名南M&Aの評判|年収・働き方・選考対策まで解説
名南M&Aは、東海地方を基盤とする中堅中小企業向けのM&A仲介会社です。名古屋証券取引所メイン市場に上場しているため、有価証券報告書から従業員数・平均年間給与・成約件数まで実数で読めます。この記事では第11期(2025年9月期)の有報をもとに、この会社の報酬設計と直近の業績の中身を整理します。上場しているM&A仲介のなかでも、報酬に関する方針の書き方が特徴的な会社です。
名南コンサルティングネットワークのM&A部門
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 名南M&A株式会社 |
| 上場区分 | 名古屋証券取引所メイン市場(証券コード7076) |
| 本店所在地 | 名古屋市中村区名駅一丁目1番1号 JPタワー名古屋 |
| 事業内容 | M&A仲介事業(単一セグメント) |
| 資本金 | 310,710千円 |
| 従業員数 | 71人(2025年9月30日現在・連結71人) |
| 平均年齢 | 38.9歳 |
| 平均勤続年数 | 3.8年 |
| 平均年間給与 | 7,654千円(賞与・基準外賃金を含む) |
| 親会社 | 株式会社名南経営ホールディングス(議決権53.95%) |
数値は有価証券報告書 第11期(自 2024年10月1日 至 2025年9月30日)によります。
会計事務所グループが母体
有報の「事業の内容」には、同社が名南コンサルティングネットワークに属することが記されています。このネットワークは東海地方で50年以上にわたり中堅中小企業の経営を支援してきたとされ、東海地方のすべての地方銀行と多くの信用金庫と業務提携しているとあります。
さらに、ネットワークは東海地方の中堅中小企業を中心に11,000社超のクライアントを持ち、全国の3,200以上の会計事務所に対して情報共有や経営ツールを提供するインターネットサービスを展開していると記載されています。
M&A仲介会社にとって、案件の入口をどこに持つかは事業の根幹です。同社の場合、それが会計事務所と地域金融機関のネットワークにあります。有報には、愛知県・岐阜県・三重県の事業引継ぎ支援センターにM&A専門業者として登録しており、そこからの紹介により譲渡案件を多数受託しているとも記載されています。
名古屋から5拠点へ
有報の記載を時系列で整理すると、拠点の展開は次のようになります。
2019年4月に大阪オフィスを開設(2022年7月に大阪市北区へ移転)、2021年10月に静岡オフィスを開設(2023年8月に拡張移転)、2024年10月に高松オフィス、2025年3月に東京オフィスを開設しています。
上場の経緯も有報に記載があります。2019年12月2日に名古屋証券取引所セントレックス市場へ上場し、2020年12月17日に市場第二部へ市場変更、2022年4月4日以降は市場区分の見直しによりメイン市場に移行しています。
なお同社は、2022年10月にJ-Adviser資格を取得してTOKYO PRO Marketへの上場支援を行うIPO支援事業を立ち上げ、ベンチャーキャピタル事業も運営していると有報に記載されています。M&A仲介の単一セグメントとしつつ、周辺領域を広げている段階です。
有報から読み取れる範囲
以下は、有価証券報告書と公表情報から読み取れる範囲の整理です。個別の口コミではなく、開示された数値と方針をもとにしています。
年収・評価制度
第11期の平均年間給与は7,654千円(賞与および基準外賃金を含む)です。従業員は71人、平均年齢38.9歳、平均勤続年数3.8年。有報には「インセンティブに偏らない報酬制度」という表現が明記されています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
ワークライフバランス
有報のサステナビリティの項では、多様な働き方を支援する目的として、男女を問わない育児休暇の推進、システム活用や業務内容の整理による残業時間の抑制が挙げられています。テレワークの導入と男性の育休取得支援も記載されています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
キャリア・成長機会
有報には、未経験者向けの知識研修からOJT研修、コンプライアンス研修、経験豊富なリーダーによる実務的なノウハウ研修、グループの士業による専門知識研修を仕組み化していると記載されています。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
社風・人間関係
従業員71人のうち、情報開発本部・事業戦略本部・金融法人本部が64人、経営管理部が7人という構成です。有報の事業等のリスクには「小規模な組織であります」との記載があります。
※公開されている情報から読み取れる範囲をまとめたものです
エージェントベストの見解
平均年間給与7,654千円という数字は、そのまま「M&A仲介にしては低い」と読むと判断を誤ります。読むべきは有報のもう一箇所です。同社は人材戦略の記述のなかで「インセンティブに偏らない報酬制度」を採用していると明記しています。さらに採用方針として「短期収益に傾倒しない当社の姿勢を明示することで、優秀かつ当社の企業ビジョンとの親和性を有した人材へのアプローチを行っており、一時的な採用数以上に入社後の育成・定着に資する人材の確保を重視」とも書いています。つまりこの数字は、成果報酬の比重を下げた設計の結果として出ている水準です。上場M&A仲介の平均年間給与は、有報で見るかぎり700万円台から1,400万円台まで開きがあります。その差の多くは、固定と変動の配分の違いから生まれます。年収の絶対額だけで比べると、報酬設計の思想の違いを見落とします。自分が固定給の安定を取るのか、変動幅の大きさを取るのかを先に決めてから、比較してください。
成約105件で過去最多なのに減収という構造
第11期の業績は、この会社を検討するうえで最も重要な材料です。有報の「目標とする客観的な指標等」には、次の数値が並んでいます。
| 指標 | 第10期(2024年9月期) | 第11期(2025年9月期) |
|---|---|---|
| 売上高(提出会社) | 1,924,183千円 | 1,484,312千円 |
| 成約件数 | 93件 | 105件 |
| M&Aアドバイザー数 | 47名 | 53名 |
| 新規アドバイザリー契約受託件数 | 154件 | 153件 |
成約件数は93件から105件へ増え、アドバイザー数も47名から53名へ増えています。それにもかかわらず、売上高は約23%減っています。
連結では売上高1,487,676千円、経常損失31,314千円、親会社株主に帰属する当期純損失51,446千円を計上しています。提出会社単体では経常利益9,815千円、当期純損失51,411千円です。
件数を売上高で割ると、1件あたりの金額の変化が見えます。第10期は約20.7百万円、第11期は約14.1百万円です。
M&A仲介の報酬は成約時の成功報酬が中心であり、案件の規模によって金額が大きく変わります。有報の事業等のリスクにも「大型案件の成約や破談、期間ごとの成約案件数の偏り等により、期間ごとの業績が大きく変動する可能性があり」と記載されています。
なおアドバイザー数の注記には、M&Aにのみ従事する人数を表示しており、別にVC事業・J-Adviser事業専任のコンサルタントが8名在籍していると書かれています。
報酬設計と人材方針
有報のサステナビリティの項には、報酬と育成に関する記述がまとまっています。
採用については、短期収益に傾倒しない姿勢を明示することで、企業ビジョンとの親和性を持つ人材にアプローチしていること、一時的な採用数以上に入社後の育成・定着を重視していることが書かれています。
育成については、属人化しがちなM&Aアドバイザリー業務を社内で集約・共有すること、アドバイザーが必要なノウハウとコミュニケーションを自主的に考えて社内に還元することの両面から、早期戦力化を図るとされています。
また、中小企業庁から「中小M&A人財向け 使命、倫理・行動規範、知識スキルマップ」が公開されたことを受け、知識だけでなく倫理観の醸成にも注力しているとの記載があります。
指標及び目標としては、従業員数を2030年までに100人とすること、一般事業会社の平均的数値である離職率15%以下を維持することが掲げられています。
M&A仲介業界では、成果報酬の比重が高い設計と、育成に時間をかける設計が併存しています。同社は後者に寄せた方針を有報上で明示している会社です。
地域基盤の仲介で積める経験
この会社でのキャリアを考えるうえで、押さえるべき点が3つあります。
第一に、案件の入口が組織にあります。 有報には、提携営業を中心とした事業モデルであり、従前より提携先との取引がある等の与信のある先が当事者となるため、いわゆる不適切な買手が介在しにくい取引網を強みとする、と記載されています。個人で新規開拓を積み上げる形とは、案件の作り方が異なります。
第二に、士業との連携が日常にあります。 名南コンサルティングネットワークには税理士法人・弁護士法人が属しており、専門知識研修や連携体制の整備が有報に記載されています。税務・法務の論点に触れる機会が多い環境です。
第三に、周辺事業が立ち上がっています。 IPO支援(J-Adviser)とベンチャーキャピタル事業が動いており、2024年10月にはマッチングプラットフォームを持つマフォロバ株式会社を取得しています。仲介以外の経験に接続する可能性があります。
向いている人/向いていない人
向いている人
固定給の比重が高い設計を望む方
有報に「インセンティブに偏らない報酬制度」と明記されています。成果報酬の変動幅より、安定した基盤を重視する方に接続します。
東海地方を軸に働きたい方
本店は名古屋市中村区で、東海地方の地方銀行や信用金庫との提携が事業基盤です。地域に根ざした働き方を望む方に向きます。
育成の仕組みを重視する方
未経験者向けの知識研修からOJT、士業による専門知識研修までが仕組み化されていると有報に記載されています。
向いていない人
成果報酬で大きく稼ぎたい方
報酬制度がインセンティブに偏らない設計であることが明示されています。成約件数に応じて報酬を大きく伸ばしたい方には、設計が合いません。
大規模組織で分業したい方
従業員は71人で、有報の事業等のリスクにも小規模な組織である旨が記載されています。役割が細かく分業された環境とは異なります。
エージェントベストの見解
この会社を受ける方は、同じ東海圏の会社や、全国展開する上場仲介と並べて検討しているケースが多く見られます。判断が割れるのは「案件をどう獲るか」の点です。全国展開する仲介の多くは、アドバイザー個人が新規の接点を作るところから始まります。名南M&Aは有報で提携営業を中心とした事業モデルと明記しており、会計事務所と地域金融機関のネットワークが案件の入口です。ここは向き不向きがはっきり分かれます。自分で市場を開拓することにやりがいを感じる方には、案件が組織から来る環境は物足りなく映ります。逆に、紹介元との信頼関係を丁寧に積み上げる仕事に適性がある方には、噛み合います。もうひとつの比較軸は、扱う案件の規模帯です。第11期は成約105件に対し提出会社の売上高1,484,312千円。1件あたりの規模がどのあたりかは、この2つの数字から見当がつきます。大型案件の経験を積みたい方は、この点を面接で確認してください。
選考に向けた準備
事業の現況を確認する
第11期は成約件数が過去最多となる一方で、連結で当期純損失を計上しています。この状況をどう捉えているかは、面接で触れられる可能性がある論点です。
有報には、収益力向上において成約件数の増加が重要課題であること、マッチング力の強化が課題であることが記載されています。応募前に、直近の決算資料で足元の状況を確認しておくことをおすすめします。
志望動機で問われること
「なぜM&A仲介か」と「なぜこの会社か」の2段で組み立てます。
前者については、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)や事業会社側ではなく、双方の間に立つ仲介という立場をどう捉えているかを説明します。中立的な立場で条件を調整し、譲渡先と買収先の双方から報酬を受領する業務があると有報に記載されており、この構造への理解が前提になります。
後者の材料は有報にあります。名南コンサルティングネットワークの11,000社超のクライアントと3,200以上の会計事務所。東海地方のすべての地方銀行との提携。インセンティブに偏らない報酬制度。2030年までに従業員100人という目標。
とくに報酬設計の方針は、この会社を選ぶ理由として語りやすい材料です。
職務経歴書で見られるポイント
M&A仲介の中途採用では、無形商材の法人営業経験が読まれることが一般的です。そのうえで同社の場合、提携先との関係構築の経験が材料になります。
金融機関出身の方は、法人取引で経営者と直接話した経験を書きます。融資の稟議を通した経験より、経営課題の相談を受けた経験のほうが接続します。
会計事務所・税理士法人出身の方は、事業承継の相談に関与した経験を書きます。同社の母体を考えると、この経験は説明しやすい材料です。
営業職出身の方は、紹介経由の案件をどう育てたかを書きます。新規開拓の件数より、既存の関係から案件を作った経験のほうが噛み合います。
いずれの場合も、案件ごとに、置かれていた状況、自分が選んだ打ち手、動いた数値を短く添えます。
まとめ
名南M&Aは名古屋証券取引所メイン市場に上場するM&A仲介会社で、名南コンサルティングネットワークに属し、株式会社名南経営ホールディングスが議決権の53.95%を保有しています。第11期(2025年9月期)の従業員は71人、平均年齢38.9歳、平均勤続年数3.8年、平均年間給与7,654千円。成約件数は93件から105件へ増えた一方で、提出会社の売上高は1,924,183千円から1,484,312千円へ減り、連結で当期純損失51,446千円を計上しています。報酬制度についてはインセンティブに偏らない設計であることが有報に明記されており、育成と定着を重視する人材方針が示されています。案件の入口は会計事務所と地域金融機関のネットワークで、個人での新規開拓を中心とする仲介会社とは仕事の進め方が異なります。
よくある質問
Q. 名南M&Aの年収はどのくらいですか。
A. 有価証券報告書 第11期(2025年9月期)によると、提出会社の平均年間給与は7,654千円です。賞与および基準外賃金を含む金額で、対象は従業員71人、平均年齢38.9歳、平均勤続年数3.8年です。なお同社は有報のなかで「インセンティブに偏らない報酬制度」を採用していると明記しており、成果報酬の比重が高い設計の会社とは報酬の構造が異なります。ポジション別の実額は選考の過程でご確認ください。
Q. 未経験からでも応募できますか。
A. 募集要項の詳細は公式サイトでご確認ください。有価証券報告書には、未経験者向けの知識研修からOJT研修、コンプライアンス研修、経験豊富なリーダーによる実務的なノウハウ研修、グループを中心とした士業による専門知識研修を仕組み化していると記載されています。また採用方針として、一時的な採用数以上に入社後の育成・定着に資する人材の確保を重視するとも書かれています。
Q. 業績が落ちているようですが大丈夫でしょうか。
A. 第11期は連結で売上高1,487,676千円、経常損失31,314千円、親会社株主に帰属する当期純損失51,446千円を計上しています。一方で成約件数は93件から105件へ、M&Aアドバイザー数は47名から53名へ増えています。有報の事業等のリスクには、成功報酬型のビジネスモデルであり、大型案件の成約や破談、期間ごとの成約案件数の偏りにより業績が大きく変動する可能性があると記載されています。自己資本比率は連結で87.9%です。足元の状況は直近の決算資料でご確認ください。
本記事は2026年8月時点で公開されている情報にもとづいています。最新の募集要項や選考プロセスは、各社の公式サイトでご確認ください。
- 名南M&A 有価証券報告書 第11期(2025年9月期)
- 名南M&A 会社情報(名古屋証券取引所メイン市場・証券コード7076)
- 厚生労働省 job tag「経営コンサルタント」(令和7年賃金構造基本統計調査ほか)
本記事は 2026/8/4 時点の公開情報にもとづいて作成しています。