AGSの評判・年収・選考対策|転職で押さえるべきポイント
平均勤続19.4年という数字
AGSの有価証券報告書で最初に目を引くのは、平均勤続年数です。
提出会社の状況(2026年3月31日現在)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数 | 846名(345) |
| 平均年齢 | 43.3歳 |
| 平均勤続年数 | 19.4年 |
| 平均年間給与 | 6,887千円 |
| 平均年間給与の対前事業年度増減率 | 4.2% |
( )内は臨時雇用者数の年間平均人員(外数)です。平均年間給与は賞与および基準外賃金を含みます。
平均入社年齢は23.9歳
43.3歳から19.4年を引くと23.9歳。新卒で入社して定年近くまで在籍する層が平均を作っている構成です。
当メディアで扱った企業と比べる
IT系の企業では平均勤続5〜8年程度の会社も珍しくありません。19.4年は、明確に長い部類にあたります。
この数字が意味すること
離職が少ない環境である可能性が高い一方、中途入社者が組織のなかで少数派になりやすいということでもあります。
確認したいこと
「配属予定の部署で、直近3年に中途入社した方は何名いますか」。勤続の長い組織では、この一問が受け入れ体制の実態を映します。
本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の情報は有価証券報告書および公式サイトをご確認ください。
埼玉銀行と協和銀行、2つのシステム子会社が源流
有価証券報告書の沿革は、他社にない書き方をしています。2社の年表が並列で記載されているのです。
| 年月 | 出来事 |
|---|---|
| 1971年2月 | 協和銀行の顧客向け受託計算サービスを目的に、昭和コンピューターサービスを設立 |
| 1971年7月 | 埼玉銀行の顧客向け受託計算サービスを目的に、サイギンコンピューターサービスを設立(埼玉県浦和市) |
| 1992年9月 | 両社がそれぞれ、あさひ銀総合システム/あさひ銀情報システムに商号変更 |
| 1995年4月 | あさひ銀総合システムを存続会社として合併 |
| 2003年1月 | 本社を現住所に移転。本社内にインターネットデータセンター「さいたまiDC」を開設 |
| 2004年3月 | りそな銀行の連結子会社から外れ、りそなグループから独立 |
| 2004年7月 | 商号をAGS株式会社に変更 |
銀行系のシステム子会社が、親会社から離れた
2004年3月にりそなグループから独立しています。ユーザー系SIerとして出発し、独立系に移行したという経歴です。
この経歴が事業に残していること
有価証券報告書の事業内容には、金融機関・公共団体・一般法人など幅広い業界・業種への提供が記載されています。金融向けの経験を基盤に、対象を広げてきた構造です。
品質面の記載
- 2002年12月:能力成熟度モデル CMMレベル2を達成
- 2004年5月:CMMレベル3を達成
- ソフトウエア能力成熟度モデル統合 CMMIレベル3の認定を受けた後、独自の開発標準 AGS統合開発標準(INDESTA) を策定
- 専任の品質管理部門による品質チェックを実施
認証の取得状況
ISMS(ISO/IEC 27001)、ISMSクラウドセキュリティ(ISO/IEC 27017)、ITサービスマネジメントシステム(ISO/IEC 20000)、プライバシーマーク。
転職の観点
開発標準と専任の品質管理部門が明記されている組織です。裁量の大きさより、決められた手順のなかで品質を担保する働き方に近いと考えられます。
5期で経常利益が2.5倍になっている
連結経営指標等の推移(千円)
| 回次 | 売上高 | 経常利益 | 親会社株主に帰属する当期純利益 | ROE |
|---|---|---|---|---|
| 第27期(2022年3月) | 21,187,182 | 981,938 | 638,173 | 5.0% |
| 第28期(2023年3月) | 21,066,308 | 910,907 | 682,481 | 5.2% |
| 第29期(2024年3月) | 22,092,204 | 1,286,481 | 936,465 | 6.9% |
| 第30期(2025年3月) | 24,862,456 | 1,900,227 | 1,379,546 | 9.7% |
| 第31期(2026年3月) | 28,622,381 | 2,508,634 | 1,932,324 | 12.6% |
売上は35.1%増、経常利益は約2.55倍
売上高の伸び以上に、利益の伸びが大きい形です。
当期純利益は約3.03倍
638,173千円から1,932,324千円へ。ROEは5.0%から12.6%まで上がっています。
自己資本比率は68.2%
第27期の69.4%からほぼ横ばいで推移しています。利益が増えても財務の性格は変わっていないということです。
従業員数の推移
| 回次 | 連結従業員数 | 提出会社従業員数 |
|---|---|---|
| 第27期 | 1,057名(862) | 772名(394) |
| 第31期 | 1,109名(848) | 846名(345) |
5期で連結52名増、提出会社74名増
**売上が35.1%伸びるあいだ、人員は約5%しか増えていません。**1人あたりの売上が上がっている計算になります。
転職の観点
少ない人員増で売上を伸ばしている局面です。単価の上昇か、生産性の改善か、どちらの寄与が大きいかは面接で確認する価値があります。
セグメント別の従業員数は開示されない
有価証券報告書には、同一の従業員が複数のセグメントに従事しているため合計で記載していると注記されています。情報処理サービス、ソフトウエア開発、その他情報サービス、システム機器販売の4区分ですが、人員は分けて開示されていません。
連結子会社2社と、賃金差異の注記
連結子会社
| 会社名 | 所在地 | 資本金 | 主な事業 |
|---|---|---|---|
| AGSビジネスコンピューター株式会社 | さいたま市大宮区 | 30百万円 | 情報処理サービス、ソフトウエア開発、その他情報サービス、システム機器販売 |
| AGSプロサービス株式会社 | さいたま市浦和区 | 30百万円 | 情報処理サービス、その他情報サービス(人材派遣業) |
AGSビジネスコンピューターの主要な損益情報
売上高3,874,058千円、経常利益365,692千円、当期純利益251,315千円、純資産額967,560千円、総資産額2,525,528千円。連結売上高の10%超にあたるため個別開示されています。
提出会社の臨時雇用者数に関する注記
有価証券報告書には、提出会社が子会社従業員を派遣により受け入れているため、提出会社の臨時雇用者数が連結の臨時雇用者数を超えることがあると記載されています。
グループ内で人が動いている
AGSプロサービスが人材派遣業を担い、提出会社が受け入れる構造です。同じ現場に、雇用契約の相手が違う人が並ぶことになります。
多様性の指標
| 区分 | 管理職女性比率 | 男性育休取得率 | 賃金差異(全労働者) | 同(正規) | 同(パート・有期) |
|---|---|---|---|---|---|
| 提出会社 | 11.2% | 100.0% | 64.9% | 86.0% | 36.3% |
| AGSビジネスコンピューター | 0.0% | 100.0% | 78.4% | 90.7% | 99.4% |
| AGSプロサービス | 7.1% | — | 38.7% | 87.5% | 60.4% |
| 連結会社 | 9.7% | 100.0% | 51.1% | 86.7% | 51.4% |
パート・有期の差異36.3%という数字
提出会社のパート・有期労働者の賃金差異が36.3%と大きく開いています。有価証券報告書は理由を次のように説明しています。
パート・有期労働者には「スタッフ(パート)」「シニアスタッフ(定年後再雇用の契約社員)」「嘱託(契約社員)」の形態がある。全体の約8割を占めるスタッフには主に事務に従事する短時間労働の女性が多く、約2割を占めるシニアスタッフ、嘱託にはIT業務など専門性の高い業務に従事し相対的に賃金が高い男性が多い。
区分の中身が違えば、比率の意味も変わる
**同じ「パート・有期」でも、短時間の事務職と定年後再雇用のIT技術者が同じ枠に入っています。**比率だけを見ても実態はつかめません。
正規雇用労働者の差異86.0%
正規雇用に限れば86.0%です。理由として、女性の新卒採用の強化により女性における若手労働者の割合が相対的に高いこと、管理的地位に占める女性の割合が低いことが挙げられ、2030年度までの女性登用目標を掲げていると記載されています。
労働組合
労働組合は結成されていませんが、労使関係は円満に推移しているとされています。
エージェントベストの見解
公開されている平均年間給与6,887千円は、平均勤続19.4年・平均年齢43.3歳の846名が作っている数字です。平均入社年齢は23.9歳。つまり、新卒で入って20年近く在籍している人の給与が平均を押し上げています。中途入社の初年度がこの水準になるとは考えないほうが安全です。一方で、対前事業年度増減率が4.2%と明記されている点は見逃せません。経常利益が5期で約2.55倍になっている局面で、給与も上がっています。判断に使うべきは平均値ではなく、この増減率と、提示されるレンジの2つです。面談では「提示グレードのレンジ」と「直近3年の昇給実績」を聞いてください。長期在籍者が多い会社では、初年度の額よりも上がり方のほうが、実際の生涯収入に効きます。
職種統計と照らして見る
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の区分を並べます。
| 区分 | 平均年収 | 平均年齢 | 労働時間 | 有効求人倍率 | 求人賃金(月額) |
|---|---|---|---|---|---|
| ITコンサルタント | 889万円 | 38.3歳 | 月173時間 | 0.89 | 35.4万円 |
| プログラマー | 578.5万円 | 37.1歳 | 月159時間 | 0.94 | 32.9万円 |
提出会社の6,887千円という位置
2つの区分のあいだにあたります。上流工程の比重や職位によって、実際の水準は動くと考えられます。
平均年齢の差
同社43.3歳に対し、区分は38.3歳と37.1歳。統計より年齢層が高い組織です。
労働時間の差
ITコンサルタントの区分は月173時間、プログラマーの区分は月159時間で、14時間の差があります。担当工程によって働き方が変わることを示す数字です。
選考で確認しておきたいこと
- 配属予定の部署で、直近3年に中途入社した人数
- 提示されるグレードと、そのグレードの年収レンジ
- 担当する工程(要件定義から運用のどこまでか)
- さいたまiDCに関わる業務の有無と、当番・夜間対応の実態
- AGS統合開発標準(INDESTA)に沿った進め方の範囲
- 雇用契約の相手方(提出会社か、子会社か)
1つ目は、平均勤続19.4年という構成を踏まえた確認です。
4つ目は、2003年開設のさいたまiDCで24時間365日のサービス提供が有価証券報告書に記載されているためです。
6つ目は、AGSプロサービスが人材派遣業を担い、提出会社が子会社従業員を派遣で受け入れているという注記を踏まえた確認です。
ユーザー系SIerの働き方はユーザー系SIerのキャリアパスもあわせてご覧ください。
エージェントベストの見解
この会社を検討する方が入社後にずれを感じやすいのは、意思決定の速さの部分です。有価証券報告書には、CMMIレベル3の認定、独自の開発標準INDESTA、専任の品質管理部門による品質チェックが明記されています。これは品質を担保する仕組みが確立しているという意味であり、同時に、決められた手順から外れる進め方は取りにくいという意味でもあります。前職がスタートアップや受託の小規模チームで、自分の判断で進め方を変えてきた方ほど、この差は大きく感じられます。避けるべき会社という話ではありません。金融機関や公共団体を顧客に持つ以上、手順が決まっているのは合理的です。面接では「進め方を変えたいと思ったとき、どこに提案し、どのくらいの期間で決まりますか」と聞いてください。この答えで、自分の働き方が合うかどうかがかなり判断できます。
まとめ
AGSについて、有価証券報告書(第31期・2026年3月期)から確認できる点を整理します。
- 連結売上高28,622,381千円、経常利益2,508,634千円、親会社株主に帰属する当期純利益1,932,324千円
- 5期で売上高35.1%増、経常利益は約2.55倍、当期純利益は約3.03倍。ROEは5.0%から12.6%へ
- 自己資本比率68.2%。資本金1,431,065千円
- 連結従業員1,109名(848)、提出会社846名(345)
- 提出会社の平均年齢43.3歳、平均勤続19.4年、平均年間給与6,887千円(対前期4.2%増)
- 埼玉銀行系と協和銀行系の2社が1995年4月に合併。2004年3月にりそなグループから独立し、同年7月にAGS株式会社へ商号変更
- 2003年に本社内へインターネットデータセンター「さいたまiDC」を開設
- CMMIレベル3の認定を受け、独自の開発標準INDESTAを策定。専任の品質管理部門を設置
- 連結子会社はAGSビジネスコンピューターとAGSプロサービスの2社
- 労働組合は結成されていない。管理職女性比率は提出会社11.2%、連結会社9.7%
本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。統計の数値は調査区分全体のものであり、特定の企業の実態を示すものではありません。最新の募集要項や選考プロセスは公式サイトでご確認ください。
よくある質問
Q. 平均年間給与6,887千円は、自分にも当てはまりますか。
A. これは提出会社846名の平均で、平均年齢43.3歳・平均勤続19.4年の構成にもとづく数字です。平均入社年齢は23.9歳と計算され、新卒で長く在籍する層が平均を形成しています。中途入社の初年度がこの水準になるとは限りません。提示グレードのレンジを確認するのが実務的です。
Q. 平均勤続19.4年というのは、どう読めばよいですか。
A. IT系の企業としては長い部類にあたります。離職が少ない環境である可能性を示す一方、中途入社者が少数派になりやすいことも意味します。配属予定の部署で直近3年に中途入社した人数を確認すると、受け入れ体制の実態が見えます。
Q. 銀行系のシステム会社ですか。
A. 源流は埼玉銀行と協和銀行それぞれのシステム子会社です。2004年3月にりそな銀行の連結子会社から外れ、りそなグループから独立しています。現在は金融機関・公共団体・一般法人など幅広い業界を対象としていると有価証券報告書に記載されています。
Q. 女性管理職の比率が低いように見えます。
A. 提出会社11.2%、連結会社9.7%です。同報告書は正規雇用労働者の賃金差異86.0%の理由として、女性の新卒採用の強化により女性の若手比率が相対的に高いこと、管理的地位に占める女性の割合が低いことを挙げ、2030年度までの女性登用目標を掲げていると記載しています。
本記事は 2026/8/12 時点の公開情報にもとづいて作成しています。