは売上収益が5.0%増えましたが、セグメント利益は3.4%減。有報には、増収や為替のプラス影響があった一方で米国関税によるマイナス影響が大きかった旨が記載されています。

ビジュアルコミュニケーション(プロジェクター等)は、中国市場の悪化に加え欧米を中心とした教育市場での販売減の影響で減収となり、セグメント利益は57.8%減となりました。

マニュファクチャリング関連・ウエアラブルは、マニュファクチャリングソリューションズ事業やマイクロデバイス事業を中心とした増収により大幅な増益と記載されています。

なお販売実績で見ると、プリンティングソリューションズが1,029,483百万円で全体1,413,251百万円の約72.8%を占めます。

有報から読み取れる範囲

以下は、有価証券報告書と公表情報から読み取れる範囲の整理です。個別の口コミではなく、開示された数値をもとにしています。

年収・評価制度

提出会社の平均年間給与は8,087千円(対前事業年度増減率1.8%)です。従業員12,311人、平均年齢42.9歳、平均勤続年数18.1年。賞与および基準外賃金を含み、提出会社の正規従業員をもとに計算されています。

※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです

ワークライフバランス

有報には労働時間の数値の記載はありません。提出会社の男性労働者の育児休業取得率は95.7%と記載されています。

※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです

キャリア・成長機会

報告セグメントはプリンティングソリューションズ、ビジュアルコミュニケーション、マニュファクチャリング関連・ウエアラブルの3つです。有報には長期ビジョン「ENGINEERED FUTURE 2035」と、2026年度から2028年度の3年間で営業活動によるキャッシュ・フロー約5,600億円を見込み、成長領域へ投下する方針が記載されています。

※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです

社風・人間関係

提出会社および一部の連結子会社において労働組合が組織されており、労使関係は良好であると記載されています。連結従業員数は74,619人です。提出会社の平均勤続年数は18.1年です。

※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです

エージェントベストの見解

売上収益が過去最高なのに当期利益が5期で最低、という組み合わせは読み解きが要ります。有報を追うと、3つの層が重なっていることが分かります。第一に本業。営業利益は751億円から496億円へ△34.0%。ここにはFiery社に係るのれんの減損損失259億円が含まれます。第二に税金。法人所得税費用が△232億円から△318億円へ増え、有報は「一部の繰越欠損金について繰延税金資産を認識していない」ことを理由に挙げています。将来の利益で使えると見込んでいた税務上の資産を、見込めないと判断したということです。第三に事業のばらつき。プリンティングソリューションズは増収減益、ビジュアルコミュニケーションは減収でセグメント利益57.8%減、マニュファクチャリング関連・ウエアラブルは大幅増益。応募を検討する立場では、この3つ目が重要です。会社全体の数字ではなく、自分が入るセグメントがどちらの側かを確認してください。

報酬について確認できること

有価証券報告書によると、提出会社の平均年間給与は8,087千円です。対前事業年度増減率は1.8%。従業員数12,311人、平均年齢42.9歳、平均勤続年数18.1年です。

有報には、平均年齢・平均勤続年数・平均年間給与が提出会社の正規従業員をもとに計算されている旨と、平均年間給与に賞与および基準外賃金を含む旨の注記があります。

他のメーカーと並べると、位置関係が見えます。

会社平均年間給与平均年齢平均勤続年数提出会社の従業員数
株式会社キーエンス21,783,259円35.0歳11.3年3,306人
株式会社アドバンテスト10,977千円45.68歳20.16年2,033人
オムロン株式会社8,882千円44.5歳14.8年3,855人
コニカミノルタ株式会社8,441,281円46.4歳20.7年3,888人
セイコーエプソン株式会社8,087千円42.9歳18.1年12,311人
シャープ株式会社7,818千円44.5歳20.1年5,553人

各社の有価証券報告書によります。決算期が異なる会社が含まれます。

セイコーエプソンの提出会社従業員12,311人は、この6社のなかで最も多い人数です。国内に製造拠点を持つ構成が背景にあると考えられます。

有報には人的資本の指標も記載されています。管理職に占める女性労働者の割合は5.9%、男性労働者の育児休業取得率は95.7%、労働者の男女の賃金の差異は全労働者78.4%(正規雇用労働者78.5%)です。

補足説明には、賃金制度上は同一資格等級での男女の賃金差異はないが、上位職位・資格等級に占める女性の割合が少ないことが差異の主な理由である旨が記載されています。また管理職層における賃金差異は97.8%と注記されています。

実額は選考の過程で確認してください。

3つのセグメントと国内の人員配置

提出会社の従業員12,311人のセグメント別配置は次のとおりです。

セグメント従業員数
プリンティングソリューションズ事業6,012人
マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業2,035人
ビジュアルコミュニケーション事業1,396人
報告セグメント計9,443人
その他0人
全社(共通)2,868人
合計12,311人

プリンティングソリューションズ事業に6,012人(約48.8%)が配置されています。売上収益でも約72.8%を占める主力です。

有報のセグメントごとの記述には、事業の中身が記載されています。

プリンティングソリューションズ事業 — オフィス・ホームプリンティング事業と商業・産業プリンティング事業に分かれます。前者ではインクカートリッジモデルが減少する一方、大容量インクタンクモデルが中東・アフリカの新興国市場やアジア、南米等を中心に増加したと記載されています。後者では商業・産業IJPの完成品ビジネスが案件の獲得や新製品の投入効果等により増収、プリントヘッド外販ビジネスは中国市場での軟調な需要が継続して前期並みとされています。

ビジュアルコミュニケーション事業 — プロジェクター等。中国市場の悪化と欧米の教育市場での販売減により減収。

マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業 — マニュファクチャリングソリューションズ事業(産業用ロボット等)、ウエアラブル機器事業(腕時計等)、マイクロデバイス事業(水晶デバイス、半導体)。水晶デバイスは大幅な増収、半導体も一部顧客の需要回復により増収と記載されています。

なお有報には、2026年度から2028年度までの3年間で営業活動によるキャッシュ・フローを約5,600億円(研究開発費控除前)と見込み、その原資をプレシジョンイノベーションセグメントやインダストリアル&ロボティクスセグメントといった成長領域へ積極的に投下する方針、DOE(株主資本配当率)3%を配当の下限とする方針、3年間で合計800億円の自己株式取得を予定している旨が記載されています。

この環境で積める経験

この会社でのキャリアを考えるうえで、押さえるべき点が3つあります。

第一に、売上は伸びています。 売上収益は5期で1,128,914百万円から1,413,251百万円へ約1.25倍。2025年度が最高です。

第二に、利益は落ちています。 当期利益は18,201百万円で5期のなかで最低、ROEは2.20%です。

第三に、セグメントで明暗が分かれています。 マニュファクチャリング関連・ウエアラブルは大幅増益、ビジュアルコミュニケーションはセグメント利益57.8%減です。

向いている人/向いていない人

向いている人

プリンティング技術に専門性がある方

プリンティングソリューションズ事業は売上収益1兆295億円、提出会社の従業員6,012人と主力です。

産業用ロボットや電子デバイスに関心がある方

マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業は売上収益2,061億円(13.6%増)で大幅増益と記載されています。

国内の製造拠点で働きたい方

提出会社の従業員は12,311人で、比較した6社のなかで最も多い構成です。

向いていない人

利益が伸びている局面を求める方

当期利益は55,177百万円から18,201百万円へ約67.0%減、ROEは6.83%から2.20%へ下がりました。

外部環境の影響を受けにくい事業を選びたい方

有報には米国の関税政策の影響、中国市場の悪化、欧米の教育市場での販売減が要因として記載されています。

エージェントベストの見解

面接で問われるのは、「プリンターの会社という理解の先に何があるか」です。売上収益の約72.8%はプリンティングソリューションズですから、主力であることは間違いありません。ただし2025年度はこのセグメントが増収減益で、しかもFiery社に係るのれんの減損損失259億円を計上しています。一方でマニュファクチャリング関連・ウエアラブルは売上13.6%増で大幅増益。産業用ロボット、水晶デバイス、半導体を含む区分です。有報の投資方針にも、2026年度からの3年間でプレシジョンイノベーションやインダストリアル&ロボティクスといった成長領域へ投下する旨が記載されています。準備としてお伝えしているのは、この方向転換を踏まえて志望セグメントを選び、その理由を語ることです。プリンティングを志望するなら、大容量インクタンクモデルが新興国で伸びている一方でインクカートリッジが減っているという構造まで触れられると強い。数字を1つ挙げて、そこから自分の経験につなげてください。募集の有無と職種は、必ず公式の採用ページでご確認ください。

選考に向けた準備

応募の前に確かめること

報告セグメントはプリンティングソリューションズ、ビジュアルコミュニケーション、マニュファクチャリング関連・ウエアラブルの3つです。応募するポジションがどれにあたるかを確認してください。

提出会社の従業員配置はプリンティングソリューションズ6,012人、マニュファクチャリング関連・ウエアラブル2,035人、ビジュアルコミュニケーション1,396人、全社(共通)2,868人です。

またグループには国内の連結子会社が多数あります。エプソン販売、東北エプソン、秋田エプソン、宮崎エプソン、エプソンアヴァシス、エプソンアトミックス、エプソンダイレクト、エプソンロジスティクスなどの名称が有報に記載されています。応募先が提出会社かグループ会社かも確認する項目です。

募集要項の詳細は公式の採用ページでご確認ください。

志望動機で問われること

「なぜこの領域か」と「なぜエプソンか」の2段で組み立てます。

前者については、志望するセグメントを明確にします。プリンティング、プロジェクター、産業用ロボット・デバイスでは相手も必要な経験も異なります。

後者の材料は有報にあります。売上収益が5期で約1.25倍になり2025年度が最高であること。一方で当期利益が約67.0%減、ROEが2.20%であること。Fiery社に係るのれんの減損損失259億円を計上したこと。マニュファクチャリング関連・ウエアラブルが13.6%増収で大幅増益であること。2026年度からの3年間で成長領域へ投資する方針が示されていること。

売上と利益が逆方向に動いた理由を説明できると、数字を丁寧に読んでいることが伝わります。

職務経歴書で見られるポイント

メーカーの中途採用では、技術の深さと、製品として成立させた経験が読まれます。

インクジェット・精密機構の経験がある方は、担当した製品と、性能やコストの要件をどう満たしたかを書きます。この会社の技術の中核にあたる領域です。

産業用ロボットや自動化の経験がある方は、担当した装置と、導入先で動いた指標を書きます。マニュファクチャリング関連の区分に接続します。

電子デバイスの経験がある方は、扱ったデバイスと、量産までのプロセスをどう作ったかを書きます。水晶デバイスや半導体が対象です。

海外での勤務経験がある方は、担当した地域と、市場ごとの違いにどう対応したかを書きます。有報には中東・アフリカ、アジア、南米、中国、欧米の市場動向が記載されています。

いずれの場合も、案件ごとに、置かれていた状況、自分が選んだ打ち手、動いた数値を短く添えます。

まとめ

セイコーエプソン株式会社は東証プライム市場に上場するメーカーで、第84期(2026年3月期/2025年度)の連結売上収益は1,413,251百万円、税引前利益50,023百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益18,201百万円、親会社所有者帰属持分比率55.61%、ROE 2.20%、連結従業員数74,619人です。連結財務諸表はIFRS会計基準に基づきます。売上収益は5期で約1.25倍になり2025年度が最高ですが、当期利益は92,288百万円(2021年度)から18,201百万円へ下がり5期で最低です。営業利益は751億円から496億円へ△34.0%、当期利益は552億円から182億円へ△67.0%。プリンティングソリューションズ事業でFiery社に係るのれんの減損損失259億円を計上し、法人所得税費用も一部の繰越欠損金について繰延税金資産を認識していないこと等により増えました。セグメント別では、プリンティングソリューションズが売上収益1兆295億円(5.0%増)・セグメント利益1,206億円(3.4%減)、ビジュアルコミュニケーションが1,814億円(11.0%減)・123億円(57.8%減)、マニュファクチャリング関連・ウエアラブルが2,061億円(13.6%増)で大幅増益です。提出会社の従業員数は12,311人、平均年齢42.9歳、平均勤続年数18.1年、平均年間給与8,087千円(増減率1.8%)です。

よくある質問

Q. セイコーエプソンの年収はどのくらいですか。

A. 有価証券報告書 第84期(2026年3月期)によると、提出会社の平均年間給与は8,087千円(対前事業年度増減率1.8%、従業員12,311人、平均年齢42.9歳、平均勤続年数18.1年)です。賞与および基準外賃金を含み、提出会社の正規従業員をもとに計算されています。他のメーカーと比べると、オムロン8,882千円(44.5歳)、コニカミノルタ8,441,281円(46.4歳)より低く、シャープ7,818千円(44.5歳)より高い水準です。実額は選考の過程でご確認ください。

Q. 売上が最高なのに、なぜ利益が減ったのですか。

A. 有価証券報告書によると、2025年度の売上収益は1,413,251百万円で5期のなかで最高ですが、親会社の所有者に帰属する当期利益は18,201百万円で最低です。営業利益は751億円から496億円へ△34.0%、当期利益は552億円から182億円へ△67.0%となりました。要因として、プリンティングソリューションズ事業においてFiery社に係るのれんの減損損失259億円を計上したこと(米国の関税政策の影響等を背景とした市場環境の悪化により事業計画を見直したため)、法人所得税費用が△232億円から△318億円へ増えたこと(一部の繰越欠損金について繰延税金資産を認識していないことによる増加等)が記載されています。

Q. どのセグメントが伸びていますか。

A. 2025年度のセグメント別では、マニュファクチャリング関連・ウエアラブル事業が売上収益2,061億円(前期比13.6%増)で大幅な増益と記載されています。マニュファクチャリングソリューションズ事業(産業用ロボット等)やマイクロデバイス事業(水晶デバイス、半導体)が牽引したとされています。一方、プリンティングソリューションズ事業は売上収益1兆295億円(5.0%増)ながらセグメント利益は1,206億円(3.4%減)、ビジュアルコミュニケーション事業は1,814億円(11.0%減)・セグメント利益123億円(57.8%減)です。有報には2026年度からの3年間で成長領域へ投資する方針が記載されています。

本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづいています。最新の募集要項や選考プロセスは、各社の公式サイトでご確認ください。

出典

本記事は 2026/8/6 時点の公開情報にもとづいて作成しています。

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監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)