KSKの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
平均年間給与を男女別に開示している珍しい会社
KSKについて、第52期(2026年3月期)の有価証券報告書から確認できる事実を整理します。
この会社の従業員の状況の欄は、他社とつくりが違います。従業員数・平均年齢・平均勤続年数・平均年間給与のすべてを、全体/男性/女性の3行に分けて開示しています。
提出会社の従業員の状況(2026年3月31日現在)
| 区分 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 | 対前事業年度増減率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 全体 | 2,043人 | 34.2歳 | 8.9年 | 5,454千円 | 2.5% |
| 男性 | 1,538人 | 35.2歳 | 9.9年 | 5,660千円 | 3.0% |
| 女性 | 505人 | 31.1歳 | 5.7年 | 4,779千円 | 4.5% |
この開示が持つ意味
多くの会社は全体の平均だけを載せ、男女差については「同一労働の賃金に差はなく、等級別人数構成の差による」と文章で説明します。数字で示している会社は限られます。
平均年齢は男性35.2歳・女性31.1歳、平均勤続年数は男性9.9年・女性5.7年。年齢と勤続の差がそのまま給与差につながっている構造が、表を見るだけで分かります。有価証券報告書にも、同一労働の賃金に差はなく、差異が生じているのは勤続年数や職位等級別人数構成の差によると注記されています。
女性の増減率が最も高い
対前事業年度増減率は男性3.0%に対し女性4.5%。全体の2.5%を上回っています。
会社の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社KSK |
| 上場区分 | 東証スタンダード(証券コード 9687) |
| 本社所在地 | 東京都稲城市 |
| 設立 | 1974年5月 |
| 資本金 | 1,448百万円 |
| 従業員数 | 連結2,709人(臨時72人は外数)/提出会社2,043人 |
本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。最新の募集要項や選考プロセスは、公式サイトでご確認ください。
増減率2.5%と、継続雇用者ベースの10.4%
この会社の注記には、もうひとつ他社ではまず見ない記載があります。
有価証券報告書の注記4には、「平均年間給与」の対前事業年度増減率は従業員構成の変化(新規採用者の増加等)の影響を受けるため、実態的な賃金上昇の状況を補足する目的で参考情報を記載する、とあります。そのうえで次のように書かれています。
前事業年度および当事業年度の双方に在籍する従業員(以下「継続雇用者」という。)を対象に、各人の年間給与を比較した上で算出した**平均上昇率は10.4%**となっております。なお、本指標は、税務上の賃上げ促進税制における「継続雇用者給与等支給額」の考え方を参考に算出したものであります。
2.5%と10.4%は、まったく違う話をしています
有価証券報告書に載る対前事業年度増減率は、分母の顔ぶれが毎年変わる平均値どうしの比較です。新卒や若手の中途採用が増えれば、全体の平均は下に引っ張られます。一方の10.4%は、同じ人の給与が1年で何%上がったかです。
| 指標 | 数値 | 意味 |
|---|---|---|
| 平均年間給与の対前事業年度増減率 | 2.5% | 全体平均どうしの比較。構成の変化を含む |
| 継続雇用者ベースの平均上昇率 | 10.4% | 同一人物の給与を比較したもの |
転職を考える人にとっての読み方
他社と比較する場面では2.5%を使うしかありません。開示のルールが揃っているのはそちらだけだからです。ただし「入社したあと、自分の給与がどう動くか」を知りたいなら、参考になるのは10.4%のほうです。
採用が増えているのは事実
従業員数は5期で1,680人から2,043人へ、連結では2,273人から2,709人へ増えています。平均年齢34.2歳という若さも、この増員と無関係ではありません。
エージェントベストの見解
有価証券報告書の平均年間給与の増減率を見て、賃上げの度合いを判断する方は多いのですが、あの数字は在籍者の入れ替わりを含んだ平均どうしの比較です。採用を増やしている会社ほど、実際の昇給より低く出ます。この会社はそれを自覚したうえで、継続雇用者ベースの平均上昇率10.4%を参考情報として併記しました。2.5%と10.4%、どちらも同じ会社の同じ期の数字です。この差が示しているのは、開示された増減率だけで会社を選ぶと判断を誤り得るということです。他社を検討するときも、同じ問いを持ってください。面接では「直近3年の昇給率は、在籍者ベースで平均何%ですか」と聞いてみることをおすすめします。答えられる会社は多くありませんが、答えられる会社は制度が整っていることが多い。質問そのものが、相手を測る材料になります。
3つのセグメントと、人員の6割が集まる事業
グループは提出会社と子会社1社(株式会社KSKテクノサポート)で構成されています。セグメントは3つです。
| セグメント | 事業内容 | 売上高 | 前期比 | セグメント利益 |
|---|---|---|---|---|
| システムコア事業 | LSI開発・設計、組込みソフトウェア開発、ハードウェアの装置設計 | 4,675百万円 | 11.9%増 | 1,098百万円(1.8%増) |
| ITソリューション事業 | パッケージソフトウェア開発、受託開発、CAD、Web、データエントリー | 6,058百万円 | 10.1%増 | 1,612百万円(9.8%増) |
| ネットワークサービス事業 | 通信・コンピュータ関連システムの構築・現地調整・運用・保守、サポートセンター業務 | 15,032百万円 | 7.9%増 | 3,210百万円(2.1%増) |
セグメント別の従業員数(2026年3月31日現在)
| セグメント | 連結 | 提出会社 |
|---|---|---|
| システムコア事業 | 452人(0) | 452人 |
| ITソリューション事業 | 460人(41) | 374人 |
| ネットワークサービス事業 | 1,658人(2) | 1,078人 |
| 全社(共通) | 139人(29) | 139人 |
| 合計 | 2,709人(72) | 2,043人 |
ネットワークサービス事業に人員の6割
連結2,709人のうち1,658人、約61%がネットワークサービス事業です。売上高でも15,032百万円と全体の約58%を占めます。有価証券報告書には、ネットワーク新規構築や運用・保守業務、情報セキュリティ関連について企業や官公庁等の旺盛な需要があり、受注機会を捉えるため積極的に人材投資を行っていると記載されています。
システムコア事業は提出会社のみ
452人全員が提出会社に所属しています。有価証券報告書には、今後成長が期待されるイメージセンサーなどの半導体分野、通信機器部品の機構設計、組込ソフトウェア開発の受注が伸長し、医療装置の設計開発業務も堅調と記載されています。
子会社の数字も開示されている
株式会社KSKテクノサポートは特定子会社に該当し、連結売上高に占める割合が10%を超えるため、主要な損益情報等が開示されています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上高 | 4,751百万円 |
| 経常利益 | 417百万円 |
| 当期純利益 | 295百万円 |
| 純資産額 | 4,949百万円 |
| 総資産額 | 5,994百万円 |
連結2,709人と提出会社2,043人の差から、子会社には約666人が在籍している計算になります。**連結売上25,767百万円のうち約18%**を担っている法人です。
5期連続で増収増益、自己資本比率70%台
連結の5期推移(単位:百万円)
| 回次 | 第48期 | 第49期 | 第50期 | 第51期 | 第52期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 決算年月 | 2022年3月 | 2023年3月 | 2024年3月 | 2025年3月 | 2026年3月 |
| 売上高 | 18,623 | 20,358 | 21,778 | 23,608 | 25,767 |
| 経常利益 | 2,229 | 2,292 | 2,381 | 2,506 | 2,878 |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,501 | 1,589 | 1,702 | 1,860 | 2,182 |
| 自己資本比率 | 72.7% | 72.3% | 72.6% | 72.0% | 70.4% |
| 自己資本利益率 | 11.6% | 11.3% | 11.2% | 11.5% | 12.5% |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 991 | 1,431 | 1,936 | 1,825 | 3,417 |
| 従業員数 | 2,273人 | 2,342人 | 2,461人 | 2,625人 | 2,709人 |
5期を通じて売上・経常利益・純利益がすべて増加
売上高は18,623百万円から25,767百万円へ約1.38倍。経常利益は2,229百万円から2,878百万円へ。5期連続の増収増益です。直近期の経常利益率は約11.2%。
財務は厚い
自己資本比率は5期を通じて70%台を維持し、現金及び現金同等物は6,677百万円。営業活動によるキャッシュ・フローは第52期に3,417百万円と、前期の1,825百万円から大きく増えています。
株主還元の1期だけ跳ねている理由
配当性向は37.2%/38.3%/96.0%/49.3%/58.1%と、第50期だけ突出しています。有価証券報告書の注記に、第50期の1株当たり配当額226円には創立50周年記念配当138円を含むと記載されています。記念配当は毎期出るものではありません。
健康経営で長期の実績がある
沿革によると、2017年2月に「健康経営優良法人(ホワイト500)」に認定され、2026年3月で10年連続認定。2019年2月に「健康経営銘柄」へ選定され、2025年3月で7年連続選定と記載されています。ISOは環境(14001)、品質(9001)、情報セキュリティ(27001)、ITサービスマネジメント(20000)を取得しています。
労働組合と多様性の指標
労働組合
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | KSK労働組合 |
| 所属上部団体 | なし |
| 組合員数 | 1,662名(2026年3月31日現在) |
組合員1,662名は、提出会社2,043人の**約81%**にあたります。上部団体に属さない単独の組合という形です。労使間に問題はなく、労働協約の定めるところに従い良好かつ健全な労使関係を保っていると記載されています。
多様性の指標
| 指標 | 提出会社 | ㈱KSKテクノサポート |
|---|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 8.0% | 1.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 80.0% | 66.7% |
| 男女の賃金の差異(全労働者) | 84.4% | 66.6% |
| 男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 86.3% | 84.2% |
| 男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 45.5% | 78.0% |
提出会社の賃金差異84.4%
全労働者ベースで84.4%、正規雇用労働者で86.3%。IT・情報サービス業では差が小さい側に入ります。前の節で見た男女別の開示と合わせて読むと、平均年齢と平均勤続年数の差が主な要因であることが確認できます。
パート・有期労働者の45.5%
提出会社のパート・有期労働者の差異は45.5%と、他の区分と比べて低くなっています。雇用形態の内訳までは開示されていないため、面接で確認する余地があります。
選考で確認しておきたいこと
- 雇用契約の相手方(提出会社か、㈱KSKテクノサポートか)
- 配属されるセグメント(システムコア/ITソリューション/ネットワークサービス)
- 客先常駐の有無と、その頻度
- 昇給が在籍者ベースでどの程度動いているか
- 職位等級の段階と、中途入社時の格付け
- 半導体・組込み領域の場合、必要な経験の水準
1つ目と2つ目は、この会社では特に効きます。システムコア事業の452人は全員が提出会社である一方、ネットワークサービス事業は連結1,658人に対し提出会社1,078人で、580人ほどが子会社側にいます。多様性の指標も法人で分かれます。
4つ目は、継続雇用者ベースの平均上昇率10.4%という参考情報が開示されていることを踏まえた確認です。
6つ目は、システムコア事業でイメージセンサーなどの半導体分野や医療装置の設計開発が伸びていると記載されていることを踏まえています。同じ社内でも求められる経験がセグメントごとに違います。
選考フローや面接内容は、職種や時期によって変わるとされています。最新の募集要項は公式サイトで必ずご確認ください。
同じ規模帯の会社の見方はSIerの年収相場、難易度の目安はSIerの転職難易度もあわせてご覧ください。
エージェントベストの見解
この会社の求人を検討する方から「常駐型が中心では」という質問をよく受けます。有価証券報告書からは業務の形態までは読み取れませんが、人員の配分は読めます。連結2,709人のうち1,658人がネットワークサービス事業で、この事業は企業や官公庁のネットワーク構築・運用・保守が中心です。一方でシステムコア事業の452人は、半導体や組込みソフトウェア、医療装置の設計開発を担っています。同じ会社でも、身につく専門性がまったく違います。ここを確認せずに応募すると、入社後に「思っていた仕事と違う」となりやすい。面接では「配属予定の事業はどれですか」「その事業で直近3年に入社した中途の方は、前職でどんな経験を持っていましたか」と聞いてください。2問目のほうが、実態が見えます。
まとめ
KSKについて、有価証券報告書から確認できる点を整理します。
- 提出会社は2,043人、平均年齢34.2歳、平均勤続8.9年、平均年間給与5,454千円(対前事業年度増減率2.5%)
- 従業員数・平均年齢・平均勤続・平均年間給与を男女別に開示。男性1,538人・5,660千円、女性505人・4,779千円
- 注記に継続雇用者ベースの平均上昇率10.4%という参考情報を併記している
- 連結は2,709人(臨時72人は外数)。子会社は㈱KSKテクノサポート1社
- セグメントは3つ。ネットワークサービス事業に連結の約61%にあたる1,658人が在籍
- 連結売上高は5期で18,623百万円から25,767百万円へ。5期連続の増収増益
- 自己資本比率は5期を通じて70%台。営業CFは第52期に3,417百万円
- 第50期の配当性向96.0%には創立50周年記念配当138円が含まれる
- KSK労働組合の組合員は1,662名。上部団体には所属していない
- 健康経営銘柄に7年連続選定、健康経営優良法人(ホワイト500)に10年連続認定
本記事の内容は2026年8月時点の公開情報にもとづきます。詳細は有価証券報告書および公式サイトでご確認ください。
よくある質問
Q. 平均年間給与5,454千円は低いですか。
A. 高低の評価は比較対象によります。押さえておきたいのは平均年齢34.2歳という若さで、これは5期で従業員が1,680人から2,043人へ増えたことと関係しています。年齢を揃えずに他社と比べると実態を取り違えます。
Q. 昇給はどの程度ありますか。
A. 有価証券報告書の対前事業年度増減率は2.5%ですが、注記には継続雇用者ベースの平均上昇率10.4%という参考情報が併記されています。前者は構成の変化を含む平均どうしの比較、後者は同一人物の給与を比較したものです。
Q. 男女で年収に差があるのはなぜですか。
A. 有価証券報告書には、同一労働の賃金に差はなく、差異は勤続年数や職位等級別人数構成の差によるものと注記されています。実際に平均年齢は男性35.2歳・女性31.1歳、平均勤続は男性9.9年・女性5.7年です。
Q. どの事業に配属される可能性が高いですか。
A. 人員の配分から見ると、連結2,709人のうち1,658人がネットワークサービス事業です。ただし配属は募集職種によるため、応募前に事業とセグメントを確認してください。
本記事は 2026/8/12 時点の公開情報にもとづいて作成しています。