トランヴィアの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
株式会社トランヴィアは、2026年4月1日に株式移転で設立された持株会社です。株式会社東邦システムサイエンス(TSS)と株式会社ランドコンピュータ(R&D)が、**「対等の精神に則り」経営統合して生まれました。設立から日が浅いため有価証券報告書はまだ提出されていませんが、東京証券取引所に提出された「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」**に、統合の経緯と両社の数字が詳細に記載されています。この記事では、その一次資料から事業と組織の実態を整理します。
会社概要と2026年4月1日の設立
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社トランヴィア(Toranvia Co.,Ltd.) |
| 設立 | 2026年4月1日(株式移転) |
| 上場区分 | 東京証券取引所プライム市場(証券コード545A) |
| 資本金 | 20億円 |
| 本店所在地 | 東京都文京区小石川一丁目12番14号(日本生命小石川ビル5F) |
| 代表者 | 代表取締役会長 小坂友康(TSS社長)/代表取締役社長 福島嘉章(R&D社長) |
| 事業内容 | 子会社等の経営管理及びこれらに附帯又は関連する一切の事業 |
| 完全子会社 | 株式会社東邦システムサイエンス/株式会社ランドコンピュータ |
上場申請書類の【表紙】には、この会社の性格を示す注記が付いています。
上場申請会社である株式会社トランヴィア(中略)は、株式移転(中略)により2026年4月1日に設立登記する予定です。 (注)本報告書提出日の2026年3月2日において、当社は設立されておりませんが、本報告書は、設立予定日である2026年4月1日現在の状況について説明する事前提出書類ですので、特に必要のある場合を除き、予定・見込みである旨の表現は使用しておりません。
**新設の持株会社であるため、当社自体の従業員や実績はまだありません。**実態を知るには、完全子会社となった2社を読む必要があります。
2つの会社の成り立ち
上場申請書類は、両社の来歴をそれぞれ記載しています。
株式会社東邦システムサイエンス(TSS)
1971年6月に東邦生命保険相互会社の情報子会社として設立以来、金融分野を中心にシステム開発や運用サービスを提供してきました。情報化社会の一翼を担う企業として、生命保険・損害保険・銀行・証券等の金融関係のシステムを基軸としながら、通信・放送といった社会インフラを支えるシステムにもソリューションの提供範囲を拡げ、事業展開を図ってまいりました。
株式会社ランドコンピュータ(R&D)
1971年1月の設立以来、独立系システムインテグレータとして、金融、製造、流通、公共等の幅広い分野のお客様に向けてシステム開発を中心としたITソリューションを提供してきました。基幹系システムの開発からクラウド・パッケージ導入支援、ITインフラ構築に至るまで総合的なサービスを展開し(後略)
どちらも1971年設立という共通点があります。一方は生命保険会社の情報子会社として、もう一方は独立系として。同じ年に始まり、55年後に統合したという構図です。
R&Dのサービスラインは、上場申請書類に3つ記載されています。
| サービス | 内容 |
|---|---|
| システムインテグレーション・サービス | 基幹業務システムを中心とした受託開発 |
| パッケージベースSI・サービス | Salesforce、SuperStream、SAP、COMPANY等のソフトウェアパッケージ製品の導入支援、カスタマイズ、アドオン開発、保守、運用。2010年4月にスタートし、現在では売上高30%以上に成長 |
| インフラソリューション・サービス | サーバ等ハードウェアの導入、ネットワーク構築、データベース、アプリケーション基盤等のシステムインフラ構築と運用・保守 |
評判の傾向
以下は公開されている口コミの傾向を要約したものです。個別の投稿は引用していません。なお当社は2026年4月1日設立のため、以下は完全子会社2社の開示に基づきます。
年収・評価制度
上場申請書類によると、2025年3月31日現在の平均年間給与は、東邦システムサイエンス6,409千円(633人・平均年齢36.9歳・平均勤続年数13.0年)、ランドコンピュータ5,480千円(514人・40.7歳・10.8年)です。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです
ワークライフバランス
上場申請書類には、東邦システムサイエンスには労働組合(東邦システムサイエンス労働組合・組合員507名)があり労使関係は安定している旨、ランドコンピュータは労働組合が結成されていないが労使関係は円満に推移している旨が記載されています。男性労働者の育児休業取得率は、TSS 75.0%、R&D 20.0%です。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです
キャリア・成長機会
ランドコンピュータについては、顧客の業種に応じた業務関連資格の取得(銀行業務検定、証券外務員、販売士、診療情報管理士、医療情報技師、PMP等)に取り組む旨が記載されています。統合により「両社のエンジニアやプロジェクトマネージャーの相互交流を加速させる」旨も記載されています。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです
社風・人間関係
東邦システムサイエンスの平均勤続年数は13.0年、ランドコンピュータは10.8年。統合は「両社が対等の精神に則り」行われた旨が記載されています。
※公開されている口コミの傾向をまとめたものです
エージェントベストの見解
**新設の持株会社を受けるとき、確認すべきことははっきりしています。「どちらの会社に入るのか」です。**トランヴィアは2026年4月1日設立で、事業は完全子会社2社が担います。上場申請書類には、その2社の数字が並んで載っています。
| 項目 | 東邦システムサイエンス(TSS) | ランドコンピュータ(R&D) |
|---|---|---|
| 従業員数 | 633人 | 514人(連結563人) |
| 平均年齢 | 36.9歳 | 40.7歳 |
| 平均勤続年数 | 13.0年 | 10.8年 |
| 平均年間給与 | 6,409千円 | 5,480千円 |
| 労働組合 | あり(組合員507名) | なし |
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 10.9% | 6.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% | 20.0% |
| 男女の賃金の差異(全労働者) | 81.1% | 79.0% |
※いずれも2025年3月31日現在
平均年間給与の差は929千円。しかもTSSのほうが平均年齢は3.8歳若く、平均勤続年数は2.2年長い。若くて長く在籍していて、給与も高いという関係になります。当メディアはこの数か月、情報サービス業の有価証券報告書を50社以上読んできました。そこで確立したのは、経常利益率は事業の型でほぼ決まるという読み方です。TSSは生命保険・損害保険を基軸とする金融系、R&DはパッケージベースSI(Salesforce、SAP等)が売上の30%以上を占める独立系。顧客も収益の作り方も違います。加えてTSSには労働組合があり、R&Dにはない。制度の作られ方も違う可能性が高い。面接では3つ聞いてください。1つ目、「雇用契約はTSSとR&Dのどちらと結ぶことになりますか」。2つ目、「統合後、給与テーブルや評価制度を統一する計画はありますか。あるとすればいつですか」。3つ目、「2社間の異動は制度としてありますか」。統合直後の会社では、この3つが働き方をそのまま決めます。
2社の従業員数と処遇
上場申請書類には、完全子会社となる両社の最終事業年度末日(2025年3月31日)における従業員の状況が記載されています。
株式会社東邦システムサイエンス(TSS)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数 | 633人 |
| 平均年齢 | 36.9歳 |
| 平均勤続年数 | 13.0年 |
| 平均年間給与 | 6,409千円 |
| セグメント | 従業員数 |
|---|---|
| ソフトウェア開発 | 564人 |
| 情報システムサービス等 | 15人 |
| 共通 | 54人 |
| 合計 | 633人 |
注記には「従業員数は、契約社員(23名)及びパート社員(3名)を含んでおり、他社への出向者(1名)は含んでおりません」と記載されています。契約社員・パート社員が26名と少なく、正社員中心の構成です。
株式会社ランドコンピュータ(R&D)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数(提出会社) | 514人 |
| 従業員数(連結) | 563人 |
| 平均年齢 | 40.7歳 |
| 平均勤続年数 | 10.8年 |
| 平均年間給与 | 5,480千円 |
| 部門 | 従業員数 |
|---|---|
| 事業部門 | 447人 |
| 全社(共通部門) | 67人 |
| 合計 | 514人 |
R&Dは「システムソリューションサービス及びこれらの付随業務の単一セグメント」であり、部門別の内訳が記載されています。臨時雇用者数は「従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略」とのこと。
両社を合わせると、就業人員は約1,196人(TSS 633人+R&D連結563人)になります。
男女に関する指標は、次のとおりです。
| 項目 | TSS | R&D |
|---|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 10.9% | 6.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 75.0% | 20.0% |
| 男女の賃金の差異(全労働者) | 81.1% | 79.0% |
| 男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 81.7% | 81.8% |
| 男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 18.3% | 62.2% |
男性の育児休業取得率は75.0%と20.0%で、55ポイントの差があります。当メディアが同じ時期に有価証券報告書から読んだ情報サービス企業では、この指標が0.0%から100.0%まで分布していました。同じグループになった2社で、これだけ差があるという事実は、応募先を選ぶ材料になります。
労働組合の状況も対照的です。
| 会社 | 労働組合 |
|---|---|
| TSS | 東邦システムサイエンス労働組合。2025年3月31日現在の組合員数は507名であり、労使関係は安定 |
| R&D | 労働組合は結成されていないが、労使関係は円満に推移 |
TSSは633人中507名が組合員です。当メディアが同じ時期に読んだ情報サービス企業の多くは「労働組合は結成されておりませんが」という記載でしたので、比較的珍しい部類にあたります。
2社の業績を並べて読む
上場申請書類には、両社の主要な経営指標等の推移が記載されています。
株式会社東邦システムサイエンス(TSS・第50期〜第54期)
| 決算期 | 売上高(千円) | 経常利益(千円) | 当期純利益(千円) | 従業員数 | ROE | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021年3月 | 12,189,086 | 1,085,671 | 748,514 | 541名 | 10.2% | 66.6% |
| 2022年3月 | 14,211,055 | 1,337,297 | 942,733 | 552名 | 12.0% | 67.0% |
| 2023年3月 | 15,446,315 | 1,522,151 | 1,116,619 | 572名 | 13.2% | 68.5% |
| 2024年3月 | 16,280,472 | 1,583,414 | 1,082,065 | 614名 | 11.9% | 69.5% |
| 2025年3月 | 17,342,598 | 1,627,234 | 1,194,944 | 633名 | 13.1% | 68.0% |
5期連続で増収(12,189,086千円→17,342,598千円/+42.3%)。経常利益も5期連続で増加しています。ROEは10.2%〜13.2%の範囲で推移。
なお、株主総利回りが特徴的です。164.8%→240.4%→451.2%→1,090.6%→771.3%(比較指標の配当込みTOPIXは142.1%→213.4%)。**第53期に1,090.6%**まで上昇しています。
株式会社ランドコンピュータ(R&D・第51期〜第55期)
| 決算期 | 売上高(千円) | 経常利益(千円) | 当期純利益(千円) | 連結従業員数 | ROE | 自己資本比率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021年3月 | ― | ― | ― | ― | ― | ― |
| 2022年3月 | 9,596,440 | 879,643 | 627,206 | 515名 | 15.10% | 67.18% |
| 2023年3月 | 11,578,940 | 1,238,200 | 772,096 | 550名 | 16.75% | 64.65% |
| 2024年3月 | 13,732,744 | 1,743,967 | 1,233,862 | 560名 | 23.27% | 66.05% |
| 2025年3月 | 13,730,729 | 1,463,371 | 1,023,309 | 563名 | 17.45% | 71.55% |
※第52期より連結財務諸表を作成しているため、第51期は記載なし。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益
第54期(2024年3月期)がピークで、経常利益1,743,967千円、ROE23.27%。直近期は売上がほぼ横ばい(13,732,744→13,730,729千円)、経常利益は1,463,371千円へ16.1%減少しています。
2社を並べると、規模と成長の形が異なります。
| 項目 | TSS(2025年3月期) | R&D(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 売上高 | 17,342,598千円 | 13,730,729千円 |
| 経常利益 | 1,627,234千円 | 1,463,371千円 |
| 経常利益率 | 約9.4% | 約10.7% |
| ROE | 13.1% | 17.45% |
| 自己資本比率 | 68.0% | 71.55% |
| 直近期のトレンド | 5期連続増収増益 | 前期比で減益 |
**売上はTSSが大きく、利益率とROEはR&Dが高い。**当メディアが同じ時期に有価証券報告書から読んだ情報サービス企業では、受託開発中心の会社の経常利益率が6.7〜12.1%という分布でした。両社ともその範囲に収まります。
R&Dの利益率がやや高い背景には、パッケージベースSIの比率があると読めます。上場申請書類には「2010年4月よりスタートした、株式会社セールスフォース・ドットコムが提供するクラウドコンピューティングの営業支援・顧客管理システムの導入支援、カスタマイズ、アドオン開発を行うサービスを中心に拡大しております」「現在では売上高30%以上に成長しております」と記載されています。
なぜ統合したのか
上場申請書類は、統合に至る経緯を時系列で記載しています。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2024年8月 | TSSがR&Dに対し、業務提携を行い共同営業・共同開発を推進することを提案 |
| 2024年9月30日 | 両社が業務提携契約を締結 |
| 2025年5月 | TSSがR&Dに対し、株式移転による経営統合を提案 |
| 2025年11月13日 | 両社が対等の精神に則り、株式移転の方法により完全親会社を設立することを決定 |
| 2026年4月1日 | 株式移転の効力発生。株式会社トランヴィア設立 |
統合の背景には、共通の危機感が書かれています。
しかしながら、市場規模が急速に拡大する中でも、AI等の新技術による代替リスク、大企業の規模拡大による競争激化は、両社にとって持続的な企業価値の向上への懸念材料となっておりました。そのため、両社は自社の課題を補いながら、更なる成長を実現するための施策をそれぞれ模索してきました。
TSS側の動機は「非金融領域の強化」、R&D側の動機は「生命保険・損害保険領域において豊富な業務知見と実績を有するTSSとの協業」と記載されています。互いに持っていないものを補う関係です。
見込まれるシナジーは4つ挙げられています。
| シナジー | 内容(上場申請書類の記載から) |
|---|---|
| ア 顧客基盤と事業ポートフォリオの拡充 | TSSは生命保険・損害保険分野における豊富な業務知見と大規模システム開発の実績。R&Dは金融、製造、流通、公共等の幅広い分野におけるパッケージベースSI。両社はノウハウだけでなく保有する顧客基盤もそれぞれ異なることから、クロスセル・アップセルの機会を拡大 |
| イ 新規サービスの創出・プロジェクトの効率化 | 生成AI等の先端分野や新規事業分野での技術共有、プロジェクト監視手法、ソフトウェア品質管理手法の共有 |
| ウ 人財・組織体制の強化 | 両社のエンジニアやプロジェクトマネージャーの相互交流を加速。若手人財からシニア層までを対象とする一貫した人財育成制度の確立に向けて連携 |
| エ コスト効率化と経営基盤の強化 | 開発、営業、及びコーポレート管理領域における社内外のリソースの共有と配分により、業務プロセスの効率化と重複投資・運用コストの最適化 |
**「ウ 人財・組織体制の強化」**には、応募者に直結する記述があります。
本経営統合後は、より多様な活躍の機会を両社の社員に提供できるようになることから、社員のエンゲージメントの向上にもつながると考えております。両社は、若手人財からシニア層までを対象とする一貫した人財育成制度の確立に向けて連携を図るとともに、両社が有するマネジメントノウハウを相互に活用・融合することで、組織運営の効率化及びガバナンスの一層の強化を推進してまいります。
**「一貫した人財育成制度の確立に向けて連携を図る」**という表現は、制度がまだ統一されていないことも同時に示しています。
業種の知識を資格で取る、という考え方
上場申請書類には、R&Dの品質確保の取り組みが具体的に記載されています。
顧客の事業フィールドに立ち、顧客と同じ目線でシステムソリューションサービスを提供するために、例えば銀行業界・証券業界においては銀行業務検定や証券外務員資格を取得するなど、顧客の各業務関連資格の取得に取り組んでおります。
業種別の取り組み例が表で示されています。
| 業種 | システムエンジニアの特徴(取り組みの例) |
|---|---|
| 金融/銀行・証券・保険 | 各種銀行業務検定試験の合格、証券外務員の資格を取得し、顧客である預金業務、融資業務等銀行の視点でサービスを提供 |
| 金融/クレジットカード | クレジットカード業界の社員向けの業務研修を受講 |
| 産業・流通 | 販売士の資格を取得し、百貨店の顧客の視点でサービスを提供。ネットワーク関連技術に関する各種資格を取得 |
| 医療 | 診療情報管理士及び医療情報技師の資格を取得し、顧客である病院の医師、看護師等の視点でサービスを提供 |
| その他業種 | プロジェクトマネジメントに関する国際資格であるPMP等の資格を取得 |
IT資格ではなく、顧客業界の資格を取るという方針です。当メディアが同じ時期に有価証券報告書から読んだ情報サービス企業では、資格支援の対象がITスキル系(基本情報技術者、ITパスポート、ベンダー資格)である例が大半でした。業務側の資格を体系的に挙げる会社は限られます。
協力会社との関係についても記載があります。
R&Dグループでは、協力会社のシステムエンジニアがR&Dと一体になるようコアパートナー制度を導入し、認定された協力会社とは安定的・継続的発注、教育研修機会の提供、定例会の開催等を実施し、長期的な協力関係の構築を推進しており、大型プロジェクトに参入しやすい環境を整えております。
品質については「品質改善推進部を設置し、品質確保プロセスの標準化やプロジェクト品質監視を図り」と記載されています。
働き方とキャリア形成の特徴
上場申請書類から読み取れる特徴は、次の4点です。
**1つ目は、持株会社と事業会社2社という構成であること。**当社は「子会社等の経営管理」を行い、事業はTSSとR&Dが担います。
**2つ目は、2社で顧客領域が異なること。**TSSは生命保険・損害保険を基軸に通信・放送へ。R&Dは金融、製造、流通、公共、医療と幅広く、パッケージベースSIが売上の30%以上。
**3つ目は、制度がまだ統一されていない可能性が高いこと。**平均年間給与929千円の差、男性育休取得率55ポイントの差、労働組合の有無。統合は2026年4月1日で、まだ日が浅い段階です。
4つ目は、統合の目的に人財交流が明記されていること。「両社のエンジニアやプロジェクトマネージャーの相互交流を加速させる」「一貫した人財育成制度の確立に向けて連携を図る」と記載されています。
向いている人/向いていない人
上場申請書類の記載から読み取れる範囲で整理します。ここに書いたことは相性の目安であり、選考の合否を決めるものではありません。
向いていると考えられる人
- 金融系の基幹システムに関わりたい人。TSSは1971年から生命保険・損害保険・銀行・証券のシステムを手がけています
- パッケージ導入(Salesforce、SAP等)を専門にしたい人。R&Dのパッケージベース SI は売上の30%以上です
- 顧客業界の知識を深めたい人。銀行業務検定、証券外務員、販売士、診療情報管理士等の資格取得が推奨されています
- 統合直後の組織づくりに関わりたい人。制度統合と人財交流がこれから進む段階です
向いていない可能性がある人
- 制度が固まった環境で働きたい人。2社の処遇・制度には現時点で差があります
- 自社製品の開発に携わりたい人。両社の中核は受託開発とパッケージ導入支援です
- 大規模な組織を求める人。両社を合わせた就業人員は約1,196人です
- 実績データを詳細に確認してから応募したい人。当社としての有価証券報告書はまだ提出されていません
エージェントベストの見解
**「対等の精神に則り」という言葉は、統合の性格を示しています。読み方を間違えないでください。**上場申請書類には、2025年11月13日付で「両社が対等の精神に則り、本株式移転の方法により、本株式移転の効力発生日(2026年4月1日)付で両社の完全親会社となる当社を設立すること」を決定した、と記載されています。株式移転という手法は、既存の2社が共同で親会社を作る形で、どちらかがどちらかを買収する形とは違います。役員構成もそれを反映しています。代表取締役会長がTSSの社長、代表取締役社長がR&Dの社長。そのうえで、応募者が読むべきことが2つあります。1つ目、対等統合は制度統合に時間がかかりやすい。買収なら買った側の制度に寄せますが、対等では調整が要ります。実際、上場申請書類は「一貫した人財育成制度の確立に向けて連携を図る」という将来形で書いています。2つ目、だからこそ入社時点の条件は、統合前の会社の条件である可能性が高い。平均年間給与はTSS 6,409千円、R&D 5,480千円。929千円の差が、統合後どちらに寄るのかは書かれていません。面接では3つ聞いてください。1つ目、「入社時の給与テーブルはどちらの会社のものですか」。2つ目、「制度統合のスケジュールは決まっていますか」。3つ目、「統合後、両社間のプロジェクト参画は実際に始まっていますか」。3つ目が重要です。上場申請書類には、**2024年9月の業務提携を通じて「共同営業・共同開発を推進する中で一定の効果は確認できた」**と書かれています。すでに1年半以上の助走があるということですから、具体的な事例を聞けるはずです。
選考に向けた準備
事業の理解
上場申請書類から確認しておきたいのは、次の点です。
- 2社の顧客領域の違い……TSSは生命保険・損害保険・銀行・証券+通信・放送。R&Dは金融、製造、流通、公共、医療
- R&Dの3サービスライン……システムインテグレーション・サービス、パッケージベースSI・サービス(売上高30%以上)、インフラソリューション・サービス
- 統合の4つのシナジー……顧客基盤と事業ポートフォリオの拡充/新規サービスの創出・プロジェクトの効率化/人財・組織体制の強化/コスト効率化と経営基盤の強化
- 統合前の経営計画……TSSは長期経営ビジョン「TSS Economic Vision500」と「中期経営計画2027」、R&Dは「新中期経営計画(VISION2025)」
数字の押さえ方
面接で使える数字を挙げます(いずれも2025年3月期/2025年3月31日現在)。
| 項目 | TSS | R&D |
|---|---|---|
| 売上高 | 17,342,598千円 | 13,730,729千円(連結) |
| 経常利益 | 1,627,234千円 | 1,463,371千円 |
| 経常利益率 | 約9.4% | 約10.7% |
| ROE | 13.1% | 17.45% |
| 自己資本比率 | 68.0% | 71.55% |
| 従業員数 | 633人 | 514人(連結563人) |
| 平均年間給与 | 6,409千円 | 5,480千円 |
| 平均年齢/勤続年数 | 36.9歳/13.0年 | 40.7歳/10.8年 |
質問の準備
- 「雇用契約はTSSとR&Dのどちらと結ぶことになりますか」
- 「入社時の給与テーブルはどちらの会社のものですか。制度統合のスケジュールは決まっていますか」
- 「統合後、両社間のプロジェクト参画は実際に始まっていますか」
- 「2社間の異動は制度としてありますか」
- 「顧客業界の資格取得(銀行業務検定、診療情報管理士等)は、両社で共通の制度になりますか」
まとめ
株式会社トランヴィアは、株式会社東邦システムサイエンスと株式会社ランドコンピュータが株式移転により経営統合して、2026年4月1日に設立された持株会社です。東京証券取引所プライム市場(証券コード545A)に上場しています。
上場申請書類から読み取れる特徴を整理します。
- 2026年4月1日設立のため、当社としての有価証券報告書はまだ提出されていません
- 両社とも1971年設立。TSSは東邦生命保険相互会社の情報子会社として、R&Dは独立系システムインテグレータとして
- 顧客領域が異なる。TSSは生命保険・損害保険を基軸に通信・放送へ、R&Dは金融・製造・流通・公共・医療。R&Dのパッケージベース SI は売上の30%以上
- 2社の数字(2025年3月期)は、売上はTSSが大きく(17,342百万円対13,730百万円)、ROEはR&Dが高い(13.1%対17.45%)
- 平均年間給与はTSS 6,409千円、R&D 5,480千円(929千円差)。男性育休取得率は75.0%と20.0%(55ポイント差)
- TSSには労働組合がある(組合員507名)、R&Dにはない
- 統合は**「対等の精神に則り」**行われ、代表取締役会長がTSS社長、代表取締役社長がR&D社長
- 統合の目的には**「一貫した人財育成制度の確立に向けて連携」**が挙げられており、制度統合はこれからの段階
**統合したばかりで、2社の違いがまだ数字にはっきり残っている会社。**これが上場申請書類から読み取れる姿です。
よくある質問
Q. 平均年収はどのくらいですか。
株式会社トランヴィアは2026年4月1日設立のため、当社としての開示はまだありません。上場申請書類には、完全子会社となる2社の2025年3月31日現在の数値として、株式会社東邦システムサイエンス 6,409千円(633人・平均年齢36.9歳・平均勤続年数13.0年)、株式会社ランドコンピュータ 5,480千円(514人・40.7歳・10.8年)が記載されています。応募先の会社と、統合後の給与テーブルについては面接でご確認ください。
Q. どの会社に入社することになりますか。
上場申請書類によると、株式会社トランヴィアの事業内容は「子会社等の経営管理及びこれらに附帯又は関連する一切の事業」であり、従業員の状況は「当社は新設会社であるため、未定です」と記載されています。事業は完全子会社である株式会社東邦システムサイエンスと株式会社ランドコンピュータが担います。雇用契約の相手方は応募時にご確認ください。
Q. なぜ2社は統合したのですか。
上場申請書類には、両社が「AI等の新技術による代替リスク、大企業の規模拡大による競争激化」を懸念材料としていたこと、TSS側は「非金融領域の強化」を、R&D側は「生命保険・損害保険領域において豊富な業務知見と実績を有するTSSとの協業」を目的としていたことが記載されています。2024年8月の提案、2024年9月30日の業務提携契約締結を経て、2025年11月13日に株式移転による経営統合が決定されました。
※本記事は、掲載時点で公開されている「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」および公式サイトの情報をもとに作成しています。同社は2026年4月1日設立のため、有価証券報告書はまだ提出されていません。制度・数値は変更される場合がありますので、応募前に企業の公式情報を必ずご確認ください。
本記事は 2026/8/18 時点の公開情報にもとづいて作成しています。